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訪問看護 レセプト返戻TOP10【2026年改定対応】原因と防ぐチェックリスト

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看護レポ編集部
2026年3月21日32分で読める
訪問看護 レセプト返戻TOP10【2026年改定対応】原因と防ぐチェックリスト

「提出したレセプトが返戻で戻ってきた」「原因はわかるが、毎月同じミスが繰り返される」——訪問看護ステーションの管理者・事務担当者にとって、レセプト返戻は経営と現場の両方に重くのしかかる問題です。

翌月10日までに再請求できなければ審査は翌月に持ち越され、入金はさらに1か月遅れます。介護保険の請求時効はわずか2年。処理の遅れは、正当な報酬の回収不能に直結します。

2024年12月にオンライン請求・オンライン資格確認が義務化され、2026年4月には令和8年度診療報酬・介護報酬改定が施行されました。訪問時間の記録義務化・新設加算の算定要件・機能強化型管理療養費4の登場など、返戻リスクを生む論点が一気に増えています。

本記事では、まず提出前5分でできるミス防止チェックリストを冒頭に掲載します。その上で、返戻原因TOP10(医療保険・介護保険別)・2026年改定で変わった返戻パターン・エラーコード別の対処法・再請求の5ステップ手順・返戻率を下げるシステム選びの基準を網羅的に解説します。

管理者として構築すべき「返戻ゼロ体制」の運用フローまでカバーしていますので、毎月の請求前チェックリストとしてブックマークしてご活用ください。


【提出前5分】訪問看護レセプト ミス防止チェックリスト

毎月のレセプト提出前に、このリストを上から順に確認してください。この10項目をクリアするだけで、返戻の約8割は未然に防止できます。

提出前ミス防止 10項目(医療・介護共通)

  • ① 保険証・資格情報は最新か(負担割合・被保険者番号・有効期間を今月分で再確認)
  • ② 訪問看護指示書の有効期限内にすべての訪問が収まっているか(期限切れ訪問は原則算定不可)
  • ③ 訪問開始・終了時刻がすべての訪問記録に記載されているか(2026年改定で明示化・未記載は返戻対象)
  • ④ 算定した加算の摘要欄記載が揃っているか(緊急・複数名・長時間・特別管理・退院時共同指導)
  • ⑤ 2026年改定の新設加算・新区分を正しく選択しているか(機能強化型4・医療情報連携加算・包括型・遠隔診療補助料)
  • ⑥ 24時間対応体制加算のイ・ロ区分が前年度実績と整合しているか(12回以上=イ、それ以外=ロ)
  • ⑦ 介護保険:ケアマネジャーの給付管理票と単位数が一致しているか(月8日までに確認連絡)
  • ⑧ 同日・同月算定不可の加算を重複算定していないか(特別管理Ⅰ・Ⅱの重複、医療・介護のターミナル重複 等)
  • ⑨ 要介護認定と保険適用の整合(別表第7疾患該当者の医療保険継続・月途中の入院退院の切り替え)
  • ⑩ オンライン請求データの形式チェックをクリアしているか(Shift-JIS・ファイル命名規則・点検結果ゼロ)

⚠️ 特に返戻が多いTOP3(2026年版)

  1. 訪問時間の記録漏れ(2026年改定で記録義務化・影響最大)
  2. 給付管理票の不突合(介護保険の返戻原因1位)
  3. 基本情報の入力ミス(保険証番号・生年月日の転記ミス)

このチェックリストの根拠となる返戻原因TOP10の詳細解説は、このあとの第4章(医療保険)・第5章(介護保険)で各項目ごとにチェック項目付きで解説しています。


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1. レセプト返戻とは何か

返戻(へんれい) とは、訪問看護ステーションが審査支払機関に提出したレセプトに不備や誤りがあった場合に、請求書類がそのまま差し戻されることを指します。審査支払機関とは、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会のことです。レセプトとは診療報酬明細書・介護給付費明細書のことです。

「審査に通らなかった=請求が却下されたわけではない」という点が重要です。修正して再請求すれば、正当な報酬を受け取れます。ただし再請求には期限があり、期限を逃すと入金が遅れるか、最悪の場合は時効で回収不能になります。

返戻が訪問看護に与える影響

訪問看護ステーションは人件費の比率が高く、毎月の給与支払いが固定費として重くのしかかります。返戻が発生すると次のような連鎖が起きます。

まず返戻通知が届き(提出月の翌月5〜6日ごろ)、原因調査・修正作業が発生します。再請求が翌月10日に間に合えば翌々月に入金されますが、間に合わなければさらに1か月遅延します。

月に10件の返戻があり、平均1件あたり3万円の報酬だとすると、毎月30万円の入金が1か月以上遅れる計算になります。スタッフ数名の小規模ステーションでは死活問題になりかねません。


2. 返戻・査定・過誤の三者比較

「返戻」「査定」「過誤」は混同されやすいですが、対応方法がまったく異なります。

区分 意味 発生タイミング 事業所の対応
返戻 請求書類に不備があり差し戻し 審査前(形式チェック段階) 修正して再請求(期限あり)
査定 内容を審査した結果、一部または全部を不支給と決定 審査後 不服があれば「再審査請求」
過誤 一度支払われた報酬が誤りと判明し返金を求められる 支払後に発覚 返金+正しい内容で再請求

返戻と査定の最大の違い

返戻は「書類の不備」による差し戻しです。内容の正否を審査する前の段階で弾かれます。修正して再提出すれば問題なく審査に通ることがほとんどです。

査定は「審査を通った上で、内容が要件を満たさないと判断」された場合に発生します。再審査請求には、訪問記録・指示書・算定根拠の資料を添付して争う必要があり、手続きが複雑になります。

過誤調整の注意点

過誤には「自主的に申し出る場合(自主過誤)」と「指摘を受ける場合(指摘過誤)」の2種類があります。算定要件を誤って請求し続けていた場合、遡及して返金しなければなりません。定期的な算定要件の確認は、過誤リスクの低減にも直結します。


3. 返戻の通知タイミングと流れ

医療保険(訪問看護療養費)の場合

サービス提供月(例:4月)
  ↓
翌月1〜10日 :社会保険診療報酬支払基金へ請求(オンライン)
  ↓
翌々月5〜6日:返戻通知ダウンロード(オンラインポータル)
  ↓
返戻通知月の10日まで:再請求 → 翌月審査 → 翌々月入金

2024年10月以降の変更点:返戻・再請求は原則オンライン一本化。紙の郵送によるやりとりは廃止されています。返戻ファイルは受領後3か月以内にダウンロード・処理が必要です(支払基金の運用規定で確認すること)。期限を超えると再請求ができなくなります。

介護保険(介護給付費)の場合

サービス提供月(例:4月)
  ↓
翌月1〜10日:国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求
             ※ケアマネジャーも同時期に給付管理票を提出
  ↓
翌月初旬   :「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」で返戻通知
  ↓
返戻通知月の10日まで:再請求

介護保険の返戻は、給付管理票との突合審査が起点になるケースが多く、ケアマネジャー側の問題で返戻になることがあります。月次でのコミュニケーションが返戻防止の鍵になります。

請求タイムライン早見表

月 医療保険 介護保険
サービス提供月 訪問記録作成 訪問記録・提供票作成
翌月1〜10日 支払基金へ請求 国保連へ請求
翌月5〜6日 返戻通知ダウンロード可 返戻一覧表到着
翌月10日 再請求の締め切り 再請求の締め切り
翌々月末 正常請求分の支払い 正常請求分の支払い

