訪問看護 医療保険レセプトの書き方と点検チェックリスト
訪問看護の医療保険レセプト(訪問看護療養費明細書)の正しい記載方法を、記載例と点検チェックリストで解説します。よくある記載ミスTOP10とその防止策、2026年改定対応、国保連フォーマットへの転記ミス削減策まで網羅した管理者・事務担当者向けガイドです。
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訪問看護の医療保険レセプト(訪問看護療養費明細書)の正しい記載方法を、記載例と点検チェックリストで解説します。よくある記載ミスTOP10とその防止策、2026年改定対応、国保連フォーマットへの転記ミス削減策まで網羅した管理者・事務担当者向けガイドです。
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2024年(令和6年)12月、訪問看護ステーションにとって見過ごせない制度変更が施行されました。医療保険分の訪問看護レセプトについて、オンライン請求とオンライン資格確認が義務化されたのです。
現場では「どこに申請するのかわからない」「必要な機器が揃っているか確認できていない」「経過措置の期限はいつまでか」という混乱がまだ続いています。2026年3月の時点で、「実は対応が終わっていなかった」と気づくステーションが出てきているのも事実です。
本記事は、厚生労働省・社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険団体連合会の公式情報をもとに、今すぐ確認すべき事項を実務レベルで整理したガイドです。「自分のステーションは何をすればいいのか」が、読み終えたときにわかる状態を目指しています。
細かい手続きに入る前に、「なぜオンライン請求が義務化されたのか」「どの保険がどのルールに縛られているのか」を整理します。ここを誤解すると、「すでに対応している」と思っていたのに実は未対応だった、というミスが起きます。
医療・介護分野のデジタル化は、政府が「医療DX」として政策的に推進している課題です。その中でも訪問看護の紙レセプト請求は、処理効率の低さが長年の課題でした。
紙請求では、請求書類の郵送・受領に時間がかかって支払いが遅れ、審査にも時間がかかるため返戻・査定の連絡も遅くなります。保険情報の照合を人手で行うことで資格過誤(保険番号の誤り)が多発し、書類の紛失・漏洩リスクもあります。
オンライン請求に移行すると、送信から審査まで最短数日で完了し、電子的な事前チェックで返戻が減少します。保険資格をリアルタイム確認できるほか(オン資との組み合わせ)、支払いも早期化されます(国保連経由:翌月20日支払い)。
単なる手続きのデジタル化にとどまらず、訪問看護ステーションの資金繰り改善と事務コスト削減につながる制度変更です。
訪問看護の報酬請求は、医療保険と介護保険で経路がまったく異なります。
| 区分 | 保険の種類 | 請求先 | 義務化の対象 |
|---|---|---|---|
| 医師の指示書に基づく訪問 | 医療保険(健康保険・国民健康保険等) | 社会保険診療報酬支払基金 or 国保連 | 今回の義務化対象 |
| ケアプランに基づく訪問 | 介護保険 | 国保連のみ | 別途検討(本記事の主対象外) |
今回の義務化(令和6年12月)は、医療保険分のレセプトのみが対象です。介護保険分については、別の制度改正の流れで電子化が検討されていますが、現時点(2026年3月)で強制義務化のスケジュールは公表されていません。
「うちは介護保険の利用者がほとんどだから関係ない」と考えているステーションも、医療保険利用者が1人でもいれば今回の義務化の対象です。見落としがちなケースとして:
「介護保険中心のステーション」でも、上記のような利用者がいれば医療保険請求が発生します。
義務化の対象となる制度は2つあります。どちらか片方だけ対応しても義務化要件を満たせないため、それぞれ別の申請・別のシステムが必要な点を先に整理しておきます。
オンライン請求(レセプト電子請求)
訪問看護レセプトをインターネット経由で支払基金・国保連に提出する仕組みです。従来の紙請求・光ディスク請求に代わるものです。
請求データは「UNI-CODE形式」という標準フォーマットで作成され、オンライン請求システム経由で送信します。VPN(仮想プライベートネットワーク)で保護された回線を使うため、セキュリティも確保されています。
オンライン資格確認(オン資)
マイナンバーカードを使って、利用者の保険資格をリアルタイムで確認する仕組みです。利用者宅を訪問する際に、NFC対応のモバイル端末でマイナンバーカードを読み取り、保険資格情報(保険者・被保険者番号・有効期限等)をオンラインで取得します。
この2つは、それぞれ別の申請が必要で、別のシステムを導入します。どちらか片方だけ対応しても義務化要件を満たしたことになりません。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和6年(2024年)5月 | オンライン請求・オン資の先行的な受付開始(任意) |
| 令和6年7月請求分 | オンライン請求の正式開始(6月実施分から) |
| 令和6年12月2日 | オンライン資格確認 義務化 |
| 令和6年12月請求分 | オンライン請求 義務化 |
公式通知は厚生労働省の電子化ページで確認できます。「医療保険の訪問看護で2024年12月からオンライン請求・オンライン資格確認義務化」として公表されています。
訪問看護の医療保険レセプトのオンライン請求は、他の医療機関と比べると遅い導入となりました。病院・診療所・薬局では2011年以降に段階的に義務化されていましたが、訪問看護ステーションへの適用は2024年まで延期されていました。
その背景として、訪問看護ステーションの多くが小規模でIT対応能力が低いことがあります。訪問看護レセプトの請求件数が年々増加して紙処理の限界が近づいていたことや、医師・ケアマネジャーとの情報連携のデジタル化推進という要因も重なっていました。
これらの要因が重なり、令和6年(2024年)をもって訪問看護のオンライン請求義務化が実現しました。
