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訪問看護 医療保険レセプトの書き方と点検チェックリスト

看
看護レポ編集部
2026年3月27日31分で読める
訪問看護 医療保険レセプトの書き方と点検チェックリスト

この記事のポイント

  • 訪問看護の医療保険請求とは:仕組みの基本
  • 訪問看護療養費明細書の基本構造
  • 保険種別ごとの提出先と書式の違い

訪問看護ステーションの事務担当者・管理者から、「医療保険レセプトの書き方がよくわからない」「毎月何件か返戻が来て困っている」という声を頻繁に耳にします。

医療保険の訪問看護レセプト(正式名称:訪問看護療養費明細書)は、介護保険の給付費明細書よりも記載項目が複雑で、ミスが発生しやすい書類です。2026年4月施行の令和8年度診療報酬改定で算定項目が変更されたことも、混乱に拍車をかけています。

本記事では、訪問看護療養費明細書の基本構造と記載ルール、よくある記載ミスTOP10、月次点検チェックリストを体系的に解説します。記載例を交えながら具体的に説明しますので、事務担当者の方はこの記事を手順書として活用してください。


1. 訪問看護の医療保険請求とは:仕組みの基本

医療保険と介護保険の二本立て

訪問看護では、利用者の状態や疾患によって医療保険と介護保険のどちらかで請求します(保険の振り分け判断については後述します)。本記事では医療保険(訪問看護療養費)の請求に絞って解説します。

医療保険での訪問看護請求の流れは以下のとおりです。

サービス提供(毎月)
       ↓
訪問看護療養費明細書の作成(翌月1〜10日)
       ↓
社会保険診療報酬支払基金(支払基金)または
国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求
       ↓
審査(書類審査・内容審査)
       ↓
支払(請求月の翌々月末ごろ)

2024年10月からオンライン請求が原則義務化され、紙での提出はほぼ認められなくなっています。電子レセプト(「UKファイル」とも呼ばれる国保連インタフェース仕様書準拠のデータ)で提出することが標準となっています。

医療保険レセプトの法的根拠

訪問看護療養費は健康保険法に基づき、厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(以下「算定告示」)で点数・金額が定められています。

記載方法は厚生労働省通知「訪問看護療養費に係る訪問看護療養費明細書の記載要領」(以下「記載要領」)が根拠となります。2026年4月改定版が適用中です。

参考: 厚生労働省 診療報酬・訪問看護療養費に関する告示・通知

請求できる医療保険の種類

訪問看護の医療保険には以下の種類があります。

保険種別 提出先 代表例
協会けんぽ・組合健保 社会保険診療報酬支払基金(支払基金) 会社員・公務員の被保険者・被扶養者
国民健康保険(国保) 国民健康保険団体連合会(国保連) 自営業者・無職・年金生活者
後期高齢者医療 国保連 75歳以上(または65歳以上で一定の障害)
公費(生活保護等) 都道府県・市区町村 生活保護受給者、障害者自立支援等

提出先によって書式が微妙に異なる場合があります。使用する請求ソフトが自動で振り分けてくれる場合が多いですが、確認は必須です。


2. 訪問看護療養費明細書の基本構造

明細書の全体構成

医療保険の訪問看護療養費明細書は、大きく以下のブロックで構成されます。

【ヘッダー部(基本情報)】

  • 審査支払機関コード・都道府県コード
  • 訪問看護ステーションの指定番号・名称・所在地
  • 請求年月

【患者情報部】

  • 被保険者番号・記号・番号
  • 保険者番号
  • 患者氏名・生年月日・性別
  • 訪問看護指示書の交付医療機関・医師名

【主治医情報部】

  • 医療機関コード(医科点数表に準拠)
  • 担当医師名・診療科

【明細情報部(サービス内容)】

  • 実日数・時間数
  • 算定した基本療養費の種別(I・II・III)
  • 加算の種類と回数
  • 訪問した看護職員の職種(看護師・准看護師・理学療法士等)

【集計部】

  • 請求額合計
  • 一部負担金額

電子レセプトでは上記をShift-JIS形式のCSVライクなテキストファイルとして作成し、国保連インタフェース仕様書の「UK」フォーマットで提出します。

訪問看護基本療養費の種別

医療保険では「訪問看護基本療養費」が基本の報酬となります。種別は以下の3種類です。

種別 内容 1日につき
基本療養費 I 病状が安定している利用者への訪問 5,550円(週3日まで)/ 6,550円(週4日目以降)
基本療養費 II 特定疾患(難病等)の利用者への訪問 5,550円(週3日まで)/ 6,550円(週4日目以降)
基本療養費 III 精神科訪問看護の場合 5,550円(週3日まで)/ 6,550円(週4日目以降)※別途規定あり

※2026年4月改定後の金額。正確な金額は告示をご確認ください。

週4日目以降の算定が可能になる「特別管理加算」や「医療依存度の高い利用者」の要件については、個別に確認が必要です。週3日を超える訪問の場合は、必ず算定要件を満たしているかチェックしてください。


3. 保険種別ごとの提出先と書式の違い

支払基金と国保連の違い

同じ医療保険の訪問看護でも、提出先によって微妙な書式の差があります。

社会保険診療報酬支払基金への請求(協会けんぽ・組合健保等)

  • 「訪問看護療養費明細書(様式第一)」を使用
  • 電子レセプトの場合はSS-MIXまたはオルカ等のシステムで出力
  • 提出締切:翌月10日(オンラインは日付厳守)

国民健康保険団体連合会への請求(国保・後期高齢)

  • 「訪問看護療養費明細書(様式第二)」を使用
  • 電子レセプトは「UK」ファイル形式
  • 提出締切:翌月10日(各都道府県国保連の規定による)

公費負担の場合の記載

生活保護や障害者自立支援などの公費が絡む場合、明細書に公費負担者番号・公費受給者番号を追記する必要があります。

生活保護の場合:

  • 公費負担者番号:12桁(都道府県コード2桁+「12」+市区町村コード4桁+検証コード2桁)
  • 公費受給者番号:7桁

これを記入しないと返戻の原因になります。また、公費の適用によって利用者負担額が変わるため、一部負担金の計算にも注意が必要です。


4. 記載項目の詳細解説(記入例付き)

4-1 被保険者情報の記載

(記入例)

被保険者証記号・番号:〇〇−〇〇〇〇〇〇
保険者番号:06130019(協会けんぽ 東京支部の場合)
氏名:山田 花子(やまだ はなこ)
生年月日:昭和40年7月15日(S40.7.15)
性別:女

よくある間違い

  • 保険証の記号・番号は「被保険者証記号」と「被保険者証番号」の両方が必要です。「番号」だけでは返戻になります。
  • 保険者番号は8桁です。桁数が合わない場合はシステムエラーが出ます。
  • 生年月日の元号コード(M=明治、T=大正、S=昭和、H=平成、R=令和)を間違えないよう注意してください。

4-2 訪問看護指示書の記載

指示書交付医療機関名:〇〇クリニック
担当医師名:田中 一郎
指示期間:令和7年12月1日〜令和8年1月31日(2ヶ月)

重要ポイント:指示期間は原則最長6か月です(特別訪問看護指示書を除く)。指示期間の終了日を1日でも超えて訪問した場合、その分は全額返戻になります。

4-3 基本療養費の記載

【週3日以内の場合】
基本療養費 I(日):5,550円 × ○日 = ○円

【週4日以降の場合】
基本療養費 I(週4日以降):6,550円 × ○日 = ○円

月をまたぐ場合は週のカウントをリセットします。「週」の起算日は月曜日です。週4日目以降の加算レートを適用するには、その月の第何週目かを正確に把握する必要があります。

