訪問看護2026年改定とは、令和8年(2026年)2月13日の中医協答申・3月5日告示・6月1日施行で実施された、訪問看護療養費の抜本見直しです。本体改定率は+3.09%(R8・R9の2年度平均)で、引き上げ(ベースアップ評価料・機能強化型管理療養費・新設加算)と引き下げ(同一建物居住者への訪問看護の単価逓減)が同時に走ります。
本記事は、2026年改定の全体像を「3分で把握する」ための要約版です。数字と出典だけを最短距離で並べました。詳細を読み込む前の全体把握にご活用ください。
この記事のポイント
- 訪問看護分野の施行日は令和8年(2026年)6月1日。薬価のみ4月1日施行です
- 診療報酬本体は2年度平均で**+3.09%**(R8単独+2.41%、R9+3.77%)。訪問看護の引き下げ財源は「▲0.15%」の一部です
- 新設は7項目(包括型訪問看護療養費/遠隔診療補助料/物価対応料/医療DX情報活用加算/医療情報連携加算/機能強化型管理療養費4/遠隔死亡診断補助加算)
- 同一建物居住者への訪問看護(Ⅱ)は10人以上区分を新設し、単価が人数・日数で逓減します
- 経過措置は最大で令和9年5月31日まで(包括型の地域連携研修要件)
1. 施行日と告示スケジュール
訪問看護分野の2026年改定は、以下のスケジュールで進みました。
| 事項 | 日付 |
|---|---|
| 諮問(厚労大臣→中医協) | 令和8年1月14日 |
| 答申(中医協→厚労大臣) | 令和8年2月13日 |
| 告示日(医科・訪問看護等) | 令和8年3月5日 |
| 訪問看護・医科・歯科・調剤 施行日 | 令和8年6月1日 |
| 薬価改定 施行日 | 令和8年4月1日 |
| 旧算定方法告示(令和6年告示) 廃止 | 令和8年5月31日限り |
訪問看護に関連する主要告示は、令和8年厚生労働省告示第74号(算定方法)、第75号(ステーション基準)、厚労省令第21号(運営基準)の3本です。いずれも令和8年3月5日に告示されました(出典:厚労省 令和8年度診療報酬改定ポータル)。
告示74号の冒頭には「令和八年六月一日から適用する」と明記されており、施行日は動かない確定事項です(出典:告示第74号PDF)。
2. 改定率:本体+3.09%の内訳
令和7年12月24日の大臣折衝事項で、診療報酬本体の改定率は**2年度平均で+3.09%**と決定されました(出典:大臣折衝事項・訪問看護向け資料P.4)。年度別の内訳は次のとおりです。
- 令和8年度: +2.41%(令和8年6月施行)
- 令和9年度: +3.77%(令和9年6月施行)
改定財源の配分(2年度平均)
| 項目 | 配分率 |
|---|---|
| 賃上げ分 | +1.70% |
| 物価対応分 | +0.76% |
| 食費・光熱水費分 | +0.09% |
| R6以降経営環境悪化緊急対応分 | +0.44% |
| 効率化(後発品・在宅医療・訪問看護適正化・リフィル等) | ▲0.15% |
| その他 | +0.25% |
「効率化▲0.15%」の中に「実態を踏まえた在宅医療・訪問看護関係の評価の適正化」が含まれています。これが後述する同一建物居住者への訪問看護の引き下げ財源です。
一方で、薬価は▲0.86%・材料価格は▲0.01%の引き下げとなりました(薬価等合計▲0.87%)。医科分の改定率は+0.28%、歯科+0.31%、調剤+0.08%の配分です。
3. 新設7項目:単価と要点
2026年改定では、訪問看護療養費の算定構造が大きく変わりました。区分番号04(旧・訪問看護情報提供療養費の一部)が「包括型訪問看護療養費」に再編され、06と08に新設区分が追加されました。
新設加算・料金一覧
| 名称 | 区分 | 単価(R8.6〜) | 算定頻度 |
|---|---|---|---|
| 包括型訪問看護療養費 | 04 | 5,960〜15,510円 | 1日につき |
| 訪問看護遠隔診療補助料 | 06 | 2,650円 | 1日につき(月1回) |
| 訪問看護物価対応料1 イ(月初日) | 08 | 60円(R9.6で120円) | 月の初日 |
| 訪問看護物価対応料1 ロ(2日目〜) | 08 | 20円(R9.6で40円) | 1日につき |
