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2026年改定で訪問看護引き下げ|単価逓減と対策チェック

看
看護レポ編集部
2026年4月21日10分で読める
2026年改定で訪問看護引き下げ|単価逓減と対策チェック

訪問看護2026年改定における引き下げ項目とは、令和8年(2026年)6月1日施行の告示74号で単価・要件が引き下げ・減算された項目を指します。全体改定率は+3.09%のプラス改定ですが、訪問看護分野では「効率化▲0.15%」の一部として、同一建物居住者への訪問看護(Ⅱ)が抜本的に改定されました。引き下げ項目の実数値と、小規模ステーションが経営影響を最小化する対策を整理します。

この記事のポイント

  • 全体改定率は**+3.09%のプラス改定**。訪問看護の引き下げは「効率化▲0.15%」の一部財源です
  • 同一建物居住者への訪問看護(Ⅱ)で10人以上区分を新設し単価逓減(最大約50%減)
  • 同一建物の定義が拡大(同一敷地内の別棟も対象に)
  • 20分未満訪問は算定不可、30分以上を標準化
  • 機能強化型管理療養費は引き上げ(+530円等)でバランス調整

1. 引き下げは+3.09%全体のうち「▲0.15%の一部」

まず押さえるべき点は、2026年改定の全体改定率が**+3.09%(R8+R9の2年度平均)のプラス改定**であることです。訪問看護2026改定で、すべての項目が引き下げられたわけではありません。むしろ、プラス改定の中で一部項目を適正化する構造です。

大臣折衝事項(令和7年12月24日)の改定率内訳

令和7年12月24日の大臣折衝事項で、厚生労働省は以下の配分を決定しました(出典:訪問看護ステーション向け資料)。

項目 配分率
賃上げ分 +1.70%
物価対応分 +0.76%
食費・光熱水費分 +0.09%
R6以降経営環境悪化緊急対応分 +0.44%
効率化(後発品・在宅医療・訪問看護適正化・リフィル等) ▲0.15%
その他 +0.25%

「効率化▲0.15%」の財源として、厚生労働省は「実態を踏まえた在宅医療・訪問看護関係の評価の適正化」を施行しています。これが訪問看護2026改定における引き下げの対象となった項目の財源です。

年度別の内訳

訪問看護の改定率は年度で異なります。令和8年度(R8.6〜)には**+2.41%、令和9年度(R9.6〜)には+3.77%**のプラス改定です。つまり、訪問看護2026改定では「プラス改定のなかで一部項目が引き下げられた」という構造で、引き下げ項目だけを恐れず、引き上げ項目との差し引きで経営影響を適切に捉えることが重要です。


2. 同一建物居住者への訪問看護(Ⅱ)の抜本改定

2026年改定で訪問看護分野の最大の引き下げは、**同一建物居住者への訪問看護基本療養費(Ⅱ)**です。3つの主要な変更が同時に実施されました。

変更点①:10人以上区分を新設(単価逓減)

従来の訪問看護基本療養費(Ⅱ)は「2人」「3人以上9人以下」の2区分でしたが、改定後は新たに10〜19人・20〜49人・50人以上の区分を新設しました。同時に月の訪問日数でも区分を細分化し、月20日目までと月21日目以降で単価を分けています(出典:告示第74号)。

看護師等の単価(1日につき)

人数 週3日目まで 週4日目以降
2人 5,550円 6,550円
3〜9人 2,780円 3,280円

10人以上の新設区分(看護師等・日数で細分化)

人数 月20日目まで 月21日目以降
10〜19人 2,760円 2,660円
20〜49人 2,710円 2,610円
50人以上 2,610円 2,510円

准看護師は上記から約500円減。理学療法士等も看護師と同額体系。

もっとも大きな引き下げは「同一建物50人以上・月21日目以降の2,510円」です。これを2〜9人区分(3,280円)と比較すると、約23%の単価逓減となります。大規模高齢者住まい併設ステーションでは、月単位で数十万円規模の経営影響が生じる可能性があります。

変更点②:「同一建物」の定義拡大

改定後の「同一建物」には、同一敷地内の別棟も含まれるよう定義が拡大されました(出典:疑義解釈その2)。

具体的には以下が対象となります。

  • ① 同一地番の敷地内
  • ② 公道に出ずに敷地を行き来できる等、一体的に利用されている敷地

ただし、UR大規模団地のように他者が占有する土地で隔てられ建物間距離が離れている場合は含まれません。

従来「別建物」として扱えていた敷地内別棟が「同一建物」に該当するようになったため、人数カウントの対象範囲が大幅に拡大したケースが多数発生しています。

変更点③:20分未満訪問は算定不可、30分以上を標準化

改定後は20分を下回る訪問は訪問看護療養費を算定できません。30分以上の訪問を標準化する方向性が告示で示されました。短時間の安否確認目的の訪問が算定対象から外れる点に注意が必要です。

訪問時間の記録が曖昧な場合、レセプト返戻のリスクが高まります。開始・終了時刻を明確に記録する運用を確立することが必須です(返戻対策の詳細は訪問看護レセプト返戻対策【2026改定対応】チェックリストを参照)。