「12月から義務化」とはいっても、対応が物理的に間に合わないケースに備えて経過措置が設けられています。ただし、この経過措置は自動的には適用されません。令和6年10月31日までに猶予届出を提出した事業所のみが対象です。
届出期限を過ぎると、いかなる事情があっても経過措置は受けられません。
経過措置の内容は以下の通りです。
ケース① 2024年10月31日までにベンダーと契約したが設置未完了の場合:導入完了期限は2025年(令和7年)6月30日、補助金申請期限は2025年9月30日です。
ケース② 光回線等が未整備で物理的に接続できない場合:導入完了期限は2025年(令和7年)12月31日、補助金申請期限は2026年(令和8年)3月31日です。
ケース③ 高齢スタッフのみの小規模ステーション(2024年3月31日現在、常勤の看護職員等が全員71歳以上の場合):導入完了期限は2025年6月30日、補助金申請期限は2025年9月30日です。
ケース④ 建物の工事等(施設の改修・建替え工事中のため設置が困難な場合):導入完了期限は2025年6月30日です。
なお、猶予届出の手続きは「医療機関等向け総合ポータルサイト」から行います。
2026年3月現在、すでに義務化から約1年3か月が経過しています。経過措置(ケース①③④)の期限(2025年6月30日)もすでに過ぎており、ネットワーク環境が理由の場合(ケース②)の期限(2025年12月31日)も終了しています。
つまり、2026年3月時点でオンライン請求を行っていない訪問看護ステーションは、義務化の経過措置期間を過ぎた状態になります。例外的な事情がある場合は、所轄の地方厚生局に速やかに相談することを強く勧めます。
対応が遅れたままの場合のリスク:
手続きの話に入る前に、オンライン請求への移行で実際に何が変わるのかを整理します。義務感だけで移行するより、メリットを理解して動いたほうが定着は早いです。
紙請求では、郵送・受付・審査・支払いのサイクルに時間がかかり、実施月から支払いまで最短でも6週間程度かかっていました。
オンライン請求への移行後: 支払基金経由の場合は審査スピードが上がり支払いが早期化します。国保連経由の場合は令和6年7月支払い分から「請求月の翌月20日まで」に支払われることになりました(厚生労働省通知)。
月次の資金繰りが安定し、運転資金の不安が減ります。
オンライン請求システムには、提出前に「事前チェック(事務点検ASPサービス)」を行う機能があります。
事前チェックで発見される主なエラー:
これらのエラーが提出前に発見されるため、返戻後に修正・再請求する手間が大幅に減ります。月10件超の返戻が移行後に半減した事例も報告されています。
オン資を組み合わせることで、利用者の保険資格情報をリアルタイムで取得できます。
「退職して協会けんぽから国民健康保険に変わったが、利用者から連絡がなかった」というケースは、従来は翌月の請求時の返戻で初めて気づくことが多かった。オン資を使えば、訪問のたびに最新の保険情報を確認できるため、資格過誤による返戻がほぼゼロになります。
電子データでの一括管理により:
月初の請求事務に費やしていた数日が、半日〜1日に圧縮されるケースもあります。
紙請求では、郵送中の紛失・漏洩リスクがありました。オンライン請求のシステムは、医療専用のVPN(閉域網)を使用しており、一般インターネットとは分離されたセキュアな環境で運用されます。
義務化対応に必要なものを整理します。大きく分けて「オンライン請求用」と「オンライン資格確認用」で必要なものが異なります。
① レセプト作成ソフト(レセコン)
訪問看護レセプトを電子データ(UNI-CODE形式)で作成するためのソフトウェアです。既存のソフトを使っている場合は、オンライン請求対応バージョンへのアップデートが必要な場合があります。
主なソフトの例:iBow(ibow.com)、カイポケ訪問看護、ほのぼのNEXT(NDソフトウェア)、はやまる訪問看護 等
費用の目安:月額5,000〜30,000円程度(製品・機能によって異なる)
既存のレセプトソフトを使い続けることもできますが、訪問記録と請求が連動していないソフトは記録からレセプトへの手動転記が生じます。この機会に、記録から請求まで一体管理できるシステムへの切り替えを検討してください。
② 専用の請求用パソコン
オンライン請求専用のパソコンが必要です。セキュリティ要件として「他の業務に使い回さない」「ウイルス対策ソフトを導入している」などの条件があります。
厚労省指定のスペック要件は、OS:Windows 10以上(64bit推奨)、メモリ:4GB以上(8GB推奨)、ストレージ:HDD 50GB以上の空きです。インターフェースは有線LAN接続対応(USBポートも推奨)が必要です。
専用パソコンとして新規に購入する場合、5〜10万円程度です。この費用は補助金の対象となります。
③ 専用回線(インターネット経由VPN)
オンライン請求は専用線経由またはインターネット経由(VPN)で行います。現在主流はインターネット経由のVPN接続です。
光回線(フレッツ光等)が推奨されますが、光回線の引き込みが困難な場合は4G/LTE回線での代替も一部認められています。
回線速度の目安:下り10Mbps以上あれば問題なく動作します。
既存のインターネット回線(オフィスで業務に使っている回線)を使う場合は、追加工事は不要です。ただし、「業務用の通信とオンライン請求用の通信を分ける」という観点から、ルーターの設定変更が必要な場合があります。
④ 電子証明書
支払基金が発行する電子証明書が必要です。1枚あたり1,500円(税込)。電子証明書は「医療機関等向け総合ポータルサイト」で申請します。
電子証明書の有効期限は通常3〜5年です(製品によって異なる)。期限が切れると請求ができなくなるため、定期的な更新管理が必要です。
電子証明書の申請から取得まで:数日〜1週間程度かかります。請求開始日から逆算して余裕を持って申請してください。
オン資は、利用者宅でマイナンバーカードを読み取って保険資格をリアルタイム確認するための仕組みです。訪問看護特有の要件として、「利用者宅に持って行ける」モバイル端末が必要です。