4-4 訪問時間の記載

1回の訪問にかかった時間(ステーション出発〜帰着の総時間ではなく、利用者宅での訪問時間)を記録します。

訪問時間 区分
30分未満 短時間訪問(基本療養費 I の減算対象になる場合あり)
30分以上〜90分未満 通常訪問
90分以上 長時間訪問看護加算の対象

90分以上の訪問では「長時間訪問看護加算」を加算できます(月1回まで)。加算漏れが多い項目のひとつです。

4-5 看護職員の職種記載

訪問した職種によって算定できる加算が異なります。職種コードの記載ミスは返戻の原因になります。

職種 コード(例)
看護師 1
准看護師 2
保健師 3
理学療法士 4
作業療法士 5
言語聴覚士 6
助産師 7

注意:理学療法士等が訪問する場合、「訪問看護基本療養費」ではなく「訪問看護基本療養費(理学療法士等訪問)」として記載します。算定要件や報酬単価が異なります。


5. よくある記載ミスTOP10

実際の返戻事例を分析すると、以下の10パターンが繰り返し発生しています。

ミス1位:指示書の有効期限切れ(返戻率への影響:大)

訪問看護指示書の有効期間を把握せず、期限切れのまま訪問してしまうケースです。

典型的なシナリオ

  • 6か月の指示期間が3月31日で終了
  • 4月の訪問後に期限切れに気づく
  • 4月分が全額返戻

対策:指示書の期限を台帳で管理し、期限の1か月前にアラートを出す仕組みを作る。訪問看護指示書の管理方法については「訪問看護の指示書 有効期限と返戻を防ぐ管理方法」で詳しく解説しています。

ミス2位:保険証番号の誤記入・記号番号の転記ミス(返戻率への影響:大)

手書きや目視での転記では、特に英数字混在の保険証番号でミスが多発します。

典型的なシナリオ

  • 被保険者証記号「AB」を「AB」と記載(全角・半角の違い)
  • 数字「1」と英字「I」、「0」と「O」を混同

対策:電子レセプトシステムで保険証番号を管理し、手動転記をゼロにしてください。初回登録時に保険証のコピーと照合確認を行ってください。

ミス3位:主保険と公費の優先順位誤り(返戻率への影響:大)

複数の保険・公費が適用される利用者の場合、適用順序を間違えると全額返戻になります。

典型的なシナリオ

  • 生活保護+後期高齢者医療の利用者
  • 後期高齢者医療を先に適用すべきところ、生活保護を先に記載してしまう

対策:公費の優先順位は複雑なため、利用者登録時にケアマネ・保険者に確認してください。

ミス4位:加算の二重計上・算定漏れ(返戻率への影響:中〜大)

加算は多岐にわたるため、二重計上や逆に取り忘れが発生しやすいです。

二重計上しやすい加算

  • 複数名訪問加算(同一時間帯に2名が訪問した場合のみ算定。別時間帯訪問では不可)
  • 緊急時訪問看護加算と24時間対応体制加算(似た名前だが別の加算)

取り忘れやすい加算

  • 長時間訪問看護加算(90分以上の訪問で算定可。記録に時間を明記していないと忘れがち)
  • 特別管理加算(算定要件を満たしているのに届出を忘れているケース)
  • ターミナルケア加算(死亡前2週間以内の訪問があった場合)

加算の詳細については「訪問看護の加算一覧 2026年版」をご参照ください。

ミス5位:週のカウントの誤り(基本療養費の高低差)

月をまたぐときの週カウントを間違えると、基本療養費の算定額(週3日以内 vs 週4日以降)が変わります。

典型的なシナリオ

  • 3月31日(月)〜4月4日(金)の週
  • 4月1日から週の起算と勘違いし、4月1〜5日を「第1週」としてカウント
  • 本来「週4日目以降」の4月の訪問を「週3日以内」で請求してしまう

対策:週は月曜起算です。月をまたぐ週は、前月の訪問日数と合算してカウントしてください。

ミス6位:主治医の医療機関コード誤記(返戻率への影響:中)

医療機関コード(10桁)を誤記すると審査システムでエラーが発生します。複数の医師・医療機関からの指示書がある場合は特に注意が必要です。

対策:医療機関コードは事前に支払基金・国保連のマスターで確認し、マスター管理してください。

ミス7位:特別訪問看護指示書の期間記載ミス(返戻率への影響:中)

特別訪問看護指示書(特別指示書)は月14日以内の適用です。適用期間を超えた分は返戻になります。

対策:特別指示書の発行日・終了日を台帳で管理してください。月14日を超える訪問が必要な場合は、前月分との合算を確認してください。

ミス8位:精神科訪問看護の誤算定(返戻率への影響:大)

精神疾患を有する利用者への訪問で、「精神科訪問看護基本療養費」ではなく「訪問看護基本療養費」で請求してしまうケースや、その逆のケースがあります。

判断基準:精神科を標榜する医師が交付した「精神科訪問看護指示書」がある場合→精神科訪問看護基本療養費

精神科訪問看護の算定については「精神科訪問看護の算定」で詳しく解説しています。

ミス9位:住所・電話番号の更新漏れ(返戻率への影響:低〜中)

保険証の住所変更、保険者の変更が利用者から報告されないまま、古い情報で請求するケースです。

対策:月に1回、保険証の提示を確認するルールを作る(月の最初の訪問時に確認するのが一般的)。

ミス10位:電子レセプトのファイルフォーマットエラー(返戻率への影響:中)

国保連インタフェース仕様書に準拠していないファイルはシステムエラーとして返戻されます。

よくあるフォーマットエラー

  • 文字コードが UTF-8(Shift-JIS が正しい)
  • レコード長が規定外
  • 必須項目の空白

対策:請求ソフトの出力前に「ファイルチェック」機能を使う。支払基金・国保連の「請求ファイルチェックシステム」でもローカルチェック可能。


6. 月次点検チェックリスト(60項目)

毎月の請求前に以下のチェックリストを使って確認してください。

【A】基本情報チェック(患者情報)

  • 被保険者証記号・番号は今月の保険証と一致しているか
  • 保険者番号は8桁で正しいか
  • 患者氏名の漢字は正しいか(特に旧字体・異体字)
  • 生年月日の元号コードは正しいか(S/H/R の混同に注意)
  • 性別は正しいか
  • 保険証の有効期限は今月も有効か
  • 公費が適用される利用者の公費番号は最新か
  • 複数公費がある利用者の優先順位は正しいか
  • 高齢受給者証の負担割合は今月も正しいか
  • 限度額認定証(高額療養費)の適用があれば記載しているか

【B】指示書チェック

  • 訪問看護指示書の有効期間内の訪問か
  • 指示書の交付医療機関名・医師名は正しいか
  • 医療機関コードは正しいか(10桁)
  • 特別訪問看護指示書(特別指示書)の使用日数は月14日以内か
  • 精神科訪問看護の場合、精神科指示書があるか
  • 指示書の原本(または写し)をファイルに綴じているか
  • 来月以降も有効な指示書が手元にあるか(来月分の訪問開始前に更新依頼しているか)

【C】基本療養費チェック

  • 週のカウント(月曜起算)は正しいか
  • 週3日以内と週4日以降の区分けは正しいか
  • 訪問した職種(看護師・准看護師・PT/OT/ST等)は正しく記載しているか
  • 理学療法士等による訪問は別区分で算定しているか
  • 1日に複数回訪問した場合の算定は正しいか(原則1日1回)
  • 訪問時間は記録と一致しているか

