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訪問看護 複数名訪問加算【2026年改定対応】算定要件・保険別比較表

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看護レポ編集部
2026年3月21日31分で読める
訪問看護 複数名訪問加算【2026年改定対応】算定要件・保険別比較表

複数名訪問加算は「2人で訪問したのに名称を間違えて誤請求した」「介護保険と医療保険で要件が違うことに気づかなかった」という事例が繰り返される項目です。

介護保険・医療保険・精神科の3制度で名称・要件・単位数・回数制限がすべて異なります。精神科は「複数名精神科訪問看護加算」という独立した制度のため、混同すると返戻の原因になります。

この記事では横比較表・算定フローチャート・チェックリストを使って3制度の違いを整理します。2024年(令和6年)〜2026年(令和8年)改定に対応しています。

⚠️ 2026年改定の要点 2026年4月施行の改定では、複数名訪問加算(介護保険・医療保険・精神科)の単位数・要件に実質的な変更はなく、従前の取扱いが継続されます。ただし訪問時間の記録義務化により、複数名訪問時も開始・終了時刻・同行者の役割を記録書に明記することが求められます。

参照: 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 / 令和6年度介護報酬改定 参照: 厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要(在宅医療) ※最新の告示・通知は厚労省サイトで確認すること


1. 複数名訪問加算とは何か——制度の基本的な考え方

加算の目的と位置づけ

訪問看護は原則として看護師1人で訪問することを想定しています。しかし、利用者の状態によっては1人での対応が困難なケースがあります。そうした場合に「複数名での訪問を行ったこと」を評価するために設けられているのが複数名訪問加算です。

加算の本質的な目的は2つです。

目的①:ケアの質の担保

1人では安全に提供できない医療処置や身体介助を適切に行うため、専門家が複数名で関与することで看護の質を確保します。たとえば、体重が重い利用者の体位変換・移乗介助を行いながら点滴管理をする、人工呼吸器の管理と吸引を同時に行うなど、物理的に1人では対応できない場面があります。

目的②:安全確保

暴力行為・迷惑行為のリスクがある利用者への訪問において、スタッフの身の安全を確保します。認知症の周辺症状や精神疾患の影響で攻撃的になることがある場合、1人での訪問は危険を伴います。

ポイントは**「1人で対応できない医学的・安全上の理由があること」が算定の前提**であることです。単なる研修目的や業務効率化のために2人で訪問しても、加算は算定できません。この基本原則は介護保険・医療保険・精神科のいずれにおいても共通しています。

「複数名訪問」と「複数回訪問」は別の加算

混同しやすい概念として「複数名訪問加算(ふくすうめい)」と「複数回訪問加算(ふくすうかい)」があります。

複数名訪問加算は、同じ時間帯に2人以上の職員が同時に訪問することを評価する加算です。一方、複数回訪問加算(難病等複数回訪問加算・精神科複数回訪問加算)は、同じ日に1人の訪問看護師が複数回訪問することを評価する別の加算です。

本記事では「複数名」すなわち同時訪問の加算を扱います。「複数回」訪問は別制度であるため、混同しないよう注意すること。特に精神科では「複数名精神科訪問看護加算」と「精神科複数回訪問加算」が別々に存在し、名称が似ているため混同事例が多く発生しています。

制度別の正式名称

3つの制度には正式な名称があります。算定表やレセプトシステムで選択する際に正しい名称を使うことが、誤算定防止の第一歩です。

保険種別 正式名称
介護保険 複数名訪問看護加算(Ⅰ)/ 複数名訪問看護加算(Ⅱ)
医療保険 複数名訪問看護加算(看護師等同行)/ 複数名訪問看護加算(看護補助者同行)
精神科(医療保険) 複数名精神科訪問看護加算

算定できる職種の組み合わせ

複数名訪問の組み合わせには大きく2パターンあります。

パターンA:看護師等 + 看護師等

保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、専門資格を持つ職員同士の組み合わせです。算定単位数が高く設定されており、医療的な処置の質を確保するための体制に対応しています。

パターンB:看護師等 + 看護補助者

専門資格を持つ看護師等1人と、資格を持たない看護補助者1人が同行する組み合わせです。算定単位数はパターンAより低いですが、人手が必要な身体介助(体位変換・移乗・入浴介助補助など)に対応できます。

看護補助者については「事業所に雇用されていること」が必須条件です。外部から呼んだボランティアや家族が補助しても加算の対象にはなりません。また、派遣スタッフについては、雇用関係の解釈に迷うことがありますが、直接雇用(雇用契約を結んでいる)が求められるため、派遣契約の場合は算定根拠が弱くなります。不明な場合は地方厚生局の解釈に従ってください。

なぜ3つの制度が別々に存在するのか

介護保険と医療保険で複数名訪問加算の制度が分かれているのは、各保険制度の設計思想の違いによります。

「居宅サービス計画(ケアプラン)に基づくサービス提供」という枠組みで設計されている介護保険では、ケアマネジャーを通じた計画への位置付けが必須条件になっています。

医療保険は「主治医の指示に基づく医療行為」という枠組みで設計されており、対象疾患や病態に関する制限が厳格です。別表第7(特定疾患等)や特別管理加算対象という医療的な条件が設定されています。

精神科訪問看護は、「精神科訪問看護基本療養費」という独立した報酬体系の中に位置付けられています。精神疾患特有のリスク(暴力行為・自傷他害のリスク)や支援の性質を踏まえ、独自の加算制度が整備されました。

なお、「特別管理加算」の対象疾患・処置については特別管理加算の算定要件・届出手順で解説しています。 加算の全体像は加算一覧(介護・医療保険を完全網羅)も参照してください。


2. 3制度を一目で比較する「横比較マスター表」

以下の比較表は、介護保険・医療保険・精神科訪問看護それぞれの複数名訪問加算を制度横断的に整理したものです。最初にこの表で全体像を把握してから、各制度の詳細解説を読んでください。