4. 返戻原因TOP10チェックリスト(医療保険)

訪問看護療養費(医療保険)のレセプトにおける返戻原因を頻度の高い順に整理しました。毎月の提出前にこのチェックリストを使ってください。

【返戻チェックリスト:医療保険】

第1位:基本情報の入力ミス・記載漏れ

医療保険の返戻でもっとも多い類型。手入力の転記ミスが主因で、システム化で根絶できます。

チェック項目

  • 保険者番号(8桁)が正確か
  • 被保険者証記号・番号が正確か(後期高齢者は「番号」のみ)
  • 生年月日(年号・年・月・日)に誤りがないか
  • 利用者氏名(フリガナ含む)が保険証と一致しているか
  • 事業所番号(10桁)が正確か
  • 初回訪問日の記載があるか(新規利用者は必須)
  • 訪問看護ステーションの所在地・電話番号が最新か

よくあるミスの具体例

元号の混同(昭和→平成、平成→令和)による生年月日誤りが最も多く見られます。また、後期高齢者医療の被保険者番号(8桁)への切り替え忘れや、利用者が月途中に転居・改名したのに情報を未更新のまま請求したケースも頻発しています。


第2位:訪問看護指示書の不備

訪問看護指示書は請求の根拠となる最重要書類。指示書に関する返戻は「書類の有効性」に関わるため、影響が広範囲に及びます。

チェック項目

  • 訪問看護指示書の有効期限内のサービス提供か(最長6か月)
  • 指示書の交付日・有効期間の開始日が正確に記載されているか
  • 主治医の氏名・医療機関名・電話番号が記載されているか
  • 2024年改定以降:「主たる傷病名」にICD-10等の傷病名コードが付記されているか
  • 指示書の様式が令和6年4月改定後の新様式か(旧様式は要注意)
  • 特別訪問看護指示書:月1回(または月2回の場合は要件記載)の制限を守っているか
  • 特別訪問看護指示書:有効期間(14日以内)を超えた訪問がないか

要注意:2024年改定による様式変更

令和6年(2024年)4月の診療報酬改定で、訪問看護指示書の様式が変更されました。「主たる傷病名」に傷病名コードの記載が原則化されています。医師から旧様式の指示書が届いた場合は、主治医に新様式への切り替えを依頼します。旧様式のまま請求すると返戻リスクが高まります。


第3位:算定要件の誤り

加算の要件を正確に把握せずに算定すると、返戻・査定の両面でリスクが生じます。診療報酬改定のたびに要件が変わるため、改定ごとの確認が必要になります。

チェック項目:主要加算別

加算名 チェック項目
緊急訪問看護加算(2,650円) 計画外の緊急訪問であるか/夜間・深夜・早朝の区分に応じた加算を正しく選択しているか/摘要欄に「利用者または家族から求めた内容」「主治医の指示内容」「緊急訪問の実施内容」が記載されているか(2024年改定で明確化)
複数名訪問看護加算(イ・ロ・ハ) 同行訪問の理由(暴力行為の危険など)が算定要件を満たしているか/同時訪問か否か(同時でない場合はロ・ハを算定)/摘要欄に同行理由が記載されているか
特別管理加算(Ⅰ・Ⅱ) 在宅での実施医療処置(点滴・カテーテル管理等)の内容が記録に残っているか/Ⅰ(5,000円)とⅡ(2,500円)の区分を正しく選択しているか
訪問看護情報提供療養費(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) 情報提供先・内容・様式が区分ごとの要件を満たしているか/提供した文書の写しを保管しているか
24時間対応体制加算(令和8年度改定後) イ(前年度に12回以上の夜間・深夜緊急訪問実績あり)またはロを正しく選択しているか/24時間連絡できる体制の届出をしているか

第4位:摘要欄の記載不足

摘要欄は「なぜこの加算を算定したか」を審査機関に説明する欄です。記載が不十分だと、要件を満たしていても返戻・査定の対象になります。

チェック項目

  • 20分未満の訪問:緊急性等の算定要件が記載されているか
  • 週3回超の訪問:別表第7疾患またはその他の要件が記載されているか
  • 同日複数回訪問:各回の訪問開始・終了時刻が記載されているか
  • 長時間訪問看護加算:90分超の訪問内容・理由が記載されているか
  • 退院時共同指導加算:退院日・参加医療従事者が記載されているか
  • 訪問看護ベースアップ評価料:届出の有無が確認できる記載があるか

第5位:オンライン請求システムの操作ミス

2024年12月の義務化以降、オンライン請求システム特有の操作ミスによる返戻が増加しています。

チェック項目

  • CSVファイルの文字コードがShift-JIS(オンライン請求仕様)になっているか
  • ファイル命名規則(仕様書準拠)を遵守しているか
  • 送信前の「点検結果確認」でエラーがゼロであることを確認したか
  • 返戻ファイルのダウンロード期限(3か月以内)を管理しているか
  • システムの改定対応バージョンへのアップデートが完了しているか

第6位:訪問時間の記録不備(2026年改定対応)

令和8年度(2026年)改定で、訪問開始・終了時刻の正確な記録が義務化されました。記録の不備が直接的な返戻原因になります。

チェック項目

  • 訪問看護記録書に開始時刻・終了時刻が正確に記載されているか
  • 算定した訪問時間区分(20分未満・30分以上・1時間以上等)と記録が一致しているか
  • 1日2回訪問の場合、2回目の訪問時刻と実施内容が記録されているか
  • 夜間・深夜・早朝の区分(加算対象時間帯)の判定が記録から確認できるか

第7位:保険種別・主保険の誤選択

医療保険と介護保険の適用優先度を誤ると、返戻だけでなく過誤請求のリスクも生じます。

チェック項目

  • 要介護認定を受けている利用者を医療保険で請求する場合、別表第7または第8の確認をしたか
  • 精神科訪問看護の対象者を一般の訪問看護療養費で請求していないか
  • 健康保険と労災保険が同時適用になっていないか
  • 公費負担医療(生活保護・自立支援医療等)の番号が正確に入力されているか
  • 負担割合(1割・2割・3割)が最新の情報に更新されているか

第8位:二重請求・取り下げ手続きの漏れ

一度提出したレセプトを修正する場合、適切な取り下げ・訂正手続きを経なければなりません。手続きなしに再請求すると、二重請求として返戻になります。

チェック項目

  • 前月以前のレセプト訂正:「レセプトの取り下げ依頼」を先に行ったか
  • 同月に同じ利用者の請求を複数回送信していないか
  • 取り下げが完了したことを確認してから再請求したか(手順を省略すると二重請求として差し戻されます)

第9位:訪問看護ベースアップ評価料の算定ミス

2024年度の新設加算で、算定条件や手続きが複雑なため、誤算定による返戻が発生しています。

チェック項目

  • 「訪問看護ベースアップ評価料の届出」を所轄地方厚生局に提出しているか
  • 賃金改善計画書を作成・保管しているか
  • 算定額(訪問看護ベースアップ評価料1:月1回〜)を正しく計算しているか
  • 実際の賃金改善額が計画と一致しているか(過不足は過誤の原因になる)
  • 令和8年度改定後の新たな評価額(評価料Ⅱの36区分化)に対応しているか