【D】加算チェック

  • 24時間対応体制加算の体制届出はあるか
  • 緊急時訪問看護加算の体制届出はあるか
  • 長時間訪問看護加算:90分以上の訪問があった場合に算定しているか(月1回)
  • 特別管理加算:算定要件を満たしているか(I/IIの区別)
  • 複数名訪問加算:同一時間帯の2名訪問のみ算定しているか
  • ターミナルケア加算:死亡前2週間以内に訪問していれば算定しているか
  • 乳幼児加算:対象年齢(6歳未満)か
  • 難病等複数回訪問加算:算定要件を満たしているか
  • 退院時共同指導加算:退院時に医療機関と共同指導していれば算定しているか
  • 訪問看護情報提供療養費:算定できる場合(学校等への提供、地方公共団体への提供)はしているか
  • 24時間連絡体制加算:届出の有無と算定条件を確認
  • 看護・介護職員連携強化加算:算定要件の確認

【E】電子レセプト技術チェック

  • ファイルの文字コードはShift-JISか
  • レコード長は仕様書の規定内か
  • 必須項目に空白・nullがないか
  • 請求ファイルチェックシステムでエラーゼロか(支払基金・国保連の提供するツール)
  • 前月の請求データと患者マスタが一致しているか
  • 訂正・取消がある場合、正しく反映されているか

【F】金額・集計チェック

  • 基本療養費の合計額は計算どおりか
  • 加算の合計額は計算どおりか
  • 請求額合計=基本療養費+加算合計になっているか
  • 一部負担金(利用者負担額)は正しいか(負担割合×請求額)
  • 高額療養費の適用がある場合、上限額を超えていないか
  • 前月との請求額に大きな変動がある利用者はなぜか説明できるか(訪問回数の変化等)

【G】提出前最終チェック

  • 提出期限(翌月10日)に間に合うか
  • 電子証明書の有効期限は切れていないか
  • オンライン請求システムへのログインは正常か
  • 今月の新規利用者・退所利用者は正しく反映されているか
  • 担当者が変わった利用者の引継ぎは完了しているか
  • 前月の返戻分の再請求は今月分に含めているか(または別途処理しているか)
  • 査定があった場合の原因を確認し、今月の請求に反映したか

7. 2026年改定で変わった記載ルール

2026年4月施行の令和8年度診療報酬改定では、訪問看護に関して以下の変更がありました。

7-1 基本療養費の見直し

令和8年度改定では、訪問看護基本療養費の金額が改定されています。正確な金額は厚生労働省の告示をご確認ください。

参考: 令和8年度診療報酬改定に関する情報(厚生労働省)

特に在宅への早期移行促進の観点から、退院後早期(退院後3か月以内)の算定要件が一部変更されています。

7-2 加算の新設・廃止

2026年改定での主な変更点は以下のとおりです。

新設・拡充された加算

  • ベースアップ評価料の算定対象・要件の見直し(詳細は「ベースアップ評価料の届出」参照)
  • 2026年診療報酬改定の訪問看護への影響は「2026年診療報酬改定まとめ」で詳しく解説

廃止・縮小された加算

  • 改定で廃止・整理された加算については、請求システムのアップデート後に旧コードが使えなくなるため注意が必要です。

7-3 特定疾患の対象疾病リスト変更

特定疾患の対象疾病(医療保険での週4日以上の訪問を可能にする疾患)のリストが改定で変更される場合があります。所属する事業所が使用している請求システムが最新の疾患リストに対応しているか確認が必要です。

7-4 オンライン資格確認の完全義務化

2024年12月に義務化されたオンライン資格確認は、2026年度も継続して義務です。マイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)を提示した利用者の場合、正確な保険情報が自動取得できますが、手動入力した情報との照合は引き続き必要です。


8. 加算の記載方法と注意点

加算コードと記載の基本

加算は「加算コード」と「算定回数・単位」をセットで記載します。システムで自動生成される場合でも、出力前にコードと回数が正しいことを確認してください。

特別管理加算の記載

特別管理加算 I(月1,000円)と II(月500円)では、対象となる状態・処置が異なります。

特別管理加算 I の主な対象

  • 在宅悪性腫瘍患者指導管理
  • 在宅気管切開患者指導管理
  • 気管カニューレを使用している状態
  • 留置カテーテルを使用している状態

特別管理加算 II の主な対象

  • 在宅自己腹膜灌流指導管理
  • 在宅血液透析指導管理
  • 褥瘡の処置(DESIGN-R®でd2以上)
  • 点滴注射を週3日以上行う必要があるもの

加算の記載では、どの状態・処置に基づいて算定しているかを訪問看護記録(SOAPやバイタルデータ)で明記しておく必要があります。審査で根拠が問われた場合に記録が証拠になります。

複数名訪問加算の記載

2名以上で同一時間帯に訪問した場合に算定できます。記載では主となる訪問者と副となる訪問者の職種・氏名を明記することが必要です。

副となる訪問者の職種 加算額
看護師・准看護師 週1日目:+450円 / 週2日以降:+400円
看護補助者(ヘルパー等) 週1日目:+380円 / 週2日以降:+350円

※2026年改定後の金額。正確な単価は告示をご確認ください。


9. 特定疾患・精神科の記載の特殊ルール

特定疾患(難病)の利用者

特定疾患(指定難病)の利用者は、医療保険で週4日以上の訪問が可能になります。そのため、通常の利用者と請求ルールが異なります。

記載時の注意点

  • 「特定疾患」の対象疾病コードを正しく記入
  • 厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)に該当する旨を記載
  • 介護保険優先の原則が解除され、医療保険で請求できることを明確化

特定疾患利用者に対して医療保険と介護保険を誤って使い分けた場合は全額返戻になります。保険の振り分けについては「訪問看護の介護保険と医療保険 振り分け判断フローチャート」を参照してください。

精神科訪問看護の記載

精神科訪問看護では「精神科訪問看護基本療養費」を算定します。通常の基本療養費とは別コードになります。

精神科特有の記載項目

  • 精神科訪問看護指示書(精神科を標榜する医師が交付)の医療機関コード・医師名
  • GAF尺度(機能の全体的評定)の記録との整合性

精神科訪問看護の詳細な算定方法は「精神科訪問看護の算定」で解説しています。


10. 電子レセプトと書面レセプトの違い

電子レセプトが原則

2024年10月以降、医療保険の訪問看護レセプトは電子レセプトによるオンライン請求が原則義務です。書面での提出は正当な理由がある場合のみ認められます。

電子レセプト提出の手順

  1. 訪問看護記録・算定情報を請求システムに入力
  2. レセプトデータ(UKファイル)を生成
  3. 請求ファイルチェックシステムでエラーチェック
  4. オンライン請求システムにログイン
  5. ファイルをアップロード・送信
  6. 受付番号・受付結果を確認・保存

ファイルチェックシステムの活用

支払基金・国保連はそれぞれオフラインで使えるファイルチェックソフトを提供しています。提出前に必ずこのツールを通過させ、エラーゼロを確認してから本提出します。

電子証明書の管理

オンライン請求には電子証明書が必要です。

  • 有効期限は通常3年間
  • 更新手続きは期限切れの3か月前から開始可能
  • 期限切れのまま提出しようとするとシステムエラーになる

電子証明書の管理台帳を作成し、毎年期限を確認するルールを設けることをお勧めします。


11. 返戻・査定になったときの対処法

返戻通知の確認

返戻通知は、請求月の翌月5〜6日ごろ、オンライン請求システムのポータルにファイルが届きます。ダウンロード後に消えてしまう場合があるため、受領後すぐに保存・印刷してください。