【横比較マスター表】複数名訪問加算 3制度比較

項目 介護保険 医療保険 精神科(医療保険)
適用する制度 介護保険 医療保険(訪問看護療養費) 医療保険(精神科訪問看護基本療養費)
加算の正式名称 複数名訪問看護加算(Ⅰ)/(Ⅱ) 複数名訪問看護加算 複数名精神科訪問看護加算
専門職同士の算定額 254単位(30分未満)/ 402単位(30分以上) 4,500円/日(2名以下)/ 4,000円/日(3名以上) 4,500円(1日1回)/ 9,000円(1日2回)/ 14,500円(1日3回以上)
補助者同行の算定額 201単位(30分未満)/ 317単位(30分以上) 3,000円/日(2名以下)/ 2,700円/日(3名以上) 3,000円(週1回限度)
専門職同行の算定回数上限 上限なし(ケアプランに位置付け必要) 週1日まで 制限なし(指示書への記載が必要)
補助者同行の算定回数上限 上限なし 週3日まで(特定疾病等では回数制限が緩和される(逓増制)) 週1回まで
対象者の制限 身体的理由または暴力行為等があること 特定疾患・特別管理加算対象・暴力行為等のいずれか 精神科訪問看護指示書が発行されている患者
主治医の指示要件 ケアプランに位置付け(間接的) 訪問看護指示書の範囲内 精神科訪問看護指示書への明記が必須
利用者同意 必須(記録化必要) 必須(記録化必要) 必須(記録化必要)
訪問時間の下限 なし(30分未満と30分以上で単位数が変わる) なし 30分以上が必須(30分未満は算定不可)
2024年(令和6年)改定での変更 変更なし 変更なし 変更なし
複数ステーション算定 週1回・1事業所のみ 週1回・1事業所のみ —

出典: 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定に関する審議報告 出典: 厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要(在宅医療)


3. 介護保険の複数名訪問看護加算:詳細解説

制度の概要

介護保険における複数名訪問看護加算は、訪問看護費に上乗せして算定する加算です。「複数名訪問看護加算Ⅰ」と「複数名訪問看護加算Ⅱ」の2種類があり、同行する職員の資格によって区別されます。

介護保険の最大の特徴は、ケアプランへの位置付けが算定の前提であることです。利用者の状態が「複数名が必要」であったとしても、ケアプランに記載がなければ算定できません。逆に言えば、介護保険ではケアプランに基づいて算定し、訪問時間に応じた単位設定(30分未満/30分以上)が適用されます。

加算Ⅰと加算Ⅱの違い:どちらを算定するか

複数名訪問看護加算Ⅰは、訪問する2人がともに専門資格(保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)を持っている場合に適用されます。専門的な医療処置や観察が2方向から必要な場合に対応します。

複数名訪問看護加算Ⅱは、専門資格を持つ看護師等1人と、資格を持たない看護補助者1人が同行する場合に適用されます。医療的処置は看護師が担いながら、身体介助(体位変換・移乗・入浴介助)は補助者が支援するという役割分担ができます。

どちらを算定するかは同行職員の資格によって自動的に決まります。算定Ⅱを算定しているにもかかわらず同行職員が実は専門資格を持っていた(または逆)というケースは審査でチェックされますので、同行スタッフの資格証コピーをファイルしておくと安心です。

算定単位数(2024年改定後)

複数名訪問看護加算Ⅰ(看護師等 + 看護師等)

訪問時間 単位数
30分未満 254単位
30分以上 402単位

複数名訪問看護加算Ⅱ(看護師等 + 看護補助者)

訪問時間 単位数
30分未満 201単位
30分以上 317単位

「30分未満」「30分以上」の区切りは、**訪問看護を実際に提供した時間(直接ケアを提供した時間)**で判定します。移動時間や準備時間は含まれません。

参照: 社会保険診療報酬支払基金 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表

算定要件の詳細

要件①:対象利用者であること

以下のいずれかに該当する利用者が算定対象です。

(ア)身体的理由により1人の看護師等による訪問看護が困難であると認められる者

「1人では困難」の具体的な判断基準は厚生労働省から明示されていません。しかし実務上は、体重が重く1人での体位変換・移乗介助が安全に行えない場合(目安として70kg以上)や、医療処置を行いながら同時に安定した体位保持が必要な場合が該当します。人工呼吸器管理と気管カニューレ周辺のケアの同時実施、経腸栄養剤注入と体位管理の同時実施、ADLが全介助かつ医療処置が必要な状態なども算定根拠となります。

「なぜ1人では困難なのか」を訪問看護記録に具体的に書いておく。「重症のため」「状態が不安定なため」という曖昧な記述では審査時に算定根拠が弱くなります。

(イ)暴力行為・器物破損行為等の観点から1人の訪問が困難である者

認知症の症状として暴言・暴力行為がある場合、または精神疾患の影響で攻撃的な行動が見られる場合などです。安全確保の観点から複数名での対応が必要と判断されます。この場合も「なぜ複数名が必要か」の理由をカルテに記載しておく。

(ウ)その他これに準ずる状況

制度上「その他これに準ずる状況」という包括的な文言があるため、(ア)(イ)に厳密に当てはまらない場合でも、主治医・ケアマネジャーが必要と判断した場合は認められる余地があります。ただし「準ずる状況」の具体的な解釈は地方厚生局によって異なる場合があり、不明な場合は事前に確認することを推奨します。

要件②:居宅サービス計画(ケアプラン)への位置付け

ケアプランに「複数名での訪問看護を行うこと」「その理由(身体的理由 or 安全確保)」が記載されていることが前提です。ケアマネジャーに「複数名訪問が必要な状態になった」と連絡し、プランの変更(軽微変更または正式変更)を依頼します。

よくある問題: 利用者の状態が突然悪化して急遽2人で訪問した場合、ケアプランへの位置付けがない状態で算定してしまうケースがあります。これは算定要件を満たしていません。緊急性が高くても、後からケアプランを修正して算定することはできません。ケアプランへの位置付けが完了してから算定を開始してください。

要件③:利用者または家族の同意

利用者または家族から同意を取得し、記録に残す。

同意の有効性: 口頭同意でも算定要件は満たします。ただし「同意を得た日時」「同意を与えた人(本人または家族の続柄)」「同意の内容」を訪問看護記録に記載しないと、審査で算定根拠が取れません。同意書は制度上の義務ではありませんが、審査対応の証拠として有効です。

