訪問看護ステーション開業の手順|申請から指定取得まで完全ガイド【2026年対応】
訪問看護ステーションの開業手順を申請から指定取得まで時系列で解説。法人設立・人員確保・事業所要件・指定申請・運営開始の全ステップを、必要書類・期間・費用付きでまとめた完全ガイドです。
訪問看護ステーションの開業手順を申請から指定取得まで時系列で解説。法人設立・人員確保・事業所要件・指定申請・運営開始の全ステップを、必要書類・期間・費用付きでまとめた完全ガイドです。
訪問看護ステーション開業時の届出書類を、都道府県・地方厚生局・税務署・労基署ごとに一覧化。必要書類・記入例・提出期限・担当窓口を網羅した完全ガイドです。
訪問看護ステーション開業で発生しやすい失敗パターンを5つに整理。人員確保・資金繰り・営業・離職・請求業務の5領域の落とし穴と、廃業を防ぐための実務的対策を解説します。
2026年(令和8年)4月の診療報酬改定で、訪問看護分野に新設された注目の加算が「訪問看護医療情報連携加算」です。医療機関や他の訪問看護ステーションとICTを用いて診療情報を共有し、計画的な管理を実施した事業所に対して、月1回・1,000円が算定できます。
在宅医療の多職種連携を推進するためのインセンティブとして設計されており、適切に運用すれば小規模ステーションでも月単位で安定した加算収入につながります。一方で、ICT連携の「記録」が算定要件の中核にあるため、記録の書き方を誤ると返戻・査定の対象になります。
本記事では、訪問看護医療情報連携加算の算定要件・対象利用者・届出様式・他加算との併算定ルール・記録の書き方を、実務で使えるレベルで整理します。冒頭には算定可否を1分で判定できるチェックリスト、末尾には返戻を防ぐ記録テンプレートも掲載していますので、ブックマークして毎月の算定時にご活用ください。
⚠️ 本記事の前提 2026年4月1日施行の告示・通知に基づいて執筆しています。単位数・要件の詳細は厚生労働省の正式な告示・疑義解釈通知を必ず確認してください(本記事末尾に出典を掲載)。
以下の5項目にすべて「はい」と答えられれば、当月の算定が可能です。いずれかが「いいえ」の場合は要件を満たしていません。
該当する場合は 1,000円(=100点)を月1回・利用者1人につき算定可能です。
2026年の診療報酬改定は、医療DX推進と在宅医療の多職種連携強化を重点テーマに据えて設計されました。訪問看護医療情報連携加算は、このテーマを体現する新設加算のひとつです。
従来、訪問看護ステーションと医療機関・他ステーションとの情報共有は、電話・FAX・紙の診療情報提供書を中心に行われてきました。リアルタイム性に欠けるうえに、情報伝達のラグが利用者のアセスメント精度を下げる原因になっていました。
医療DXの推進計画(厚生労働省)では、電子カルテ情報共有サービスの普及・医療機関間のICT連携プラットフォームの整備が進められており、訪問看護もこの潮流に組み込むかたちで本加算が新設されました。
訪問看護医療情報連携加算は、医療保険(訪問看護療養費)の加算として新設されました。介護保険には対応する加算が現時点では設定されていませんが、医療保険と介護保険を併用する利用者(別表第7疾患該当者等)の場合、医療保険側で算定可能です。
この加算の設計思想は、「情報連携の結果ではなく仕組みに報酬を支払う」という点にあります。単発で電話連絡をとるだけでは対象になりません。ICTを恒常的に活用して計画的な管理を行う体制こそが評価の対象です。
訪問看護医療情報連携加算の算定要件は、以下の5つです。すべてを満たす必要があります。
要件①: 他の保険医療機関または他の訪問看護ステーションから、ICTを用いて診療情報または訪問看護関連情報の提供を受けること。
ここで言う「ICT」には以下が含まれます。
| ICTの種別 | 具体例 |
|---|---|
| 医療機関間情報連携プラットフォーム | MCS(Medical Care Station)、Net4u、バイタルリンク |
| 電子カルテ情報共有サービス | 厚労省の電子カルテ情報共有サービス、地域医療連携システム |
| 電子的情報提供ツール | セキュアメール、医療機関専用SNS、専用クラウド等 |
対象外の情報提供手段:
要件②: 受領した情報を、訪問看護計画の作成または見直しに活用すること。
単に情報を受け取るだけでは算定できません。受領した情報をもとに、以下のいずれかのアクションを行う必要があります。
要件③: 活用した事実と内容を、訪問看護記録書・訪問看護計画書に記録すること。
記録すべき項目:
具体的な記録テンプレートは本記事の第7章に掲載しています。