第10位:訪問看護管理療養費の算定誤り

月初日と2日目以降の算定額が異なること、機能強化型・非機能強化型の区分など、複雑な算定構造が誤りを生みやすい項目。

チェック項目

  • 月初日の算定:正しい区分(機能強化型Ⅰ〜Ⅲ、機能強化型4、非機能強化型)を選択しているか
  • 機能強化型の届出区分と実際の届出が一致しているか
  • 令和8年度新設の「機能強化型訪問看護管理療養費4」(※令和8年度改定の正式な告示に基づく数値です。最新情報は厚生労働省の通知をご確認ください)の要件(精神科・常勤看護職4名以上等)を満たしているか
  • 複数の医療機関から訪問看護指示書が出ている場合の主たるステーションの確認

5. 返戻原因TOP10チェックリスト(介護保険)

介護保険請求は国民健康保険団体連合会(国保連)が審査を行います。医療保険と異なり、ケアマネジャーが提出する給付管理票との突合審査が特徴的です。

【返戻チェックリスト:介護保険】

第1位:給付管理票との不突合

介護保険返戻の筆頭原因です。事業所側が完璧に請求しても、ケアマネジャー側の給付管理票に問題があれば返戻になります。

チェック項目

  • ケアマネジャーに当月の給付管理票提出を確認したか(月10日前後までに連絡)
  • 事業所が請求した単位数とケアマネジャーの給付管理票の単位数が一致しているか
  • 事業所番号(10桁)が給付管理票と一致しているか
  • サービス種別コードが正しいか(訪問看護の区分)
  • 居宅介護支援事業所の番号・名称が正確か

対策のポイント

毎月8日ごろまでに「単位数確認の連絡」を入れるルーティンを作ることが最も効果的です。特に月途中の要介護度変更・区分変更があった月は必ず確認します。


第2位:利用者の基本情報の誤り

チェック項目

  • 被保険者番号(10桁)が正確か
  • 生年月日が最新の保険証と一致しているか
  • 利用者氏名のフリガナに誤りがないか
  • 性別コードの誤りがないか
  • 要介護度(要支援1〜2、要介護1〜5)が正確か
  • 認定有効期間内のサービスか

第3位:要介護度・認定期間の管理ミス

チェック項目

  • 認定更新の結果通知を受領・記録しているか
  • 要介護度変更時に翌月分の請求から変更後の要介護度で算定しているか
  • 認定有効期間の満了前に更新申請がされているか確認したか
  • 新規認定の場合、認定開始日以前の分を請求していないか

第4位:サービスコードの誤り

チェック項目

  • 訪問看護のサービスコードが正確か(介護予防訪問看護と訪問看護の混同に注意)
  • 加算のサービスコードが正しいか(特別管理加算Ⅰ・Ⅱの区分等)
  • 同一日に算定できない加算の組み合わせがないか
  • 訪問時間区分(20分未満・30分以上・60分以上・90分以上)が記録と一致しているか

第5位・第6位:事業所情報の不一致 / 月途中の開始・終了

この2つは性質が異なりますが、どちらも「基本的な情報の確認漏れ」が原因という点で共通しています。

事業所情報(第5位) では、事業所番号が都道府県付与の番号と一致しているか確認します。届出していない加算を算定していないか、届出区分と請求区分が一致しているか(例:緊急時訪問看護加算の届出の有無)もチェックが必要です。

月途中の開始・終了(第6位) では、サービス開始年月日・中止年月日がサービス提供年月の期間内に設定されているかを確認します。利用者が入院・死亡した場合の終了日処理が適切か、退院直後の訪問で退院日当日は算定できない点(医療保険から引き続きの場合)を見落としていないかもチェックポイントです。


第7位:特別管理加算の要件確認不足

チェック項目

  • 特別管理加算Ⅰ(500単位):点滴注射・人工呼吸器等の具体的な処置内容が記録にあるか(Ⅱとの区分選択を誤らないよう注意)
  • 特別管理加算Ⅱ(250単位):それ以外の特別管理を要する状態の内容が記録にあるか
  • 同月に医療保険と介護保険の両方で特別管理加算を算定していないか(重複算定は過誤の対象です)

第8位:緊急時訪問看護加算の算定ミス

チェック項目

  • 緊急時訪問看護加算の届出(月1回・574単位)を所轄自治体に提出しているか
  • 緊急訪問が計画外のものであることを記録で確認できるか(「緊急」と記録するだけでは不十分で、経緯の記述が必要です)
  • 緊急時の連絡体制(24時間)が整っているか(届出要件)

第9位:ターミナルケア加算の算定要件確認漏れ

チェック項目

  • 死亡前14日以内に2回以上の訪問があるか
  • 家族への指導・支援の記録があるか
  • 死亡年月日と場所(在宅・医療機関移送後等)が記録に残っているか
  • 死亡診断書の写し等で死亡事実を確認しているか

第10位:請求期限の管理ミス(時効)

介護保険の請求時効はサービス提供月の翌月1日から2年間。返戻後の処理が遅れると、気づいたときには時効になっているケースがあります。

チェック項目

  • 返戻されたレセプトに時効リスクの有無を確認しているか(介護保険は2年で時効)
  • 古い返戻(1年以上前)が未処理で残っていないか
  • 月次で未解決の返戻件数・金額を台帳等で管理しているか

6. エラーコード別:原因と対処法の早見表

医療保険(社会保険診療報酬支払基金)の主なエラーコード

社会保険診療報酬支払基金の「受付・事務点検ASPに係るチェック一覧(訪問看護)令和7年4月版」に基づく主要エラーです。

エラーコード 意味 主な原因 対処法
形式エラー(受付段階) ファイル形式・文字コードの問題 Shift-JIS以外の文字コード、ファイル命名規則違反 システム設定確認・再エクスポート
基本項目エラー 必須記載事項の漏れ・形式誤り 被保険者番号桁数ミス、生年月日形式誤り 保険証原本と照合して修正
算定エラー 加算の算定要件未充足 摘要欄記載なし、算定要件確認不足 算定根拠を確認・摘要欄追記
重複エラー 同一月に同じ明細が複数送信 取り下げ未完了での再送信 取り下げ完了後に再送信
マスタ不一致 事業所・医療機関情報の不一致 指定番号更新漏れ 最新の指定番号で再申請

介護保険(国保連)の主なエラーコード

国民健康保険団体連合会が公開しているエラーコード体系は、4桁のコードで返戻理由を分類しています。

エラーコード(先頭文字) 分類 主な内容 確認先
AA 形式誤り 様式・記載形式の問題 国保連インタフェース仕様書
AB 項目属性誤り 数値・文字種の誤り(全角/半角等) 入力システムの設定確認
10 事業所台帳関連 事業所番号・届出状況の問題 自治体の指定通知書と照合
12 受給者台帳関連 利用者保険情報の問題 保険証・認定情報の更新確認
14 サービスコード関連 算定要件・加算の問題 算定要件の確認・記録の照合
AEF 日数・回数関連 算定日数・回数の超過 月の訪問回数・時間の確認
ADD 事業所番号無効 廃止・変更された事業所番号 最新の指定番号を確認

7. 2026年(令和8年)改定で変わった返戻リスク

令和8年(2026年)4月1日に診療報酬・介護報酬の改定が施行されました。訪問看護のレセプト請求に影響する変更点を、返戻リスクの観点から整理します。

2026年改定で増えた返戻パターン・早見表

改定施行後の数か月は、新ルールの習熟不足による返戻が急増します。以下の5パターンは、2026年改定で新たに返戻リスクとして加わった類型です。まずは自事業所で該当項目がないか確認してください。