同意取得のタイミング: 複数名訪問を開始する前に取得するのが原則です。事後の同意は有効ではありません。

要件④:看護補助者の雇用関係(加算Ⅱのみ)

加算Ⅱを算定する場合、看護補助者は「訪問看護事業所に雇用されていること」が条件です。

「雇用されている」とは直接雇用(雇用契約を締結している)を意味します。派遣労働者は派遣元に雇用されているため、原則として算定の対象外です。なお、派遣先への直接雇用も認められる場合があるため、労働契約の内容を確認してください。

ボランティア、家族、近隣住民などが同行しても加算Ⅱの算定はできません。

算定回数の制限

介護保険の複数名訪問看護加算には、算定回数の上限規定はありません。一方で、医療保険と異なる制限として「週1回・1事業所のみ」のルールがあります。

同一利用者に複数のステーションが訪問している場合、複数名訪問加算を算定できるのは1つのステーションのみです。どのステーションが算定するかについては、事業所間で事前に合議する必要があります。このルールは医療保険でも同様です。

単位数の計算例

計算例1:加算Ⅰを算定するケース

要介護4のALS(筋萎縮性側索硬化症)で人工呼吸器を使用している利用者に、看護師Aが人工呼吸器管理・回路交換を担当しながら看護師Bが吸引・体位調整を同時実施するケース(訪問時間90分)です。

報酬項目 単位数
訪問看護費(I)3(90分以上) 1,134単位
複数名訪問看護加算Ⅰ(30分以上) +402単位
合計 1,536単位

1単位10.68円(地域区分:6級地)の場合、1回あたり約16,400円になります。

計算例2:加算Ⅱを算定するケース

要介護5で脳梗塞後遺症・体重85kg・全介助・創傷処置が必要な利用者に、看護師が褥瘡処置と全身観察を担当し、補助者が体位変換介助を行うケース(訪問時間60分)です。

報酬項目 単位数
訪問看護費(I)2(60分以上90分未満) 821単位
複数名訪問看護加算Ⅱ(30分以上) +317単位
合計 1,138単位

1単位10.68円の場合、1回あたり約12,100円。

介護保険特有の注意点:介護予防訪問看護との違い

介護予防訪問看護(予防給付)でも複数名訪問看護加算は算定できます。もっとも、要支援1・2の利用者については「複数名での訪問が必要な医学的理由」が明確でないと算定根拠として認められにくいことがあります。認定区分が軽度でも、医療的処置の内容や身体状況によって必要性が認められる場合があります。


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4. 医療保険の複数名訪問看護加算:詳細解説

制度の概要

医療保険(訪問看護療養費)における複数名訪問看護加算は、介護保険と比べて対象者の要件が具体的かつ限定的に定められており、算定回数の制限も厳格です。

医療保険の訪問看護は主に要支援・要介護の認定を受けていない利用者(または医療保険が優先適用される利用者)が対象です。対象疾患が特定され、医師の指示に基づく医療行為として提供されます。

同行する職員の種別(看護師/准看護師/看護補助者)と、同一建物内の訪問人数(2名以下/3名以上)によって算定額が細かく変わる点が介護保険との大きな違いです。

算定金額(2024年改定後)

看護師等が同行する場合(保健師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)

同一建物居住者の訪問人数 算定金額 算定回数制限
同一建物内 2名以下 4,500円/日 週1日まで
同一建物内 3名以上 4,000円/日 週1日まで

准看護師が同行する場合

同一建物居住者の訪問人数 算定金額 算定回数制限
同一建物内 2名以下 3,800円/日 週1日まで
同一建物内 3名以上 3,400円/日 週1日まで

看護補助者が同行する場合(一般ケース)

同一建物居住者の訪問人数 算定金額 算定回数制限
同一建物内 2名以下 3,000円/日 週3日まで
同一建物内 3名以上 2,700円/日 週3日まで

看護補助者が同行する場合(厚生労働大臣が定める疾病等の患者)

末期の悪性腫瘍、ALS等(厚労省告示・別表第7)に該当する疾病の患者では、回数制限が撤廃され1日の訪問回数に応じた逓増制になります。

同一建物居住者(2名以下) 1日の訪問回数 算定金額
2名以下 1日1回 3,000円
2名以下 1日2回 6,000円
2名以下 1日3回以上 10,000円
3名以上 1日1回 2,700円
3名以上 1日2回 5,400円
3名以上 1日3回以上 9,000円

参照: 厚生労働省 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法

算定要件の詳細

要件①:対象患者であること

医療保険の複数名訪問看護加算は、すべての患者に算定できるわけではありません。以下のいずれかに該当することが要件となります。

(ア)厚生労働大臣が定める疾病等の患者(別表第7)

以下の疾病等を有する患者が対象です。この疾病リストは「別表第7」として知られており、週4日以上の訪問看護が可能になる医療保険優先適用の条件にもなっています。

  1. 末期の悪性腫瘍
  2. 多発性硬化症
  3. 重症筋無力症
  4. スモン
  5. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  6. 脊髄小脳変性症
  7. ハンチントン病
  8. 進行性筋ジストロフィー症
  9. パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病)
  10. 多系統萎縮症
  11. プリオン病
  12. 亜急性硬化性全脳炎
  13. ライソゾーム病
  14. 副腎白質ジストロフィー
  15. 脊髄性筋萎縮症
  16. 球脊髄性筋萎縮症
  17. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  18. 後天性免疫不全症候群
  19. 頸髄損傷
  20. 人工呼吸器を使用している状態

上記のほか、医師が訪問看護指示書において「特に必要と認める場合」に準ずる疾病等も含まれます。

(イ)特別管理加算の対象者

「特別管理加算」を算定する対象者、すなわち特別な管理を要する利用者が対象です。在宅悪性腫瘍等患者指導管理・在宅気管切開患者指導管理・留置カテーテル使用・在宅自己腹膜灌流指導管理・在宅血液透析指導管理・在宅酸素療法指導管理を受けている者が含まれます。また、在宅中心静脈栄養法指導管理・在宅成分栄養経管栄養法指導管理・在宅自己導尿指導管理が追加されます。在宅人工呼吸指導管理・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理・在宅自己疼痛管理指導管理を受けている者や、真皮を越える褥瘡の状態にある者(DESIGN-R分類D3以上)も対象です。