⑤ マイナンバーカード読み取り対応のモバイル端末(NFC対応)
端末としてスマートフォンかタブレットを用意します。
一般的なスマートフォンのほとんどがNFC対応になっています。ただし、端末によってはNFCの動作が不安定なケースがあるため、事前に動作確認を行ってください。
費用目安:3万〜8万円(機種・ストレージ容量による)
⑥ オン資対応システム(居宅同意取得型)
訪問看護では「居宅同意取得型」と呼ばれるオン資方式を使います。これは病院・診療所が使う「カードリーダー固定設置型」とは異なる方式です。
居宅同意取得型のポイント:
このシステムの利用申請は「医療機関等向け総合ポータルサイト」から行います。
| 項目 | 費用目安 | 補助金対象 |
|---|---|---|
| レセプトソフト(年間) | 6万〜36万円 | 一部対象 |
| 専用パソコン | 5万〜10万円 | 対象 |
| モバイル端末(スマートフォン・タブレット) | 3万〜8万円 | 対象 |
| ネットワーク工事・回線 | 0〜10万円(既存回線活用で0円も) | 対象 |
| 電子証明書 | 1,500円 | 対象 |
| 合計(概算) | 15万〜65万円程度 |
この費用に対して、最大42万9,000円の補助金が用意されています(次章で詳述)。
厚生労働省は、オンライン請求・オン資の導入コストに対する補助金制度を設けています。
補助上限:42万9,000円
補助率は実費の10分の10(全額補助)です。上限42万9,000円を超えた分は自己負担となります。
対象となる費用は、マイナンバーカード読み取り用モバイル端末(スマートフォン・タブレット)の購入費、オンライン資格確認・請求用端末(パソコン)の購入費です。レセプト作成ソフトの導入・改修費、ネットワーク環境の整備費(光回線工事・Wi-Fi機器等)、電子証明書の取得費も含まれます。
通常の申請:すでに終了
通常の補助金申請期限(導入期限:2024年11月30日、申請期限:2025年5月31日)はすでに終了しています。
ネットワーク環境整備が困難なケース(経過措置②)のみ申請可能: 導入完了期限は2025年12月31日(終了)、補助金申請期限は**2026年3月31日(最終期限)**です。
2026年3月末日が補助金申請の絶対的な最終期限です。経過措置②の適用を受けているステーションは、本記事を読んだその日に申請手続きを開始してください。
補助金申請時に必要な書類は、申請書(ポータルサイトの申請フォーム)、請求書・納品書・領収書(購入した機器・ソフトのもの)、設置完了の確認書類(システムが稼働していることの証明)です。振込先の金融機関情報もあわせてポータルサイト経由で電子提出します。
補助金の申請は「医療機関等向け総合ポータルサイト」から行います。書類の郵送は不要で、すべてオンラインで手続きが完結します。
申請に不明点がある場合は、ポータルサイト内のチャットサポートまたは電話(各都道府県の支払基金)に問い合わせてください。
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「何から始めればいいかわからない」という現場の声に応えて、移行の全体的な流れを順番に整理します。
移行作業に入る前に、「今の状態」を正確に把握することが最初のステップです。
確認チェックリスト
このチェックリストで「不明」が多い場合は、使用しているレセプトソフトのベンダーに電話一本で確認できます。
使用するレセプトソフトの会社(ベンダー)に連絡し、以下を確認します。
ベンダーに確認すべき事項:
多くのベンダーは、2024年の義務化に向けて専任のサポート体制を整えています。2026年時点でも「今から導入したい」という問い合わせに対応してくれるベンダーがほとんどです。
「何が必要で、何がいくらかかるか」の全体像を、まずベンダーから提示してもらうのが最短ルートです。ベンダーによっては、ポータルサイトへの登録や電子証明書の取得までサポートしてくれる場合もあります。
ポータルサイト(iryohokenjyoho.service-now.com)でアカウントを作成します。
必要な情報:
アカウントは申請後1〜3営業日で審査されます。承認通知がメールで届いたら、ログインして以下の手続きを行います。
ポータルサイトで行う手続き:
ポータルサイトの操作方法は、「医療機関等向け総合ポータルサイト ナレッジ記事」にステップごとの説明があります。
ポータルサイトで電子証明書を申請すると、審査後にダウンロードURLがメールで届きます。
電子証明書取得の流れ:
電子証明書のインストール手順は、支払基金が公開している「オンライン請求ネットワーク関連システム 共通認証局 電子証明書の発行等申請の手引き(2024年10月)」に詳細が記載されています。
インストール作業はベンダーのサポートを受けながら行うのが確実です。一般的な Windows 操作に慣れていれば自分でもできますが、証明書のインストール先(システムストア)を誤ると正常に動作しない場合があります。
オンライン請求専用のネットワーク接続設定を行います。
標準的な設定手順:
ネットワーク設定はベンダーや通信会社のサポートを受けながら進めることを推奨します。「ネットワーク設定がわからない」という場合は、訪問対応のITサポート業者に依頼する選択肢もあります(費用:1〜3万円程度)。
本番請求前に、支払基金・国保連へのテスト送信(確認試験)を行います。
実際のレセプトデータに似せたテストデータを使って、システムの正常動作を確認します。
テスト送信では、システムにログインできるか、レセプトデータの送信が完了するか(エラーなし)、受付番号が発行されるか、送信ログが記録されるかの4点を確認します。
テスト送信の詳細な手順は、支払基金が公開している「オンライン請求システム操作手順書(訪問看護)」を参照してください。
オンライン請求の設定と並行して、オン資の導入を進めます。
オン資導入の流れ:
① ポータルサイトでオン資の利用申請を行う
ポータルサイト上で「オンライン資格確認(居宅同意取得型)の利用申請」を行います。申請から利用開始まで数日〜1週間かかります。
② モバイル端末のセットアップ