新しい返戻パターン 対象 見落としやすいポイント
① 訪問時刻の記録漏れ 訪問看護療養費の算定全般 開始・終了時刻の両方を訪問看護記録書に記載(標準30分・20分以上)
② 機能強化型4の要件未達算定 新設:機能強化型訪問看護管理療養費4 常勤看護職4名以上・精神科実績・24時間対応の届出(届出なし算定は即返戻)
③ 医療情報連携加算の重複算定 新設:1,000円・月1回限り 他医療機関の診療情報をICTで活用した記録・計画的管理の記録が必須
④ 包括型訪問看護療養費の対象外算定 新設:高齢者住宅併設・隣接事業所のみ 電子記録必須・日中と夜間それぞれ1回以上の訪問要件
⑤ 同一建物居住者の日数集計ミス 訪問看護基本療養費(Ⅱ)細分化 10人以上は「月20日目まで」「月21日目以降」で料金が分かれる

対応優先度:①は全事業所に該当するため最優先です。②〜⑤は該当事業所のみですが、該当する場合は届出と記録の二重チェックが必要になります。

7-1. 訪問時間の記録義務化

令和8年度改定で、訪問看護療養費の算定において「訪問開始・終了時刻を訪問看護記録書に記載すること」が算定の前提条件として明確化されました。最も影響が大きい変更点です。

「訪問看護療養費の算定に際し、適切な時間(30分以上を標準とし、20分を下回らない)の指定訪問看護を実施した上で、それを訪問看護記録書に記載すること。」(令和8年度改定通知)

返戻リスク:時刻の記録がない・不正確な場合、訪問時間区分が確認できないとして返戻・査定の対象になります。

対応策:電子記録システムの導入(タイムスタンプ付き記録)が最も確実です。紙記録の場合も、開始・終了時刻の記入を徹底します。


7-2. 新設加算・新設報酬の算定要件

以下の新設項目は、算定要件を正確に把握しないまま請求すると返戻・査定リスクが高まります。

※以下の令和8年度改定に関する数値は、正式な告示に基づく情報です。最新情報は厚生労働省の通知をご確認ください。

機能強化型訪問看護管理療養費4(新設)

支援ニーズの高い精神科訪問看護利用者を受け入れ、24時間対応する事業所が対象です。月初日の訪問時は9,030円。施設基準は常勤看護職4名以上・24時間対応体制加算の届出・難病等および精神疾患患者への実績が条件です。届出なし・要件未達で算定すると返戻になります。

包括型訪問看護療養費(新設)

高齢者向け住宅に併設・隣接する事業所が対象で、1日単位(単一建物居住者数と訪問時間で区分)での算定です。24時間体制、日中・夜間各1回以上の訪問に加え、電子記録が必須という点が特徴的です。電子記録なし・訪問回数要件未達・対象外施設での算定が返戻の原因になります。

その他の新設項目:早見表

以下の3項目は比較的シンプルな構造ですが、算定条件を見誤ると返戻につながります。

新設項目 算定額 主な要件 返戻になりやすいポイント
訪問看護医療情報連携加算 1,000円(月1回限) 他の保険医療機関がICTで記録した診療情報を活用し計画的管理を実施 情報連携の記録がない、月複数回の算定
訪問看護物価対応料 月初日60円、2日目以降20円(令和9年6月〜倍額) ― 令和8年度と令和9年度の料金設定を混同
訪問看護遠隔診療補助料 2,650円(月1回限) D to P with Nのオンライン診療時に看護職員が同行、主治医指示・有効な指示書必須 主治医指示なし、指示書の期限切れ、月複数回算定

7-3. 同一建物居住者への訪問の細分化

令和8年度改定で「訪問看護基本療養費(Ⅱ)」(同一建物居住者)の算定区分が細分化されました。(※令和8年度改定の正式な告示に基づく数値です。最新情報は厚生労働省の通知をご確認ください)

区分は同一建物居住者数と月当たり訪問日数の組み合わせで決まります。10人以上の場合は「月20日目まで」と「月21日目以降」で別の料金設定が適用されます。

返戻リスク:同一建物の利用者数の集計ミス、訪問日数カウントの誤り。同一建物への訪問が多い事業所は特に注意が必要です。


7-4. 令和6年(2024年)改定の影響(施行済み)

2024年6月1日施行分として、以下の変更が既に適用中です。自事業所に見落としがないか確認します。

明細書の無料発行義務化(2025年5月31日まで経過措置)

利用者・家族から求めがあった場合に無料で明細書を発行する義務が課せられました。経過措置期間(2025年5月31日)終了後は猶予なく義務化されています。

24時間対応体制加算の2区分化

前年度に夜間・深夜の緊急訪問を12回以上実施した実績がある事業所は「イ(6,800円)」、それ以外は「ロ(6,520円)」となります。要注意:要件を満たしているのに「ロ」で請求し続けると適正報酬を受け取れません。逆に要件を満たさずに「イ」で請求すると返戻・査定の対象になります。毎年度の緊急訪問実績を記録し、区分を適切に選択してください。


8. 2024年義務化:オンライン請求・資格確認と返戻への影響

2024年12月にオンライン請求・オンライン資格確認が義務化されました。返戻対策の観点で押さえるべきポイントは2つです。

オンライン資格確認(オン資)で資格過誤の返戻を防げる:保険証の切り替え・退職による保険者変更をリアルタイムで把握できるため、資格過誤による返戻が大幅に減少します。

返戻ファイルは3か月以内にダウンロード・処理すること:オンライン請求環境では返戻ファイルがポータル上で提供されますが、3か月を超えるとファイルが削除され再請求ができなくなります。

義務化のスケジュール・経過措置・移行手順・補助金の詳細は、訪問看護オンライン請求 完全ガイドで解説しています。


9. 再請求の5ステップ手順

返戻が届いたときの対応を5ステップで示します。

STEP 1:返戻通知の受領と原因コードの特定

医療保険の場合

オンラインポータルから返戻ファイルをダウンロードし、エラーコード・返戻理由を確認します。続いて対象となる利用者・請求月・請求項目を特定します。

介護保険の場合

「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」を確認し、エラーコード(AA、AB、10、12、14等)から原因を特定します。ケアマネジャーが関係する案件かどうかもあわせて判断してください。

返戻通知が届いたら即日に確認するのを原則とします。「後で見よう」が積み重なると、10日の再請求期限を逃します。


STEP 2:関連資料の確認と原因の特定

エラーコードで示された問題を確認するために、以下の資料を照合します。

エラー種別 照合する資料
基本情報エラー 利用者の保険証(最新のもの)、マイナンバーカードによる資格確認結果、事業所の指定通知書
指示書関連エラー 訪問看護指示書(有効期限・様式・記載内容)、特別訪問看護指示書(月の交付回数・有効期間)
算定要件エラー 訪問看護記録書(訪問日時・内容・担当者)、算定加算に対応する診療報酬・介護報酬の算定根拠
介護保険の給付管理票不突合 ケアマネジャーへの確認(電話・メール)、給付管理票の内容と自事業所の請求内容の照合

STEP 3:修正内容の確定と記録

原因を特定したら、修正内容を確定させます。

修正箇所・修正理由・修正者は必ず記録に残します。同じミスが他の利用者・他の月にも発生していないか確認します。状況によってはケアマネジャーや主治医への連絡・相談も必要になります。

ケアマネジャーが原因の場合

ケアマネジャーに事実を伝え、給付管理票の修正・再提出を依頼します。ケアマネジャー側の修正が完了したことを確認してから再請求してください。


STEP 4:再請求データの作成と提出

医療保険の再請求

請求システムで対象レセプトを修正し、修正後のCSVデータをエクスポートします(文字コード・フォーマットの確認必須)。オンラインポータルからアップロード(返戻月の翌月10日までに送信)し、送信後の受付確認メッセージを保存します。