(ウ)特別訪問看護指示書の交付を受けた者

急性増悪・退院直後・終末期ケアなどを理由に主治医が特別訪問看護指示書を交付した期間(最長14日間)中の患者です。

(エ)暴力行為・迷惑行為等が認められる者

著しい暴力行為、迷惑行為、器物破損行為等が認められる者について、安全確保の観点から複数名での訪問が必要な場合です。

(オ)身体的理由により1人での看護が困難な者

介護保険と同様に、体重や身体状況から1人での訪問看護提供が困難と認められる場合です。

要件②:訪問看護指示書の範囲内

医療保険の複数名訪問看護加算は、主治医が発行した訪問看護指示書の範囲内で算定されます。指示書に「複数名での訪問を要する」という記載が必要というわけではありませんが、指示書の有効期間内であることが前提です。

なお、特別管理加算対象患者(気管カニューレ・留置カテーテル等)については、指示書への「特別管理が必要な状態」の記載が算定の前提となります。

要件③:利用者・家族の同意

介護保険と同様に、本人または家族の同意取得と記録が必要です。口頭同意でも可能ですが、日時・同意者・内容を記録してください。

週1日制限の実務的な解釈

医療保険において「週1日まで」という算定回数制限は、実務上非常に重要な制約です。

「週」の定義は「月曜日から日曜日まで」です。月曜日に複数名訪問を行ってその日に加算を算定したとすると、その週(月〜日)は加算の対象となる複数名訪問の算定は1回のみです。

よくある疑問: 「月曜日に看護師同士(加算Ⅰ相当)で1回算定した。木曜日にはどうしても2人必要な処置がある。木曜分の加算は算定できるか?」

→ 算定できません。「週1日まで」の制限は、看護師同士・補助者同行のいずれかを問わず1週間で1日が上限です(補助者同行は週3日まで、という区別はありますが)。例外は暴力行為等の安全確保目的で、その場合は週3日まで算定可能です。

「同一建物居住者」の人数で算定額が変わる仕組み

「同一建物居住者」の人数によって算定額が変わるのは、集合住宅や施設に複数の利用者がいる場合、移動コストが抑えられることへの調整措置です。

「同一建物」とは同一の建物(マンション・アパート・施設等)を指します。週内に同一建物内の利用者を2名以下しか訪問しない場合は「2名以下」の高い算定額が適用され、3名以上を訪問する場合は「3名以上」の低い算定額が適用されます。

注意点として、「複数名訪問加算を算定する利用者」の人数ではなく、「その週に同一建物に訪問した利用者の総数」でカウントします。複数名訪問加算を算定しない利用者も人数に含まれます。

准看護師が同行する場合の扱い

医療保険では看護師と准看護師を区別して算定額を設定しています(介護保険はこの区別がない)。

同行職種 算定額(2名以下) 算定額(3名以上)
看護師(保健師・助産師含む) 4,500円 4,000円
准看護師 3,800円 3,400円
看護補助者(一般) 3,000円 2,700円

この区別は、訪問を行う2人目(同行者)の資格が准看護師か看護師かによって変わります。メインの訪問者が准看護師で同行者が看護師の場合でも、「同行者の資格」ではなく「メインの看護師と同行者の組み合わせ」で判断します。実務上、どちらの資格を同行職種として記録するかについては、事業所の記録様式と請求ソフトの設定を確認してください。

計算例

計算例:医療保険の複数名訪問看護加算

対象となる利用者として、末期大腸がん(別表第7該当)で在宅中心静脈栄養(特別管理加算対象)のケースを想定します。訪問は週1回・1日1回で、看護師がCV管理と疼痛コントロールを担当し補助者が体位変換・清拭介助を行います。単一建物(自宅)への当週訪問人数は1名です。

算定する報酬は、訪問看護基本療養費(Ⅰ)5,550円と特別管理加算(Ⅰ)5,000円(月初のみ)です。これに複数名訪問看護加算(補助者・特別管理対象・1日1回・2名以下)3,000円が加わります。


5. 精神科の複数名精神科訪問看護加算:詳細解説

制度の概要

精神科訪問看護は、通常の訪問看護とは別の制度として「精神科訪問看護基本療養費」が設けられています。複数名での訪問を評価する加算も「複数名精神科訪問看護加算」として独立した制度になっており、前述の「複数名訪問看護加算」とは別の算定区分です。

精神科訪問看護を行うステーションは、算定する加算が「複数名訪問看護加算」ではなく「複数名精神科訪問看護加算」であることを確認すること。双方を誤って算定すると、審査で返戻・査定の対象となります。

精神科訪問看護を行えるステーションの要件

複数名精神科訪問看護加算を算定するためには、まず精神科訪問看護自体が算定できる体制にある必要があります。精神科訪問看護基本療養費を算定するには、「精神科訪問看護・指導」の届出が必要で、精神疾患を有する患者への訪問看護の経験を持つ保健師または看護師が事業所にいることが条件になっています。

算定金額

同行職種 算定条件(1日あたり訪問回数) 算定金額
保健師・看護師・作業療法士 1日1回 4,500円
保健師・看護師・作業療法士 1日2回 9,000円
保健師・看護師・作業療法士 1日3回以上 14,500円
看護補助者 週1回限度 3,000円

参照: 厚生労働省 精神科訪問看護の基本療養費および加算に係る算定要件

算定要件の詳細

要件①:精神科訪問看護指示書への記載

通常の訪問看護と決定的に異なる要件がここにあります。精神科訪問看護では主治医(精神科または神経科を標榜する保険医)が発行する精神科訪問看護指示書に、複数名での訪問の必要性が明記されていることが算定の条件です。

「明記」とは、指示書の中に「複数名での訪問が必要」という旨の記載があることを意味します。通常の訪問看護指示書では特定疾患の記載だけで足りることが多いですが、精神科では複数名訪問の必要性が指示書に書かれていることが算定の絶対条件です。

