訪問看護 医療保険レセプトの書き方と点検チェックリスト
訪問看護の医療保険レセプト(訪問看護療養費明細書)の正しい記載方法を、記載例と点検チェックリストで解説します。よくある記載ミスTOP10とその防止策、2026年改定対応、国保連フォーマットへの転記ミス削減策まで網羅した管理者・事務担当者向けガイドです。
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訪問看護の医療保険レセプト(訪問看護療養費明細書)の正しい記載方法を、記載例と点検チェックリストで解説します。よくある記載ミスTOP10とその防止策、2026年改定対応、国保連フォーマットへの転記ミス削減策まで網羅した管理者・事務担当者向けガイドです。
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訪問看護の加算は数が多く、改定のたびに区分が増え、算定要件が変わります。介護保険と医療保険で体系が異なるため、混在しているステーションでは特に整理が難しいです。
令和6年(2024年)は診療報酬・介護報酬・障害福祉のトリプル改定が重なった年です。訪問看護管理療養費の区分再編、緊急時訪問看護加算の新区分設置、専門管理加算の新設、ターミナルケア加算の引き上げなど、複数の変更が重なりました。
この記事では、2024年改定後の訪問看護の加算を介護保険と医療保険に分けて一覧形式で整理します。算定要件の詳細・注意点・よくある誤りも含めて網羅しています。
令和6年(2024年)の改定は、診療報酬(医療保険)が2024年6月1日施行、介護報酬(介護保険)も同じく2024年6月1日施行というスケジュールでした。以下の変更点が訪問看護ステーションに直結します。
| 変更項目 | 変更内容 | 方向性 |
|---|---|---|
| 訪問看護管理療養費 | 1日3,000円と2,500円の2区分に再編(旧:月初日のみ区分、2日目以降一律) | 重症度の高い利用者受け入れを評価 |
| 24時間対応体制加算 | 6,800円(看護業務負担軽減の取り組みあり)と6,520円の2区分に | 労働環境改善への取り組みを評価 |
| 特別管理加算 | 別表第8に「在宅麻薬等注射」「在宅腫瘍化学療法注射」「在宅強心剤持続投与」を追加 | 対象者の拡大 |
| 退院支援指導加算 | 長時間要件を「1回90分超」から「複数回合計90分超」も可能に | 柔軟化 |
| 変更項目 | 変更内容 | 方向性 |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 訪問看護ステーションで1〜3単位/回引き上げ | 小幅プラス |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)新設 | 600単位/月の新区分(看護師等が緊急時に24時間対応する高度体制) | 差別化 |
| 初回加算(Ⅰ)新設 | 退院当日に初回訪問した場合の350単位/月(旧:一律300単位) | 退院直後支援の評価 |
| 専門管理加算(新設) | 250単位/月(専門研修修了看護師または特定行為研修修了看護師による計画管理) | 専門性の評価 |
| 遠隔死亡診断補助加算(新設) | 150単位/回(情報通信機器活用) | ICT活用の推進 |
| ターミナルケア加算引き上げ | 2,000単位 → 2,500単位/月 | 医療保険との整合性 |
| 業務継続計画未策定減算(新設) | BCP未策定ステーションへの減算 | 感染症・災害対応の義務化 |
参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38790.html
2024年6月1日施行の改定後の基本報酬単位数です。
| 訪問時間 | 改定前 | 改定後 | 差分 |
|---|---|---|---|
| 20分未満 | 313単位 | 314単位 | +1 |
| 30分未満 | 470単位 | 471単位 | +1 |
| 30分以上1時間未満 | 821単位 | 823単位 | +2 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 1,125単位 | 1,128単位 | +3 |
| 理学療法士等(20分) | 293単位 | 294単位 | +1 |
※理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問は1日3回を上限とし、20分単位での算定
| 加算名 | 単位数 | 算定要件(概要) | 2024年改定 |
|---|---|---|---|
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ) | 600単位/月 | 24時間対応体制。深夜帯の対応含む高度体制 | 2024年新設 |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅱ) | 574単位/月 | 24時間対応体制(旧来の緊急時訪問看護加算に相当) | 区分変更 |
| 特別管理加算(Ⅰ) | 500単位/月 | 別表第8に規定する特別な管理が必要な利用者 | 対象拡大 |
| 特別管理加算(Ⅱ) | 250単位/月 | 特別な管理が必要(Ⅰより軽度) | 対象拡大 |
| 看護体制強化加算(Ⅰ) | 550単位/月 | 緊急時訪問50%以上・特別管理20%以上・ターミナル5名以上等 | 継続 |
| 看護体制強化加算(Ⅱ) | 200単位/月 | 緊急時訪問50%以上・特別管理20%以上・ターミナル1名以上 | 継続 |
| 専門管理加算 | 250単位/月 | 専門研修修了看護師または特定行為研修修了看護師による計画管理 | 2024年新設 |
| 加算名 | 単位数 | 算定要件(概要) | 2024年改定 |
|---|---|---|---|
| 初回加算(Ⅰ) | 350単位/月 | 退院当日に訪問看護事業所の看護師が初回訪問を実施 | 2024年新設 |
| 初回加算(Ⅱ) | 300単位/月 | 新規に訪問看護計画書を作成した利用者への初回訪問(退院当日以外) | 継続(区分整理) |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 入院・入所中の利用者の退院にあたり、医療機関等と共同指導 | 継続 |
| 長時間訪問看護加算 | 300単位/回 | 特別管理が必要な利用者等への90分超の訪問看護(週1回限度) | 継続 |
| 複数名訪問看護加算(Ⅰ)イ | 254単位/回(30分未満)、402単位/回(30分以上) | 看護師等2名同行 | 継続 |
| 複数名訪問看護加算(Ⅱ)イ | 201単位/回(30分未満)、317単位/回(30分以上) | 看護師等+看護補助者 | 継続 |
| 複数名訪問看護加算(Ⅱ)ロ | 157単位/回 | 看護補助者との同行(週4日以上) | 継続 |
| 夜間・早朝訪問看護加算 | 所定単位数の25% | 早朝(6〜8時)または夜間(18〜22時)の訪問 | 継続 |
| 深夜訪問看護加算 | 所定単位数の50% | 深夜(22〜翌6時)の訪問 | 継続 |
| 緊急訪問看護加算 | 265単位/回 | 緊急時訪問看護加算を算定している利用者への緊急訪問 | 継続 |
| ターミナルケア加算 | 2,500単位/月 | 在宅での看取り支援(死亡日前14日以内に2日以上訪問等) | 2,000→2,500単位に引き上げ |