介護保険の再請求

請求システムで対象明細書を修正し、国保連インタフェース仕様書準拠の形式で出力します。国保連への再送信(同じく翌月10日までに送信)が完了したら受付確認を保存します。

注意:介護保険の場合、過去月の請求を修正する際は「過誤申立→返戻→再請求」の手順が必要な場合があります。単純に再送信するだけでは二重請求となるケースがあるため、国保連の案内に従って手続きします。


STEP 5:再発防止策の記録と横展開

再請求が完了したら、そこで終わらせずに再発防止に活かします。

記録すること

返戻の原因(分類・詳細)、再請求処理の内容、再発防止のために変更したルール・チェックリストを必ず記録に残します。

再発防止策は横展開してこそ効果を発揮します。同じミスが他の利用者でも起きていないか確認し、スタッフへ周知(記録の書き方・算定要件の確認方法等)を行い、マニュアル・チェックリストに反映させます。

月次の返戻分析

毎月の返戻件数・原因の分類を記録することで、「どの原因が繰り返されているか」が可視化できます。返戻件数が多い原因に集中して対策を打つことが、返戻率の継続的な低減につながります。


10. 管理者が構築すべき返戻ゼロ体制

スタッフが数名の小規模ステーションでも実施できる体制整備の方法をまとめました。

10-1. 月次請求ルーティンの確立

タイミング 実施内容 担当
月初〜5日 先月サービス分の訪問記録の最終確認 訪問担当
月初〜8日 ケアマネジャーへの給付管理票確認連絡 事務
月5〜9日 レセプトデータの作成・チェックリスト確認 事務
月10日 提出期限(再請求も同じ) 事務・管理者
翌月5〜6日 返戻通知の確認・原因分類・再請求準備開始 事務・管理者
翌月8日 ケアマネジャー問題の場合の対応完了目標 事務・管理者

10-2. ダブルチェックの仕組み

1人体制のステーションでは「翌日チェック」が有効です。当日自分で作成したレセプトを翌日別の目で見直すことで、誤りを発見しやすくなります。

複数人体制の場合は、作成者と確認者を分け、確認者が元の訪問記録と照合したうえで確認結果をチェックシートに記録・署名する仕組みを作ります。


10-3. 算定マニュアルの整備と更新

加算ごとに以下の内容をまとめた一覧表を作成します。

項目 記載内容
加算名 正式名称と略称
算定額 金額・単位数
算定要件 具体的な条件
届出の要否 届出先・届出方法
摘要欄記載 必須記載事項の文例
関連記録 残すべき記録・書類
最終更新日 改定年月日

改定のたびに更新し、古い版は廃棄または改定履歴として管理します。


10-4. 保険情報の月次確認ルール

全利用者の保険情報確認タイミング

毎月1日時点での保険証確認を基本とし、負担割合変更が多い4月・10月は特に注意が必要です。利用者から転職・退職の連絡があった場合は即時確認してください。

リスクの高い利用者リスト

保険証有効期限が3か月以内の利用者や、75歳の誕生日が近く後期高齢者医療制度への切り替えが迫っている利用者は要注意です。加えて、家族が変動しやすい職種(派遣・非正規等)に就いている被扶養者も保険情報が変わりやすいため、重点的に確認します。


10-5. ケアマネジャーとの連携強化

介護保険返戻の多くはケアマネジャーとの情報共有で防げます。

月次確認の連絡テンプレート(例)

〇〇ケアマネジャー様、いつもお世話になっております。 〇月分の訪問看護の単位数を以下のとおり請求予定です。 利用者名:〇〇様 請求予定単位数:〇〇〇単位 相違がある場合は〇日(月8日ごろ)までにご連絡ください。

関係性が良好であるほど、ケアマネジャー側の給付管理票のミスも早期に発見・修正できます。


11. 医療保険と介護保険:請求業務の比較早見表

訪問看護の請求業務は、医療保険と介護保険で手続きが大きく異なります。対比形式で整理しました。

項目 医療保険(訪問看護療養費) 介護保険(介護給付費)
請求先 社会保険診療報酬支払基金 国民健康保険団体連合会
請求形式 訪問看護療養費明細書 介護給付費明細書
請求方法 オンライン(義務化済み) オンライン(原則)
提出期限 翌月1〜10日 翌月1〜10日
返戻通知 翌月5〜6日頃(ポータル) 翌月初旬(一覧表)
再請求期限 返戻通知月の10日まで 返戻通知月の10日まで
請求時効 5年 2年
突合審査 なし(単独審査) 給付管理票との突合
算定の根拠 主治医の訪問看護指示書 ケアプラン・主治医指示書
訪問制限 週3回(原則)・別表第7で緩和 制限なし(ケアプランに基づく)
適用優先 要介護者は介護保険が優先(例外あり) 基本的に介護保険

12. 返戻率を下げるシステム選びのポイント

12-1. システムが返戻に影響する3つのポイント

① 記録と請求データの自動連動

訪問記録を入力すると、そのデータが自動的に請求データに反映されるシステムは、転記ミスを根本から防止できます。「紙の記録 → 手入力で請求システムに転記」というフローは、最も返戻リスクが高いプロセスです。

② 改定対応の速度と確実性

診療報酬・介護報酬の改定は2年ごとに行われます。システムが改定に対応するバージョンアップを、施行日前に確実に提供しているかを確認します。改定対応が遅れたシステムを使い続けると、新算定要件でのエラーが発生します。

③ オンライン請求・資格確認への対応

2024年12月義務化への対応は現在の最低要件です。マイナンバーカードを使った訪問先でのオンライン資格確認に対応しているかを確認します。

12-2. 看護レポの特徴

「看護レポ」は、LINEでの訪問記録から自動で請求CSVを生成する訪問看護専用の記録・請求システムです。

返戻リスクを下げる仕組み

LINE入力の訪問記録が請求データに直結し転記ミスが発生しない構造で、国保連インタフェース仕様書準拠のCSVを自動出力(Shift-JIS対応)します。記録から算定内容が整合されるため手計算による算定ミスが起きにくく、スマートフォンで記録できるため訪問現場での記録漏れも減ります。

料金体系

プラン 月額料金 主な機能
フリープラン 0円 管理者+看護師1名、全基本機能(記録・請求CSV出力)
チームプラン 980円/人/月 複数スタッフ・写真添付・AI月次サマリー・優先サポート等

主要競合との比較(参考):カイポケ月2.5万円〜、iBow月1万円〜。看護レポはフリープランで基本的な記録・請求機能を無料で利用できます。

小規模ステーションで「まず転記ミスをなくしたい」「システム費用を抑えたい」という場合は、フリープランから試せます。

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13. よくある質問(FAQ)

Q1. 返戻されたレセプトはいつまでに再請求すればいいですか?

返戻通知を受け取った月の10日までに再請求するのが理想です。この期限内であれば、その月の審査に間に合い、翌月末に入金されます。10日を過ぎると審査は翌月扱いとなり、入金がさらに1か月遅れます。

請求の時効は医療保険が5年、介護保険が2年。介護保険は時効が短いため、古い返戻が未処理で残っていないか定期的に確認します。


Q2. 介護保険の返戻がケアマネジャーの問題で発生した場合、どうすればいいですか?