この要件は算定漏れより算定誤りの原因になりやすいです。指示書の更新時(最長6ヶ月ごと)に複数名訪問の記載が更新されているかを必ず確認してください。

要件②:1名以上は保健師または看護師であること

複数名で訪問する場合、最低1名は保健師または看護師でなければなりません。作業療法士2名での訪問は算定の対象外です。精神科訪問看護では作業療法士が多く従事していますが、複数名での訪問において必ず保健師か看護師を含める必要があります。

要件③:30分以上の訪問であること

精神科の複数名精神科訪問看護加算は、30分未満の短時間訪問では算定できません。30分以上の訪問であることが算定の前提条件です。この「30分以上」の要件は、通常の複数名訪問看護加算(介護保険)には存在せず、精神科特有の要件です。

要件④:利用者・家族の同意

他制度と同様に、本人または家族の同意取得と記録が必要です。

精神科特有の対象者像

精神科訪問看護の対象者は、精神科訪問看護指示書が発行されている患者です。主な対象として、統合失調症、気分障害(うつ病・双極性障害)、不安障害、パーソナリティ障害、依存症、認知症(精神科的問題を有する場合)などが挙げられます。

複数名での訪問が特に多いケースとして、主に3つのパターンがあります。まず易攻撃性がある患者(陽性症状期)として、統合失調症の症状悪化期・躁状態・認知症の徘徊行為など1人での訪問が危険を伴う場合に、もう1名が安全確保を担います。次に自傷・自殺念慮があるケースでは、1人が観察・危機介入を行いながらもう1人が環境調整・家族支援を行います。さらに服薬管理と生活支援の同時提供として、看護師が精神科的なアセスメントと服薬確認を行いながら、補助者が生活援助(食事準備補助・整理整頓)を担います。

複数名精神科訪問看護加算と複数名訪問看護加算の使い分け

同じステーションが精神科訪問看護と通常訪問看護の両方を提供している場合、どちらの加算を算定するかは「精神科訪問看護基本療養費」を算定しているか否かで決まります。

精神科訪問看護基本療養費を算定している訪問では「複数名精神科訪問看護加算」を、訪問看護基本療養費(医療保険)を算定している訪問では「複数名訪問看護加算」を算定します。

同一患者に同日に両方を算定することはできません。また、統合失調症の患者でも、身体疾患の治療(創傷処置や点滴管理など)を主目的とした訪問の場合は、訪問看護基本療養費で算定することになります(その場合は複数名訪問看護加算)。

精神科の複数名加算と複数回加算の同時算定

「複数名精神科訪問看護加算」(複数名での訪問)と「精神科複数回訪問加算」(1日に複数回訪問)は別の加算です。患者の状態によっては両方を同日に算定できる場合があります。ただし算定要件をそれぞれ個別に満たす必要があります。


6. 制度選択フローチャート:どの加算を算定するか

複数名訪問を行った場合、どの加算を算定すべきかを判断するフローチャートです。上から順番に質問に答えることで、算定すべき加算が特定できます。

【スタート】2人以上で同時に訪問看護を行った
              ↓
  Q1:精神科訪問看護基本療養費を算定している訪問か?
              ↓
      Yes          No
       ↓            ↓
【精神科ルート】    Q2:何保険の利用者か?
       ↓              ↓           ↓
  Q2a:指示書に    介護保険        医療保険
  複数名訪問の          ↓              ↓
  記載があるか?   Q3a:対象利用者か?  Q3b:対象患者か?
                   (身体的理由/        (別表第7/特別管理
       ↓ Yes       暴力行為等)         加算対象/
       ↓                                特別訪問看護指示書/
  Q2b:1名以上が    ↓ Yes               暴力行為等)
  保健師・看護師か?     ↓                   ↓ Yes
       ↓ Yes       Q4a:ケアプランに        ↓
       ↓           位置付けあるか?     Q4b:同行職種は?
  Q2c:30分以上か?      ↓ Yes              ↓
       ↓ Yes            ↓         看護師等: 4,500円or4,000円
       ↓           Q5a:同行職種は?       (週1日限度)
       ↓                ↓         准看護師: 3,800円or3,400円
  複数名精神科     専門職同士:         補助者: 3,000円
  訪問看護加算     加算Ⅰ(402/254単位)(週3日or特疾病無制限)
  (回数別の金額) 補助者同行:
                   加算Ⅱ(317/201単位)

 ★Noの分岐で加算は算定不可(本体報酬のみ)

判定で引っかかりやすいポイント

Q1の判定: 同じ事業所でも患者ごとに精神科訪問看護基本療養費を算定しているかどうかが異なります。同一患者に同一日に両方の算定は不可です。

Q3a・Q3b(対象要件): 介護保険は「身体的理由または暴力行為等」という比較的広い基準ですが、医療保険は「特定疾患リスト(別表第7)または特別管理加算対象」という厳格な基準です。介護保険で算定できても医療保険では算定できないケースがあります。

Q4a(ケアプラン): 介護保険で最も見落とされやすい要件です。いくら状態が対象であっても、ケアプランへの位置付けがなければ算定できません。


7. 複数事業所が同一利用者に訪問している場合の取り扱い

「週1回・1事業所のみ」の原則

医療保険の複数名訪問看護加算は、「利用者1人につき週1回限り、1か所の訪問看護ステーションのみ算定できる」というルールがあります。

複数のステーションが同一利用者に訪問しているケースで、複数名訪問を行う場合、どのステーションが加算を算定するかについては、ステーション間で合議する必要があります。

介護保険でも同様のルールが適用されますが、「週1回」という制限は医療保険より回数が少ないです(介護保険は回数制限なし・ただし算定できるのは1事業所のみ)。

合議の進め方

実務上の合議ポイントは以下のとおりです。

  1. 主訪問ステーションがどちらか: 訪問回数が多いステーション、または主治医との連携が深いステーションが算定することが多い
  2. 複数名訪問を実施しているのがどちらか: 実際に2名訪問を行っているステーションが算定する
  3. ケアプランへの記載: 介護保険の場合、ケアプランにどのステーションが複数名訪問を行うかが記載されていることが望ましい