NFC対応のスマートフォン・タブレットに、オン資専用のアプリをインストールします。アプリは各OSのストアから入手できます(無料)。
③ 利用者への事前同意の取得
居宅同意取得型は、利用者が「保険資格確認のためにマイナンバーカードを読み取ること」を書面で同意する必要があります。同意書のフォーマットはポータルサイトで入手できます。
全利用者の同意取得は時間がかかるため、新規利用者から順次同意を取得しながら、既存利用者へは次回訪問時に説明・同意取得、という段階的なアプローチが現実的です。
④ 利用者宅での動作確認
事前に(スタッフ自身のマイナンバーカード等で)動作確認を行ってから、実際の利用者への対応を開始します。
よくある問題と対処:
準備が整ったら、いよいよ本番請求です。
請求のタイミング: 原則として、毎月10日までに前月分のレセプトを提出します(請求期限を超えると翌月請求になります)。
請求の流れ:
1. レセプトソフトでレセプトデータを作成
↓
2. 事前チェック(事務点検ASP)を実施 → エラーがあれば修正
↓
3. オンライン請求システムからデータを送信
↓
4. 受付番号・送信完了通知を確認
↓
5. 審査結果通知書を確認(数週間後)
↓
6. 返戻・査定があれば対応、修正して再請求
↓
7. 支払基金・国保連から振り込み
支払いのスケジュールは、支払基金経由では請求月の翌月25日前後、国保連経由(国民健康保険等)では請求月の翌月20日までです。
訪問看護の医療保険は、利用者の保険の種類によって請求先が変わります。同じ利用者でも、月によって保険が変わる場合は請求先も変わります。
支払基金は、主に「職域保険(会社の保険)」の審査・支払いを行う機関です。
支払基金への請求対象:
国保連は、主に「地域保険(自営業・無職・高齢者)」の審査・支払いを行う機関です。
国保連への請求対象:
利用者の保険証(マイナンバーカードの資格確認画面)を確認します。
| 保険証の表記 | 請求先 |
|---|---|
| 全国健康保険協会 | 支払基金 |
| ○○健康保険組合 | 支払基金 |
| ○○共済組合 | 支払基金 |
| ○○国民健康保険(市町村) | 国保連 |
| ○○後期高齢者医療広域連合 | 国保連 |
退職・75歳到達等で月の途中に保険が変わった場合は、変更前と変更後でレセプトを分けて作成し、それぞれ別の請求先(支払基金 or 国保連)に送信します。
例:4月15日に75歳になり、後期高齢者医療に移行した場合
この処理を月に1〜2件見落とすだけで、返戻が発生します。オン資を活用して保険変更をリアルタイムで把握することで、この種のミスを防げます。
支払基金と国保連への請求は、どちらも同じ「オンライン請求システム」から操作します。電子証明書も1枚で両方に対応します。請求先の振り分けは、レセプトのデータ内で管理されるため、操作上は一つのシステムから両方へ送信できます。
テスト送信や本番請求でエラーが発生した場合、慌てず対処します。エラーの大半は「記入漏れ」「コードの誤り」「設定ミス」という単純なものです。
支払基金の事務点検ASPサービスでは以下のエラーコードが出ます。詳細は以下の参考資料を参照してください。
| エラーコード | 重要度 | 意味 | 対処 |
|---|---|---|---|
| L1エラー(1000番台) | 最重要 | ファイル自体を受け付けられない | 形式・構造の見直しが必要 |
| L2エラー(2000番台) | 重要 | レセプト単位でエラー | そのレセプトを修正して再請求 |
| L3エラー(3000番台) | 要確認 | レセプト内の一部に問題 | 内容を確認して修正・再請求 |
| L4エラー(4000番台) | 軽微 | 確認を要する項目あり | 内容確認のうえ判断 |
エラー①:「IDまたはパスワードに誤りがあります」(ログイン時)
原因と対処:支払基金用と国保連用のIDを混同している場合は別々に管理します。パスワードの有効期限が切れている場合はポータルサイトでリセットし、Caps Lockのオン・ブラウザのオートフィル誤入力は手動入力で対応します。
エラー②:「受付ファイルが見つかりません」(データ送信時)
原因と対処:レセプトデータの格納フォルダのパス指定が誤っている場合はフォルダを直接指定します(サブフォルダなし)。ファイル名が規定の命名規則に合っていない場合はソフトの設定を確認し、レセプトソフトとオンライン請求システムの連携設定が未完了の場合はベンダーに確認してください。
エラー③:被保険者情報の不一致
原因と対処:保険番号の桁数ミスはオン資で正確な番号を確認します。氏名の漢字ミス(旧字体・異体字等)や保険の有効期限切れについては、利用者の保険証(資格確認書)で最新情報を確かめます。
エラー④:算定コードのエラー
原因と対処:廃止された算定コードを使用している場合は令和6年改定後の最新コードを確認します。加算の算定要件を満たしていない組み合わせ(例:要件外の加算の重複算定)の場合は算定要件を確認してください。
エラー⑤:電子証明書関連のエラー
原因と対処:電子証明書の有効期限が切れている場合はポータルサイトで更新申請を行います。ソフトに正しくインストールされていない場合や、証明書とシステムの組み合わせが不整合の場合は、いずれもベンダーに確認・対応を依頼します。
| 窓口 | 対応内容 | 連絡先 |
|---|---|---|
| オンライン請求システムヘルプデスク | システム操作・エラー全般 | 0120-60-7210(フリーダイヤル) |
| 社会保険診療報酬支払基金(各都道府県支部) | レセプト審査・返戻・査定 | 各都道府県支部(支払基金公式サイトに一覧) |
| 国民健康保険団体連合会(各都道府県) | 国保・後期高齢者関連の請求 | 各都道府県国保連 |
| 医療機関等向け総合ポータルサイト | アカウント・申請・補助金 | ポータルサイト内チャット |
| レセプトソフトベンダー | ソフトの操作・設定 | 各ベンダーのサポート |
ヘルプデスク(0120-60-7210)は、オンライン請求システムに関する操作・エラーについての問い合わせ窓口です。「エラーコードの意味がわからない」「ログインできない」といった問い合わせに対応しています。