| 訪問看護物価対応料2 | 08 | 20円(R9.6で40円) | 1日につき |
| 訪問看護医療DX情報活用加算 | 管理療養費 | 50円 | 月1回 |
| 訪問看護医療情報連携加算 | 管理療養費 | 1,000円 | 月1回 |
| 機能強化型訪問看護管理療養費4 | 管理療養費 | 9,030円(月初日) | 月1回 |
| 遠隔死亡診断補助加算 | ターミナルケア | 1,500円 | 看取り時 |
出典: 告示第74号PDF、質の高い訪問看護の推進
押さえるべき3つの新設
① 包括型訪問看護療養費(04区分) 高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーション限定で、1日単位の包括算定に切り替わる新区分です。24時間体制(日中・夜間帯各1回以上)と1日1回以上の看護職員訪問が必須となります。単価は単一建物居住利用者数と訪問時間により、最大で90分以上+緊急対応体制等の場合は15,510円/日まで算定可能です。
② 訪問看護遠隔診療補助料(06区分) D to P with N(医師-患者-看護師)の遠隔診療における、訪看ST側の評価として新設されました。2,650円/月1回。医療機関との連携体制届出が必要です。
③ 訪問看護医療情報連携加算(1,000円/月) ICTを用いて連携機関5以上と診療情報を共有し、過去90日以内の取得情報を活用した場合に算定できます。本加算の詳細は訪問看護医療情報連携加算【2026年新設】算定要件・届出・記録の書き方で解説しています。
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4. 引き上げ項目:管理療養費・BU評価料・乳幼児加算
全体改定率は+3.09%のプラス改定のため、訪問看護でも引き上げ項目は多数あります。主要なものを一覧で整理しました。
訪問看護管理療養費(月の初日)の引き上げ
| 区分 | 改定後 | 現行 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 機能強化型訪問看護管理療養費1 | 13,760円 | 13,230円 | +530円 |
| 機能強化型訪問看護管理療養費2 | 10,460円 | 10,030円 | +430円 |
| 機能強化型訪問看護管理療養費3 | 9,030円 | 8,700円 | +330円 |
| 機能強化型訪問看護管理療養費4(新設) | 9,030円 | 新設 | — |
| イからニまで以外の場合 | 7,710円 | 7,670円 | +40円 |
月の2日目以降は、従来の訪問看護管理療養費1・2が統合され、施設基準の届出が不要化されました。単一建物居住利用者数(20人未満/20〜49人/50人以上)×訪問日数(15日目まで/16〜24日目/25日目以降)で9区分に細分化されています。20人未満は日数によらず3,010円/日です。
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の2段階引き上げ
| 時期 | 基本額 | 継続的賃上げ実施ST |
|---|---|---|
| R8.6〜 | 1,050円(現行780円) | 1,830円 |
| R9.6〜 | 2,100円(100分の200) | 2,880円 |
令和9年6月には基本額が2倍になります。継続的な賃上げ実施事業所は2,880円まで引き上げられ、賃上げ余力の確保が強く促されます。
その他の引き上げ
- 24時間対応体制加算: 負担軽減取組あり6,800円/なし6,520円
- 特別管理加算: 通常2,500円/重症度高5,000円
- 乳幼児加算(通常): 1,300円→1,400円(+100円)。別表7・8該当・超重症児は1,800円で据え置き
詳細な加算の一覧は訪問看護の加算一覧【2026年改定対応】で整理しています。
5. 引き下げ項目:同一建物居住者への訪問看護
2026年改定で訪問看護が負担する「効率化▲0.15%」の財源は、同一建物居住者への訪問看護(Ⅱ)の抜本改定で主に拠出されます。改定の方向性は「大規模集合住宅でまとめて訪問する事業所ほど単価が下がる」という逓減構造です。