合議の結果は記録として残しておくことを推奨します。


8. よくある誤算定パターンとその対策

訪問看護ステーションの請求審査で返戻・査定の原因となりやすいパターンを整理します。

パターン1:「研修同行」「引き継ぎ同行」で算定してしまう

問題点: 新人スタッフの研修目的や引き継ぎ目的で2人が同行した場合、それは「事業所の都合」による同行であり、加算の対象外です。加算は「利用者の状態・安全確保のために複数名が必要な場合」に限られます。

実際の事例: 新卒1年目の看護師と先輩看護師が同行訪問し、「2人で訪問した」として加算を算定。審査で「研修目的と認められる」として返戻。

対策: 複数名訪問を行う際には、訪問記録に「複数名が必要な理由(利用者側の理由)」を必ず記載する。研修同行と利用者都合の複数名訪問は訪問記録上で明確に区別し、研修同行は加算を算定しないルールを事業所内で徹底します。

パターン2:介護保険と医療保険の対象要件を混同する

問題点: 介護保険で算定していた利用者が医療保険に切り替わった際に、「身体的理由」だけで算定を継続してしまうケース。医療保険では別表第7や特別管理加算対象という限定的な要件が必要です。

実際の事例: 要介護5から要支援1への区分変更(医療保険優先)のタイミングで確認不足。介護保険では「身体的理由」で算定できていたが、医療保険の対象患者要件を満たしていないため算定不可に。

対策: 保険区分が変わる際は複数名訪問加算の要件を再チェックするプロセスをルール化する。変更時には「複数名加算算定可否確認シート」を使って1つずつ要件を確認します。

パターン3:精神科訪問看護で「複数名訪問看護加算」を誤算定する

問題点: 精神科訪問看護基本療養費を算定している訪問に対して、誤って「複数名訪問看護加算」を算定するケース。精神科訪問看護には「複数名精神科訪問看護加算」という独立した制度があります。

対策: レセプトシステムの設定を確認し、精神科訪問看護を算定している場合に「複数名精神科訪問看護加算」しか選択できないよう設定する。または、加算選択時のダブルチェックルールを設けます。

パターン4:医療保険で「週1日制限」を超えて算定してしまう

問題点: 月曜に複数名訪問を行い加算を算定した週に、木曜も複数名訪問が必要で再度算定してしまうケース(暴力行為等の例外を除く)。

実際の事例: ある週に複数名訪問が月・木の2回必要だったが、木曜分も算定してしまい、月次の審査で過剰算定として返戻されました。

対策: 週単位(月〜日)で複数名訪問の実施回数を管理するシステムを導入する。訪問スケジュール管理シートに「当週複数名訪問加算算定済み」のフラグを設けます。

パターン5:看護補助者が外部スタッフで算定してしまう

問題点: 同行した看護補助者が事業所に雇用されていない外部スタッフ(派遣・委託・ボランティア等)だった場合、加算Ⅱや補助者同行の加算は算定できません。

対策: 複数名訪問に従事できる看護補助者リストを作成し、全員の雇用形態(直接雇用)を事前に確認する。新たに外部スタッフの協力を得る際には、雇用契約を締結してから複数名訪問に組み込む。

パターン6:精神科加算で指示書への記載を確認せずに算定する

問題点: 精神科の複数名加算は「主治医の指示書への記載」がないと返戻になりますが、指示書の更新時に複数名訪問の必要性が記載されなかった場合に、算定を継続してしまうケース。

実際の事例: 精神科訪問看護指示書の更新(6ヶ月ごと)の際、主治医が複数名訪問の記載を省略。事業所側が確認せず算定を継続し、審査で指摘されました。

対策: 精神科訪問看護指示書の有効期間切れのリマインダーを設定し、更新時に「複数名訪問の記載があるか」を必ずチェックする。主治医への依頼時には「複数名訪問の継続の必要性」を明示的に伝える。

パターン7:同一建物の人数カウントを誤る

問題点: 医療保険で「同一建物居住者の人数」によって算定額が変わりますが、「複数名訪問加算を算定する人数」と「その週に同一建物に訪問した総人数」を混同するケース。

対策: 月次の請求作業前に、建物ごとの週次訪問者総数を集計するプロセスを設けてください。同一建物に3名以上の利用者がいる週は、自動的に3名以上の算定額が適用されるよう請求ソフトを設定してください。


9. 算定前・請求前チェックリスト

介護保険 複数名訪問看護加算 チェックリスト

算定前の確認(訪問前に確認)

  • 対象利用者(身体的理由 or 暴力行為等)に該当するか
  • ケアプランに複数名訪問が位置付けられているか
  • 利用者または家族の同意を取得し記録したか
  • 加算Ⅱの場合、同行する看護補助者は事業所に直接雇用されているか
  • 当該利用者について他の訪問看護ステーションが当週に複数名加算を算定していないか

訪問時の確認

  • 2人が「同時」に利用者宅に滞在しているか(時間差がないこと)
  • 訪問時間(開始・終了)を正確に記録しているか
  • 複数名での訪問が必要だった具体的な理由を記録しているか

請求前の確認(月次)

  • 訪問記録に複数名訪問の理由と実施内容が記載されているか
  • 算定した加算の種別(Ⅰ or Ⅱ)と単位数(30分未満/30分以上)が正確か
  • ケアプランに記載された複数名訪問の回数・目的と一致しているか

医療保険 複数名訪問看護加算 チェックリスト

算定前の確認(訪問前に確認)

  • 対象患者要件(別表第7/特別管理加算対象/特別訪問看護指示書対象/暴力行為等)に該当するか
  • 当該週の複数名訪問加算算定回数が上限(週1日、補助者同行は週3日)を超えていないか
  • 利用者または家族の同意を取得し記録したか
  • 同行職種(看護師等/准看護師/看護補助者)を確認済みか
  • 当該利用者について他の訪問看護ステーションが当週に複数名加算を算定していないか

訪問時の確認

  • 2人が「同時」に利用者宅に滞在しているか
  • 訪問時間(開始・終了)を正確に記録しているか
  • 複数名での訪問が必要だった具体的な理由を記録しているか

請求前の確認(月次)

  • 精神科訪問看護基本療養費を算定している訪問でないことを確認したか
  • 同一建物居住者の人数(2名以下/3名以上)を確認し正しい金額を選択したか
  • 同行職種別の金額区分(看護師等/准看護師/補助者)が正確か
  • 週1日制限(補助者は週3日制限)を超えていないか