オンライン請求とセットで義務化されたオン資について、訪問看護ステーション特有の実務上の注意点を整理します。
一般的な病院・診療所のオン資(カードリーダー型)と違い、訪問看護では「居宅同意取得型」という方式を採用します。
仕組みの比較:
| 方式 | 適用場所 | 機器 | 読み取りのタイミング |
|---|---|---|---|
| カードリーダー固定設置型 | 病院・診療所 | 専用カードリーダー(固定設置) | 受付時に患者自身が読み取る |
| 居宅同意取得型 | 訪問看護 | NFC対応スマートフォン・タブレット | 訪問看護師が利用者宅で読み取る |
「毎回の訪問でカードを読み取らなければならないのか」という疑問が出ますが、実際には初回または保険情報が変わったタイミングでの確認が原則です。毎回読み取ることが義務ではありません。
居宅同意取得型の同意書には、利用者の氏名・生年月日、訪問看護ステーション名、保険資格確認を目的としたマイナンバーカードの読み取りへの同意、同意日・同意者(本人または代理人)の署名を記載します。
同意書の原本は訪問看護ステーションで保管します。保管期間は記録書と同様の2年間が原則です。
2026年3月現在、マイナンバーカードを取得していない利用者や、取得済みでも手元にない利用者はいます。
2024年12月2日以降の保険証の扱い:
従来の保険証は2024年12月2日をもって廃止されましたが、廃止前に発行された保険証は、記載された有効期限(または最大2025年12月1日)まで使用できます。
2025年12月2日以降:
マイナンバーカード未取得者や、カードを紛失した方には「資格確認書」が交付されます。資格確認書は保険証の代わりとして使用できます。
訪問看護師が確認する際は、マイナンバーカード所持者はNFCで読み取り、資格確認書所持者は目視確認して記録に入力し、有効期限内の旧保険証所持者も同様に目視確認して記録に入力します。
オン資の最大のメリットは、利用者の保険資格変更をリアルタイムで把握できることです。
従来の問題:「先月まで組合健保だったが、退職して国民健康保険に変わった」という変化を、利用者から申し出てもらうか、翌月の請求時の返戻で初めて気づく。
オン資を使えば:訪問時にカードを読み取った瞬間に最新の保険情報が表示されます。変更があった場合は、その場でレセプトソフトに正しい保険情報を入力できます。
この効果により、資格過誤による返戻が大幅に削減されます。毎月10件以上の返戻があったステーションが、オン資導入後に2〜3件に減少した、という現場報告もあります。
オンライン請求に移行した後の月次業務フローを整理します。
訪問実施
↓
(オン資を使う場合)
マイナンバーカードでの資格確認
↓
訪問看護記録書Ⅱの入力
(バイタル・実施内容・特記事項)
↓
次回訪問への申し送り更新
月初1〜3日
レセプトソフトで前月分の訪問データを集計
↓
3〜7日
レセプト作成・内容確認
↓
7〜9日
事務点検ASPで事前チェック実施
エラーがあれば修正
↓
10日まで(厳守)
オンライン請求システムでデータ送信
受付番号・送信完了を確認
↓
翌月中旬
審査結果通知書の確認
返戻・査定への対応
↓
翌月25日前後(支払基金)/ 翌月20日(国保連)
入金確認
返戻とは、審査で不備が確認されたレセプトが差し戻されることです。返戻が来たら以下の手順で対応します。
① 返戻理由を確認する
審査結果通知書に返戻理由コードが記載されています。コードの意味は支払基金・国保連のウェブサイトで確認できます。
② 原因を特定する
| 返戻理由 | よくある原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 保険情報の誤り | 保険番号・有効期限の記載ミス | オン資で再確認し修正 |
| 指示書期限切れ | 訪問看護指示書の期限超過 | 医師に新しい指示書を依頼 |
| 算定要件の不備 | 加算の根拠が不明確 | 記録書と指示書で確認 |
| 訪問区分の誤り | 訪問時間の区分(30分未満など)の記載ミス | 記録書で実際の時間を確認 |
| 月の保険変更 | 同月内の保険種別変更未対応 | 変更前後でレセプトを分ける |
③ 修正してオンラインで再請求する
レセプトソフトで該当レセプトを修正し、再度オンライン請求システムから送信します。返戻レセプトの再請求には期限があります(翌月の請求期限までに再請求が必要)。
オンライン請求を効率的に行うには、日々の訪問記録が正確であることが前提です。記録に曖昧さがあると、月末のレセプト作成時に確認作業が増えます。
理想的な業務フローは:
訪問時:LINEや訪問看護システムで記録入力
↓
月末:記録データからレセプト集計が自動化
↓
確認・補正のみでレセプト完成
↓
オンライン請求
この流れを実現するには、日次記録のデータがそのままレセプト集計に使われる仕組みが必要です。
看護レポは、LINEで入力した訪問記録から請求用のCSVデータを自動出力するサービスです。アプリのインストール不要で、LINEという使い慣れたインターフェースから記録を入力するだけで、月末の請求データが自動生成されます。
フリープランは0円から始められ、チームプランは1人あたり月980円です。記録と請求を一体化することで、月初の請求作業に費やしていた数時間を、半日以下に短縮できます。
オンライン請求義務化と同時期に、令和6年診療報酬改定でも訪問看護に関連する変更が行われました。
24時間対応体制加算の見直し
令和6年改定で、24時間対応体制加算の運用要件が一部見直されました。ICTを活用したオンコール体制(電話・ビデオ通話等)が評価対象として明確化されています。訪問看護師のオンコール対応をシステムで記録・管理しておくと、加算算定の根拠になります。
訪問看護ターミナルケア療養費の要件確認
ターミナルケア療養費の算定要件として、訪問看護記録書への記載内容が重要です。「死亡前24時間以内に訪問したこと」「主治医への連絡を行ったこと」などの記録が算定根拠となります。オンライン請求への移行を機に、加算算定と記録の整合性を再確認することを推奨します。
