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訪問看護2026年改定の経過措置まとめ|猶予期間と要件移行チェックリスト

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看護レポ編集部
2026年5月20日9分で読める
訪問看護2026年改定の経過措置まとめ|猶予期間と要件移行チェックリスト

訪問看護2026年改定の経過措置とは、令和8年(2026年)6月1日の施行時点で完全に要件を満たせない事業所に対して、一定期間の猶予を与える仕組みです。本記事では、医療情報連携加算のウェブサイト要件・包括型訪問看護療養費の地域連携研修要件・BCP・オンライン請求等の経過措置を、厚生労働省の公式資料に基づいて全項目整理しました。

この記事のポイント

  • 経過措置の最短期限は令和8年9月30日(医療情報連携加算のウェブサイト要件)
  • 最長期限は令和9年5月31日(包括型訪問看護療養費の地域連携研修要件)
  • 令和9年6月1日から、BU評価料(Ⅰ)・物価対応料が倍額化されます
  • BCPは経過措置の新設なし(既に策定義務化済みで、引き続き必須)
  • 訪問看護医療DX情報活用加算で「オンライン請求」が実質要件化

1. 経過措置の全体像

2026年改定の訪問看護関連経過措置は、以下の6カテゴリに整理できます。

期限 対象項目 内容 影響
令和8年5月31日 旧算定方法告示(令和6年) 廃止 6月1日から新単価適用
令和8年9月30日 医療情報連携加算 ウェブサイト掲載基準の猶予 10月以降は実際のウェブ公開必須
令和9年5月31日 包括型訪問看護療養費 地域連携研修・事例検討会実績要件の猶予 6月以降は実績必須
令和9年6月1日 BU評価料(Ⅰ) 基本額2倍化(1,050→2,100円) 自動反映
令和9年6月1日 物価対応料 単価2倍化 自動反映
令和9年6月1日 BU評価料(Ⅱ) 区分拡大(1〜18→1〜36) 届出見直し必要

出典: 質の高い訪問看護の推進・告示第74号

経過措置が設定されなかった項目

一方で、以下の項目は経過措置が設定されず、令和8年6月1日から即時適用されます。

  • 同一建物居住者への訪問看護(Ⅱ)の単価引き下げ(10人以上区分新設、同一敷地内別棟を含む定義拡大)
  • 訪問看護管理療養費の統合・細分化(1と2の統合、施設基準届出不要化)
  • 機能強化型訪問看護管理療養費4の新設要件
  • 訪問看護医療DX情報活用加算の要件(電子資格確認・オンライン請求)
  • 保険医療機関・訪問看護ST間の経済上利益提供誘引禁止

これらは令和8年6月1日時点で要件を満たしていないと算定できない、または違反となるため、5月中の対応完了が必須です。


2. 医療情報連携加算のウェブサイト要件(R8.9.30まで)

訪問看護医療情報連携加算(月1,000円)は、2026年改定で新設された加算です。算定要件の1つとして「連携機関リスト等のウェブサイト掲示」が求められますが、この要件については令和8年9月30日まで経過措置が設定されました。

経過措置の具体的な内容

質の高い訪問看護の推進P.9で、以下のように明記されています。

経過措置期間中(令和8年9月30日まで)はウェブサイト掲載の基準に該当するものとみなす

つまり、令和8年6月1日の施行時点でウェブサイト公開が間に合っていなくても、9月30日までは加算を算定できます。ただし、10月1日以降は実際のウェブ公開がないと算定不可となるため、遅くとも9月中には以下を整備しておく必要があります。

ウェブサイトに掲載すべき内容

  • 連携機関リスト(医療機関名・医療機関コード等)
  • 連携ICTの種別(使用しているプラットフォーム)
  • 対応可能な情報連携の内容
  • 事業所の連絡先・担当者

ウェブサイトを用意できない場合

独自ウェブサイトがない訪問看護ステーションは、以下の代替手段を検討してください。

  • 法人サイトの1ページとして掲載
  • 地域の訪問看護連絡会・協会サイトへの掲載
  • 厚労省の「医療情報ネット(ナビイ)」への登録・連携情報の記載

他の要件との関係

医療情報連携加算の算定要件は、ウェブ掲載以外にも以下があります。経過措置の対象は「ウェブサイト掲載要件」のみで、他の要件は6月1日から即時適用です。

  • 連携機関5以上
  • ICTで診療情報共有(電話・FAXのみは不可)
  • 過去90日以内の取得情報1つ以上の活用
  • 訪問看護計画・記録への反映

詳細は訪問看護医療情報連携加算【2026年新設】算定要件・届出・記録の書き方で解説しています。

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3. 包括型訪問看護療養費の地域連携研修要件(R9.5.31まで)