| 遠隔死亡診断補助加算 | 150単位/回 | 情報通信機器を用いた死亡診断の補助(特定研修修了看護師が実施) | 2024年新設 |
| 減算名 | 内容 | 2024年改定 |
|---|---|---|
| 業務継続計画未策定減算 | BCP(感染症・災害時の業務継続計画)を策定していないステーションへの減算 | 2024年新設 |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 虐待防止体制を構築していないステーションへの減算 | 2022年より継続 |
| 訪問看護体制減算 | 管理者・常勤専従看護師等の基準を満たさない場合 | 継続 |
医療保険の訪問看護は「訪問看護療養費」として、介護保険の単位制とは異なる円建ての報酬体系です。
| 区分 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 訪問看護基本療養費(Ⅰ)イ | 保健師・助産師・看護師(週3日まで・同一建物以外) | 5,550円/回 |
| 訪問看護基本療養費(Ⅰ)ロ | 准看護師(週3日まで・同一建物以外) | 5,050円/回 |
| 訪問看護基本療養費(Ⅱ)イ | 保健師・助産師・看護師(週4日目以降・同一建物以外) | 6,550円/回 |
| 訪問看護基本療養費(Ⅱ)ロ | 准看護師(週4日目以降・同一建物以外) | 6,050円/回 |
| 訪問看護基本療養費(Ⅲ)イ | 保健師・看護師(同一建物居住者・2名以上) | 2,780円/回 |
| 訪問看護基本療養費(Ⅲ)ロ | 准看護師(同一建物居住者・2名以上) | 2,530円/回 |
| 区分 | 月初日 | 2日目以降 | 届出要件 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護管理療養費1 | 12,830円 | 3,000円/日 | 重症度の高い利用者の受け入れ実績等 |
| 訪問看護管理療養費2 | 9,800円 | 2,500円/日 | 届出不要(標準) |
訪問看護管理療養費1の届出には2つの条件を両方満たす必要があります。条件Aは「同一建物居住者が全利用者の7割未満」、条件Bは「別表第7・第8該当者への訪問実績があること、または精神科訪問看護基本療養費を算定する利用者のうちGAF尺度40以下の者が月5人以上」のいずれかを満たすことです。
参考:GemMed「新たな訪問看護管理療養費1・2、2024年9月17日までに届け出が受理されれば6月1日に遡って算定可能に」https://gemmed.ghc-j.com/?p=62403
| 加算名 | 金額 | 算定要件(概要) | 2024年改定 |
|---|---|---|---|
| 長時間訪問看護加算 | 5,200円/回 | 週1回に限り、継続して90分を超える訪問看護を実施した場合 | 継続 |
| 複数名訪問看護加算(Ⅰ)イ | 4,500円/回 | 看護師等2名(週3回まで) | 継続 |
| 複数名訪問看護加算(Ⅰ)ロ | 3,800円/回 | 看護補助者と同行(週1回まで) | 継続 |
| 複数名訪問看護加算(Ⅱ)イ | 3,020円/回 | 看護師等2名(週4回以上) | 継続 |
| 複数名訪問看護加算(Ⅱ)ロ | 2,520円/回 | 看護補助者と同行(週2〜3回) | 継続 |
| 夜間・早朝訪問看護加算 | 2,100円/回 | 早朝(6〜8時)または夜間(18〜22時)の訪問 | 継続 |
| 深夜訪問看護加算 | 4,200円/回 | 深夜(22〜翌6時)の訪問 | 継続 |
| 特別地域訪問看護加算 | 所定額の50% | 離島・山村等の特別地域への訪問 | 継続 |
| 緊急訪問看護加算 | 2,650円/回 | 緊急訪問(医師の指示なしに利用者等の求めで緊急訪問した場合) | 継続 |
| 加算名 | 金額 | 算定要件(概要) | 2024年改定 |
|---|---|---|---|
| 24時間対応体制加算(看護業務負担軽減あり) | 6,800円/月 | 24時間対応体制の確保、かつ看護業務負担軽減の取り組みを実施 | 区分新設 |
| 24時間対応体制加算(標準) | 6,520円/月 | 24時間対応体制の確保 | 区分変更 |
| 特別管理加算(Ⅰ) | 5,000円/月 | 別表第8に該当する状態(重度) | 対象拡大 |
| 特別管理加算(Ⅱ) | 2,500円/月 | 別表第8に該当する状態(軽度) | 対象拡大 |
| 退院時共同指導加算 | 8,000円/回 | 退院前に医療機関・利用者・家族と共同指導(医師・看護師同席の場合は別加算あり) | 継続 |
| 退院支援指導加算 | 6,000円/回 | 退院日に90分を超える長時間指導を実施(複数回合計90分超も可) | 要件柔軟化 |
| 訪問看護情報提供療養費(Ⅰ) | 1,500円/月 | 市区町村や学校等に訪問看護に関する情報提供を行った場合 | 継続 |
| 訪問看護情報提供療養費(Ⅱ) | 1,500円/月 | 指定訪問看護を受けている利用者について、他の訪問看護ステーション等に情報提供 | 継続 |
| 訪問看護情報提供療養費(Ⅲ) | 2,500円/月 | 精神科退院患者への情報提供(都道府県等へ) | 継続 |
| ターミナルケア療養費1 | 25,000円/月 | 在宅での看取り支援(別表第7・第8該当者) | 継続 |
| ターミナルケア療養費2 | 10,000円/月 | ターミナルケア療養費1の対象外の利用者 | 継続 |
訪問看護では、まず「どちらの保険が適用されるか」を正確に判断します。間違えると全額返戻になります。
医療保険が優先されるケース: 要介護認定を受けていない利用者、別表第7(末期悪性腫瘍・難病等)該当者(要介護認定があっても医療保険)、別表第8該当で特別管理が必要な利用者の一部が含まれます。精神科訪問看護指示書が交付されている利用者(精神疾患が主病の場合)や、急性増悪等で特別訪問看護指示書が交付されている期間(月14日まで)も医療保険優先となります。
介護保険が優先されるケース: 要介護・要支援認定を受けている65歳以上の利用者(上記例外を除く)および要介護認定を受けている40〜64歳の特定疾病該当者が介護保険の対象です。
| 加算名 | 介護保険 | 医療保険 | 主な違い |
|---|---|---|---|
| 特別管理加算(Ⅰ) | 500単位/月 | 5,000円/月 | 対象疾患の定義が共通(別表第8)。単位数・金額が異なる |
| 特別管理加算(Ⅱ) | 250単位/月 | 2,500円/月 | 同上 |
| 緊急時訪問看護加算 | 574〜600単位/月 | 管理療養費に含む | 介護保険は月次加算として独立。医療保険は24時間対応体制加算として管理療養費に紐づく |
| ターミナルケア加算 | 2,500単位/月 | 療養費1:25,000円、療養費2:10,000円/月 | 算定要件はほぼ同じ。医療保険は「訪問がなくても月額算定可能」という違いあり |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 8,000円/回 | 医療保険の方が金額が高い。同時算定は不可 |
同じ利用者が介護保険と医療保険の両方の対象となるケースは日常的に発生します。要介護認定を受けている利用者に精神科訪問看護指示書が交付された場合や、急性増悪による特別訪問看護指示書が出た場合などが典型例です。保険の種別は利用者の状態・医師の指示・認定状況に基づいて判断されます。