3. 加算の引き下げ:複数名・夜間早朝・深夜・難病等複数回

基本療養費(Ⅱ)以外にも、同一建物居住者の人数で逓減する加算が多数あります。引き下げ幅が大きい順に整理します。

3-1. 深夜訪問看護加算(最大約64%減)

同一建物3人以上の場合、月16日目以降の減算区分が新設されました(出典:告示第74号)。

人数 月15日目まで 月16日目以降
1〜2人 4,200円 4,200円
3〜9人 4,200円 4,000円
10〜19人 3,900円 2,300円
20〜49人 2,100円 1,500円
50人以上 1,800円 1,300円

もっとも大きな引き下げは「同一建物20〜49人・月16日目以降の1,500円」で、従来の4,200円相当から約64%の単価低下です。

3-2. 難病等複数回訪問加算(1日3回以上・最大約51%減)

1日に3回以上訪問する場合の加算単価が大きく下がりました。同一建物の利用者数に応じて細分化されています。

人数 月20日目まで 月21日目以降
1〜2人 8,000円 8,000円
3〜9人 7,200円 6,900円
10〜19人 6,300円 5,200円
20〜49人 4,800円 3,500円
50人以上 4,100円 3,000円

同一建物20〜49人・月21日目以降は3,500円となり、従来の7,200円相当から約51%の低下です。

3-3. 夜間・早朝訪問看護加算

人数 月15日目まで 月16日目以降
1〜2人 2,100円 2,100円
3〜9人 2,100円 1,900円
10〜19人 1,800円 1,300円
20〜49人 1,200円 950円
50人以上 1,000円 800円

同一建物50人以上・月16日目以降は800円となり、1〜2人区分(2,100円)と比較して約62%の単価低下です。

3-4. 複数名訪問看護加算

同一建物10人以上で減算区分が新設されました。複数の職員配置パターンで単価が異なります。

パターン 1〜2人 3〜9人 10〜19人 20〜49人 50人以上
看護師(週1日) 4,500円 4,000円 3,400円 3,000円 2,700円
准看護師(週1日) 3,800円 3,400円 2,800円 2,500円 2,200円
その他職員(週3日) 3,000円 2,700円 2,100円 1,900円 1,600円
その他職員 1日2回 6,000円 5,400円 3,800円 3,450円 3,300円
その他職員 1日3回 10,000円 9,000円 5,500円 4,800円 4,500円

その他職員1日3回のケースで、1〜2人(10,000円)と50人以上(4,500円)を比較すると約55%の低下となります。


4. 「引き下げ」の裏で引き上げられた項目

引き下げ項目だけを見ると経営インパクトが大きく感じられますが、同時に引き上げられた項目・新設された加算を合わせて評価することが重要です。プラス改定の全体像を理解することで、実際の経営影響を正確に把握できます。

引き上げ項目

訪問看護管理療養費(月の初日)

区分 改定後 現行 増減
機能強化型訪問看護管理療養費1 13,760円 13,230円 +530円
機能強化型訪問看護管理療養費2 10,460円 10,030円 +430円
機能強化型訪問看護管理療養費3 9,030円 8,700円 +330円
機能強化型訪問看護管理療養費4(新設) 9,030円 新設 —

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)

時期 基本額
現行 780円
R8.6〜 1,050円(+270円)
R9.6〜 2,100円(倍額化予定)

乳幼児加算(通常)

乳幼児加算は1,300円から1,400円(+100円)に引き上げられ、重症児は1,800円で据え置きです。

新設加算(7項目)

改定により以下の加算が新設されました。これらは訪問看護2026改定における新たな収益源となります。

名称 単価(R8.6〜)
包括型訪問看護療養費(04区分) 5,960〜15,510円/日
訪問看護遠隔診療補助料(06区分) 2,650円/月1回
訪問看護物価対応料(08区分・月初日) 60円
訪問看護医療DX情報活用加算 50円/月
訪問看護医療情報連携加算 1,000円/月
機能強化型訪問看護管理療養費4 9,030円(月初日)
遠隔死亡診断補助加算 1,500円

出典: 告示第74号

差し引きの経営影響

小規模〜中規模ステーション(同一建物10人未満が中心)の場合、同一建物引き下げの影響は限定的です。むしろ、管理療養費・BU評価料・新設加算の引き上げの方が経営インパクトが大きくなる傾向があります。

一方、大規模高齢者住まい併設ステーション(同一建物10人以上中心)は引き下げ影響が大きいため、包括型訪問看護療養費(04区分)への切り替えを検討する価値があります。包括型は1日5,960〜15,510円の包括算定で、24時間体制・電子記録・地域連携研修等の要件を満たす必要があります。


5. 小規模ステーションの減算リスク対策

引き下げ項目の影響を最小化し、引き上げ項目を最大限活用するため、小規模〜中規模ステーションが取るべき対策を4つの観点から整理します。

対策①:引き下げ項目を正確に記録する

同一建物人数・月の訪問日数の区分判定を誤ると、レセプト返戻の原因になります。以下の点を記録フォーマットに組み込んでください。

訪問先住所が「同一敷地内」に該当するかの判定は、敷地図を参照して初回訪問時に確定させます。同一建物の利用者数は月次で集計し、10人以上区分の判定を正確に行います。月の訪問日数カウント時は、20日目/21日目の境界を意識した集計が必須です。訪問開始・終了時刻の記録も明確に残し、20分未満は算定不可という制約を常に意識します。