返戻通知には以下の情報が含まれています。

  • 返戻の対象明細
  • 返戻理由コード・理由説明
  • 対応期限(翌月10日が再請求の期限)

返戻理由ごとの対処法

返戻理由 主な原因 対処法
資格無効 保険証の有効期限切れ・保険者変更 保険者に資格確認→現在の保険証で再請求
期間外 指示書の有効期間外の訪問 医師に指示書の再交付依頼→遡及処理が可能か確認
算定不可 届出のない加算の算定 届出の有無を確認→届出がなければ返戻を受け入れ
記号番号不一致 転記ミス 保険証原本と照合して修正→再請求

返戻対応の完全なマニュアルについては「訪問看護レセプト返戻 原因TOP10と再請求マニュアル」をご参照ください。

再請求の期限と手順

再請求の期限:返戻通知月の翌月10日

この期限を超えると、審査は翌月以降にずれ込みます。2年の請求時効(介護保険の場合は同じく2年)を超えると、正当な報酬でも請求できなくなります。


12. 記載ミスを減らすシステム活用

手動入力をゼロにする

レセプトミスの大半は「手動転記」の段階で発生します。訪問記録→請求データへの転記をシステムで自動化することで、ミスを大幅に削減できます。

訪問記録をデジタルで管理し、請求システムと連携させることが大切です。


看護レポの場合

看護レポは、LINEで入力した訪問記録(バイタル・SOAP)をそのまま請求データと連携できる設計です。国保連インタフェース仕様書に準拠したCSVフォーマットで出力するため、手動転記ゼロで済みます。記録した内容がそのまま請求に反映されるため、「記録と請求の不一致」という返戻原因を根本からなくせます。

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チェックリストの定着化

ツールを導入しても、確認プロセスが定着しなければ意味がありません。以下のような運用を推奨します。

月次請求フロー(推奨)

毎月1日〜5日:当月分の訪問記録の最終確認・補足入力
毎月5日〜8日:レセプトデータの生成とチェック
              → セクション6のチェックリストを使用
毎月8日〜9日:ファイルチェックシステムでのエラー確認
毎月10日:提出(余裕を持って前日までに完了推奨)

毎月同じフローで動くことで、確認漏れのリスクを大幅に下げられます。

担当者が変わっても品質を維持する

事務担当者の入れ替わりは、請求業務のリスクになります。属人化を防ぐためにはドキュメント化が欠かせません。

  • 月次チェックリストをPDF化して共有フォルダに保存
  • 複雑な事例(公費複数・特定疾患等)は事例集として残す
  • 新担当者への引継ぎマニュアルを整備する

13. よくある質問(FAQ)

Q: 訪問看護療養費明細書は何年間保存する必要がありますか?

A: 法律上の規定では保険医療機関の診療録が5年ですが、指定訪問看護事業者の記録については5年間の保存が義務付けられています(指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準 第28条)。また、請求の根拠となる訪問看護記録も同様に5年保存が必要です。

Q: 月の途中で保険証が変わった利用者はどう請求しますか?

A: 保険が変わった日を境に、前後の保険でそれぞれ別の明細書を作成します。変更日の確認が遅れると、全額返戻になる可能性があります。月初に保険証確認を行うルールを徹底してください。

Q: 指示書の有効期間が切れていることに気づかずに訪問してしまいました。どうすればいいですか?

A: まず主治医に連絡し、遡及して指示書を発行してもらえるか確認します。医師が遡及発行に応じてくれた場合でも、返戻を受け入れて医療機関に費用を請求するかどうかは個別判断になります。対応方法については保険者または都道府県の指導担当に相談することをお勧めします。

Q: 電子レセプトを提出したのに「受付エラー」になりました。どう対処すればいいですか?

A: まず支払基金・国保連のオンラインポータルでエラー内容を確認します。エラーコードに対応した修正を行い、期限(翌月10日)までに再提出します。エラーの原因がわからない場合は、支払基金・国保連のヘルプデスクに問い合わせてください。

Q: 療養費明細書のオンライン請求と介護保険のオンライン請求は別々のシステムですか?

A: はい、別々です。医療保険は「社会保険診療報酬支払基金のオンライン請求システム」または「国保連の電子請求受付システム」、介護保険は「介護電子請求受付システム(国保連)」になります。それぞれ電子証明書・ログイン情報が異なります。詳しくは「訪問看護のオンライン請求 完全ガイド」をご参照ください。

Q: 後期高齢者医療の利用者は医療保険と介護保険、どちらで請求しますか?

A: 後期高齢者(75歳以上)は原則として介護保険が優先ですが、特定疾患(別表第7)の利用者や医師が医療保険での訪問看護が必要と判断した場合は医療保険で請求できます。保険の振り分けについては「訪問看護の介護保険と医療保険 振り分け判断フローチャート」で詳しく解説しています。


14. まとめ:記載精度を高めるためのロードマップ

医療保険レセプトの記載ミスをゼロにするためのロードマップをまとめます。

STEP 1:基本知識の整備(今月中)

  • 本記事の「よくある記載ミスTOP10」を全スタッフで共有
  • 「月次点検チェックリスト(60項目)」を請求担当者の標準ツールとして導入
  • 現在使用している請求ソフトが2026年改定に対応しているか確認

STEP 2:管理体制の整備(翌月から)

  • 指示書の有効期限管理台帳を作成(または請求システムで管理)
  • 利用者ごとの保険証コピーと更新アラートの仕組みを作成
  • 月次請求フロー(STEP別スケジュール)を文書化

STEP 3:システム連携による自動化(3か月以内)

  • 訪問記録→請求データの手動転記をゼロにする
  • 加算算定漏れを防ぐアラート機能の活用
  • 提出前の自動ファイルチェック機能を定着させる

記載ミスを減らすことは、直接的な収益の安定化につながります。毎月の返戻件数と再請求にかかる工数を計測し、改善のPDCAを回し続けることがポイントです。


補足:訪問看護療養費明細書の疾患別記載パターン

実際の業務で役立てられるよう、主要な疾患・状態ごとの記載パターンをまとめます。

心疾患(慢性心不全)の記載パターン

慢性心不全の利用者で、週3回の訪問看護を行っている場合の記載例です。

【基本情報部】
疾病名:慢性心不全(I50.0)
訪問回数:3回(月曜・水曜・金曜)
訪問時間:各30〜90分

【算定内容】
訪問看護基本療養費 I:5,550円 × 3回 = 16,650円(週3日以内)

【加算】
24時間対応体制加算(体制届出あり):6,400円/月

注意点:心不全の急性増悪(急な浮腫増悪・息切れ増強等)で緊急訪問が発生した場合は、「緊急時訪問看護加算」または「24時間対応体制加算」のどちらを算定するか、体制届出の内容と合わせて確認が必要です。

末期がん(ターミナル期)の記載パターン

別表第7「末期の悪性腫瘍」に該当するため、医療保険・週4日以上の訪問が可能になります。

【基本情報部】
疾病名:肺悪性腫瘍(C34)・末期
別表第7該当:「末期の悪性腫瘍」
訪問回数:7回(週5日)

【算定内容】
訪問看護基本療養費 I(週3日まで):5,550円 × 3回
訪問看護基本療養費 I(週4日以降):6,550円 × 4回
合計:16,650 + 26,200 = 42,850円