精神科 複数名精神科訪問看護加算 チェックリスト

算定前の確認(訪問前に確認)

  • 精神科訪問看護指示書に複数名訪問の必要性が記載されているか
  • 精神科訪問看護指示書の有効期間内か
  • 1名以上は保健師または看護師が訪問しているか
  • 看護補助者同行の場合、当該週が週1回目か
  • 利用者または家族の同意を取得し記録したか

訪問時の確認

  • 訪問時間が30分以上か(30分未満では算定不可)
  • 2人が「同時」に利用者宅に滞在しているか
  • 1日の訪問回数を確認しているか(1回/2回/3回以上で金額が変わる)

請求前の確認(月次)

  • 「複数名精神科訪問看護加算」として算定しているか(複数名訪問看護加算でないか)
  • 1日の訪問回数に応じた正しい金額を選択しているか(4,500円/9,000円/14,500円)
  • 補助者同行の場合、週1回の制限内か

10. 複数名訪問の記録と同意取得の実務

同意取得のタイミングと方法

複数名訪問を開始する前に、利用者または家族の同意を得ることが必要です。同意取得の実務的なポイントは以下のとおりです。

同意を取得するタイミング

複数名訪問を初めて開始するとき(新規)、対象者の状態が変化して複数名訪問を再開するとき、ケアプランの変更があったとき(介護保険)のタイミングで同意を取得します。

口頭同意でも算定要件は満たすが記録は必須

「同意を取得した日時」「誰が同意を与えたか(本人 or 家族の続柄)」「同意の内容(複数名での訪問を行うこと)」を訪問看護記録または専用の同意書に残すこと。

同意書を使う場合のメリット

同意書があると、後から審査で「同意を得ていたか」を問われた際に明確な証拠として提示できます。特に精神疾患のある患者では判断能力に疑義が生じる場合があるため、家族(代理同意)からの同意書を保管しておくことが実務上安全です。

同意の有効期間

制度上の定めはありませんが、利用者の状態が大きく変化した場合(病状の改善・悪化・転居・家族構成の変化等)には同意を取り直すことを検討してください。

訪問記録への必須記載事項

複数名訪問を行った場合、訪問記録には以下を記載してください。

必須項目

  • 訪問した職員全員の氏名と資格(「看護師 〇〇、看護補助者 〇〇」など)
  • 複数名での訪問が必要だった理由(具体的に)
  • 2人が同時に滞在していた時間(「〇〇時〇〇分〜〇〇時〇〇分 2名同時訪問」)
  • 実施した看護の内容(各職員が何を担当したか)
  • 利用者・家族の反応

「なぜ複数名が必要だったか」の書き方

良い書き方の例: 「体重92kgで褥瘡(仙骨部D3)あり。看護師Aが褥瘡処置を実施する間、体位を左側臥位に保持するために2名での訪問が必要。看護補助者Bが体位保持を担当した。」

「入浴介助時に転倒リスクが高く(FIM:移動6点)、身体支持の補助として2名での訪問が必要。看護師Aが清拭・皮膚観察を実施し、補助者Bが体位保持・洗体補助を担当した。」

悪い書き方の例(要件を満たさない記録): 「体状態が重いため2名で訪問した」(具体性がない) 「2名体制で対応した」(理由の記載がない)

介護保険における記録とケアプランの整合性

介護保険では「ケアプランとの整合性」が審査のポイントになります。

  • ケアプランに「○○の理由により複数名訪問が必要」と記載されている → 訪問記録にもその理由を反映した記述がある → 一貫性あり

ケアプランには「ADL介助(体位変換)のために2名対応が必要」と書いているのに、訪問記録に「医療処置を実施した」だけしか書いていないと、整合性がとれていません。訪問記録はケアプランと整合した内容で書くことを意識してください。

記録の保存と開示への対応

訪問看護記録は利用者1人につき最低5年間の保存が義務付けられています(居宅サービス事業者の記録保存義務:介護保険法第115条の22等)。複数名訪問の同意記録・訪問記録も同期間保存が必要です。

審査支払機関(国保連・支払基金)から記録の開示を求められた際に、適切な記録が保存されていることが算定の正当性を証明する証拠になります。


11. 算定根拠となる厚生労働省通知・告示の読み方

複数名訪問加算の算定根拠となる公式文書を理解しておくと、審査対応や新人スタッフへの説明が楽になります。

介護保険の根拠文書

告示: 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(厚生省告示第19号)が根拠となり、複数名訪問看護加算の単位数を定めた公式文書です。

通知: 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第36号)に、算定要件の解釈・Q&Aが収録されています。

参照先: 厚生労働省 介護報酬の算定構造

医療保険の根拠文書

告示: 「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(厚生労働省告示)が根拠となり、複数名訪問看護加算の算定額と基本的な要件を確認できます。

通知: 「訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(保医発通知)に、算定要件の詳細な解釈が記載されています。

参照先: 厚生労働省 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法

精神科の根拠文書

診療報酬点数表: 「I012 精神科訪問看護・指導料」に複数名精神科訪問看護加算の点数が定められています

通知: 保険局医療課長通知(精神科訪問看護に係る留意事項通知)

参照: 令和6年度診療報酬改定(精神科)

地方厚生局への確認のすすめ

制度の解釈が不明な場合、地方厚生局に電話・メールで照会するのが確実です。無料で算定要件の解釈に回答してもらえます。

「このケースは算定できますか?」という個別具体的な質問に対して、文書回答を求めることもできます。口頭より文書回答のほうが後からの証拠として機能します。


12. 保険別・対象者別の算定単位数まとめ

介護保険 全パターン一覧

加算種別 同行職種 訪問時間 単位数 算定回数制限
複数名訪問看護加算Ⅰ 看護師等+看護師等 30分未満 254単位 なし(ケアプラン要)
複数名訪問看護加算Ⅰ 看護師等+看護師等 30分以上 402単位 なし(ケアプラン要)
複数名訪問看護加算Ⅱ 看護師等+看護補助者 30分未満 201単位 なし(ケアプラン要)
複数名訪問看護加算Ⅱ 看護師等+看護補助者 30分以上 317単位 なし(ケアプラン要)