要件④: 当該月に訪問看護療養費の本体(訪問看護基本療養費等)を算定していること。加算は本体算定があって初めて成立します。
要件⑤: 同月・同一利用者について、本加算は月1回のみ算定できます。月内に複数回のICT連携があっても、算定回数は1回です。
訪問看護医療情報連携加算は、医療保険の訪問看護を受けている利用者が対象です。
具体的には以下のような利用者が想定されます。
以下のケースでは加算算定ができません。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 介護保険のみで訪問看護を受けている利用者 | 本加算は医療保険のみ設定 |
| 情報連携が電話・FAXのみ | ICT要件を満たさない |
| 受領した情報を訪問看護計画に活用していない | 活用要件を満たさない |
| 記録書への記載がない | 記録要件を満たさない |
医療保険と介護保険の併用利用者(別表第7疾患該当者・特別訪問看護指示書期間中等)の場合、医療保険で訪問看護療養費を算定する月において本加算を算定できます。
同一利用者について、医療保険と介護保険をまたいで本加算を二重に算定することはありません(介護保険側に対応加算がないため)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 訪問看護医療情報連携加算 | 1,000円(=100点) |
| 算定回数 | 月1回・利用者1人につき |
| 算定単位 | 訪問看護療養費明細書の加算欄に記載 |
利用者数別の月額加算収入の目安は以下のとおりです。
| 算定対象者数/月 | 月額加算収入 | 年額換算 |
|---|---|---|
| 5人 | 5,000円 | 60,000円 |
| 10人 | 10,000円 | 120,000円 |
| 20人 | 20,000円 | 240,000円 |
| 30人 | 30,000円 | 360,000円 |
小規模ステーション(利用者30人規模)でも、対象利用者が10人程度いれば年間12万円の加算収入になります。ICT連携体制の整備コストに見合うかの判断材料としてご参考ください。
訪問看護医療情報連携加算は、施設基準の届出が必要な加算です。算定を開始する前に、所轄の地方厚生局へ施設基準適合届出書の提出が必要になります。
一般的に以下の書類が必要になります(正確な様式は所轄地方厚生局の通知に従ってください)。
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 訪問看護療養費に係る届出書(別紙様式) | 医療情報連携加算の算定意思を記載 |
| 施設基準適合届出書 | ICT環境の整備状況を記載(導入済みツール・運用体制) |
| 情報連携の実施体制の概要 | 連携先医療機関・他ステーションとの協力関係を明記 |
| ICTツールの利用契約書の写し | MCS・Net4u等の利用証跡 |
届出は算定開始予定月の前月15日までに提出する必要があります。例として、6月から算定を開始する場合は、5月15日までに届出を完了してください。
ICTの種類を変更した場合や、算定を廃止する場合は、遅滞なく変更届または廃止届を提出してください。
訪問看護医療情報連携加算は、他の多くの加算と併算定が可能ですが、趣旨が重複する加算とは同月併算定できない場合があります。
| 加算名 | 併算定 | 備考 |
|---|---|---|
| 24時間対応体制加算 | ○ | 要件が独立 |
| 特別管理加算(Ⅰ・Ⅱ) | ○ | 要件が独立 |
| 緊急訪問看護加算 | ○ | 要件が独立 |
| 長時間訪問看護加算 | ○ | 要件が独立 |
| 複数名訪問看護加算 | ○ | 要件が独立 |
| 訪問看護ターミナルケア療養費 | ○ | ただし死亡月の情報連携記録が必要 |
| 精神科訪問看護基本療養費 | ○ | 精神科主治医との情報連携で算定可 |
| 加算名 | 注意点 |
|---|---|
| 訪問看護情報提供療養費(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) | 情報「提供元」側の加算。本加算は情報「受領・活用」側なので趣旨は異なるが、同月に両方算定する場合は記録を明確に区分 |
| 退院時共同指導加算 | 退院時の情報連携を本加算に含めて算定するのは不可(趣旨が重複) |
| 訪問看護遠隔診療補助料(2026年新設) | 遠隔診療時の情報連携を本加算に含めて算定するのは不可(趣旨が重複) |
現時点で、訪問看護医療情報連携加算と同月算定が明示的に禁止されている加算はありません。ただし、同じ情報連携行為を根拠に複数の加算を算定することはできません(二重算定の禁止)。