3つの主要変更
① 10人以上区分を新設(単価逓減) 従来の訪問看護基本療養費(Ⅱ)は「2人」「3人以上9人以下」の2区分でしたが、改定後は10〜19人/20〜49人/50人以上の3区分が追加されました。さらに月の訪問日数でも分かれます(月20日目まで/21日目以降)。
例: 看護師等が同一建物50人以上の利用者に、月21日目以降の訪問を行った場合の単価は2,510円/日です。2〜9人区分の5,550円〜2,780円と比較すると、最大で半額以下まで下がります。
② 同一建物の定義拡大 従来は「同一建物」の範囲が狭く解釈されていましたが、改定後は同一敷地内の別棟も「同一建物」に含まれるよう定義が拡大されました(疑義解釈その2・問1で、同一地番の敷地・公道に出ずに行き来できる敷地が対象と明記)。
③ 20分未満訪問は算定不可、30分以上を標準化 訪問時間20分を下回る訪問は算定できなくなりました。30分以上の訪問を標準化する方向性です。
同一建物3人以上で新設された逓減構造
引き下げは基本療養費だけではありません。以下の加算も同一建物人数×日数で逓減します。
- 難病等複数回訪問加算(1日3回以上): 20〜49人区分・月21日目以降は3,500円(従来想定7,200円から約51%減)
- 夜間・早朝訪問看護加算: 50人以上・月16日目以降は800円
- 深夜訪問看護加算: 20〜49人・月16日目以降は1,500円(従来4,200円から約64%減)
- 複数名訪問看護加算: 同一建物10人以上で減算区分新設
これらの引き下げ項目の詳細は、本記事シリーズの個別記事でも解説予定です。
6. 経過措置:いつまでに何を整える必要があるか
2026年改定は一部要件に経過措置が設定されており、すぐに整備が間に合わない場合も猶予があります。
| 項目 | 経過措置期限 |
|---|---|
| 訪問看護医療情報連携加算:ウェブサイト掲載基準 | 令和8年9月30日まで |
| 包括型訪問看護療養費:地域医療機関等との合同研修・事例検討会実績 | 令和9年5月31日まで |
| 訪問看護物価対応料の2倍化(R8→R9) | 令和9年6月以降、100分の200に |
| 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の2倍化 | 令和9年6月以降、1,050円→2,100円 |
| 旧算定方法告示(令和6年) | 令和8年5月31日限り廃止 |
特に注意すべきは、訪問看護医療情報連携加算のウェブサイト掲載要件です。令和8年9月30日までは「掲載基準に該当するものとみなす」扱いですが、それ以降は実際に連携機関リスト等のウェブ公開が必要になります。
7. 5月中にやるべき4つの準備
令和8年6月1日の施行まで、ステーション管理者が5月中に整備すべき実務準備は以下の4点です。
- 施設基準届出の確認: 機能強化型4・包括型を算定する場合、地方厚生局への届出が必要です
- オンライン請求体制の整備: 訪問看護医療DX情報活用加算の前提条件になっています
- ICT連携機関リストの整備: 医療情報連携加算は5機関以上の連携が必要
- 記録様式の更新: 訪問看護計画書・報告書・指示書の押印欄削除に伴い、様式を差し替え(従前様式も引き続き使用可)
まとめ
訪問看護2026年改定は、+3.09%のプラス改定でありながら同一建物居住者への訪問看護を実質引き下げる、複雑な構造を持つ改定です。新設7項目の加算・料金を活用できるかどうかで、事業所の収益に大きな差が生まれます。
本記事で挙げた数字と出典をベースに、詳細な算定ルール・届出・記録の書き方は以下の記事で確認してください。
- 改定の全貌を知りたい方: 2026年診療報酬改定の詳細解説
- 医療情報連携加算の実務: 訪問看護医療情報連携加算【2026年新設】算定要件・届出・記録の書き方
- 加算全体の一覧: 訪問看護の加算一覧【2026年改定対応】
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参考・出典
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