包括型訪問看護療養費(04区分・1日5,960〜15,510円)は、高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーション限定の新区分です。算定要件の1つとして「地域医療機関・訪問看護ステーションとの合同研修・事例検討会等の連携実績」が求められますが、この要件については令和9年5月31日まで経過措置が設定されました。

経過措置の具体的な内容

質の高い訪問看護の推進P.16で以下のように明記されています。

地域医療機関・訪問看護ステーションとの合同研修・事例検討会等の連携実績要件は、令和9年5月31日まで経過措置

つまり、令和8年6月1日の施行時点で連携研修の実績がゼロでも、令和9年5月31日までは包括型訪問看護療養費を算定できます。ただし、令和9年6月1日以降は実績が必須となるため、施行後の1年間で実績を積む必要があります。

連携実績として認められる取組

  • 地域医療機関との合同研修会の開催・参加
  • 訪問看護ステーション同士の合同事例検討会
  • 地域ケア会議への参加
  • 地域包括支援センターとの合同カンファレンス
  • 在宅医療連携拠点事業との協働

実績記録の書き方

経過措置終了後に備えて、以下の記録を残しておくことが推奨されます。

  • 実施日
  • 主催団体・共催団体
  • 参加者(自事業所・他機関)
  • 研修内容・事例概要
  • 自事業所のケアへの反映内容

他の包括型要件との関係

包括型訪問看護療養費の要件は、地域連携研修以外にも以下があります。経過措置の対象は「地域連携研修要件」のみで、以下の要件は6月1日から即時適用です。

  • 24時間体制(日中・夜間帯各1回以上訪問、実施時間60分以上は1日3回以上)
  • 1日1回以上は看護職員(准看護師除く)
  • 90分以上区分は夜間帯対応看護職員常時1名以上
  • 電子的方法での記録保存
  • 高齢者住まい等に併設・隣接している事業所であること

4. R9.6.1倍額化(BU評価料・物価対応料)

令和9年6月1日には、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)と訪問看護物価対応料が倍額化されます。これは経過措置ではなく、告示74号で定められた段階的引き上げです。

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)

時期 基本額 継続的賃上げ実施ST
令和8年6月〜 1,050円 1,830円
令和9年6月〜 2,100円 2,880円

出典: 告示第74号07区分注4

基本額は所定額の100分の200となり、2倍に引き上げられます。継続的賃上げ実施事業所は2,880円まで引き上げられ、賃上げ継続のインセンティブが強化されます。

訪問看護物価対応料

区分 R8.6〜 R9.6〜(2倍)
物価対応料1イ(月の初日訪問) 60円 120円
物価対応料1ロ(月の2日目以降) 20円 40円
物価対応料2(包括型算定者用) 20円 40円

出典: 告示第74号08区分注3

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分拡大

BU評価料(Ⅱ)は、令和8年6月時点で区分1〜18まで設定されていますが、令和9年6月からは区分1〜36まで拡大されます(出典:告示第74号07区分注6)。賃上げ段階が細分化され、上位区分での算定が可能になります。

例:

  • 区分18=540円(R8.6)→1,040円(R8.6継続賃上げ)→630円(R9.6)→1,040円(R9.6継続賃上げ)

倍額化への対応準備

倍額化は令和9年6月1日から自動適用されますが、以下の対応が必要です。

  • レセコン・訪問看護システムの単価更新(令和9年5月中)
  • BU評価料(Ⅱ)の区分19〜36に該当する場合、届出見直し
  • 継続的賃上げ実施STの要件達成確認(R6→R9累計賃上げ率:一般職8.7%、看護補助者13.7%)
  • 賃金台帳・就業規則の更新(賃上げ実施の証跡として)

賃上げ率目標(R6→R9累計)

令和7年12月24日の大臣折衝事項で、以下の賃上げ率目標が示されています(出典:訪問看護ステーション向け資料P.4)。

  • R8年度+3.2%、R9年度+3.2%のベースアップ(一般職)
  • 看護補助者・事務職員はR8+5.7%、R9+5.7%
  • R6→R8累計賃上げ率:一般職5.5%、看護補助者・事務職員8%
  • R6→R9累計賃上げ率:一般職8.7%、看護補助者・事務職員13.7%

5. BCP・身体拘束・オンライン請求の扱い

2026年改定で話題となる「BCP(業務継続計画)」「身体拘束」「オンライン請求」について、経過措置の有無を整理します。

BCP(業務継続計画)

訪問看護ステーションのBCP策定は、令和6年改定時点で既に義務化されており、2026年改定では特段の経過措置新設なしです。訪問看護管理療養費の「安全な提供体制」要件の1つとして引き続き必須となります(出典:実施上の留意事項通知P.16 第5の1(2)エ)。