情報提供書・計画書・報告書の電子化推進
厚生労働省は、訪問看護ステーション・かかりつけ医・ケアマネジャー間の情報連携について電子的な標準仕様の普及を推進しています。詳細は電子化ページで確認できます。
今後、訪問看護計画書・報告書の電子的なやり取りが標準化されれば、FAX・郵送でのやり取りがなくなります。この流れに備えて、今から電子記録の整備を進めておくべきです。
政府は「医療DX推進本部」を設置し、医療・介護のデジタル化を国家戦略として推進しています。訪問看護のオンライン請求義務化はその一環であり、今後さらに電子化・情報連携が進む方向は確実です。
具体的に予想される今後の変化としては、訪問看護指示書の電子化・電子署名対応や多職種間の情報共有プラットフォームの整備があります。電子処方箋と訪問看護の連携や、レセプトデータを活用した質の評価・報酬への反映も進む見込みです。
これらに対応するためにも、今のうちに電子記録の基盤を整えておきます。
義務化後(2024年12月以降)は、やむを得ない事情があり経過措置の届出をした事業所を除き、紙・光ディスクでの請求はできません。経過措置の期限も2025年末(ネットワーク困難ケース)までに終了しています。
2026年3月現在、経過措置の届出なしに紙で請求している場合は、監査・指導の対象となる可能性があります。速やかに地方厚生局に相談してください。
地方厚生局の連絡先は、厚生労働省ウェブサイト(各都道府県のページ)から確認できます。
介護保険分の請求(国保連への介護給付費請求)については、現時点(2026年3月)で医療保険と同様の義務化は行われていません。
なお、介護保険分も国保連のインターネット請求システム(伝送通信ソフト)を使ってオンラインで請求できます。多くのステーションがすでに介護保険分もオンラインで請求しており、処理が速く入金も早くなります。
義務化されていないからといって後回しにせず、業務効率化の観点で早めに動くことを勧める。
マイナンバーカード未取得の利用者、またはカードを利用者宅に持っていない利用者がいる場合でも、「オン資義務違反」にはなりません。
その場合の対応は、有効期限内の旧保険証や資格確認書であれば目視確認して入力します。マイナンバーカードを持ち歩いていない場合は、次回訪問時に確認するか事業所での電話確認でも対応可能です。
注意点として、「資格確認の努力をしていること」の記録は残しておく。
電子証明書の有効期限が切れると、オンライン請求システムにログインできなくなります。その月の請求ができず、翌月に延期されると資金繰りに影響します。
電子証明書の有効期限は「医療機関等向け総合ポータルサイト」でいつでも確認できます。期限の3か月前にカレンダーにリマインダーを設定することを強く推奨します。
期限切れになってしまった場合は、すぐにポータルサイトで更新申請を行ってください。審査後(数日〜1週間)に新しい電子証明書をダウンロードできます。
あります。審査機関(支払基金・国保連)が算定要件を満たしていないと判断した場合、請求金額が減額されて支払われます。これを「査定」と呼びます。
査定されやすい加算の例:
査定を防ぐ最も確実な方法は、加算を算定する訪問ごとに「なぜこの加算を算定するか」の根拠を記録に明記することです。
はい。2024年12月以降に新規開設する訪問看護ステーションは、開設当初からオンライン請求・オン資対応が義務です。経過措置は既存事業所向けの制度のため、新規開設には適用されません。
新規開設の際の手順:
オンライン請求の電子証明書は、原則として「事業所ごとに1枚」です。複数のスタッフが同じシステムを使って請求する場合でも、事業所の電子証明書が1枚あれば対応できます。
一方で、請求担当者が複数いる場合は、システムへのアクセス権限(誰がどのデータを操作できるか)を契約前に確認し、運用ルールを決めておいてください。
オンライン請求の義務化は医療保険分のみですが、ステーション経営全体を考えると、介護保険分の請求業務も含めた効率化を進める必要があります。
介護保険分の訪問看護療養費は、**国民健康保険団体連合会(国保連)**に請求します。介護保険分は医療保険分と異なり、まだオンライン請求が法的に義務化されていませんが、国保連のインターネット請求システム(伝送通信ソフト)を使えばオンラインで請求できます。
介護保険分のオンライン請求化も進めると、郵送コスト(紙・封筒・切手)の削減、処理期間の短縮、返戻データの電子的管理、記録ソフトと連動した自動集計といった効果が得られます。
全体として、医療保険・介護保険の両方をオンラインで請求する体制が「完全電子化」の状態です。
訪問看護の利用者の中には、同一月に医療保険と介護保険の両方が使われるケースがあります。
例:末期がんの利用者で、医師の指示による医療保険と、ケアプランによる介護保険が混在する場合
この場合、医療保険分のレセプトは支払基金または国保連へ、介護保険分の給付費明細書は国保連へ、それぞれ別のシステムで請求します。
それぞれ別のシステムで請求します。月末の集計時に「どのサービスがどちらの保険に該当するか」を正確に区分することが必要です。電子記録システムで保険区分を正確に管理していれば、この区分けも自動化されます。
各利用者の保険情報を一元管理する「保険管理台帳」を整備することで、月次請求時の確認作業が大幅に減ります。
台帳に記録すべき情報は、利用者名・生年月日、主な保険種別(医療保険の種類)、保険者番号・被保険者番号、有効期限、介護保険証の有無と期限、オン資の同意取得状況、直近の資格確認日です。
この台帳を電子管理(Excelやシステム上)にすれば、月次請求前の確認が数分で終わります。
オンライン請求への移行後も(あるいはそれ以上に)、実地指導への備えを継続します。
地方厚生局や都道府県による実地指導では、以下の点が確認されます。
記録の整備に関しては、訪問看護記録書Ⅰ・Ⅱの全利用者分の作成・保管、訪問看護計画書・報告書の月次提出、訪問看護指示書の有効期間内発行が確認されます。加えて、記録の内容と請求内容の整合性(算定根拠の確認)も確認対象です。
