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2026診療報酬改定 訪問看護の変更点と対策手順一覧

看
看護レポ編集部
2026年3月22日16分で読める
2026診療報酬改定 訪問看護の変更点と対策手順一覧

この記事のポイント

  • 令和8年度(2026年)診療報酬改定は2026年6月1日施行で本体改定率は+3.09%
  • 訪問看護医療情報連携加算(月1,000円)など新設加算3種で増収機会が広がる
  • 訪問開始・終了時刻の記録義務化など記録要件が大幅に強化
  • ベースアップ評価料は18→36区分に拡大し、上位区分への移行余地が生まれる
  • 同一建物への集中訪問は減算リスクがあり、5月末までの届出準備が必須

2026年6月、約2年に1度の診療報酬改定が施行されます。今回の改定率は本体部分で**+3.09%**(令和8・9年度の2年平均)と、約30年ぶりの大幅プラス改定です。賃上げ・物価対応を軸に、ICT活用の促進、高齢者住まいでのケア評価強化という3つの柱が打ち立てられています。

収益増の機会である一方、対応を誤ると請求漏れや減収リスクも生じます。改定内容を**「収益に影響するもの」「運営体制に影響するもの」「記録・報告に影響するもの」**の3カテゴリーに分類し、管理者が2026年6月までに動くべきアクションを具体的にまとめました。

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注記: 本記事は2026年3月時点の情報(中医協答申・厚生労働省公表資料)をもとに執筆しています。告示・通知の確定内容は必ず厚生労働省の公式サイトでご確認ください。 参照: 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定説明資料


1. 令和8年度(2026年)診療報酬改定の全体概要

改定率と施行スケジュール

項目 内容
改定施行日 2026年6月1日
本体改定率(2年平均) +3.09%
令和8年度単年改定率 +2.41%
令和9年度単年改定率 +3.77%

物価・賃金上昇への対応と医療DX推進という政府方針を反映した改定率です。基本報酬の引き上げにより一定の増収が見込まれます。

ただし医療保険は基本報酬が引き上がる一方、介護保険の訪問看護は「実態を踏まえた適正化」として一部**マイナス改定(−0.15%)**も含みます。医療・介護の両保険を提供するステーションはトータルでの収支シミュレーションが必要です。日本看護協会の解説資料(https://www.nurse.or.jp/)も参考にしてください。

今回の改定における3つの柱

柱1:物価高騰・賃上げへの対応

看護師・スタッフの賃金を底上げするベースアップ評価料を拡充し、物価対応料を新設します。看護人材の確保が訪問看護の最優先課題であることが反映された方向性です。

柱2:ICT・DX活用の推進

訪問看護医療情報連携加算の新設により、医療機関とのICT連携を金銭的に評価する仕組みが入りました。電子記録の義務化拡充も同時に進みます。

柱3:高齢者住まいでのケア評価強化

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームに併設・隣接するステーション向けに「包括型訪問看護療養費」を新設します。頻回訪問を1日単位で評価する新しい仕組みです。


2. 訪問看護への主な影響:3カテゴリーで整理

改定内容を「何が変わるか」だけでなく「管理者として何をすべきか」の視点で整理します。


①収益に影響するもの(加算・基本報酬の変更)

訪問看護管理療養費の引き上げ(月初日の訪問)

厚労省は機能強化型の管理療養費を全区分で引き上げました。

区分 改定前 改定後 増加額
機能強化型1 13,230円 13,760円 +530円
機能強化型2 10,030円 10,460円 +430円
機能強化型3 8,700円 9,030円 +330円
機能強化型4(新設) — 9,030円 新設

機能強化型に該当しない場合の管理療養費についても、月2日目以降は建物内居住者数と月当たり訪問日数に応じた細分化評価へ移行します。

ベースアップ評価料の拡充

区分 改定前 改定後
ベースアップ評価料(Ⅰ) 780円/月 1,050円/月
ベースアップ評価料(Ⅱ) 10〜500円(18区分) 30〜630円(36区分)

評価料(Ⅱ)の区分が18から36に倍増しました。届出区分の見直しにより、これまで上位区分に届かなかったステーションが上位区分へ移行できる可能性が広がります。

新設加算(詳細は次章で解説)