ただし急性増悪時の特別訪問看護指示書の活用など、制度の範囲内で適切な算定機会は見逃さないようにします。
概要:利用者やその家族から緊急の求めがあった場合に、24時間対応できる体制をとっていることを評価する加算。月次算定(利用者1人につき月1回)。
2024年改定での変更:旧・緊急時訪問看護加算(574単位/月)は「緊急時訪問看護加算(Ⅱ)」として継続し、夜間帯を含むより高度な対応体制を要件とする「緊急時訪問看護加算(Ⅰ)」(600単位/月)が新設されました。
緊急時訪問看護加算(Ⅰ)の算定要件: 24時間連絡でき必要に応じて訪問できる体制の確保、担当看護師等が常時把握できる連絡体制の整備が基本要件です。加えて、深夜帯(22時〜翌6時)の緊急訪問体制の整備と、看護師等の確保・交代制等の体制確立という2点も含め、計4点をすべて満たすことが必要です。
算定上の注意点:緊急時訪問看護加算を算定しているステーションのみが「緊急訪問看護加算」(1回265単位)を算定できます。届出の受理状況の確認が必須で、(Ⅰ)と(Ⅱ)の同時算定はできません。
概要:特別な管理を必要とする状態の利用者に対して、訪問看護計画の作成や指導・管理を行うことへの評価。月次算定。
2024年改定での変更:対象となる「特別管理が必要な状態」(別表第8)に、在宅麻薬等注射指導管理・在宅腫瘍化学療法注射指導管理・在宅強心剤持続投与指導管理の3区分が追加されました。
特別管理加算(Ⅰ)の主な対象状態:
在宅悪性腫瘍患者指導管理・在宅自己腹膜灌流指導管理・在宅血液透析指導管理・在宅酸素療法指導管理(チアノーゼ型先天性心疾患または肺高血圧症)が含まれます。在宅中心静脈栄養法・在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅人工呼吸・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理(重篤な呼吸不全)、在宅気管切開患者指導管理も対象です。さらに気管カニューレ使用・留置カテーテル使用・在宅自己導尿指導管理・人工肛門または人工膀胱の設置・真皮を超える褥瘡なども含まれます。2024年改定では在宅麻薬等注射指導管理・在宅腫瘍化学療法注射指導管理・在宅強心剤持続投与指導管理が追加されました。
算定上の注意点:特別管理加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の同時算定は不可で、より上位の(Ⅰ)を優先します。複数の対象状態に該当していても1利用者につき1加算のみ算定できます。医師からの特別管理に関する指示が訪問看護指示書に明記されていることが前提です。
参考:カイポケ
概要:在宅での看取り支援を行い、利用者が在宅で死亡した場合に算定できる加算。
2024年改定での変更:2,000単位から2,500単位に引き上げ(医療保険との整合性を図るため)。
算定要件:①24時間連絡・訪問できる体制の整備、②死亡日または死亡日前14日以内に2日以上訪問してターミナルケアを実施すること、の2点が基本です。加えて③主治医と連携のうえ計画・体制を利用者・家族に説明し同意を得ること、④ターミナルケアの実施状況・身体状況の変化を記録すること、も必要です。
算定上の注意点:算定は死亡後に行い、死亡月の請求に含めます。「ターミナルケア」と「看取り」は別の概念であり、疾患末期の苦痛緩和とQOL維持が目的です。医師がターミナルの状態と診断し記録に反映されていることが重要で、支給限度額の管理外として限度額を超えていても算定できます。
実績要件を把握していないステーションが算定しているケースが多く、指摘を受けやすい加算の一つです。Ⅰ(550単位)とⅡ(200単位)で要件が異なります。
算定要件(Ⅰ:550単位/月):緊急時訪問看護加算算定利用者が全体の50%以上、特別管理加算算定利用者が全体の20%以上が必要です。加えて前12ヶ月間のターミナルケア加算算定が5名以上、従業者のうち看護職員が60%以上という計4要件をすべて満たす必要があります。
算定要件(Ⅱ:200単位/月):緊急時訪問看護加算算定利用者が全体の50%以上、特別管理加算算定利用者が全体の20%以上、前12ヶ月間のターミナルケア加算算定1名以上の3要件がすべて必要です。
よくある算定ミス:「先月まで要件を満たしていた」という理由で翌月も算定し続けるケース。看護体制強化加算の実績要件は毎月確認が必要で、要件を下回った月は算定できません。
参考:カイポケ訪問看護マガジン「訪問看護における看護体制強化加算とは?」
概要:専門性の高い看護師が、医療的に複雑な状態の利用者の訪問看護に関して計画的な管理を行うことを評価する新設加算(250単位/月)。
算定要件: 以下のいずれかに該当する看護師が、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行うことが要件です。(1)緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門/人工膀胱ケアに係る専門研修を修了した看護師、または(2)保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為研修を修了した看護師が対象です。
算定対象の利用者: 専門的なケアが必要と主治医が認めた利用者であり、悪性腫瘍の末期・創傷管理・人工肛門等の専門的管理が必要な方が対象です。
算定上の注意点:当該看護師が直接訪問している必要はありませんが、計画書作成・指示・管理の記録が必要です。同月に複数の利用者に算定可能ですが、1利用者につき月1回に限られます。
参考:GemMed「訪問看護について『専門性の高い看護師による計画的な管理』や『歯科医療機関との連携』を新加算で評価」https://gemmed.ghc-j.com/?p=58888
概要:入院・入所中の利用者が退院する際に、訪問看護ステーションの看護師等が医療機関の職員と共同指導を行った場合の加算。
介護保険:600単位/回、医療保険:8,000円/回(入院中の医療機関の医師・看護師等が参加する場合は医療保険で別加算あり)
算定要件(共通):入院・入所中の施設の職員と共同指導を行い、利用者および家族等に対して書面(またはその他の手段)で指導内容を提供することが必要です。
算定上の注意点:同一利用者について介護保険と医療保険の双方での同月算定はできません。退院時共同指導の実施記録(参加者・実施日時・指導内容)の保管が必要ですが、退院後に初回の訪問看護を行っていない場合でも算定可能です。
概要:退院日に90分を超える長時間の療養上の指導を実施した場合の加算(6,000円/回)。
2024年改定での変更:長時間要件が「1回90分超」から「1回90分超、または複数回の合計が90分超」に変更(柔軟化)。
算定上の注意点:退院日に訪問した場合のみ算定可能で、退院時共同指導加算と同日算定できます。指導内容・実施時間の記録を正確に残してください。
概要:同一日に複数の看護師等が同行訪問した場合の加算。
算定要件:暴力行為等の危険がある利用者への安全確保を目的とし、訪問看護計画書に複数名訪問の根拠が記載されていることが要件です。
単位数(介護保険):
| 区分 | 組み合わせ | 週1〜3日 | 週4日以上 |
|---|---|---|---|
| 複数名訪問看護加算(Ⅰ)イ | 看護師等 + 看護師等 | 254単位/回(30分未満) | 402単位/回(30分以上) |
| 複数名訪問看護加算(Ⅱ)イ | 看護師等 + 看護補助者 | 201単位/回(30分未満) | 317単位/回(30分以上) |