**オンライン請求に関して(2026年以降に追加の可能性)**は、オンライン請求の適切な実施、オン資の適切な運用(利用者の同意書保管等)、電子証明書の適切な管理の3点が追加確認される見込みです。
指摘①:指示書の期限管理が不十分
「訪問看護指示書の有効期限が切れているのに訪問を継続していた」は頻出指摘です。
対策:指示書の有効期限を電子カレンダーや管理台帳で管理し、期限の2週間前には医師に新しい指示書を依頼するフローを設けてください。
指摘②:計画書・報告書の提出漏れ・遅延
毎月の計画書・報告書の作成・提出が遅れているケースです。
対策:月初に「先月分の報告書提出完了」「今月分の計画書提出完了」をチェックリストで確認する運用を作ります。
指摘③:加算の算定根拠が記録に見当たらない
「特別管理加算を算定しているが、記録書に特別管理が必要な状態の根拠がない」という指摘です。
対策:加算を算定する場合は、必ず記録書に「この加算を算定する根拠」を明記する習慣をつける。SOAPのO欄に観察内容を詳細に記録することが最も有効です。
指摘④:記録の実態との乖離
「記録書には○○のケアを実施したと書いてあるが、利用者は受けていないと言っている」というケースです(稀ですが重大)。
対策:記録は実施した事実のみを書き、推測・予定は明確に区別します。利用者・家族の確認を得ながら記録することが最も確実です。
本記事を読んでいただいた訪問看護ステーションの方へ、今すぐ確認すべきことを3つに絞ります。
① オンライン請求は実際に機能しているか
毎月のレセプト送信がオンラインで完了しているか確認します。「送っているつもりが、実は光ディスクで提出されていた」というケースが現場で起きています。確認方法:支払基金・国保連からの「受付完了通知」がメールで届いているか確認します。
② オン資(居宅同意取得型)の運用は始まっているか
オンライン請求だけ対応していて、オン資が未導入のケースがあります。2つはセットで義務化されています。確認方法:スタッフがNFC対応スマートフォンを持ち、利用者宅でカード確認が実際にできているか確認します。
③ 電子証明書の有効期限は切れていないか
2024年に取得した電子証明書の有効期限を今すぐポータルサイトで確認すること。有効期限が2025年末〜2026年の場合は、更新手続きの準備を始める時期です。
看護レポはオンライン請求に対応した請求CSV出力機能を備えています。LINEで記録を入力するだけで、オンライン請求システムに取り込み可能なCSVが自動生成されます。アプリ不要・フリープラン0円から。オンライン請求対応CSVを自動出力。フリープランで今日から →
2024年の義務化は、訪問看護のデジタル化の「第一歩」です。今後、さらに以下の制度展開が予想されます。
訪問看護指示書の電子化
現在は紙で発行されている訪問看護指示書についても、電子化の検討が進んでいます。医師が電子指示書を発行し、訪問看護ステーションが電子的に受け取る仕組みが実現すれば、指示書の管理・期限確認・再発行依頼のフローが大幅に簡素化されます。
リアルタイムデータ活用による質の評価
収集されたレセプトデータ・記録データを活用した「訪問看護の質の評価」が、将来的に診療報酬の算定と連動する可能性があります。「データに基づく高品質なケアを提供しているステーションが評価される」という方向性は、政府の医療DX戦略の中に明記されています。
早期にデジタル化・データ管理の体制を整えることは、将来の制度変化に対する先行投資でもあります。記録・請求のデジタル化を今すぐ始める意義は、単なる義務対応にとどまりません。
初めてオンライン請求を行うスタッフのために、月次の操作フローを具体的に整理します。
ステップ1:レセプトソフトでデータを作成する
レセプトソフト(iBow、カイポケ等)を起動し、前月分の訪問データを集計します。集計後、「医療保険分レセプト」の一覧を確認します。
確認すべき3点は、①訪問件数・日時の正確な反映、②算定した加算の漏れなし反映(特別管理加算・緊急訪問看護加算等)、③訪問時間区分(30分未満・30分以上1時間未満等)の正確性です。
ステップ2:事前チェック(事務点検ASP)を実施する
支払基金の請求システムにログインし、事前チェック機能を使います。
事前チェックで発見されるエラーは、送信前に修正できます。L2エラー・L3エラーが出た場合は、エラーの内容に従ってレセプトソフト上でデータを修正します。
ステップ3:支払基金・国保連へ送信する
事前チェックをクリアしたら、本番送信を行います。
送信後は、受付番号が発行されること、送信完了のメール通知が届くこと、送信ログが記録されることを確認します。
送信完了の確認は、「送った気がするが実際に届いているか」の不安を解消するために必ず行います。受付番号をスクリーンショットで保存しておくと、後から確認できます。
ステップ4:審査結果を確認する
送信から2〜4週間後に、オンライン請求システム上で審査結果が確認できます。あわせて、「審査結果通知書」(電子データ)が届きます。
審査結果は「支払確定」(そのまま支払われる)、「返戻」(不備があり差し戻された。修正して再請求が必要)、「査定」(減額された。内容を確認して必要に応じて異議申し立て)の3種類です。
返戻があった場合は、理由コードを確認してレセプトソフトで修正し、翌月の請求期限までに再請求します。
ステップ5:入金確認
支払日(支払基金:翌月25日前後、国保連:翌月20日)に入金されているか確認します。入金額と請求額の差異がある場合は、査定・返戻の残分がないか確認します。
オンライン請求に移行すると、年間を通じて以下のタスクが発生します。管理者が把握しておくべき年間スケジュールです。
| 時期 | タスク |
|---|---|
| 毎月10日まで | 前月分のオンライン請求送信 |
| 毎月20〜25日 | 入金確認・審査結果確認 |
| 毎月末 | 返戻レセプトの再請求 |
| 4月(診療報酬改定年) | レセプトソフトの算定コード更新確認 |
| 電子証明書期限3か月前 | 更新申請 |
| 年1回 | オンライン請求システムのパスワード更新(有効期限に応じて) |
オンライン請求の対応は、ステーションの規模・運営形態によって最適なアプローチが変わります。