2026年改定では訪問看護向けに3つの加算が新設されました。訪問看護医療情報連携加算は月1,000円、訪問看護遠隔診療補助料は1日あたり2,650円、訪問看護物価対応料は月初日60円・2日目以降20円です。施設基準を満たす事業所はこれらをまとめて取得することで、月次収益を底上げできます。

減収・適正化の対象となる主な変更

同一建物評価の細分化(大規模施設向けに特に注意)

サ高住等の同一建物への集中訪問について、評価が細分化します。同一日に同一建物に10人以上訪問するステーションは、月当たりの訪問日数が増えるほど単価が下がる仕組みに変わりました。

同一日訪問人数 月20日目まで 月21日目以降
2人(変更なし) 5,550円 5,550円
3〜9人 2,780円 2,780円
10〜19人 2,760円 2,660円
20〜49人 2,710円 2,610円
50人以上 2,610円 2,510円

(保健師・看護師による場合の基本療養費)

大規模なサ高住への訪問を主軸にしているステーションは、収益シミュレーションが急務です。

複数名訪問看護加算の見直し

同一建物内の訪問者数が多いほど単価が下がる仕組みに変わります。50人以上の建物では、看護師との同時訪問で従来4,500円だった単価が2,700円に下がるケースもあります。


②運営体制に影響するもの(届出・体制整備)

訪問看護医療情報連携加算の施設基準

月1,000円の新加算を算定するには、利用者の診療情報等をICTで常時確認できる体制を整え、連携する医療機関・薬局・ケアマネジャーとの平時からの連携体制を構築する必要があります。ウェブサイト等への情報掲示は2026年9月30日まで猶予があるものの、地方厚生局への施設基準届出は早めに済ませてください。

機能強化型訪問看護管理療養費4の施設基準

既存の機能強化型1〜3に加え、新たに4が誕生しました。常勤看護職員4名以上、24時間対応体制の整備、難病患者・精神障害者への一定の支援実績が求められます。精神科訪問看護や難病ケアに注力しているステーションは、機能強化型4の取得を検討してください。

ベースアップ評価料の届出区分変更

評価料(Ⅱ)が18区分から36区分へ拡大しました。新たな届出区分に対応した手続きが必要です。収益増の機会でもあるため、現在の給与水準・職員構成を確認し、最適な区分を選定します。

訪問看護遠隔診療補助料の要件整備

オンライン診療時に看護師が訪問して診療補助を行う新加算(2,650円/日)を算定するには、連携医療機関とのオンライン診療体制の整備と患者への事前同意取得が必要です。

処遇改善計画の策定

ベースアップ評価料の算定には、職員の賃金改善計画の策定・届出が条件です。2026年6月から算定したい場合は、5月中には計画書を提出できるよう逆算して準備を進めてください。


③記録・報告に影響するもの(義務強化)

今回の改定は、訪問看護記録の正確性・透明性に関する要件を大幅に強化しました。管理者が特に注意すべき点を整理します。

訪問時刻の記録義務化

訪問の開始時刻・終了時刻を訪問看護記録書に明記する義務が加わります。これまでも訪問時間の記載は必須でしたが、実際の開始・終了時刻の記録を明確に求める内容に変わりました。算定の根拠となる時間と記録が一致しない場合、査定・返戻のリスクが高まります。記録システムのタイムスタンプ機能を活用し、正確な時刻を残す体制を整えてください。

訪問時間に関する要件の明確化

「30分以上」が標準的な訪問時間として明記されました。20分未満の訪問では基本療養費を算定できません。前回の訪問から2時間以内の複数回訪問は合算して1回としてカウントします。短時間訪問が多いステーションは、訪問計画の見直しと記録内容の点検を行ってください。

残薬確認の記録・報告義務

服薬状況の確認(残薬確認を含む)を行い、その結果を記録・保存(2年間)して主治医に報告する義務が新たに加わります。記録システムに服薬確認の項目を追加しておくと運用が楽になります。

「画一的・漫然とした訪問」の禁止

改定通知に「計画に沿った訪問看護の実施」「画一的かつ漫然とした訪問看護の禁止」を明記しました。訪問看護指示書・訪問看護計画書の内容と、実際に提供したケアの一致性をこれまで以上に問われます。特定の医師への誘導禁止・経済利益による誘引禁止も指定基準に明記し、不適切な営業行為への規制を強めています。