算定上の注意点:20分未満の訪問では算定できず、30分以上の訪問が対象です。同行する職種によって区分が異なり、訪問看護計画書への根拠記載と主治医の了承も必要です。
概要:特別管理が必要な利用者等への90分を超える訪問看護に対する加算。週1回に限り算定可能。
算定要件(介護保険):特別管理加算の算定対象または長時間の訪問看護が必要な乳幼児・小児に対し、1回の訪問が90分を超え、かつ週1回限りという3要件を満たすことが必要です。
算定上の注意点:90分ちょうどでは算定できず、91分以上から対象となります。訪問開始・終了時刻の正確な記録が必須で、週の起算日(月曜日)はケアプランの週と一致させてください。
概要:新規に訪問看護計画書を作成した利用者への初回訪問に対する加算。
2024年改定での変更:旧・初回加算(300単位)は「初回加算(Ⅱ)」として継続し、退院当日に当該ステーションの看護師が初回訪問を実施した場合を評価する「初回加算(Ⅰ)」(350単位)が新設されました。
初回加算(Ⅰ)350単位の算定要件: 病院・診療所から退院(退所)した日に訪問看護事業所の看護師が訪問看護を実施し、かつ新規に訪問看護計画書を作成した利用者であることが要件です。
初回加算(Ⅱ)300単位の算定要件: 退院当日以外の日に、新規に訪問看護計画書を作成した利用者への初回訪問であることが要件です。
算定上の注意点:同月に(Ⅰ)と(Ⅱ)の重複算定はできません。「初回訪問」とは当該ステーションとの新規契約における最初の訪問を指し、他ステーションからの引き継ぎは対象外です。
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訪問看護の加算の中には、単に要件を満たすだけでなく、地方厚生(支)局への届出が受理されてはじめて算定できるものがあります。届出なしで算定した場合は不正請求となるため、ステーション管理者が把握しておくべき重要事項です。
| 加算名 | 届出の必要性 | 届出のタイミング |
|---|---|---|
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ) | 必要 | 体制整備後に速やかに |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅱ) | 必要 | 体制整備後に速やかに |
| 看護体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 必要 | 要件充足確認後 |
| 専門管理加算 | 必要 | 対象看護師確保後 |
| 特別管理加算 | 届出不要(算定は要件充足のみ) | — |
| ターミナルケア加算 | 届出不要 | — |
| 初回加算 | 届出不要 | — |
| 加算・療養費名 | 届出の必要性 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 訪問看護管理療養費1 | 必要 | 同一建物7割未満+重症度対応実績 |
| 精神科訪問看護基本療養費 | 必要 | 算定要件研修修了者在籍 |
| 24時間対応体制加算 | 必要 | 24時間対応体制の整備 |
| 機能強化型訪問看護管理療養費 | 必要 | 看護師数・対応実績等の条件 |
地方厚生局への届出の手順は概ね以下のとおりです。
STEP1:届出様式の入手 地方厚生局のウェブサイトから「指定訪問看護に関する施設基準の届出書類」をダウンロードします。様式は改定のたびに更新される場合があるため、最新版を使用してください。
STEP2:必要書類の準備 加算の種類によって必要な添付書類が異なります。代表的なものとして、研修修了証の写し(精神科訪問看護・専門管理加算等)や看護師等の雇用契約書・資格証明書の写しが必要です。また、24時間対応体制の連絡体制を示す書類や、直近3〜6ヶ月の算定実績(看護体制強化加算等)の提出も必要です。
STEP3:届出書の提出 所管の地方厚生局(各都道府県に管轄事務所あり)に郵送または窓口提出します。電子申請を受け付けている局もあります。
STEP4:受理確認 届出書が受理されれば、翌月から(または翌々月から)算定が可能になります。受理通知書は保管しておきます。
一度届出を行った加算であっても、以下の場合は変更・廃止届が必要です。
届出要件を満たさなくなった場合(研修修了看護師の退職等)、体制内容に変更があった場合(24時間対応体制の変更等)、加算の算定を中止する場合が該当します。
要件を満たさなくなったにもかかわらず算定を続けた場合、過去に遡った返還請求の対象になります。要件充足状況は月ごとに確認し、変化があれば速やかに届出の変更・廃止を行います。
介護保険の訪問看護の請求は、毎月10日締め(翌月提出)で国民健康保険団体連合会(国保連)に電子請求します。
加算の記載方法(介護保険):
サービスコードに加算コードを追記することで、基本報酬に加算が上乗せされます。主な加算コードの例を示します。
| 加算名 | サービスコード(例) |
|---|---|
| 緊急時訪問看護加算(Ⅱ)訪問看護ステーション | 13 7002 |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)訪問看護ステーション | 13 7001(2024年新設) |
| 特別管理加算(Ⅰ) | 13 7010 |
| 特別管理加算(Ⅱ) | 13 7011 |
| ターミナルケア加算 | 13 7020 |
| 初回加算(Ⅱ) | 13 7003 |
| 初回加算(Ⅰ) | 13 7004(2024年新設) |
| 長時間訪問看護加算 | 13 7030 |
| 看護体制強化加算(Ⅰ) | 13 7040 |
| 看護体制強化加算(Ⅱ) | 13 7041 |
| 専門管理加算 | 13 7050(2024年新設) |
| 遠隔死亡診断補助加算 | 13 7060(2024年新設) |
※サービスコードは厚生労働省の公式コード表で確認すること。上記はあくまで参考例です。
医療保険の訪問看護療養費は、社会保険診療報酬支払基金(社保)と国民健康保険団体連合会(国保連)に請求します。社会保険加入者の場合は支払基金、後期高齢者医療・国民健康保険は国保連です。
令和6年(2024年)6月からはオンライン請求が原則化されました。紙レセプトでの提出には別途手続きが必要です。
参考:社会保険診療報酬支払基金「訪問看護レセプトのオンライン請求特設ページ」https://www.ssk.or.jp/oshirase/special_houkanr0601.html
医療保険レセプトでの加算記載:
医療保険のレセプト(訪問看護療養費明細書)では、算定した加算を所定の欄にチェック・記入します。精神科訪問看護の場合は以下の点に特に注意します。
GAF尺度の記載は特記事項欄の「10 GAF」を〇で囲み、評価値と評価日を記入します。訪問看護管理療養費の区分(1か2か)を明示し、夜間・深夜・早朝加算は訪問時刻とともに記載します。複数名訪問加算は同行者の職種・同行の理由を記録書に明記したうえで算定します。
**返戻(へんれい):請求した明細書に記載上の不備・疑義がある場合に、審査機関から返却されること。内容を修正して再提出できます。
**査定(さてい):審査の結果、算定要件を満たしていないと判断された加算・点数が削減・不支給になること。返戻と異なり、原則として再請求できません。
よくある返戻の原因には、指示書の有効期限切れ、保険種別の誤り、GAF尺度の記載漏れ(精神科)、必要な届出の未実施などがあります。