【加算】
ターミナルケア加算(死亡月・死亡前2週間以内に訪問あり):25,000円

ターミナルケア加算の記載要件:加算を算定した訪問日・訪問時間・利用者の状態(死亡前の状態)を訪問記録(SOAP)に詳細に記録しておく必要があります。

精神疾患(統合失調症)の記載パターン

精神科訪問看護指示書に基づく訪問看護の場合、「精神科訪問看護基本療養費」を算定します。

【基本情報部】
疾病名:統合失調症(F20)
指示書種別:精神科訪問看護指示書
訪問回数:2回(火曜・木曜)

【算定内容】
精神科訪問看護基本療養費 I(週3日まで):5,550円 × 2回 = 11,100円

【加算】
精神科緊急時訪問看護加算(体制届出あり):2,650円/月

注意点:精神科訪問看護基本療養費は「通常の訪問看護基本療養費」とは別の算定項目です。同一の訪問で両方を算定することはできません。

人工呼吸器使用(別表第7)の記載パターン

【基本情報部】
疾病名:筋萎縮性側索硬化症(ALS)(G12.2)
状態:人工呼吸器を使用している状態
別表第7該当:「筋萎縮性側索硬化症」および「人工呼吸器を使用している状態」

【算定内容】
訪問看護基本療養費 I(週4日以降を含む)
特別管理加算 I:10,000円/月(気管カニューレ使用)
長時間訪問看護加算(週1回):5,200円

特別訪問看護指示書期間の記載パターン

急性増悪により週5日の訪問が必要になった介護保険利用者で、特別指示書が交付された場合:

【基本情報部】
保険種別:医療保険(特別指示書期間)
特別指示書有効期間:令和8年4月1日〜令和8年4月14日(14日間)

【算定内容】
4月1日〜14日(14日間):医療保険
4月15日以降:介護保険(通常に戻す)

レセプトは医療保険分(1〜14日)と介護保険分(15日以降)で別々に作成

補足:介護保険の給付費明細書との記載の違い

医療保険の訪問看護療養費明細書と介護保険の給付費明細書は、似ているようで記載ルールが異なります。両者を扱う事業者のために、主な違いをまとめます。

単位・金額の表記

項目 医療保険(訪問看護療養費) 介護保険(給付費明細書)
金額表記 円(金額直接) 単位数(単位×地域加算率×10円)
基本報酬 訪問看護基本療養費(I/II/III) 訪問看護費(20分未満・30〜60分・60〜90分等)
提出先 支払基金 or 国保連 国保連のみ

週のカウント方法

医療保険では「月曜起算の週」でカウントするのに対し、介護保険では週の考え方はなく「ひと月の訪問回数と時間」で算定します。

これが「医療保険と介護保険を混同した誤り」につながりやすい原因のひとつです。保険の振り分けについては「訪問看護の介護保険と医療保険 振り分け判断フローチャート」で詳しく解説しています。


補足:請求業務の年間スケジュールと繁忙期対策

月次スケジュール

【前月25〜28日】
・当月分(先行)の訪問記録の確認・補足
・来月指示書期限確認と更新依頼

【翌月1〜5日】
・当月分の訪問記録の最終確認
・レセプトデータの仮作成・内部確認

【翌月6〜8日】
・チェックリスト(60項目)の実施
・ファイルチェックシステムでのエラー確認
・前月返戻分の再請求データ作成

【翌月9日(できれば)】
・最終確認・責任者の承認

【翌月10日(提出期限)】
・オンライン請求システムで提出
・受付確認・受付番号の保存

繁忙期(年度末・年始)の対策

年度末(3月・4月)は以下の業務が集中します。

3月(年度末)

  • 指示書の一斉更新
  • 2025年度から2026年度への請求ルール変更の確認
  • 診療報酬・介護報酬改定(4月施行)への対応

4月(新年度)

  • 改定後の請求ルールでの初回請求(ミスが多発する時期)
  • 新規利用者の増加に伴う保険確認作業
  • 利用者の保険変更(4月に更新される保険証が多い)

この時期に備えるために、2〜3月から計画書・指示書・請求データの確認を前倒しで行うことをお勧めします。


補足:訪問看護請求と医療費控除・確定申告

訪問看護の費用は利用者の医療費控除の対象になります。利用者から「領収書をもらいたい」「医療費控除に使えますか?」と聞かれることがありますので、基本的な知識を持っておきましょう。

医療費控除の対象になる訪問看護

対象になる訪問看護:医師が治療上必要と認め、訪問看護指示書に基づいて行われる訪問看護は、医療費控除の対象になります。

対象外のもの:介護保険の訪問看護は原則として介護サービス費の医療費控除が適用されます(特別の手続きが必要な場合があります)。

領収書の発行

訪問看護ステーションは、利用者から一部負担金(自己負担分)を受け取った場合に領収書の発行義務があります(健康保険法・介護保険法)。

領収書には以下の記載が必要です:

  • 発行日
  • 利用者氏名
  • 金額(一部負担金の内訳含む)
  • 訪問看護ステーション名・印

補足:レセプト業務の属人化を防ぐ引継ぎ体制

レセプト業務が特定の担当者に集中していると、その人が不在になったときに業務が止まります。属人化を防ぐための体制づくりも管理者の重要な業務です。

業務マニュアルの作成

以下の内容を文書化して共有フォルダに保存しておきましょう。

  1. 月次スケジュール:いつ・何をするかの手順書
  2. システム操作手順:請求ソフトの操作マニュアル(スクリーンショット付き)
  3. 利用者マスタ管理:保険証番号・公費番号の管理方法
  4. 返戻対応手順:返戻通知の確認方法〜再請求の手順
  5. 緊急連絡先リスト:支払基金・国保連のヘルプデスク番号

複数人体制の整備

最低2人以上がレセプト業務を理解している状態を保つことが大切です。

  • 主担当と副担当を設定し、副担当も月次業務を経験させる
  • 担当者変更の際は必ず「実際に請求業務を一緒にやる」引継ぎ期間を設ける

補足:請求業務に役立つ公的リソース一覧

厚生労働省・関係機関の公式情報源

診療報酬・訪問看護療養費関連

  • 厚生労働省 訪問看護療養費関連通知
  • 社会保険診療報酬支払基金
  • 国民健康保険中央会

介護保険請求関連

  • WAM NET 介護サービス関係 Q&A(厚生労働省)
  • 国保中央会 介護電子請求受付システム

法令・通知のデータベース

  • 法令データ提供システム(e-Gov)
  • 厚生労働省 訪問看護関連通知一覧

訪問看護ステーション向けの業界団体

  • 一般社団法人 全国訪問看護事業協会
  • 公益財団法人 日本訪問看護財団

これらの団体では、請求業務に関する研修・相談窓口を提供しています。制度改定のタイミングで開催される研修は特に有益です。


まとめ:記載精度を高めるためのロードマップ

医療保険レセプトの記載ミスをゼロにするためのロードマップをまとめます。

STEP 1:基本知識の整備(今月中)

  • 本記事の「よくある記載ミスTOP10」を全スタッフで共有
  • 「月次点検チェックリスト(60項目)」を請求担当者の標準ツールとして導入
  • 現在使用している請求ソフトが2026年改定に対応しているか確認

STEP 2:管理体制の整備(翌月から)

  • 指示書の有効期限管理台帳を作成(または請求システムで管理)
  • 利用者ごとの保険証コピーと更新アラートの仕組みを作成
  • 月次請求フロー(STEP別スケジュール)を文書化

STEP 3:システム連携による自動化(3か月以内)