本加算の返戻原因のトップは「記録の不備」です。審査機関は摘要欄・訪問看護記録書・訪問看護計画書の記載内容から、ICT連携の実態を確認します。
【訪問看護医療情報連携加算 算定のための記録】
■ 情報受領日:2026年〇月〇日
■ 情報提供元:〇〇クリニック(担当医:〇〇医師)
■ 使用ICT:MCS(Medical Care Station)
■ 受領した情報の要約:
- 直近の血液検査結果(HbA1c 8.2%、腎機能 eGFR 42)
- 降圧薬の変更指示(アムロジピン5mg→2.5mgへ減量)
- 次回外来予定日:2026年〇月〇日
■ 訪問看護計画への活用:
- 訪問看護計画書を更新(血圧管理の目標値を140/90mmHg以下に再設定)
- 服薬管理ケアに減量後の薬剤情報を反映
- 家族へ低血圧症状出現時の対応を再指導
- 次回訪問日(〇月〇日)に指導内容を実施予定
■ 記録者:〇〇(看護師)
【計画書更新 2026-〇月分】
2026年〇月〇日、〇〇クリニックより MCS経由で血液検査結果および降圧薬
変更指示を受領。上記情報をもとに、下記のとおり訪問看護計画を見直した。
1. 訪問頻度:週2回(現行維持)
2. 主目標:血圧管理(140/90mmHg以下の維持)
3. ケア内容:
- バイタル測定(血圧・脈拍・SpO2)
- 服薬管理(アムロジピン2.5mgへの減量確認)
- 低血圧症状(ふらつき・倦怠感)の観察と指導
4. 評価時期:2026年〇月末
【訪問看護医療情報連携加算】
情報提供元:〇〇クリニック
使用ICT:MCS
受領日:〇月〇日
活用内容:訪問看護計画の血圧管理目標・服薬管理ケアの更新
本加算を安定的に算定するためには、算定開始前に以下の準備が必要です。
① 連携先医療機関・他ステーションのリストアップ
② ICTツールの選定と導入
③ 連携先との運用合意
月初 │ ICTツールで対象利用者の新着情報を確認
↓
月内 │ 情報受領 → 訪問看護計画の見直し → 記録書へ記載
↓
月末 │ 当月の算定対象者リストを作成
↓
翌月 │ レセプト作成時に加算欄に記載 → 摘要欄記載
↓
翌月10日│ 支払基金へ請求
ICT連携が日常業務に組み込まれている事業所では、「連携を行ったが算定を忘れる」ケースが発生しやすいです。対策として以下を推奨します。
電話だけでは算定できません。本加算はICTを用いた情報提供が要件です。電話は口頭連絡であり、ICTには該当しません。
ただし、電話での口頭連絡の後にMCS等のICT経由で診療情報提供書を受領した場合は、ICT受領をもとに算定可能です。
FAXはICTには該当しないため、算定できません。電子的に送受信され、記録として保存される手段が要件となります。
月1回のみです。同月に複数回のICT連携があっても、加算は1回しか算定できません。ただし、複数回の連携内容はすべて記録に残してください(審査時の根拠になります)。
はい、算定できます。本加算は「他の保険医療機関」だけでなく「他の訪問看護ステーション」からの情報受領も対象です。
情報提供元の医療機関側には、別途「診療情報提供料」等の加算が設定されている場合があります。本加算は情報「受領・活用」側の訪問看護ステーションの加算であり、提供元側の算定とは別建てです。
本加算は医療保険の訪問看護療養費の加算として新設されており、介護保険には対応加算がありません。介護保険のみの利用者には算定できません。
施設基準の届出がないまま算定すると、返戻または過誤請求の対象になります。算定開始前に必ず所轄地方厚生局へ届出を提出してください。
はい、ICTツールの利用費用は事業所負担です。ただしMCS等の無料ツールを活用すれば導入コストを抑えられます。月額1,000円×10人=月1万円の加算収入が得られれば、有料ツールの費用も十分回収可能です。
訪問看護医療情報連携加算の算定を開始するためのステップを、時系列で整理します。
本加算は「情報連携を仕組み化した事業所」に継続的な収入源をもたらします。単発の情報交換ではなく、日常業務にICT連携を組み込むことが算定の鍵です。
看護レポなら、訪問記録のLINE入力に加えて、医療機関からの情報受領履歴も一元管理できます。算定漏れの自動検出・摘要欄テンプレートの活用で、加算収入を確実に積み上げられます。
2026年改定に完全対応した訪問看護記録システム 看護レポは月額300円/名から。加算算定の記録要件にも対応しています。 看護レポの詳細を見る
本記事は以下の一次資料・公的情報に基づいています。2026年4月1日時点の告示・通知の内容を反映していますので、最新情報は厚生労働省の通知をあわせてご確認ください。
この記事をシェア