よくある査定の原因は、特別管理加算の対象でない利用者への算定、長時間訪問の訪問時間記録が不明瞭なケース、ターミナルケア加算の要件(死亡前14日以内に2日以上訪問)の未充足などです。
訪問看護ステーションの収益は「基本報酬 × 訪問件数 + 加算」で構成されます。基本報酬の引き上げ幅は毎改定で小さく(1〜3単位程度)、加算の積み重ねがステーション経営に直結します。
ステーションに実態があるのに、「知らなかった」「面倒だった」「届出が必要と知らなかった」という理由で算定していない加算は、意外と多くあります。
チェックポイント:
□ 特定行為研修修了看護師が在籍しているが、専門管理加算を算定していない
□ 24時間対応体制があるが、24時間対応体制加算の届出をしていない
□ 看護体制強化加算の要件(緊急時訪問50%以上等)を実は満たしているが届出していない
□ 別表第8に該当する状態の利用者がいるが、特別管理加算を算定していない
□ 複数名訪問を実施しているが、加算を算定していない
□ ターミナルケアを行ったが、加算算定の要件(14日前2日以上)を確認していなかった
□ 退院当日の初回訪問を実施したが、初回加算(Ⅰ)を算定していなかった
利用者20名を持つ標準的な訪問看護ステーション(介護保険主体)を仮定した場合の加算収入試算例:
| 加算名 | 算定対象(例) | 月次加算収入(試算) |
|---|---|---|
| 緊急時訪問看護加算(Ⅱ)574単位 | 20名全員 | 約120,000円 |
| 特別管理加算(Ⅰ)500単位 | 5名 | 約26,000円 |
| 特別管理加算(Ⅱ)250単位 | 5名 | 約13,000円 |
| ターミナルケア加算 2,500単位 | 月1名 | 約26,000円 |
| 初回加算(Ⅱ)300単位 | 月2名 | 約6,200円 |
| 長時間訪問看護加算 300単位 | 月5回 | 約15,500円 |
| 看護体制強化加算(Ⅱ)200単位 | 20名全員 | 約41,600円 |
| 合計 | 約248,300円/月 |
※1単位 ≒ 10.4円で試算。地域区分によって異なります。
看護体制強化加算(Ⅰ)に届け出た場合はさらに550単位/月×20名 = 約11万円/月の増収になります。
医療保険と介護保険の両方の利用者を受け入れるステーションでは、どちらの保険での算定が多いかによって収益構造が変わります。
医療保険の利用者(別表第7・第8該当者等)は医療ニーズが高く、1回あたりの報酬も高いですが、訪問頻度の制限や複雑な算定要件があります。介護保険の利用者は比較的シンプルな算定構造ですが、支給限度額の制約があります。
管理のポイントとして、保険種別ごとの利用者数・訪問件数・収益を月次で把握します。医療保険利用者への加算算定漏れは1回あたりの単価が高いため特に影響が大きく、訪問看護管理療養費1の要件充足状況も毎月確認します。
訪問看護の算定において、現場でよく見られる誤りのパターンと対処法を整理しました。
症状: 医療保険優先の利用者(別表第7該当・精神科指示書あり等)を介護保険で請求してしまいました。
結果: 全額返戻。
対策: 利用者台帳に保険種別・切り替え日・切り替え理由を管理。月次請求前に確認フローを設けてください。
症状: 留置カテーテルを使用している利用者に特別管理加算を算定していなかった(算定漏れ)。または、対象外の利用者に誤って算定した(過剰請求)。
対策: 新規契約時に別表第8の該当確認チェックリストを使用。医師の指示書の内容と照合します。
症状: 複数名訪問加算を算定しているが、訪問看護計画書に「複数名訪問が必要な理由」が記載されていません。
結果: 算定要件不備として返戻。
対策: 計画書テンプレートに「複数名訪問の必要性」欄を設けます。
症状: 長時間訪問看護加算を算定しましたが、記録書の訪問終了時刻が空欄でした。
結果: 訪問時間を証明できないとして査定。
対策: 記録書に「開始時刻・終了時刻」の両方を必須記載とするルールを徹底。
症状: 死亡日前14日以内の訪問が1日しかなく、算定要件(2日以上)を満たしていませんでした。
結果: 算定要件不備として返戻。
対策: 看取りに向かっている利用者への訪問スケジュール管理を強化。主治医と連携して訪問頻度を計画的に増やす。
症状: 緊急時対応体制は整えていますが、加算の届出を忘れていました。
結果: 届出がない状態では算定不可。過去に遡って算定することもできません。
対策: 加算の算定には届出が前提となるものが多いです。届出が必要な加算の一覧表を作成し、届出状況を定期確認します。
症状: 特定行為研修修了看護師が在籍しているにもかかわらず、専門管理加算を算定していません。
結果: 算定漏れ(収益機会の損失)。
対策: 2024年改定で新設された加算の内容をスタッフ全員で共有し、算定対象者を特定します。
加算の算定漏れを防ぐには、利用者台帳に以下の情報を常に最新状態で管理することが基本です。
| 管理項目 | 更新タイミング |
|---|---|
| 保険種別(介護・医療・自費) | 変更時 |
| 別表第7・第8の該当有無 | 入力時・状態変化時 |
| 訪問看護指示書の有効期限 | 更新時 |
| 算定中の加算一覧 | 月次確認 |
| 緊急時訪問看護加算の届出有無 | 届出・変更時 |
| GAF尺度(精神科利用者) | 月初確認 |
請求業務の直前に以下を確認する習慣をつけると、返戻リスクが大幅に減ります。
月次請求前チェックリスト(例):
□ 全利用者の訪問記録が揃っているか(訪問日・時間・担当者)
□ 指示書の有効期限は切れていないか(全利用者)
□ 保険種別に変更はないか(要介護認定の更新・新規認定)
□ 特別管理加算の対象者に変更はないか(新たな対象状態の発生・消失)
□ ターミナルケア加算の要件(死亡日前14日以内2日以上訪問)は満たされているか
□ 複数名訪問の根拠が計画書に記載されているか
□ 長時間訪問の訪問開始・終了時刻が記録に残っているか
□ GAF尺度(精神科)は月初回に評価・記録・レセプト記載されているか
□ 新設加算(専門管理・遠隔死亡診断補助等)の算定対象者はいないか
□ 訪問看護管理療養費1の届出要件(GAF40以下5人以上等)を現月も満たしているか
訪問看護ステーションが算定できる加算の多くは地方厚生局への届出が必要です。「届出済みの加算リスト」と「未届出だが要件を満たす加算リスト」を作成し、半期ごとに見直す。
届出が必要な主な加算(介護保険)として、緊急時訪問看護加算(Ⅰ)(Ⅱ)、看護体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)、専門管理加算があります。医療保険では訪問看護管理療養費1の届出が必要です。
訪問看護ステーションは定期的に都道府県等による集団指導・実地指導・監査の対象になります。加算の算定要件が満たされていることを書面で証明できる体制を整えることが、指導対策の基本です。
各加算の証拠書類:
| 加算名 | 保管すべき証拠書類 |
|---|---|
| 緊急時訪問看護加算 | 緊急訪問の記録(連絡を受けた時刻・対応内容)、24時間対応体制の連絡体制表 |
| 特別管理加算 | 主治医の指示書(対象状態が明記されていること)、利用者の状態確認記録 |
| 看護体制強化加算 | 算定した緊急時訪問・特別管理・ターミナルケアの月別実績一覧 |
| 専門管理加算 | 対象看護師の研修修了証・計画管理の記録 |
| ターミナルケア加算 | 死亡日・死亡日前14日の訪問記録、利用者・家族への説明と同意の記録 |