  • 訪問記録→請求データの手動転記をゼロにする
  • 加算算定漏れを防ぐアラート機能の活用
  • 提出前の自動ファイルチェック機能を定着させる

STEP 4:引継ぎ体制の強化(継続的に)

  • 業務マニュアルの作成・更新
  • 複数担当者への技術継承
  • 年次での請求業務研修受講

記載ミスを減らすことは、直接的な収益の安定化につながります。毎月の返戻件数と再請求にかかる工数を計測し、改善のPDCAを回し続けることが収益改善の鍵となります。


補足:訪問看護療養費明細書 記載例(完全版)

制度のルールを理解するだけでなく、実際にシステム入力する際のイメージを持っておくことが記載ミスを防ぐ近道です。以下では週3回訪問・心不全の一般的な利用者を例に、基本情報から加算・負担金まで一通りの入力内容をテキスト形式で示します。実際の記載イメージをより具体的に把握できるよう、記載例を詳細に示します。

一般的な利用者(週3回・心不全)の記載例

以下は電子レセプトの入力内容(システム画面に入力する情報)をテキスト化したものです。

=== 訪問看護療養費明細書 記載例 ===

■ 基本情報
請求年月:令和8年(2026年)5月分
提出機関:社会保険診療報酬支払基金 東京支部

■ 事業所情報
指定番号:1300XXXXXXXX(10桁)
事業所名:○○訪問看護ステーション
所在地:東京都〇〇区〇〇

■ 利用者情報
氏名:山田 花子(ヤマダ ハナコ)
生年月日:昭和40年7月15日(60歳)
性別:女性
被保険者証記号:XXXXXX
被保険者証番号:XXXXXXXX
保険者番号:01270001(全国健康保険協会 東京支部)

■ 主治医情報
医療機関コード:1310XXXXXXXX
医療機関名:○○クリニック
担当医師:田中 一郎
指示書有効期間:令和7年11月1日〜令和8年4月30日

■ サービス内容(5月分)
訪問日:5月2日(月)・5月6日(金)・5月9日(月)・5月13日(金)・5月16日(月)
       5月20日(金)・5月23日(月)・5月27日(金)・5月30日(月)
       合計9回(週3日以内:全回)

訪問看護師職種:看護師
訪問時間:各回 30〜90分

■ 算定内容
訪問看護基本療養費 I(週3日以内):5,550円 × 9回 = 49,950円

■ 加算
緊急時訪問看護加算(体制届出あり):2,650円
※5月14日:夜間に緊急訪問あり(20:30〜21:20)

■ 一部負担金
一部負担金:(49,950 + 2,650) × 30% = 15,780円(3割負担の場合)

■ 請求額
52,600円(保険負担分:36,820円 + 一部負担金:15,780円)

別表第7該当者(ALSの利用者)の記載例

=== 訪問看護療養費明細書 記載例(別表第7)===

■ 利用者情報
氏名:鈴木 太郎(スズキ タロウ)
生年月日:昭和35年3月10日(66歳)
性別:男性
保険者:国民健康保険 〇〇市
後期高齢者医療ではないが、要介護5の認定あり

■ 別表第7該当
疾患:筋萎縮性側索硬化症(ALS)
→ 介護保険の認定があっても医療保険優先

■ サービス内容
訪問日:毎日(月〜日)合計31回
別表第7該当のため週4日以上の訪問が可能

■ 算定内容
訪問看護基本療養費 I(週3日まで):5,550円 × (週3日×週数)
訪問看護基本療養費 I(週4日以降):6,550円 × (残回数)

■ 加算
特別管理加算 I:10,000円(気管カニューレを使用している状態)
長時間訪問看護加算:5,200円(月1回・90分以上の訪問あり)
複数名訪問看護加算:(週2回・看護師2名で訪問の場合)

補足:訪問看護療養費の算定体系の全体像

訪問看護の医療保険は「訪問看護療養費」という制度名で、以下の体系になっています。

算定できる費用の種類

訪問看護療養費として算定できるのは、大きく分けて以下の3種類です。

1. 訪問看護基本療養費(毎回の訪問の基本報酬)

  • 訪問看護基本療養費 I:一般の利用者
  • 訪問看護基本療養費 II:特定疾患等の利用者(別表第7相当)
  • 訪問看護基本療養費 III:精神科訪問看護

2. 訪問看護管理療養費(月に1回の管理報酬)

  • 月の最初の訪問時に算定
  • 24時間対応体制加算等は管理療養費と一体

3. 訪問看護情報提供療養費(情報提供の報酬)

  • 市区町村への情報提供
  • 学校等への情報提供
  • 保険医療機関への入院時の情報提供

4. 訪問看護ターミナルケア療養費(看取り対応の報酬)

  • 死亡日前2週間以内の訪問で算定
  • 在宅看取りへの対応

この体系の全体像を理解することで、「今月の算定に漏れはないか」を体系的にチェックできます。

算定の前提となる「届出」の管理

加算を算定するためには、事前に都道府県への体制届出が必要なものが多くあります。

届出が必要な加算等 届出先
24時間対応体制加算 都道府県(指定担当窓口)
緊急時訪問看護加算 都道府県(指定担当窓口)
特別管理加算 届出不要(算定要件を満たせば算定可)
精神科訪問看護基本療養費 届出不要(指示書に基づき算定)
看護・介護職員連携強化加算 届出不要(連携実績で算定)

届出の有効期限(年に1回の更新が必要なものもある)を管理することも、管理者の重要な業務です。


補足:2026年改定による訪問看護療養費の主要変更点まとめ

令和8年度(2026年)改定の主要変更点を整理します。詳細は厚生労働省告示を直接ご確認ください。

基本療養費の改定

2026年改定では、訪問看護基本療養費の金額が若干見直されています。具体的な金額については厚生労働省の告示で確認してください。

令和8年度診療報酬改定情報(厚生労働省)

重点化された項目

2026年改定では特に以下の方向性での改定が行われています。

  1. 在宅・訪問看護のさらなる推進:訪問看護を充実させる方向での改定
  2. 医療・介護の連携強化:退院後早期の訪問看護を手厚くする施策
  3. 質の評価強化:訪問看護の質指標(アウトカム評価)の導入検討

請求システムの更新確認

改定のたびに請求システムのアップデートが必要です。改定が施行される前に必ず確認することをお勧めします。

  • 使用している請求ソフト会社の改定対応スケジュールを事前確認
  • 新しい算定コードが旧コードに置き換わっている場合は手動修正が必要な場合もある
  • テスト算定(実際の提出前にシステムで試算)を行うことで、改定対応の漏れを事前に発見できる

補足:返戻事例から学ぶ「ステーション運営のリスク管理」

返戻は単なるミスではなく、ステーション全体のリスク管理の観点から捉えることが大切です。

返戻率の目標設定

業界標準として、訪問看護の返戻率は月間請求件数の1〜2%以下を目指すことが一般的です。返戻率が3%を超える場合は、体制の見直しが必要なレベルと考えてください。

返戻率の計算方法

返戻率(%)= 当月返戻件数 ÷ 当月請求件数 × 100

毎月この数値を記録・管理し、高い月があれば原因分析を行う習慣を作ることが欠かせません。

返戻の種類別分析

返戻が発生した場合は、種類別に記録しておくことで、繰り返しのパターンを特定できます。

返戻管理台帳(推奨項目)