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3. 新設加算の詳細解説

訪問看護医療情報連携加算(1,000円/月)

ICT化で確実に取れる新加算。小規模ステーションにも現実的な選択肢です。

他の医療機関・薬局・ケアマネジャー等がICTで記録した利用者の診療情報を活用し、訪問看護の計画的な管理を行った場合に月1回算定できる新加算です。算定対象者は訪問看護管理療養費を算定する利用者で、担当者は准看護師を除く看護師等。連携する医師・薬剤師・ケアマネジャー等がICTで記録した診療情報を活用し、訪問看護の計画的管理を実施します。算定は月1回限りです。

施設基準は、利用者の診療情報をICTで常時確認できる体制と、関係機関との平時からの連携体制の構築です。

月1,000円という金額は小さく見えますが、利用者10名に算定できれば月1万円、年間12万円の増収です。50名規模なら年間60万円の収益増になります。既存の体制でもICT連携の仕組みさえ整えれば算定できるため、比較的ハードルの低い加算です。

看護レポのように、LINEベースで記録・情報共有ができるシステムを使い、関係機関との情報連携をデジタルで行っている場合、施設基準の要件を満たしやすくなります。加算算定のためのICT環境整備にコストをかけたくない事業所では、月額980円/人から使える看護レポのような低コストなシステムが現実的な選択肢になります。

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訪問看護遠隔診療補助料(2,650円/日)

医師がオンライン(D to P with N)で診療を行う際、看護師が利用者のもとを訪問してバイタル測定・診療補助を行った場合に算定できる新報酬です。月1回を限度に算定します。算定要件は、医師によるオンライン診療の実施、看護師(准看護師を除く)が利用者宅に訪問して診療補助を実施すること、利用者の事前同意の取得、医師の指示に基づく実施です。

対象となるのは、在宅での療養管理が必要だが、医師が直接往診しにくい利用者(遠距離・移動困難等)に対して、オンライン診療と組み合わせてケアを提供するケースです。

訪問1回ごとに2,650円という単価は他の加算と比べても高水準です。連携する医療機関のオンライン診療体制が前提となるため、主治医との相談から始めてください。


包括型訪問看護療養費(新設)

サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム等の高齢者住まいに併設・隣接している訪問看護ステーションが、当該施設の入居者に24時間体制で頻回訪問を行った場合に算定できる新しい療養費です。従来の「訪問1回ごとの積み上げ」でなく「1日単位の包括評価」として算定します。

療養費の目安(看護師による場合)

建物内居住者数 30〜60分 60〜90分 90分以上
20人未満 7,000円 約11,000円 15,500円
20〜49人 6,300円 約10,700円 15,190円
50人以上 5,950円 約10,400円 14,880円

(概算)

この包括型を利用する場合、従来の「複数回訪問の積み上げ」より収益が低くなる可能性があります。特に頻回の短時間訪問で収益を上げていたステーションは、包括型導入後の収益シミュレーションを必ず行ってください。なお、この加算は高齢者住まいに「併設・隣接」しているステーション限定で、一般の訪問看護ステーションには適用しません。


機能強化型訪問看護管理療養費4(9,030円)

既存の機能強化型1〜3に加え、精神科訪問看護や難病ケアに力を入れるステーション向けに4つ目の区分が誕生しました。月の初日の訪問で9,030円を算定できます。

施設基準は、常勤看護職員4名以上、24時間対応体制の整備、難病患者・精神障害者への支援実績(一定水準以上)、重症度の高い利用者の受け入れと地域連携の実績です。精神科訪問看護の指定を受けており、難病ケアに実績があるステーションは積極的に検討してください。


訪問看護物価対応料(60円・20円)

令和8・9年度における物件費(光熱費・消耗品費等)の高騰に対応するため、全ての訪問看護ステーションが算定できる新設の報酬です。

タイミング 令和8年6月〜令和9年5月 令和9年6月以降
月の初日の訪問 60円 120円
月2日目以降の訪問 20円 40円

施設基準の届出は不要で、全ステーションが算定できます。請求システムへの反映を忘れないでください。


4. 訪問看護加算一覧:改定後の点数まとめ

2026年6月改定後の主要な加算・療養費をまとめます。

訪問看護管理療養費(月の初日の訪問)