ケアマネジャーの給付管理票に誤りや提出漏れがある場合、事業所側の請求が正確でも返戻になります。対応手順は以下のとおりです。

まずケアマネジャーに返戻の内容と原因を伝え、給付管理票の修正・再提出を依頼します。修正の完了を確認した後、自事業所のレセプトを再請求します。

毎月8日ごろまでに確認の連絡を入れる習慣をつけることで、この種の返戻を事前に防止できます。


Q3. オンライン請求に対応していない場合、どうなりますか?

2024年12月2日以降、正当な理由なくオンライン請求に対応していない場合は請求が受け付けられないリスクがあります。

光回線未整備地域など一部の例外を除き、経過措置期間は終了しています。未対応の場合は、所轄の地方厚生局に相談して対応方針を確認します。


Q4. 返戻ファイルのダウンロード期限を過ぎてしまいました。どうすればいいですか?

医療保険のオンライン請求の返戻ファイルは、受領後3か月以内にダウンロードする必要があります(支払基金の運用規定で確認すること)。この期限を超えるとファイルが削除され、原則として再請求ができなくなります。

まず社会保険診療報酬支払基金に連絡して対応を確認します。時効(5年)の範囲内であれば、別途書面での対応が可能な場合もあります。


Q5. 返戻と査定の違いを実務的に教えてください。

返戻は「書類の形式不備・記載ミス」による差し戻しです。修正して再請求すれば、ほぼ問題なく審査に通ります。

査定は「審査の結果、算定要件を満たさないと判定」された場合の一部または全部不支給になります。不服がある場合は「再審査請求」という手続きが必要で、訪問記録・指示書等の根拠資料を添付して争います。

実務的には、返戻は比較的対応しやすく、査定は対応が困難です。査定が繰り返される場合は、算定要件の根本的な見直しに踏み込む必要があります。


Q6. 2026年4月の改定で一番気をつけることは何ですか?

最優先で確認すべき点は3つあります。

第一に、訪問時間の記録義務化への対応です。訪問看護記録書に開始・終了時刻を正確に記載することが算定の前提条件となり、電子記録システムの活用が最も確実です。

第二に、新設加算の算定要件確認です。機能強化型訪問看護管理療養費4、包括型訪問看護療養費、訪問看護医療情報連携加算など複数の新設項目があります。届出要件と算定要件を事前に確認します。

第三に、24時間対応体制加算のイ・ロ区分の継続確認です。前年度の緊急訪問実績(12回以上)があるかを確認し、正しい区分で請求します。


Q7. 訪問看護指示書の有効期限が切れていた場合、どう対応しますか?

有効期限切れの指示書で訪問した場合、その期間の訪問看護療養費は原則として請求できません。

対応手順として、主治医に連絡して速やかに新しい訪問看護指示書を交付してもらいます。指示書の不備期間については主治医と対応方法を協議し、再発防止のため指示書の有効期限管理(3か月・6か月前アラート)を仕組み化します。

有効期限切れによる返戻は、システムでのアラート設定で完全に防止できます。


Q8. 記録システムを変えると返戻は本当に減りますか?

特に「転記ミス」起因の返戻は大幅に減少します。ただし、算定要件の理解不足や保険情報の更新漏れは、システム化だけでは防げません。

返戻原因のうち転記・入力・操作に起因する項目(第1位・第5位・第6位)は、記録と請求の自動連動によって大幅に削減できます。一方、算定要件の解釈ミスや保険情報の更新漏れは、システム化だけでは防げないため、ルール・体制の整備で対応します。


Q9. 月途中で利用者が入院した場合、レセプトはどうすればいいですか?

入院した日から介護保険の訪問看護は算定できなくなります(医療保険は入院中の訪問看護は病院が行うため、在宅事業所からの訪問は原則不可)。

介護保険の場合、サービス終了日を入院日の前日で設定します。ターミナルケア加算の要件(死亡前14日以内)に該当する場合は、記録との整合も必ず確認してください。

月途中でのサービス終了は返戻リスクが高い場面です。ケアマネジャーとの情報共有を速やかに行ってください。


Q10. 自事業所の返戻率の目安はありますか?

業界の平均的な返戻率に関する公式統計は公表されていません。月次返戻件数・金額を記録・追跡することで自事業所の傾向を把握できます。

改善の目安は次のとおりです。月次返戻件数ゼロが理想的な目標、返戻率1%未満は良好な水準です。同じ原因の返戻が3か月連続で発生している場合は、仕組みの改善が必要なサインと判断してください。

1件の返戻を処理するためには、原因特定・関連資料の照合・修正データ作成・再送信というフローを踏む必要があり、実務経験上30〜60分の工数がかかります。返戻件数の削減は、事務作業の軽減という観点からも重要です。


14. まとめ:返戻対策ロードマップ

訪問看護レセプトの返戻を減らすための対策を、優先度順にまとめました。

フェーズ1:即実行(今月から)

今月すぐ実行できる対策として、本記事の医療保険・介護保険TOP10リストを提出前チェックに活用します。毎月8日ごろにケアマネジャーへ単位数確認の連絡を入れ、月5〜6日にオンラインポータルで返戻ファイルの有無を確認する習慣をつけます。過去に未処理の返戻が残っていないかも棚卸しします(介護保険は2年時効に注意)。

フェーズ2:1〜3か月で整備

1〜3か月の間に体制を整えます。加算ごとの要件・摘要欄記載・関連記録を一覧化した算定マニュアルを作成します。訪問看護指示書の有効期限アラートの仕組みを構築し、2026年改定対応(訪問時間記録の徹底・新設加算の届出要件確認)を完了させます。チェックシートと確認フローを文書化したダブルチェック体制も整えます。

フェーズ3:中期的な改善

中期的には、記録と請求が連動するシステムへの移行を検討します。原因別・利用者別の返戻データを記録・分析する月次返戻分析を開始し、改定ごとの勉強会と算定要件の共有ルールを仕組み化します。訪問先でのリアルタイム資格確認としてオンライン資格確認の活用も強化します。


返戻ゼロに向けた根本的な考え方

返戻を「避けられないもの」ではなく「仕組みで防げるもの」として捉えることが出発点になります。

**返戻の8割は仕組みで防げます。**具体的には、記録と請求の自動連動による転記ミスの排除、保険情報・給付管理票の月次確認ルーティンの徹底、改定ごとの算定マニュアル更新の3点が柱です。

残りの2割は、算定要件の解釈や主治医・ケアマネジャーとの連携に関わる問題です。これは日常的な関係性構築と丁寧なコミュニケーションで改善できます。


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付録A:訪問看護の加算別・摘要欄記載例

本章では、返戻につながりやすい加算の摘要欄記載例を具体的に示します。審査機関は摘要欄の記載内容をもとに算定要件の確認を行います。記載が不十分だと、要件を満たしていても返戻・査定の対象になります。

A-1. 緊急訪問看護加算(医療保険)

緊急訪問看護加算は2024年改定で摘要欄記載要件が明確化されました。以下の3点をすべて記載します。

記載必須の3項目

記載必須の3点は、①利用者または家族が求めた内容(主訴)、②主治医の指示内容、③緊急の指定訪問看護の実施内容です。これらすべてを摘要欄に記載します。

記載例(深夜訪問)

【緊急訪問看護加算】
訪問日時:〇月〇日 午前2時15分〜午前3時10分
求めた内容:利用者家族より「急に呼吸が苦しそうになった」と連絡あり
主治医指示:酸素流量の調整・状態観察・必要に応じて救急要請
実施内容:SpO2低下(88%)を確認。酸素流量を2L→3Lに調整。
         バイタル安定後、主治医に報告。継続観察を指示された。