日付 | 利用者名 | 返戻理由コード | 返戻理由(詳細) | 金額 | 対処 | 再発防止策

この台帳を3か月ごとに集計・分析することで、優先的に対処すべき問題が明確になります。


補足:スタッフ向け請求業務の基礎研修テキスト

訪問看護師が知っておくべき請求の基礎知識をまとめます。看護師研修の教材としても活用してください。

看護師が理解すべき請求の基礎

看護師が日ごろの業務で意識するべきポイントは以下です。

1. 訪問時間の正確な記録

訪問看護の報酬は訪問時間によって変わります(90分超で長時間加算対象)。訪問開始時間・終了時間を必ず記録してください。

2. 特別管理加算対象の処置・状態の記録

気管吸引・褥瘡処置・留置カテーテル管理・点滴等は「特別管理加算」の根拠になります。これらの処置を行ったら、必ず記録に残してください。記録がなければ加算の根拠を証明できません。

3. 緊急訪問の記録

夜間・休日の緊急訪問は「緊急時訪問看護加算」の算定対象です。電話連絡の時刻・訪問の開始・終了時刻を正確に記録してください。

4. 複数名訪問の記録

2名以上で訪問した場合は、同行者の氏名・職種・訪問時間を記録してください。「複数名訪問加算」の算定に必要な情報です。

5. ターミナル期の記録

利用者が亡くなる2週間前からの訪問記録は、「ターミナルケア加算」の根拠になります。この時期の記録は特に丁寧に、症状・状態・提供したケアの内容を詳しく記載してください。


補足:訪問看護の記録効率化と請求精度の両立

記録の精度を上げながら時間を短縮することは、訪問看護師の長年の課題です。

「記録に時間がかかりすぎる」という悩みを抱えるステーションは多いですが、記録の省力化と質の維持を両立させるためのポイントをご紹介します。

記録の優先度整理

すべての情報を同じ詳しさで記録する必要はありません。

必ず詳細に記録すべき内容:

  • 状態の変化(バイタルの異常・症状の変化)
  • 実施した処置の内容・結果
  • 医師への報告内容
  • 利用者・家族への指導内容
  • 緊急時対応の経緯

省略・定型化できる内容:

  • 変化のない日常的なバイタル(基準値内の場合は「平常」等で可)
  • 毎回同じ処置(「前回と同様」でも可。ただし内容は明示)

LINEを使った記録入力の効率化

スマートフォンのLINEを使った記録入力は、移動時間・空き時間に記録を入力できるため、訪問後の事務作業を大幅に削減できます。

訪問看護の記録効率化については「訪問看護の記録効率化」で詳しく解説しています。


まとめ

訪問看護の医療保険レセプトは、記載ミスが直接的な返戻・収益減につながる重要業務です。本記事で解説した点検チェックリスト(60項目)を毎月の請求前に活用し、記録から請求までのデータ連携をシステムで自動化することで、返戻率を大幅に下げることができます。

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本記事の情報は2026年4月時点のものです。診療報酬改定・制度変更により内容が変わる場合があります。実際の請求にあたっては、厚生労働省の告示・通知および都道府県・保険者の指導に従ってください。


補足:訪問看護療養費に関する詳細な算定解説

訪問看護管理療養費の算定ルール

訪問看護管理療養費は、月の最初の訪問日に算定します。基本療養費とは別に算定される「管理費用」です。

訪問看護管理療養費の種別

種別 月初回の訪問 2回目以降
訪問看護管理療養費 I 12,830円 3,000円(機能強化型以外)
訪問看護管理療養費 II 機能強化型の届出あり 機能強化型の届出あり
訪問看護管理療養費 III 小規模ステーション向け 小規模ステーション向け

※2026年改定後の金額。正確な金額は厚生労働省告示を確認してください。

24時間対応体制加算:6,400円(月1回。体制届出あり・24時間対応を行った月に算定)

特定管理療養費:緊急訪問、または夜間・深夜訪問を行った場合に算定できる加算。管理療養費とは別に算定します。

訪問看護情報提供療養費の記載

訪問看護情報提供療養費は、特定の機関に対して利用者に関する情報を提供した場合に算定できます。

種別 対象 算定額(目安)
訪問看護情報提供療養費 I 市区町村への情報提供(公衆衛生目的) 1,500円(年1回)
訪問看護情報提供療養費 II 保険医療機関への入院時の情報提供 1,500円
訪問看護情報提供療養費 III 学校等への情報提供(小中学生等) 1,500円(年1回)

この加算は取り忘れが多い項目のひとつです。特に学校への情報提供(不登校の児童等)や市区町村への情報提供がある場合は、算定漏れがないか確認してください。


補足:訪問看護における保険外サービスと混合診療の理解

混合診療の禁止

保険医療機関において「保険診療と自費診療を組み合わせること(混合診療)」は原則禁止されています。訪問看護においても同様です。

具体的な注意点:

  • 医療保険の訪問看護の時間に「保険対象外のサービス(家事援助・買い物等)」を組み合わせることは原則できない
  • 「保険の訪問看護の後に、同じスタッフが自費のサービスを提供する」ことは、時間が完全に分離されていれば可能な場合もあるが、解釈が難しい

不明な場合は都道府県の指導担当に確認することをお勧めします。

保険外サービスを提供する場合

近年、訪問看護ステーションが保険外(自費)のサービスも提供する「混合型ステーション」が増えています。保険外サービスを提供する際は、保険サービスとの区分を明確にし、利用者への説明と同意を文書で取ることが必要です。


補足:訪問看護療養費の審査と不服申立て

審査の流れ

提出したレセプトは、支払基金・国保連による審査を経て支払いが決定します。

審査の種類

  1. 形式審査(コンピュータ審査):記載項目の不備・規格エラーを自動検出。これに引っかかると「返戻」になります。

  2. 内容審査(医師・専門家による審査):算定要件を満たしているかを審査。問題がある場合は「査定」(一部または全部の不支給)になります。

査定への不服申立て

審査結果に不服がある場合は「再審査請求」を行えます。

再審査請求の手続き:

  1. 査定通知を受け取る
  2. 不服の根拠(訪問記録・指示書・算定根拠)を準備する
  3. 所定の様式で再審査請求書を作成
  4. 支払基金・国保連に提出(期限:3か月以内が目安)

再審査での勝率を高めるポイント:

  • 訪問記録(SOAP)が詳細で、算定根拠が明確に読み取れること
  • 指示書の内容が算定した処置・状態と一致していること
  • 加算算定の要件(体制届出・実施記録)が完備されていること

日々の記録の質が、万が一の査定争議でも決め手になります。


補足:2025〜2026年に変わった請求業務の最新トピック

マイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)への対応

2024年12月に健康保険証が廃止され、マイナ保険証または「資格確認書」が主な確認手段となりました。

訪問看護での対応:

  • マイナ保険証を持つ利用者から保険資格を確認する方法:オンライン資格確認システムを使用
  • 「資格確認書」を持つ利用者:資格確認書から情報を転記(従来の保険証と同様の取扱い)
  • マイナ保険証もない・資格確認書もない場合:直近の保険証の写しで対応しつつ、保険者に確認

レセプトへの影響:マイナ保険証を使った資格確認でも、レセプトの記載内容(被保険者番号等)は変わりません。ただし、オンライン資格確認による「最新の保険情報」が取得できるため、保険証の転記ミスは減少します。

電子処方箋との連携(将来的な展望)

電子処方箋の普及に伴い、将来的には訪問看護ステーションも電子処方箋の確認・活用が求められる可能性があります。現時点では直接的な影響はありませんが、ICT化の流れに乗り遅れないよう情報収集を続けることが大切です。