区分 改定後の点数
機能強化型訪問看護管理療養費1 13,760円
機能強化型訪問看護管理療養費2 10,460円
機能強化型訪問看護管理療養費3 9,030円
機能強化型訪問看護管理療養費4(新設) 9,030円
訪問看護管理療養費(その他) ※告示未確定(2026年3月時点)

主要な加算(改定後)

加算名 算定額 算定単位 新設/変更
訪問看護医療情報連携加算 1,000円 月1回 新設
訪問看護遠隔診療補助料 2,650円 1日 新設
訪問看護物価対応料(月初日) 60円 1回 新設
訪問看護物価対応料(2日目以降) 20円 1回 新設
ベースアップ評価料(Ⅰ) 1,050円 月1回 引き上げ
乳幼児加算 1,400円 1回 引き上げ
特別地域訪問看護加算 ※告示未確定(2026年3月時点) 1回 要件拡大

点数は中医協答申時点の情報です。正式な告示が公布されたら内容を確認してください。介護保険の加算(サービス提供体制強化加算等)は別途確認が必要です。


5. 小規模ステーション向け:最低限やるべきこと3つ

スタッフ数が少ない小規模ステーションでも、今回の改定で確実に対応すべきことを3つに絞ります。

①訪問看護物価対応料の請求設定(全員必須・届出不要)

施設基準の届出不要で、全てのステーションが算定できる新設報酬です。月初日60円・2日目以降20円と金額は小さいですが、算定漏れは純粋な損失です。6月1日から確実に請求できるよう、レセプトシステムの設定を確認してください。

②訪問時刻の記録体制の整備(全員必須・記録義務)

「訪問開始・終了時刻の記録」が義務化します。紙の記録書を使っている場合は様式の変更が必要です。電子記録システムを使っている場合は、タイムスタンプが正確に残っているかを確認します。看護レポのようにLINEで記録するシステムなら、送信時刻がそのままタイムスタンプとなり、記録時刻の管理がシンプルになります。

③訪問看護医療情報連携加算の算定可否を確認

既にICTを活用して主治医や薬剤師、ケアマネジャーと情報共有をしているなら、施設基準の要件を満たせる可能性があります。利用者の診療情報をICTで常時確認できる環境があり、主治医・薬剤師・ケアマネジャー等との平時からの連携体制が整備済みであること。准看護師を除く看護師が情報を活用して計画的管理を実施でき、利用者本人の同意も取得できる体制であれば、施設基準の主要要件を満たします。3項目以上に該当するなら、施設基準届出の準備を進めてください。


6. 管理者のアクションリスト:2026年6月に向けたロードマップ

改定施行の2026年6月1日から逆算した、管理者のアクションを月別に整理します。

2026年3〜4月(今すぐ)

3〜4月の段階では、自ステーションの現状把握から着手します。現在算定している加算リストを棚卸しし、同一建物への月別訪問データを集計して新しい評価体系での収益を試算してください。ベースアップ評価料の現在の届出区分を確認し、変更余地があるかを検討します。訪問看護医療情報連携加算については施設基準チェックリストで算定可否を判断し、機能強化型4の要件(常勤4名・難病/精神実績)を自ステーションと照合します。レセプトシステム(電子カルテ)のベンダーには2026年改定対応スケジュールを問い合わせておきましょう。

2026年5月(届出準備)

5月は届出準備の山場です。算定を希望する新加算・新区分の施設基準書類を揃え、ベースアップ評価料の改定対応届出書(区分変更の場合)を作成します。訪問看護医療情報連携加算を算定する予定なら施設基準届出書を準備し、地方厚生局の「6月算定のための届出必着日」(多くは6月初旬の開庁日前後)を必ず確認してください。

記録体制の整備も並行で進めます。紙の訪問看護記録書を使っている事業所は、様式に「開始時刻・終了時刻」欄を追加します。電子記録システム利用の事業所はタイムスタンプ機能を点検し、残薬確認の記録項目を記録書に追加してください。改定内容の研修は全スタッフに実施し、特に記録義務の変更点を周知します。処遇改善計画については、賃金改善計画書を作成し、5月末までに届出準備を完了します。