| 複数名訪問加算 | 複数名訪問の必要性が記載された訪問看護計画書、同行者の記録 |
| 長時間訪問看護加算 | 訪問開始・終了時刻が明記された訪問看護記録書Ⅱ |
| 初回加算(Ⅰ) | 退院日と初回訪問日が一致することの確認記録 |
実地指導では、任意のサンプル利用者の記録書・報告書・レセプトが一致しているかが確認されます。3点セットの整合性は常に保持しておきます。
加算を適切に算定するには、訪問看護記録書・報告書・計画書を整備し、常に最新の状態に保つ。
訪問看護計画書は、介護保険・医療保険のいずれにおいても「訪問看護を行う根拠書類」として最も重要な文書の一つです。加算を算定する際にも、計画書への記載が要件になるものがあります。
計画書に盛り込む必要がある主要項目:
| 項目 | 加算との関連 |
|---|---|
| 訪問看護の目標(長期・短期) | すべての加算の前提 |
| 病状・状態の観察ポイント | 特別管理加算・ターミナルケア加算 |
| 複数名訪問の必要性と理由 | 複数名訪問看護加算 |
| 長時間訪問の必要性 | 長時間訪問看護加算 |
| 緊急時の対応方針 | 緊急時訪問看護加算 |
| ターミナルケアの方針と本人・家族の意向 | ターミナルケア加算 |
| 専門管理が必要な根拠 | 専門管理加算 |
更新のタイミング:
訪問看護計画書は少なくとも月1回確認し、状態に変化があった場合は速やかに更新します。実地指導では「計画書の内容が実際の利用者の状態と乖離している」という指摘が頻出します。形式的な更新では不十分で、実態に即した内容を維持します。
訪問看護報告書は、毎月主治医に提出する月次の経過報告書です。単なる「事実の報告」ではなく、ステーションとしての「アセスメントと提案」を含む文書として書くと、主治医との連携が深まります。
介護保険の場合の報告書送付先: 主治医(かかりつけ医)+ ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)の両方に送付します。
医療保険の場合の報告書送付先: 指示書を発行した主治医に送付します。
報告書の主要記載事項(精神科・医療保険の場合):
訪問日・訪問時間・訪問者氏名、GAF尺度の評価値と評価日(月初評価)、当月の精神症状の経過を記載します。服薬状況・副作用の有無、受診状況、生活状況の変化、家族の状況も含めます。次月の看護計画・課題と訪問看護師からの提案・申し送りも明記します。
緊急時訪問看護加算(介護保険)および精神科緊急訪問看護加算(医療保険)を算定するためには、緊急訪問の記録を正確に残すことが必要です。
緊急訪問記録の記載例:
【緊急訪問記録 令和6年10月15日(火)】
連絡受信時刻:22:15
連絡者:利用者の妻(田中○○様)
連絡内容:「夫が『死にたい』と言い、部屋に閉じこもっている。
どうしたらいいかわからない」との電話。
夫(利用者本人)の声が電話越しに聞こえ、興奮状態と判断。
対応判断:主治医に連絡(22:20)。緊急訪問の指示あり。
訪問時刻:22:45〜23:30(45分間)
訪問者:〇〇看護師
訪問時の状況:
居室に閉じこもっていたが、看護師の声がけで15分後に開錠。
服薬確認:本日分の薬は服薬済み。残薬(睡眠薬)の確認 → 異常なし。
精神状態:「消えてしまいたい」の訴えあり。希死念慮の強度は「死ぬ方法は考えていない」。
妻への暴言・暴力はなし。
対応:傾聴。希死念慮の強度確認。服薬確認。妻への対応方法を伝える。
主治医へ訪問後に状況報告(23:35)。翌朝の外来受診を勧め、妻が付き添うことを確認。
翌日の対応:翌朝(10月16日)外来受診。医師から「入院は不要」との判断。
このような詳細な記録が、加算算定の根拠になります。
算定要件の証明は、すべて記録によって担保されます。ターミナルケアなら死亡日前14日の訪問記録、複数名訪問なら同行者の記録、長時間訪問なら時刻の記録——それぞれに正確な記録が必要です。
ところが現場では、「訪問してケアをして帰る」ことに手一杯で、記録の時間が後回しになりがちです。夜間の緊急訪問の後に記録書を書くのは、看護師にとって大きな負担です。
訪問直後に記録することで、細かい時刻(開始・終了)が正確に残り、状態変化の細かいニュアンスも記録できます。申し送り事項をリアルタイムで共有できる点も大きなメリットです。
「帰宅後に書く」「翌日まとめて書く」では、細部が失われます。特に長時間訪問加算の時刻や、GAF評価の根拠となる観察内容は、時間が経つと記憶が薄れます。
看護レポ は、訪問看護スタッフがLINEから訪問記録を入力し、その記録がそのまま請求データ(CSV)に連動する仕組みを持つツールです。
訪問看護の現場に特化した機能設計になっており、アプリのインストールが不要な点が特徴です。LINEを使える環境であればすぐに使い始められます。
実務での活用ポイント:
| 場面 | 看護レポでできること |
|---|---|
| 訪問直後の記録入力 | LINEから即時入力。移動中でも対応可能 |
| 月初のGAF評価記録 | 該当利用者の月初訪問にGAF評価のリマインドを設定 |
| 複数スタッフの申し送り | リアルタイム共有で「前回何があったか」を確実に伝達 |
| 月次請求 | 訪問記録から請求用CSVを自動出力 |
| 算定漏れ確認 | 訪問記録に基づいて加算の算定状況を確認 |
料金プラン:
| プラン | 月額料金 | 主な機能 |
|---|---|---|
| フリー | 0円 | 基本的な訪問記録・共有 |
| チーム | 980円/人/月 | 請求CSV出力・詳細管理機能 |
サイトURL:https://kango-repo.com
アプリ追加不要で、LINE環境があればすぐに使い始められます。訪問記録の入力から請求データ作成まで一元化したい場合に向いています。
記録ツールを活用する際に意識したいのは、加算算定の「証拠」として機能する記録の作り方です。
特別管理加算のための記録: 在宅酸素・気管カニューレ・留置カテーテル等の管理を行っている利用者には、毎回の訪問記録に「対象機器の状態確認」を含める。例:「経鼻胃管の固定・チューブの位置確認。刺入部の発赤なし。注入前後の確認実施」のように、特別管理の内容が読み取れる記録を書きます。
ターミナルケア加算のための記録: 利用者が看取りに向かっている時期は、訪問のたびに以下を記録します。バイタルサイン(血圧・脈拍・体温・呼吸数・SpO2)と意識レベルの変化は毎回欠かさず残します。食事・水分摂取量の変化、痛み・苦痛の状況とケアの内容、利用者本人の言葉(「家にいたい」「痛くない」等)、家族への支援内容も含めて記録します。
死亡日から逆算して「14日前から2日以上訪問していたか」の証明が必要になります。日付と時間が正確な記録を残す。
緊急訪問のための記録: 緊急訪問看護加算を算定するには緊急訪問の記録が必要です。「利用者または家族から連絡を受けた時刻」「訪問を決定した経緯」「訪問開始・終了時刻」「訪問時の状況・対応」を記録します。「緊急訪問した」という事実だけでは不十分です。
回答:支給限度額を超えた場合でも、支給限度額管理外の加算は算定できます。
ターミナルケア加算・退院時共同指導加算・特別管理加算等は「支給限度額管理対象外」の加算です。支給限度額を超過した分の基本報酬は全額自費になりますが、管理外の加算は引き続き介護保険で算定できます。
一方、緊急時訪問看護加算・看護体制強化加算等は「支給限度額管理対象」の加算です。支給限度額内に収まるかどうかの確認が必要です。
回答:退院日前(入院中)に実施することが要件です。退院後の実施は算定できません。