すでにBCPを策定済みの事業所は、2026年改定を機に以下の観点で見直すことが推奨されます。

  • 自然災害時の連絡相談担当者の配置計画
  • 感染症BCPと医療安全研修の連動
  • 近隣訪看STとの相互支援ネットワーク整備(24時間体制連携にも関係)

身体拘束

2026年改定では、入院医療側で「身体的拘束の最小化を組織的に行う際の評価」が新設されましたが、訪問看護単独の身体拘束加算・経過措置規定は今回改定資料には明示されていません。訪問看護領域では現行どおり基準省令に基づいた対応が継続されます(出典:告示第75号)。

オンライン請求

訪問看護医療DX情報活用加算(50円)の算定要件として、「訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令第1条に規定する電子情報処理組織の使用による訪問看護療養費の請求」が明記されました(出典:留意事項通知P.24)。実質的にオンライン請求が加算要件化されたと言えます。

ただし、「訪問看護のオンライン請求全事業所への完全義務化の明確な期限告示」は今回改定資料内には明記されていません(医科側は過去通知でR6.4以降の原則義務化を進めています)。訪問看護のオンライン請求義務化期限は、今後の事務連絡で段階的に示される可能性があります。

オンライン請求体制の整備

オンライン請求がまだ未整備の事業所は、以下のステップで対応することが推奨されます。

  • ① 国保連・社保連へのオンライン請求接続申請
  • ② 電子証明書(医療機関等電子証明書)の取得
  • ③ 訪問看護レセコンのオンライン請求対応更新
  • ④ 試行期間(2〜3か月)を経て本稼働

6. 要件移行チェックリスト(月次)

経過措置を逃さず確実に対応するため、月別のチェックリストを用意しました。

令和8年5月(施行直前)

  • 医療情報連携加算:ウェブサイト準備は9月末まででOK(ただし他の要件は6月1日から適用)
  • 包括型訪問看護療養費:地域連携研修実績は令和9年5月31日までの経過措置を認識(ただし他の要件は即時適用)
  • 施設基準届出の提出完了(機能強化型4・包括型等)
  • レセコンのシステム更新(新単価・新区分)
  • 訪問看護計画書・報告書・指示書の新様式への差し替え(従前様式も使用可)
  • BCP策定・見直し(2026年改定を機に自然災害・感染症対応を強化)
  • オンライン請求体制の整備(医療DX情報活用加算の前提)

令和8年6月〜9月

  • 医療情報連携加算の他要件(5機関以上・ICT共有・記録)の運用確認
  • 9月30日までにウェブサイト公開準備(連携機関リスト・ICT種別)
  • 包括型算定事業所:地域連携研修の実施記録開始
  • 疑義解釈その3以降の最新情報チェック

令和8年10月〜令和9年5月

  • 医療情報連携加算ウェブサイト運用開始(10月1日〜)
  • 包括型算定事業所:地域連携研修・事例検討会の実績積み上げ
  • R9.6倍額化に向けたBU評価料(Ⅱ)の区分見直し準備
  • 賃金台帳の整備(R6→R9累計賃上げ率の証跡)

令和9年6月(第2波改定)

  • BU評価料(Ⅰ)の新単価(2,100円)適用確認
  • BU評価料(Ⅱ)の区分19〜36への移行届出
  • 物価対応料の倍額化(120円・40円)適用確認
  • 包括型訪問看護療養費の地域連携研修実績を届出書類に記載

まとめ

訪問看護2026年改定の経過措置は、最短で令和8年9月30日(医療情報連携加算のウェブサイト要件)、最長で令和9年5月31日(包括型訪問看護療養費の地域連携研修要件)までです。令和9年6月1日からはBU評価料・物価対応料の倍額化も始まるため、施行後も継続的な要件確認が必要です。

特に注意すべきは、以下の4点です。

  1. 経過措置が設定されなかった項目は6月1日から即時適用:同一建物引き下げ・新設加算の大半・医療DX情報活用加算等
  2. ウェブサイト公開は9月末が最終期限:10月以降は加算算定不可
  3. 地域連携研修は令和9年5月末までに実績必須:1年間で計画的に積む
  4. R9.6倍額化は自動反映だが届出見直しが必要な場合あり:BU評価料(Ⅱ)区分拡大等

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参考・出典

  • 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定ポータル
  • 令和8年厚生労働省告示第74号
  • 令和8年厚生労働省告示第75号
  • 訪問看護ステーション向け改定資料
  • 質の高い訪問看護の推進(項目別)
  • 実施上の留意事項通知(保発0305第19号)
  • 大臣折衝事項(令和7年12月24日)

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