2026年6月(改定施行)

施行月は請求設定の確認が最優先です。訪問看護物価対応料(60円・20円)が自動算定される設定か確認し、新規算定加算が請求データに正しく反映されているかを6月最初の請求前に検証します。レセプト送信後はエラー・返戻の有無を通常より注意深くチェックしてください。

改定後のモニタリングとして、6月・7月の収益を前月比較し、改定の影響を把握します。想定外の減収が出た場合は加算漏れ・算定ミスの有無を原因として特定してください。


7. 請求システムへの影響:自動対応か手動対応か

診療報酬改定は必ず請求システムの設定変更を伴います。管理者として確認すべきポイントを整理します。

主要な変更で請求システムへの影響が大きいもの

1. 訪問看護基本療養費(Ⅱ)の細分化

同一建物への訪問で「同一日の人数×月当たり訪問日数」の組み合わせで評価が細分化します。手作業での管理は現実的でなく、システムによる自動判定がないと算定ミスが発生します。使用中のシステムが2026年改定に対応した自動計算ができるか、ベンダーに確認してください。

2. 新設加算の請求コード

訪問看護医療情報連携加算・遠隔診療補助料・物価対応料の新設に伴い、新しい請求コードが必要です。改定対応版のシステムアップデートを確実に行い、6月1日より前にテスト請求を実施します。

3. ベースアップ評価料の区分変更

36区分への拡大に伴い、届出区分が変わった場合はシステム上の設定も変えてください。

クラウド型システムの場合

看護レポのようなクラウド型システムでは、改定対応は自動アップデートで反映します。管理者がシステムの設定を手動で変更する必要がなく、改定後もベンダー側が最新の請求コード・算定ルールに対応した状態を維持します。システム更新の手間なく改定対応できることは、少人数で運営する小規模ステーションにとって大きなメリットです。

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8. ベースアップ評価料の届出手順:2026年改定での変更点と実務

訪問看護ステーションの賃上げを支援するベースアップ評価料は、2026年度改定でさらに拡充します。算定を逃しているステーションがまだ多いため、届出の手順を確認します。

2026年改定でのベースアップ評価料の変更概要

項目 改定前 改定後
評価料(Ⅰ) 780円/月 1,050円/月
評価料(Ⅱ)の区分数 18区分 36区分
評価料(Ⅱ)の最低額 10円 30円
評価料(Ⅱ)の最高額 500円 630円
対象職種 看護職員等 事務職員等も統合

2026年改定では、評価料(Ⅱ)が36区分に拡大し、これまで取得できなかった区分に移行できる可能性が広がります。現在の届出区分が低い場合は、改定をきっかけに見直す好機です。

ベースアップ評価料の届出手順(2026年6月算定開始の場合)

STEP 1:前年度の賃金改善実績を確認する(3〜4月)

2025年度の賃金改善実績報告書の作成準備を行います。給与台帳・賃金改善計画書を確認し、実績が計画に沿っているかを検証してください。

STEP 2:今年度の賃金改善計画書を作成する(4〜5月)

2026年度の賃金改善計画書を作成します。職種別・人数別の計画額を明記し、算定予定の評価料区分(Ⅰ・Ⅱ)を決定してください。評価料(Ⅰ)は全ての訪問看護ステーションが対象で、月1,050円(改定後)です。評価料(Ⅱ)は評価料(Ⅰ)だけでは改善が不十分な場合に追加算定でき、36区分から選択します。

STEP 3:施設基準の届出書を提出する(5月末まで)

所定の届出様式(Excelファイル)に記入し、管轄の地方厚生局にメールで送付します。最新の届出様式は厚生労働省ウェブサイトからダウンロードしてください。提出期限は6月1日から算定したい場合、厚生局が設定する必着日(多くは6月初旬の開庁日前日まで)です。提出方法は原則メール(各厚生局のアドレスに送付)です。

STEP 4:前年度分の実績報告書を提出する(8月)

翌年8月に前年度分の賃金改善実績報告書を提出してください。計画と実績が著しく乖離している場合、届出区分の変更を求める場合があります。

届出で注意すべき3点

第一に、様式は最新版を使ってください。改定後は様式が更新される場合があります。厚生労働省の公式サイトから最新版をダウンロードしてください。2025年1月に様式の大幅簡素化がありました。