移行を「義務だからやる」と考えると、コストだけが見える。実際に移行したステーションの多くは「こんなメリットがあったのか」と気づく。
主な経営上のメリットを定量的に整理します。
① 入金が平均10〜20日早くなる
紙請求では実施月から約6週間後の入金が多かったところ、オンライン請求では約4〜5週間後になります。月の売上が200万円のステーションなら、常時40〜80万円分の回収が早まる計算です。資金繰りの改善は、借入金の削減や新規投資の余力につながります。
② 返戻対応コストが削減される
月に10件の返戻がある場合、1件あたり30分の対応時間として合計5時間。時給換算で1.5万円以上のコストです。オン資の導入と事前チェックの活用で返戻が半分以下になれば、月に数万円の事務コスト削減になります。
③ 請求漏れの防止
電子データでの集計は、手計算よりはるかに正確です。紙・手書き時代に起きやすかった「加算の算定忘れ」「訪問件数の計算ミス」が電子化によって防げます。月1件の算定漏れを防ぐだけで、年間数万円〜十万円以上の改善になります。
課題: IT担当者がおらず、管理者が請求も兼任しているケースが多い。機器への投資も限定的。
推奨アプローチ: レセプトソフトはクラウド型(月額費用・初期費用低め)を選び、補助金を最大限活用して機器コストをゼロに近づけます。ベンダーの訪問サポートを活用して設定・操作教育を受けてください。補助金の申請もベンダーがサポートしてくれるケースが多いです。
課題: 担当者によって請求業務の知識格差がある。業務の標準化が必要。
推奨アプローチ: 請求担当者を1〜2人に絞り集中的に習熟させ、レセプトソフトの操作マニュアルをステーション内で作成します。また、記録と請求の連動を最大化するシステムを選んでください。
デイサービス・特養・居宅介護支援事業所と同一法人で訪問看護ステーションを運営している場合、請求システムが他のサービスと独立していることが多く、連携が課題になることがあります。
推奨アプローチ: 訪問看護専用のレセプトソフトを別途導入し(医療保険分)、介護保険分は既存の介護ソフトで請求しつつ医療保険分だけ専用ソフトに切り替えます。将来的には医療・介護一元管理システムへの統合を検討してください。
同一利用者が介護保険(他サービス)と医療保険(訪問看護)を並行利用している場合、保険情報の管理を法人横断で統一することで、情報の齟齬が防げます。
課題: 複数ステーションの一元管理、事務コスト最適化、経営分析への活用。
推奨アプローチ: 法人全体でのシステム統一(複数ステーション一括管理が可能なシステム)を進め、請求データを経営分析に活用する仕組みを構築します。また、オンライン請求データと記録データを連携させて加算取得率を最適化してください。
オンライン請求には安定したインターネット接続が必要だが、農村部・山間部のステーションでは光回線の引き込みが困難なケースがあります。
光回線が引けない場合の選択肢:
いずれの場合も、「回線が不安定なためオンライン請求ができなかった」という状況を避けるため、バックアップ回線の確保を検討してください。
オンライン請求を始めた後に現場から出てくる疑問は、導入前には想定できないものが多い。実際の運用で出てきた疑問とその答えをまとめます。
オンライン請求の場合、送信後も取消・再送信が可能です。
ただし、取消・再送信には期限があります。同月内(10日の請求期限内)であれば取消して再送信できますが、審査が開始された後では取消できない場合があります。
取消の方法:オンライン請求システムにログインし、「取消依頼」を行います。取消が受け付けられると、レセプトが差し戻されます。修正後に再度送信します。
月の途中で利用者が死亡した場合でも、その月の実績分については通常通り請求できます。
死亡日までの訪問分は通常の訪問看護療養費で請求します。ターミナルケア療養費の算定条件(死亡前24時間以内に2回以上訪問、医師への連絡等)を満たす場合は加算も算定可能です。
死亡日が確定したら、その日以降の計画書・指示書の更新は不要です。担当ケアマネジャーへの連絡と、主治医への終了連絡を行い、最後の報告書を提出して終了となります。
原則として、医療保険の訪問看護は1か所のステーションからのみ算定できます(同一保険者・同一月に複数のステーションから医療保険で請求することは原則不可)。
ただし、例外として「複数名の加算」が認められている場合は、別の職種(看護師+理学療法士など)が別のステーションから訪問することも制度上あり得ます。
介護保険と医療保険の使い分けがある場合:「医療保険でAステーション」「介護保険でBステーション」という組み合わせは可能です。この場合、Aは医療保険分のレセプトを、Bは介護保険分の給付費を別々に請求します。
訪問看護の対象は「被保険者本人または扶養家族」です。利用者の保険証(またはマイナンバーカードのオン資確認画面)を確認し、その利用者が「どの保険証の被保険者・被扶養者か」に基づいて請求先を決定します。
利用者本人が「協会けんぽの被保険者」または「組合健保の被扶養者」であれば支払基金へ請求し、「国民健康保険の被保険者」であれば国保連へ請求します。
「利用者本人の保険種別」が判断基準です。利用者の家族(配偶者等)の保険は関係ありません。
電子請求データは、レセプトソフト側とオンライン請求システム側の両方に保存されますが、万一に備えて自身でもバックアップを取ることを推奨します。
推奨バックアップ方法としては、レセプトソフトから月次でCSV・PDF両形式でレセプトデータをエクスポートします。外付けHDDまたはクラウドストレージ(Google Drive、OneDrive等)に保存し、少なくとも法定保存期間(2年)分のバックアップを維持してください。
クラウドソフトを使っている場合でも、「バックアップの実施状況・保存期間・復旧手順」を契約前にベンダーに確認してください。「自動でバックアップされている」と思っていたら保存期間が30日しかなかった、というケースがあります。
オンライン請求と合わせて、返戻対策や加算の正確な算定も重要です。以下の記事では実務上の対応をより詳しく解説しています。
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