記載例(夜間訪問)

【緊急訪問看護加算・夜間】
訪問日時:〇月〇日 午後11時30分〜翌0時20分
求めた内容:「点滴が漏れている、痛い」と利用者本人より電話
主治医指示:点滴刺し直し、感染徴候の確認
実施内容:左前腕の点滴漏れを確認。右手に刺し直し実施。
         発赤・腫脹なし。点滴再開、状態安定を確認して退出。

A-2. 複数名訪問看護加算(医療保険)

複数名訪問看護加算は「なぜ2名で訪問する必要があるか」の理由が審査で確認されます。

加算区分と主な算定理由

区分 内容 同行者
加算イ(同時訪問) 同時に2名が訪問 看護師等
加算ロ(同時訪問) 同時に2名が訪問 看護補助者等
加算ハ(単独時とは別時間に訪問) 別時間に2名目が訪問 看護補助者等

記載例(暴力行為リスクの場合)

【複数名訪問看護加算イ】
訪問日時:〇月〇日 午前10時〜11時(看護師A・看護師B)
同行理由:利用者の暴力行為リスクあり(過去の攻撃的言動の記録あり)。
         安全確保のため複数名での訪問が必要と判断。
         主治医の指示書に「複数名での訪問を要する」旨記載あり。

記載例(重度の医療処置の場合)

【複数名訪問看護加算ロ】
訪問日時:〇月〇日 午後2時〜3時(看護師・看護補助者)
同行理由:人工呼吸器管理中の利用者への吸引・体位交換・経管栄養管理の
         同時実施のため、安全確保を目的として複数名での訪問が必要。

A-3. 特別管理加算(医療保険・介護保険)

医療処置の内容と実施状況を具体的に記録・記載しないと、特別管理加算の算定根拠が取れず返戻になります。

医療保険での記載例(特別管理加算Ⅰ)

【特別管理加算Ⅰ(5,000円)】
対象:在宅中心静脈栄養法実施中
実施内容:CVポート刺し直し(月〇日)、輸液ラインのフラッシュ(週3回)
          感染徴候の確認・カテーテル固定状況の確認
記録:訪問看護記録書〇月〇日〜〇月〇日分参照

介護保険での記載例(特別管理加算Ⅱ)

【特別管理加算Ⅱ(250単位)】
対象:カテーテルの使用(留置カテーテル管理中)
実施内容:バルーンカテーテルの管理・尿量確認・固定状況確認(毎訪問時)

A-4. 長時間訪問看護加算(医療保険)

90分超の訪問が必要な医学的理由を具体的に記載します。

記載例

【長時間訪問看護加算(5,200円)】
訪問時間:午前10時〜12時15分(135分)
長時間訪問の必要性:
・気管カニューレ管理(吸引・加湿・固定確認):40分
・胃瘻からの経管栄養注入・管理:35分
・褥瘡処置(仙骨部・右大転子部):25分
・服薬管理・バイタル確認・家族への指導:25分
上記複数の医療処置を安全に実施するためには90分超の時間が必要。

A-5. ターミナルケア加算(医療保険・介護保険)

ターミナルケア加算は請求要件が厳格です。記録と摘要欄の整合を確認した上で算定します。

算定要件の確認ポイント

ターミナルケア加算を算定するには、死亡日および死亡日前14日以内に2日以上の訪問看護を実施していることが必要です。また、終末期の身体症状の変化・療養環境等の把握と主治医との連絡、利用者・家族の精神的支援のための相談支援を行った記録が必須です。

医療保険での記載例

【ターミナルケア加算(2,000円)】
死亡日:〇年〇月〇日
死亡前14日以内の訪問:〇月〇日、〇月〇日、〇月〇日、〇月〇日(計4回)
実施内容:疼痛コントロール、家族への精神的支援、主治医との連絡調整
         在宅での看取りを本人・家族が希望し、最期まで在宅で過ごせるよう支援。

付録B:同日・同月算定できない組み合わせ一覧

知らずに算定すると確実に返戻・査定の対象になる禁止組み合わせをまとめました。

B-1. 医療保険の算定制限

同日算定できない組み合わせ

一方を算定すると もう一方は算定不可 理由
緊急訪問看護加算(夜間・早朝・深夜) 夜間訪問看護加算等との重複 時間帯加算の重複禁止
訪問看護管理療養費(月初日) 同日に複数の訪問看護ステーションの訪問(主たる事業所以外) 主たる事業所のみ算定
長時間訪問看護加算 別の訪問回数分での算定(同日複数回の場合) 1日1回限り

同月算定できない組み合わせ

加算 制限内容
退院時共同指導加算 1人の利用者につき退院・退所ごとに1回限り(特例あり)
訪問看護情報提供療養費Ⅰ 同月に2回算定不可
訪問看護情報提供療養費Ⅱ 1人の利用者に同月算定不可(転院等の特例あり)
訪問看護ターミナルケア療養費 死亡月のみ算定可(同月の定期訪問との重複確認)

B-2. 介護保険の算定制限

同日算定できない組み合わせ

一方を算定すると もう一方は算定不可
初回加算(Ⅰ) 初回加算(Ⅱ)との同時算定
退院時共同指導加算 初回加算(同一の退院・退所事例)

同月算定できない組み合わせ

加算 制限内容
緊急時訪問看護加算 1利用者につき1か所の事業所のみ算定可
ターミナルケア加算(介護) 同月に医療保険のターミナルケア加算との重複算定不可
特別管理加算 Ⅰ・Ⅱを同月同時算定不可(いずれか高い方を選択)

B-3. 医療保険と介護保険の切り替え時の注意

医療保険と介護保険の適用が変わるタイミングで誤りが発生しやすいケースを整理します。

要介護認定を取得したときは、原則として介護保険優先に切り替わります。なお「別表第7」に掲げる疾患・状態の利用者は医療保険での訪問看護を継続できます。切り替えのタイミング(認定開始日)を正確に把握して、請求を切り替えてください。

入院から退院したときは、退院当日の訪問看護について医療保険の訪問看護療養費を算定できます(ただし病院と同日は不可)。退院直後の初回加算については、過去2か月以内に医療保険の訪問看護を提供した場合、介護保険の初回加算は算定できません。

別表第7疾患の確認

別表第7に掲げる疾患の利用者は、要介護認定があっても医療保険で訪問看護を算定できます。以下の疾患が対象です(代表例)。

主な対象疾患は、末期の悪性腫瘍・多発性硬化症・重症筋無力症・スモン・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・脊髄小脳変性症などです。ハンチントン病・進行性筋ジストロフィー症・多系統萎縮症・プリオン病・亜急性硬化性全脳炎・ライソゾーム病・副腎白質ジストロフィーも含まれます。脊髄性筋萎縮症・球脊髄性筋萎縮症・慢性炎症性脱髄性多発神経炎・後天性免疫不全症候群・頸髄損傷・人工呼吸器使用者も対象です。パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病の一部)も該当します。


付録C:訪問看護指示書の有効期限管理テンプレート

指示書管理台帳の項目

小規模ステーションでも運用できるシンプルな指示書管理台帳のフォーマット。

利用者名 担当医・医療機関 指示書種別 有効期間(開始) 有効期間(終了) 更新依頼日 受領確認日 備考
(氏名) (医師名・病院名) 通常/特別 〇年〇月〇日 〇年〇月〇日 〇年〇月〇日 〇年〇月〇日 ICD-10コード有無