第二に、届出区分の選択ミスに注意します。評価料(Ⅱ)の区分は職員数・賃金改善額から計算します。過少申請にならないよう計算式を確認してください。

第三に、計画書の金額は現実的に設定します。過大な賃金改善計画を立てると実績報告で乖離が生じます。翌年の届出に影響するため、実現可能な計画額を設定してください。


9. 改定後の収益シミュレーション:具体例で試算する

改定が実際の収益にどう影響するか、具体的なステーションモデルで試算します。

モデルケース:スタッフ5名・利用者30名のステーション(小規模)

前提条件は以下の通りです。管理療養費は機能強化型なし(一般)、月の初日訪問は30名、月2日目以降の訪問は延べ180回、同一建物への集中はなし(1日あたりの訪問者数は1〜2名程度)、ベースアップ評価料(Ⅰ)算定中、と仮定します。

改定前の月間収益(主要項目のみ)

項目 単価 件数 月間収益
訪問看護管理療養費(月初日) 7,400円(概算) 30件 222,000円
ベースアップ評価料(Ⅰ) 780円 30件 23,400円
訪問看護基本療養費 5,550円(概算) 180回 999,000円
月間収益合計(概算) 約1,244,400円

改定後の月間収益(主要項目のみ)

項目 単価 件数 月間収益
訪問看護管理療養費(月初日) 改定後単価 30件 ※2026年3月執筆時点では告示未確定
ベースアップ評価料(Ⅰ) 1,050円 30件 31,500円
訪問看護基本療養費 同程度 180回 約1,000,000円
訪問看護物価対応料 60円/20円 30件+180回 約5,400円
訪問看護医療情報連携加算 1,000円 20件(算定対象) 20,000円
月間収益合計(概算) 約1,060,900円+管療費

試算結果(純増分)

ベースアップ評価料(Ⅰ)の増分は月+8,100円(年+97,200円)、物価対応料は月約5,400円(年+64,800円)、訪問看護医療情報連携加算(算定できた場合)は月+20,000円(年+240,000円)です。合計の月次増収目安は約33,500円(年+402,000円)となります。管理療養費の変更分、ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分変更による増分は含んでいません。これらを含めてシミュレーションすると、改定後の増収額をより正確に把握できます。

要注意モデル:同一建物居住者への集中訪問ステーション

サ高住や有料老人ホームに入居する利用者を中心に、同一建物への集中訪問をしているステーションは、基本療養費が細分化・減額する可能性があります。

リスクシナリオとして、1日に15名が同じサ高住に入居している場合を想定します。改定前は基本療養費 2,780円×15名×20日 = 834,000円でしたが、改定後の10〜19人区分(月20日目まで)は2,760円×15名×20日 = 828,000円、月21日以降は2,660円×15名×10日 = 399,000円となります。月21日以降の訪問が多い月は減収リスクが顕在化します。自ステーションの実績データで確認してください。


よくある質問

Q1. 2026年6月の施行に間に合わせるため、施設基準届出はいつまでに出せばいい?

A. 地方厚生局によって異なりますが、6月1日から算定したい場合は5月末日前後を目安に届出を完了させてください。厚生局ごとに「6月算定のための必着日」を設定しているため、管轄の厚生局ウェブサイトで確認するか直接問い合わせてください。届出が間に合わなかった場合でも、受理された翌月1日から算定を開始できます。6月施行に間に合わなければ7月からの算定を目指して準備を進めれば問題ありません。

Q2. 訪問看護医療情報連携加算を算定するために、専用のICTシステムを導入しなければいけない?

A. 必ずしも専用システムでなくてもかまいません。「ICTを活用して医療情報を常時確認できる体制」が要件ですが、例えば病院の電子カルテポータルへのアクセスや、医療機関が提供するID・PWでの情報閲覧でも対応できる可能性があります。具体的な要件の解釈については、施行後に厚生労働省から出る通知・Q&Aを確認してください。看護レポのようにICT記録管理ができるシステムは情報連携体制の整備に役立ちます。

Q3. 同一建物評価の細分化で、うちのステーションは減収になる?