対策②:引き上げ項目を最大限活用する

新設加算・引き上げ項目を漏れなく算定することで、全体の収益を確保します。

**訪問看護医療情報連携加算(1,000円/月)**は、ICT連携5機関以上で算定可能です。ウェブサイト要件は令和8年9月30日まで経過措置があります。

**訪問看護医療DX情報活用加算(50円/月)**は、オンライン請求と電子資格確認で算定できます。

機能強化型管理療養費への格上げを検討し、機能強化型1(13,760円)への届出要件を満たせるか再確認してください。

BU評価料の継続的賃上げ実施は、R9.6で2,880円(R8.6は1,830円)となり、賃上げ実績を継続する価値が高いです。

対策③:包括型訪問看護療養費の検討(大規模併設型のみ)

同一建物10人以上の利用者が中心の高齢者住まい併設ステーションは、包括型訪問看護療養費への切り替えを検討してください。1日5,960〜15,510円の包括算定となり、同一建物引き下げの影響を回避できます。

以下の要件を満たす必要があります。

24時間体制で対応し、日中・夜間帯各1回以上の訪問を実施します。1日1回以上は看護職員(准看護師除く)を配置します。90分以上区分では、夜間帯対応看護職員を常時1名以上配置してください。電子的方法での記録保存を実施し、地域連携研修実績は令和9年5月31日まで経過措置があります。

対策④:記録システムの見直し

改定対応の記録要件(開始・終了時刻・同一建物判定・ICT連携記録等)を漏れなくこなすには、紙・Excel中心の運用ではミスが発生しやすくなります。スマホ/LINE対応の訪問看護記録システムを活用すれば、時刻記録・訪問先住所・同一建物集計を自動化でき、レセプト返戻リスクを低減できます。

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まとめ

訪問看護2026年改定の引き下げは、「+3.09%のプラス改定のなかで同一建物居住者への訪問看護(Ⅱ)が抜本的に適正化された」という構造です。引き下げ幅は深夜加算で最大約64%減、難病等複数回加算で約51%減ですが、同時に管理療養費・BU評価料・新設加算の引き上げも多数あります。

経営影響を最小化するには、引き下げ項目の正確な記録と、引き上げ項目・新設加算の最大活用が両輪になります。特に同一建物10人以上の利用者が中心の事業所は、包括型訪問看護療養費への切り替えも検討する価値があります。

関連記事も合わせて確認してください。

  • 訪問看護2026年改定 3分でわかる要約版
  • 訪問看護管理者向けQ&A 40選
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  • 2026年診療報酬改定の詳細解説
  • 訪問看護の加算一覧【2026年改定対応】
  • 訪問看護レセプト返戻対策【2026改定対応】

よくある質問

2026年改定は訪問看護全体が引き下げになるのですか?

いいえ。全体改定率は+3.09%のプラス改定です。同一建物居住者への訪問看護(Ⅱ)など一部項目が引き下げられていますが、管理療養費やBU評価料は引き上げられています。経営影響は全項目を合算して判断する必要があります。

同一敷地内別棟は「同一建物」に含まれますか?

はい。改定後、公道に出ずに敷地を行き来できる別棟は同一建物に含まれます。同一地番か一体的に利用されている敷地内の別棟は、人数カウント対象に含めてください。ただし、他者が占有する土地で隔てられている場合は含まれません。

20分未満の安否確認訪問は完全に算定不可ですか?

はい。改定後、20分を下回る訪問は訪問看護療養費として算定できません。安否確認目的の訪問を続ける場合、30分以上の記録を確保するか、他の請求方法の検討が必要です。

深夜加算の64%減は本当にそこまで大きいのですか?

はい。同一建物20〜49人、月16日目以降の深夜加算は2,100円から1,500円に低下します。これは従来4,200円相当から約64%の低下です。深夜対応が多いステーションほど経営影響は大きくなります。

小規模ステーション(10人未満)は対策不要ですか?

いいえ。同一建物10人未満でも、20分未満訪問の算定不可や、開始・終了時刻の明確な記録は必須です。また、新設の医療情報連携加算(1,000円/月)など、引き上げ項目の取り落としがないよう確認してください。

包括型訪問看護療養費への切り替えは大規模ステーション必須ですか?

いいえ。必須ではありませんが、同一建物10人以上の利用者が中心のステーションは、検討する価値があります。24時間体制や電子記録などの要件を満たす必要があり、要件確認と導入計画に時間がかかるため、早めの検討をお勧めします。


参考・出典

  • 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定ポータル
  • 令和8年厚生労働省告示第74号
  • 訪問看護ステーション向け改定資料
  • 質の高い訪問看護の推進(項目別)
  • 実施上の留意事項通知(保発0305第19号)
  • 疑義解釈その2
  • 大臣折衝事項(令和7年12月24日)

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