補足:事業規模別の請求業務体制の考え方

小規模ステーション(常勤換算2.5〜5人程度)

利用者数が少なく、請求件数も限られる小規模ステーションでは、事務担当者を専任で配置することが難しい場合があります。

推奨する体制:

  • 管理者(看護師)が請求業務を兼務する
  • 請求ソフトを積極的に活用して手作業を減らす
  • 月次の請求前にチェックリストを使った確認を徹底する
  • 不明な点は都道府県の担当窓口・訪問看護ステーション連絡協議会に相談する

中規模ステーション(常勤換算5〜10人程度)

利用者数が増えてくると、管理者が請求業務を兼務することが難しくなります。

推奨する体制:

  • 事務担当者を1〜2名配置する
  • 管理者は請求内容の最終確認(チェック)に特化する
  • 月次の返戻件数・理由を集計・分析する仕組みを作る

大規模ステーション(常勤換算10人以上)

複数の事業所を運営している場合や、利用者数が多い場合は、請求業務の標準化・システム化がポイントです。

推奨する体制:

  • 法人全体で統一の請求システム・手順書を整備する
  • 事業所をまたいだ請求精度の比較・分析を行う
  • 年に1回は外部の専門家(診療報酬アドバイザー等)によるレビューを受ける

補足:看護レポを活用した請求業務改善の事例紹介

事例:転記ミスが月5件→0件になったステーション

訪問記録を紙で書き、別のシステムに転記していた10名規模のステーション。毎月平均5件の転記ミスによる返戻が発生していました。

看護レポを導入し、LINEで入力したバイタル・SOAPが直接請求データに反映される仕組みにしたところ、転記ミスが0件になりました。

事例:加算算定漏れを防いで月収が15万円増加したステーション

特別管理加算の算定要件を満たしているのに申請していない利用者が複数いることに気づいたステーション。看護レポの導入をきっかけに全利用者の加算算定状況を見直した結果、月間15万円以上の算定漏れを発見・改善できました。

事例:電子証明書の期限切れを未然に防いだステーション

電子証明書の有効期限が切れる2週間前にシステムからアラートが届いた(請求システム内のアラート機能)。従来は担当者が気づかずに当日になって慌てていたが、余裕を持って更新手続きを完了できました。



補足:訪問看護の収益構造と請求最適化の考え方

訪問看護ステーションの収益源

訪問看護ステーションの収入は、大きく3つのカテゴリで考えられます。

1. 基本療養費・管理療養費(メインの収益)

訪問回数×基本療養費が最大の収益源です。訪問回数を適切に確保しながら、必要な利用者への訪問を充実させることが基本です。

2. 加算収入(取り逃がしのない算定が重要)

加算は算定漏れが発生しやすい部分です。特に以下の加算は取り逃しが多い:

  • 特別管理加算(対象状態なのに算定していないケース)
  • 長時間訪問看護加算(90分超の訪問を確認できていないケース)
  • ターミナルケア加算(看取り後に忘れてしまうケース)

3. 情報提供療養費(取り逃しが特に多い)

学校等への情報提供、市区町村への情報提供など、実施したのに算定していないケースが多い加算です。

収益改善のための3ステップ

Step 1:現在の算定漏れを洗い出す

全利用者の算定状況を確認し、算定要件を満たしているのに算定していない加算を特定します。

Step 2:算定体制の整備

加算算定の要件・手順を文書化し、担当者が替わっても算定漏れが発生しない仕組みを作ります。

Step 3:定期的な確認ルーティン

月次の請求前に「加算算定チェックシート」を使った確認を習慣化します。


補足:訪問看護業界全体の課題と今後の展望

訪問看護ニーズの拡大

2025年問題(団塊世代の75歳到達)を経て、在宅医療・訪問看護の需要は今後も拡大し続けます。

  • 2030年の訪問看護必要量:現在の約1.5倍と推計(厚労省)
  • 特に都市部での訪問看護師不足が深刻化
  • 医療的ケア児・精神疾患・難病への対応ニーズが増加

訪問看護師の不足問題

需要拡大に対し、訪問看護師の供給が追いついていない状況です。

  • 訪問看護師の確保:病院からの転職促進、新卒採用の拡大
  • 業務効率化:ICT・AIの活用による1人あたりの担当可能件数の増加
  • 働きやすい環境の整備:オンコール負担軽減、書類業務の削減

訪問看護のオンコール負担軽減については「訪問看護のオンコール負担軽減策」で詳しく解説しています。

2026年改定以降の方向性

政府は「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)になる2025年以降を見据え、在宅・訪問看護をさらに推進する方向で制度設計を進めています。

訪問看護の請求業務においても、ICT化・標準化が進む中で、適切なシステムを早めに導入し、業務の効率化と記録の質向上を同時に実現することが、生き残りのカギになります。



補足:訪問看護療養費明細書の記載ミスが多い特殊なケース

月をまたぐ特別指示書の記載

特別訪問看護指示書が月をまたぐ場合(例:3月28日〜4月10日の指示書)は、3月分と4月分でそれぞれ別の明細書を作成します。

3月分の明細書には「特別指示書期間:3月28日〜3月31日(4日間)」、4月分には「特別指示書期間:4月1日〜4月10日(10日間)」と記載します。合計14日を超えないことを確認してください。

介護保険から医療保険に切り替わった月の記載

同月内に保険が変わる場合は、変更前後の保険でそれぞれ別の明細書を作成します。

例:4月1日〜4月14日(介護保険) → 4月15日(特別指示書交付)〜4月28日(医療保険)

この場合、介護給付費明細書(4月1〜14日分)と訪問看護療養費明細書(4月15〜28日分)の2枚を作成します。

複数の公費が適用される利用者

生活保護+指定難病など、複数の公費が適用される利用者の明細書では、公費の優先順位を正しく設定することが欠かせません。

公費の優先順位が間違っていると、利用者負担の計算が変わり、返戻の原因になります。判断に迷う場合は保険者に確認してください。



補足:オンライン請求システムの操作手順(基本)

支払基金・国保連へのオンライン請求の基本手順

事前準備:

  1. オンライン請求システムへの登録(初回のみ)
  2. 電子証明書の取得(HPKI認証)
  3. 請求ソフトのインストール・設定

月次の請求手順:

  1. 請求ソフトでUKファイル(電子レセプト)を生成
  2. ローカルでのファイルチェック(支払基金・国保連が提供するチェックソフト使用)
  3. エラーゼロを確認してからオンライン請求システムにアクセス
  4. ファイルをアップロード・送信
  5. 受付番号・受付結果を確認(翌日以降に結果が反映)
  6. 受付番号・送信日時を社内記録に保存

よくあるトラブルと対処法:

  • 電子証明書の期限切れ:3か月前から更新手続きを開始
  • ファイルのアップロードエラー:ファイルサイズ・フォーマットを確認
  • 受付拒否:エラーコードを確認し、支払基金・国保連のヘルプデスクに連絡


訪問看護療養費明細書の正確な記載は、毎月の安定した収益確保の基盤です。本記事で解説したチェックリストと記載パターンを業務に取り入れ、返戻ゼロを目指してください。記録から請求まで一体管理できる看護レポを活用することで、さらなる業務効率化が実現できます。


参考・出典

  • 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」
  • 社会保険診療報酬支払基金「訪問看護療養費の審査について」
  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について(訪問看護関連)」
  • 日本看護協会「診療報酬・介護報酬改定に関する資料」
  • 一般社団法人全国訪問看護事業協会「訪問看護レセプト請求の手引き」

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