A. 同一建物に対して1日に10人以上訪問している場合、基本療養費が細分化(低下)する可能性があります。特に月21日以上訪問しているケースでは減収リスクが高まります。過去3ヶ月の実績データを「同一日の建物内訪問者数×月当たり訪問日数」で集計し、新単価を当てはめてシミュレーションしてください。大幅な減収が見込まれる場合は、訪問スケジュールの調整や包括型への移行を検討してください。

Q4. 訪問時刻の記録義務化で、紙の記録書を使っている場合はどう対応すべき?

A. 記録書の様式に「訪問開始時刻:○○時○○分」「訪問終了時刻:○○時○○分」の記入欄を追加します。様式の変更は各ステーションが自由に行えます。注意点として、紙の場合は後から時刻を記入・訂正できてしまうため、査定の際に記録の信頼性が問われる可能性があります。電子記録・スマートフォン記録に移行することで、タイムスタンプによる客観的な時刻証明ができるようになります。

Q5. 介護保険の訪問看護も今回の改定で変わる?

A. 介護保険の訪問看護については、2026年度介護報酬改定で変更があります。主な変更点として、2026年6月の介護報酬改定で訪問看護にも処遇改善加算が適用される予定(加算率1.8%が設定される見込み)で、サービス提供体制強化加算の算定要件も見直します。介護保険分は診療報酬改定とは別の告示・通知で定めるため、両方の改定内容を並行して把握してください。

Q6. 訪問看護物価対応料はいつから請求できる?届出は必要?

A. 訪問看護物価対応料は2026年6月1日施行で、全ての訪問看護ステーションが算定できる新設報酬です。施設基準の届出は不要で、レセプトシステムが新コードに対応していれば自動算定できます。月初日60円、月2日目以降20円が単価で、令和9年6月以降はそれぞれ120円・40円に引き上がります。算定漏れは純粋な損失となるため、6月のレセプト送信前に必ず請求設定を点検してください。


11. まとめ

2026年6月施行の令和8年度診療報酬改定は、訪問看護ステーションにとって多くの変更を含む大規模な改定です。

改定のポイント3行まとめ

基本報酬がプラス改定です。機能強化型の管理療養費引き上げ・ベースアップ評価料拡充など、対応すれば増収できる改定となっています。ICT活用が収益に直結します。訪問看護医療情報連携加算(月1,000円)は小規模ステーションでも取れる新加算で、ICT環境の整備が急務です。記録の正確性が厳格化します。訪問開始・終了時刻の記録義務化・残薬確認の必須化など、記録管理の徹底が返戻リスク回避のカギとなります。

今日から始める3つのアクション

第一に、自ステーションの収益シミュレーションを実施します(同一建物評価の細分化の影響確認)。第二に、訪問看護医療情報連携加算の施設基準チェックリストで算定可否を確認します。第三に、レセプトシステムのベンダーに2026年改定対応の予定を問い合わせます。

改定への対応は情報収集から届出・システム対応・スタッフ研修まで多岐にわたります。ICTシステムを活用して管理負担を減らしながら改定のメリットを取り込んでください。本記事の数値は2026年3月執筆時点の中医協答申・厚生労働省公表資料に基づく概算です。最新の告示・通知を必ず確認してください。


看護レポは、2026年6月の診療報酬改定にも自動アップデートで対応します。請求コードの変更・新設加算の対応を手動で行う必要がなく、管理者の負担を最小限に抑えます。LINEで記録・請求データまで自動作成するシンプルな仕組みで、改定後も安心して運営を続けられます。フリープランは無料・初期費用ゼロで今すぐ始められます。

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参考・出典

  • 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定説明資料
  • 日本看護協会
  • GemMed「2026年度診療報酬改定答申 訪問看護」
  • 訪問看護について(厚生労働省)

制度改定への対応に役立つ記事

  • 訪問看護ステーション開業後チェックリスト
  • 訪問看護のレセプト返戻を防ぐ対策
  • LINE業務活用で訪問看護をICT化する
  • SOAP記録の書き方ガイド

2026年改定の派生記事

  • 訪問看護医療情報連携加算【2026年新設】算定要件・届出 — 新設加算の詳細
  • 訪問看護 加算一覧【2026年改定対応】 — 全加算の改定変更点
  • 訪問看護 レセプト返戻TOP10【2026年対応】 — 改定後の返戻パターン

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