退院時共同指導加算の「共同指導」は、利用者が入院・入所中に医療機関等の職員と共同で指導を行うことが要件です。退院後に行った指導は対象になりません。
回答:管理が必要な「状態の重篤度」が異なります。
特別管理加算(Ⅰ)(介護保険:500単位、医療保険:5,000円)は、在宅中心静脈栄養・在宅気管切開患者・人工呼吸器使用等、より高度な医療機器の管理が必要な状態が対象です。
特別管理加算(Ⅱ)(介護保険:250単位、医療保険:2,500円)は、留置カテーテル・点滴注射・重症褥瘡等、Ⅰより管理の必要性は高いが複雑度は低い状態が対象です。
同一利用者に(Ⅰ)と(Ⅱ)を同時算定することはできません。より上位の(Ⅰ)を算定します。
回答:算定月の前6ヶ月間(算定日が属する月を除く6ヶ月)の実績を用います。
緊急時訪問50%以上・特別管理20%以上等の要件は、算定しようとする月の直前6ヶ月間の実績で確認します。6ヶ月ごとに実績を集計し、要件充足を確認したうえで届出を維持・更新します。
回答:週の起算日から7日間を1週として計算します。
月曜日を起算日とした週ごとに1回が上限です。火曜日に複数名訪問をした場合、その週(月〜日)の他の日に複数名訪問をしても加算の重複は認められません。
回答:介護保険の複数名訪問看護加算は30分以上の訪問でのみ算定できます。20分未満の訪問には算定できません。
これは医療保険の複数名精神科訪問看護加算においても同様で、30分未満の基本療養費(Ⅲ)に対して複数名加算を算定することはできません。
回答:専門研修修了看護師または特定行為研修修了看護師が、訪問看護計画の作成・修正・指示を行うことです。
当該看護師が訪問看護計画書を作成(または共同して作成)し、他のスタッフへの指示を記録に残す。訪問看護計画書に「専門管理看護師名・計画の管理に関する内容」を明記し、実際に管理を行ったことを記録書や管理記録で証明できる状態にしておく。
加算の算定と合わせて、各制度の詳細も確認しておくと実務の精度が上がります。
加算の算定要件は毎改定で変わります。最新情報は必ず一次ソースで確認してください。
次の介護報酬改定は令和8年(2026年)を予定しています。この記事執筆時点(2026年3月)では、審議会での議論が進んでいる段階です。
これまでの改定の方向性から予測される訪問看護加算の動向:
継続・強化が見込まれる方向として、看護師の特定行為・専門性評価(専門管理加算の拡充)や在宅でのICT活用(遠隔死亡診断補助加算の普及)が挙げられます。重症者・医療依存度の高い利用者への対応評価や、業務継続・安全管理体制の評価強化も続く見込みです。
見直しが議論される可能性がある方向としては、訪問看護ステーションの機能分化(大規模化・機能強化型の評価見直し)があります。医療・介護の境界にある利用者の保険切り替えルールの整理や、記録のデジタル化・電子化を前提とした加算要件の整備なども議論されています。
改定が正式に決定した際には、速やかに情報を更新します。最新情報の確認は厚生労働省の公式ページおよび看護レポのブログ(https://kango-repo.com)を参照してください。
免責事項
本記事に掲載した加算名・単位数・算定要件等は、令和6年(2024年)改定時点の情報をもとに作成しています。診療報酬・介護報酬は改定のたびに内容が変わります。実際の算定にあたっては、最新の厚生労働省告示・通知および審査機関への確認を必ず行ってください。算定ミスによる損害について、本記事執筆者および看護レポは責任を負いません。
訪問看護の加算算定は、正確な記録の積み重ねによって成立します。看護レポ(kango-repo.com) は訪問直後にLINEから記録入力でき、そのまま請求CSVに連動します。加算算定に必要な記録の抜け漏れを防ぎながら、月末の請求業務を効率化できます。
アプリ追加不要でLINEから記録入力でき、訪問記録から請求CSVを自動出力します。フリープランは0円、チームプランは980円/人/月で利用できます。
詳しくは → https://kango-repo.com
訪問看護の算定は「知識 × 記録 × 届出」の三位一体で成立します。一つでも欠けると返戻・査定の原因になります。2024年改定の変更点を正確に把握し、体制・届出・記録管理を整えれば算定漏れは防げます。
情報が古くなっている場合は厚生労働省の最新通知を確認し、地方厚生局または審査機関(国保連・支払基金)に問い合わせてください。
以下のシートを月次請求前に確認することで、算定漏れと算定誤りの両方を防ぐことができます。
【月次請求前確認シート:介護保険訪問看護】
□ 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)(Ⅱ)
→ 届出あり?
→ 該当する利用者すべてに算定しているか?
□ 特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)
→ 別表第8の対象状態に変化はないか(新規・解消)?
→ 主治医指示書に対象状態が明記されているか?
→ 対象者全員に算定しているか?
□ ターミナルケア加算
→ 今月死亡した利用者がいるか?
→ 死亡日前14日以内に2日以上訪問しているか?
→ 利用者・家族への説明・同意の記録はあるか?
□ 初回加算(Ⅰ)(Ⅱ)
→ 今月新規の利用者がいるか?
→ 退院当日に初回訪問した場合は(Ⅰ)で算定しているか?
□ 看護体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)
→ 届出あり?
→ 前6ヶ月の実績要件を今月も充足しているか?
□ 専門管理加算
→ 届出あり?
→ 対象看護師による計画管理の記録があるか?
→ 算定対象の利用者は正確に特定されているか?
□ 遠隔死亡診断補助加算
→ 該当する利用者・訪問があった場合、算定しているか?
□ 複数名訪問看護加算
→ 訪問看護計画書に複数名訪問の根拠記載があるか?
→ 同行者の職種は記録書に記載されているか?
□ 長時間訪問看護加算
→ 90分超の訪問をした場合、開始・終了時刻の記録は正確か?
→ 特別管理加算の対象者への訪問か確認したか?
□ 業務継続計画(BCP)未策定減算
→ BCP策定済みであることを確認しているか?
□ 高齢者虐待防止措置未実施減算
→ 虐待防止体制の整備状況を確認しているか?
□ 訪問看護管理療養費(1 or 2)
→ 今月の同一建物居住者の割合は7割未満か?
→ GAF40以下の精神科利用者が5人以上いるか(管理療養費1の場合)?
□ 24時間対応体制加算
→ 届出あり?
→ 看護業務負担軽減の取り組みを実施していれば6,800円区分か確認
□ 特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)
→ 別表第8の対象状態に変化はないか?
→ 今月の対象者数は正確か?
□ 精神科訪問看護(精神科利用者がいる場合)
→ 月初回訪問にGAF評価が行われているか?
→ GAF評価値が記録書・報告書・レセプトの3点に一致しているか?
→ 精神科訪問看護指示書の有効期限は切れていないか?
→ 訪問した看護師は研修修了者か?
□ 退院時共同指導加算・退院支援指導加算
→ 今月退院した利用者がいるか?
→ 共同指導の実施記録(参加者・実施日時・内容)は残っているか?
→ 退院支援指導加算の場合、90分超の時間記録は正確か?
□ 複数名訪問看護加算
→ 指示書に複数名訪問の必要性が記載されているか?
□ ターミナルケア療養費
→ 今月死亡した利用者がいるか?
→ 要件(訪問記録・家族説明等)を満たしているか?