有効期限アラートの設定基準

指示書の残存期間 アクション
2か月前 主治医・医療機関への更新依頼の準備
1か月前 更新依頼の送付(電話・FAX・訪問時に依頼)
2週間前 未受領の場合は再度確認
1週間前 緊急確認・必要に応じて訪問看護を一時的に調整
期限当日 新しい指示書なしでの訪問は原則不可

特別訪問看護指示書の月次管理

特別訪問看護指示書は有効期間が最長14日と短く、算定制限(月1回、例外的に月2回)があります。

月次チェック事項

当月に特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者を一覧化し、有効期間(最大14日)内の訪問のみ算定していることを確認します。月2回算定の場合は、気管カニューレ使用中または真皮を超える褥瘡の記載があるかも確認します。前月の指示書が終了した後に今月分の指示書を交付してもらっているかも月初に必ずチェックします。


付録D:月次返戻管理シート(使用例)

返戻件数・金額・原因を月次で管理することで、繰り返しのミスを発見・対策できます。

返戻管理シート記録例

発生月 利用者名 保険区分 返戻原因(コード) 返戻金額 再請求月 状態 再発防止策
2026/01 〇〇様 介護 14(サービスコード誤り) 12,500円 2026/02 完了 チェックリスト更新
2026/01 △△様 医療 基本情報誤り(生年月日) 8,200円 2026/02 完了 転記手順変更
2026/02 □□様 介護 給付管理票不突合 25,000円 2026/03 処理中 CM連絡の早期化

月次分析ポイント

月次の返戻データを蓄積すると、以下のような傾向分析が可能になります。

原因別集計

原因分類 件数 金額 割合
基本情報の誤り — — —%
算定要件の誤り — — —%
給付管理票不突合 — — —%
指示書の不備 — — —%
その他 — — —%

3か月分のデータを集計すると、自事業所の「返戻が多い原因」が見えてきます。件数が多い原因から優先的に対策を打つことが、返戻率の効率的な低減につながります。


付録E:令和6年・令和8年改定 変更点対照表

2024年(令和6年)と2026年(令和8年)の両改定を一覧で比較できる対照表。

医療保険(訪問看護療養費)の主要変更点

項目 令和6年改定(2024年6月施行) 令和8年改定(2026年4月施行)
訪問看護指示書 傷病名コード(ICD-10等)の記載を原則化 継続(変更なし)
24時間対応体制加算 イ(6,800円)・ロ(6,520円)に2区分化 継続(実績要件の継続確認が必要)
ベースアップ評価料 新設(訪問看護BUP評価料1・2) 評価料Ⅱを36区分化・金額引き上げ
緊急訪問看護加算 摘要欄記載要件の明確化 継続
オンライン請求 7月請求分から開始・12月義務化 継続(経過措置一部終了)
記録要件 特になし 訪問開始・終了時刻の記録義務化
機能強化型管理療養費 Ⅰ〜Ⅲの3区分 4(新設)を追加し4区分化
包括型訪問看護療養費 なし 新設(高齢者住まい併設事業所向け)
医療情報連携加算 なし 新設(1,000円・月1回)
物価対応料 なし 新設(月初日60円・2日目以降20円)
遠隔診療補助料 なし 新設(2,650円・月1回)
明細書の無料発行 義務化(経過措置あり) 継続(経過措置終了)

介護保険(介護給付費)の主要変更点

項目 令和6年改定(2024年6月施行) 令和8年改定(2026年4月施行)
訪問看護費 基本報酬の見直し 基本報酬・加算の継続的整理
処遇改善加算 ベースアップ評価加算の新設 新・処遇改善加算に統合(特定・職場環境要件等)
ICT活用 記録の電子化推進 包括型での電子記録必須化

付録F:訪問看護ステーション規模別・返戻対策の優先度

ステーションの規模によって、返戻対策として取り組むべき優先事項が異なります。

小規模(スタッフ1〜5名、1人事務体制)

小規模ステーションの課題は「事務担当者が1人で全利用者の請求業務を担う」という構造的なリスクです。人的ミスが起きやすく、ダブルチェックも自分一人で行わなければなりません。

優先対策

転記ミスの根絶を最優先に、記録・請求の自動連動システムの導入を検討します。あわせて翌日セルフチェック習慣(当日作成→翌日別の目で確認)を取り入れます。ケアマネジャー月次確認はテンプレートで定型化し、訪問看護指示書の有効期限アラートも設定します。

中規模(スタッフ6〜15名、専任事務1〜2名)

専任事務が配置されているため、ダブルチェック体制の構築が現実的。一方で利用者数の増加に伴い、管理対象の情報量が増えます。

優先対策

作成者・確認者分離のダブルチェック体制を構築し、加算算定マニュアルを整備して改定ごとに更新します。月次返戻分析と原因別トラッキングを行い、**算定要件の定期周知(勉強会・メール共有)**でスタッフへの情報共有を徹底します。

大規模(スタッフ16名以上、複数事務担当)

複数事務担当間での確認漏れや、担当変更時の引き継ぎミスが新たなリスクになります。

優先対策

業務フローの標準化・マニュアル化を進め、返戻分析の責任者を設定して月次報告体制を整えます。システムの算定チェック機能を積極的に活用し、内部研修と改定対応を組織的に実施する体制を確立します。


付録G:訪問看護請求業務の年間スケジュール

毎年の診療報酬・介護報酬の改定タイミングと、請求業務に影響するイベントを年間カレンダーで整理しました。

毎年発生するイベント

月 主なイベント 請求業務への影響
1月 後期高齢者の負担割合の確認 1月1日以降の負担割合変更に注意
3月 年度末の利用者状態変化 4月の要介護度更新・保険情報変更の確認準備
4月 診療報酬・介護報酬改定(2年ごと) 算定マニュアルの更新・システムのバージョンアップ確認
6月 利用者の負担割合変更(前年の収入に基づく) 2割・3割負担への変更通知の確認
7月 医療保険の後期高齢者保険証更新 更新後の保険証情報の取得・システム更新
8月 後期高齢者の負担割合変更(多くが8月1日) 変更通知の受領・システム反映の確認
10月 負担割合変更の対象者確認 1割→2割など変更になる利用者のリスト化
11月 翌年度の改定情報の収集開始 改定案のパブリックコメント・業界団体の情報収集
12月 年末の利用者情報更新 翌年1月以降の保険情報確認

2年ごと(偶数年度)の重要イベント

年度 改定内容 レセプトへの影響
2024年(令和6年)4〜6月 診療報酬・介護報酬トリプル改定 算定区分・加算要件・摘要欄記載の全面見直し
2026年(令和8年)4月 診療報酬・介護報酬改定 新設加算・訪問時間記録義務化への対応
2028年(令和10年)4月 次回改定(予定) 事前準備が重要

改定前後の1〜2か月は、算定ミスによる返戻が増加する傾向があります。改定施行月から2か月程度は、普段より念入りにチェックします。


参考・出典

本記事は以下の一次資料・公的情報に基づいています。

  1. 社会保険診療報酬支払基金「チェック一覧(訪問看護)令和7年4月版」
  2. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
  3. 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」
  4. 一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和8年度診療報酬改定まとめ」
  5. GemMed「医療保険の訪問看護で2024年12月からオンライン請求・オンライン資格確認義務化」
  6. 日本訪問看護財団「訪問看護ステーションにおけるオンライン請求・オンライン資格確認(居宅同意取得型)の導入および経過措置について」
  7. 神奈川県国民健康保険団体連合会「返戻(保留)事由の解説」


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