このような確認シートを事務担当者とベテラン看護師が分担して毎月チェックするルーティンを作ることで、算定ミスの発生率を大幅に下げることができます。看護レポのようなデジタルツールを活用する場合は、記録と請求データの整合確認も忘れずに行ってください。
新しい利用者を受け入れる際に、加算の算定設定を漏れなく行うためのフローです。
STEP1:保険種別の確認 要介護認定の有無(認定区分・有効期限)、別表第7・第8の該当、医師の指示書の種類(通常 or 精神科)を確認し、保険種別を確定して利用者台帳に記録します。
STEP2:特別管理加算の要否確認 主治医指示書の内容を確認し、在宅酸素・経管栄養・留置カテーテル・気管カニューレ・褥瘡等の有無を確認します。対象状態に該当すれば特別管理加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を設定します。
STEP3:複数名訪問の要否確認 暴力行為リスクや安全確保の必要性を確認し、指示書に「複数名訪問の必要性」の記載があるか確認します。必要があれば訪問看護計画書に根拠を記載のうえ加算を設定します。
STEP4:GAF評価の実施(精神科の場合) 月初回訪問時にGAF評価を実施し、記録書Ⅱ・報告書・レセプトへの記載を確認します。GAF40以下ならばGAF管理台帳への記録も忘れずに行います。
STEP5:初回加算の設定確認 退院当日の訪問であれば初回加算(Ⅰ)(350単位)、退院当日以外の新規訪問であれば初回加算(Ⅱ)(300単位)を当月のレセプトに追加します。
このフローを新規受け入れのたびに行うことで、受け入れ当初からの算定漏れを防ぐことができます。受け入れ時のチェックと月次のチェックをセットにすることが、加算算定精度の向上につながります。
訪問看護ステーションは都道府県等による実地指導の対象です。加算を適切に算定していても、記録の不備が原因で指摘を受けるケースがあります。指導当日に慌てないよう、事前に準備を整えます。
介護保険の加算で指摘されやすいもの:
| 加算名 | よくある指摘内容 |
|---|---|
| 緊急時訪問看護加算 | 緊急訪問の記録が不十分(連絡時刻・対応内容が不明確) |
| 特別管理加算 | 対象状態の確認記録がない・指示書への明記なし |
| ターミナルケア加算 | 14日以内2日以上訪問の要件未充足・家族説明の記録なし |
| 複数名訪問加算 | 訪問看護計画書に複数名訪問の根拠記載なし |
| 看護体制強化加算 | 算定実績の集計が不正確(要件充足していないのに算定) |
| 専門管理加算(新設) | 計画管理の記録がない・対象看護師の修了証がない |
| 長時間訪問看護加算 | 訪問時刻の記録が開始のみで終了時刻がない |
| 初回加算(Ⅰ)(新設) | 退院日と初回訪問日の一致確認がない |
医療保険の加算で指摘されやすいもの:
| 加算・療養費名 | よくある指摘内容 |
|---|---|
| 訪問看護管理療養費1 | 同一建物居住者の割合計算の誤り |
| 精神科訪問看護基本療養費 | GAF評価日の記載漏れ・評価根拠の不足 |
| 24時間対応体制加算 | 24時間対応の連絡体制記録が形骸化 |
| 特別管理加算 | 別表第8の対象状態の判定根拠がない |
| 退院支援指導加算 | 90分の時間記録が不正確 |
【書類整備】
□ 直近3ヶ月の全利用者の訪問看護指示書(有効期限内・内容確認)
□ 訪問看護計画書(状態変化への対応状況)
□ 訪問看護記録書Ⅱ(訪問時刻・実施内容・申し送り)
□ 訪問看護報告書(主治医提出記録付き)
□ 加算算定の根拠書類(緊急訪問記録・複数名訪問根拠等)
□ 届出受理書(加算の届出済み確認)
□ 業務継続計画(BCP)
□ 虐待防止研修の実施記録
【体制確認】
□ 研修修了者リストと担当利用者の対応表
□ 24時間対応連絡体制表(最新版)
□ 過去の指導指摘事項と改善状況の記録
加算の算定要件を満たしていなかったことが判明した場合、理論上は算定した期間全体について返還請求が発生しえます。特に届出が必要な加算を届出なしで算定していた場合や、算定要件を明らかに満たしていない場合は深刻なリスクです。
対策の基本は「気づいた時点で自主的に対応する」ことです。自主的な申し出(過誤調整)を行った場合と、指導で発覚した場合とでは、処理の重さが異なります。
もし算定誤りを発見した場合は、速やかに審査機関(国保連・支払基金)と地方厚生局に連絡し、適切な過誤訂正の手続きをとります。
この記事執筆時点(2026年3月)から、次の報酬改定(令和8年:介護保険)に向けた検討が始まっています。過去の改定の方向性を踏まえると、以下の動向が予測されます。ただし確定情報ではなく、改定内容は必ず厚生労働省の公式情報でご確認ください。
在宅医療の推進: 高齢者人口の増加と病院病床の削減が続く中、在宅医療・在宅ケアの充実は医療政策の中核テーマです。訪問看護に求められる役割は拡大しており、報酬上の評価も基本的に拡充方向で推移しています。
医療・介護の連携強化: 医療保険と介護保険のサービスを同じ事業者・チームが担う「複合型サービス」や「地域包括ケア」のモデルが強調されています。訪問看護はこのモデルの中核機能として位置づけられており、他事業所との連携加算や情報共有ツールの活用促進が今後も続くと見られます。
看護師の特定行為と専門性評価: 特定行為研修修了看護師の活用を促進する政策は継続しています。2024年に新設された専門管理加算はその具体化の一つであり、類似の加算の範囲拡大が続く可能性があります。
ICT・DXの活用推進: 訪問看護記録の電子化、医療保険レセプトのオンライン化(2024年6月から原則義務化)に続き、多職種間のデータ共有・AI活用が推進される方向です。記録システムの電子化対応が遅れているステーションは、対応を急ぐ必要があります。
精神科訪問看護では、GAF尺度を軸にした重症度評価の深化と、重症患者へのアウトリーチ支援の評価拡大が期待されます。
2024年改定でGAF40以下の利用者数が訪問看護管理療養費1の要件に組み込まれたことは、単なる算定ルールの変更ではなく、「重症精神科患者を地域で支えるステーションを増やす」という政策意図の表れです。
GAF尺度を正確に評価・記録できる体制を整えたステーションは、次の改定でも有利な立場に立てる可能性があります。
訪問看護の加算は、利用者の状態に応じて正確に算定されることで、ステーションの収益と利用者への継続的なサービスを両立させるものです。
2024年改定のポイントを最終確認します。
介護保険での主要変更点: 緊急時訪問看護加算に(Ⅰ)(Ⅱ)の2区分が設けられ、高度な24時間体制があるステーションは(Ⅰ)への変更を検討します。ターミナルケア加算が2,500単位に引き上げられ、看取り支援の記録体制の整備が重要です。専門管理加算(250単位)が新設され、特定行為研修修了者・専門看護師の活用機会を見直します。初回加算に退院当日を評価する(Ⅰ)(350単位)が新設され、業務継続計画(BCP)の未策定はペナルティ対象になりました。
医療保険での主要変更点: 訪問看護管理療養費が2区分(3,000円・2,500円)に再編され、重症度の高い利用者を受け入れているステーションは管理療養費1の届出を検討します。特別管理加算の対象が拡大し、在宅麻薬注射・腫瘍化学療法・強心剤持続投与が追加されました。退院支援指導加算の長時間要件が「複数回合計90分超」でも可能になりました。
加算の算定は「知っているかどうか」が収益に直結します。改定のたびに内容を確認し、自ステーションの体制・実績と照らし合わせて算定機会を見逃さないようにしてください。
記録の精度を高めることが、算定の正確性を支える基盤です。訪問直後の記録入力習慣を確立し、月次請求前のチェックフローを整備します。
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加算の要件理解だけでなく、実際の算定場面でよく疑問になるポイントや請求実務の注意点についても確認しておくことで、返戻・査定リスクを下げることができます。以下の記事もあわせてご活用ください。
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