医療保険 全パターン一覧

同行職種 同一建物人数 算定金額 算定回数制限
看護師等(看護師・保健師・PT・OT等) 2名以下 4,500円/日 週1日まで
看護師等 3名以上 4,000円/日 週1日まで
准看護師 2名以下 3,800円/日 週1日まで
准看護師 3名以上 3,400円/日 週1日まで
看護補助者(一般ケース) 2名以下 3,000円/日 週3日まで
看護補助者(一般ケース) 3名以上 2,700円/日 週3日まで
看護補助者(別表第7疾患・1日1回) 2名以下 3,000円/日 制限なし
看護補助者(別表第7疾患・1日2回) 2名以下 6,000円/日 制限なし
看護補助者(別表第7疾患・1日3回以上) 2名以下 10,000円/日 制限なし
看護補助者(別表第7疾患・1日1回) 3名以上 2,700円/日 制限なし
看護補助者(別表第7疾患・1日2回) 3名以上 5,400円/日 制限なし
看護補助者(別表第7疾患・1日3回以上) 3名以上 9,000円/日 制限なし

精神科訪問看護 全パターン一覧

同行職種 1日の訪問回数 算定金額 算定回数制限
保健師・看護師・作業療法士 1日1回 4,500円 制限なし(指示書記載必要)
保健師・看護師・作業療法士 1日2回 9,000円 制限なし(指示書記載必要)
保健師・看護師・作業療法士 1日3回以上 14,500円 制限なし(指示書記載必要)
看護補助者 — 3,000円 週1回まで

13. 2024年(令和6年)改定でどう変わったか

複数名訪問加算そのものへの変更はない

2024年(令和6年)4月施行の介護報酬改定、および6月施行の診療報酬改定において、複数名訪問加算(介護保険・医療保険・精神科いずれも)の単位数・算定要件に直接の変更はありませんでした。

これは「複数名訪問加算は現行制度を維持する」という中医協・介護給付費分科会での議論の結果です。加算の必要性は認められているものの、「対象者・回数制限の見直し」は次回改定以降の検討事項として先送りになっています。

関連制度の変更:24時間対応体制加算の見直し

直接の変更はない複数名加算に対し、周辺制度として「24時間対応体制加算」(医療保険)に大きな変更がありました。これは複数名訪問加算の算定環境に間接的な影響を与えます。

変更内容: 24時間対応体制加算が「イ」「ロ」の2段階に分かれました。加算イ(6,800円/月)は夜間オンコール対応スタッフの負担軽減措置を実施している事業所が対象で、加算ロ(6,520円/月)は従来の要件のみを満たしている事業所が対象です。

負担軽減措置の要件として「翌日の勤務間隔確保」「連続夜間対応の制限(2回まで)」「ICT・AI活用」などが設定されました。

複数名加算との関連: 24時間体制を敷いているステーションでは夜間の緊急訪問でも複数名対応が求められる場合があります。負担軽減措置を設計する際に、複数名訪問の頻度・体制も一緒に見直すと整合性が取れます。

参照: 社会保険診療報酬支払基金 令和6年度診療報酬改定の概要

次回2026年改定での変更予測

現時点(2026年3月)では次回の2026年度診療報酬・介護報酬同時改定についての議論が進んでいます。複数名訪問加算については「算定率の実態調査」が進行中であり、次回改定で対象要件や単位数の見直しが行われる可能性があります。

特に「同行者の対象を広げる(精神保健福祉士・社会福祉士等も算定対象に)」という議論がされています。改定情報は厚生労働省の公式サイトで随時確認してください。


14. 管理者が今すぐ整備すべき3つの運用ルール

ルール1:「複数名訪問判定シート」を作る

複数名訪問を開始するかどうかを判断するための「複数名訪問判定シート」を作成し、全スタッフが同じ基準で判断できる体制を整えてください。

判定シートに含めるべき項目:

  • 利用者の保険種別(介護/医療)
  • 対象要件の確認(介護保険:身体的理由 or 暴力行為等 / 医療保険:別表第7等)
  • 同行職種と雇用関係の確認
  • 同意取得日・同意者の記録欄
  • ケアプランへの位置付け確認(介護保険)
  • 精神科の場合:指示書への記載確認

このシートを訪問看護記録の「複数名訪問開始時」に1枚添付しておくと、審査対応が容易になります。

ルール2:週次の加算算定回数を管理する仕組みを作る

医療保険の週1日制限・週3日制限は、週をまたいだ管理が必要です。

実務的な管理方法として、訪問スケジュール管理表の「複数名訪問加算算定」欄にチェックボックスを設けて1週間の中での使用済み状況を視覚的に確認できるようにします。また、電子カルテ・レセプトソフトでアラート設定(週1回制限を超えようとすると警告が出る)を入れ、月次請求前に複数名訪問の実施記録と請求データを突き合わせる確認も行います。

ルール3:精神科指示書の更新管理を徹底する

精神科訪問看護指示書は最長6ヶ月の有効期間があります。指示書が失効している状態で複数名加算を算定すると、遡及して返戻される可能性があります。

管理方法として、指示書の有効期限を患者ごとにリスト化し期限1ヶ月前にリマインダーを設定する方法が有効です。指示書更新時には「複数名訪問の必要性継続の記載」があるかを確認するチェック項目を追加し、指示書のスキャンデータを電子管理していつでも内容確認できるようにしておきます。


15. 看護レポで複数名訪問の記録・請求をラクにする方法

訪問が終わったあとの記録入力・請求確認は、業務の効率化余地が大きい部分です。

看護レポは、訪問看護ステーション向けのシンプルな訪問記録・請求管理サービスです。

複数名訪問に特に効く3つの機能

1. LINEで訪問記録を入力

訪問後にLINEからそのまま記録できるため、「誰が訪問したか」「訪問時間は何分か」「複数名訪問だったか」を移動中に入力できます。事業所に戻ってから入力するより記録の正確性が上がり、複数名訪問の証拠記録として有効です。

2. 請求CSVの自動出力

訪問記録から請求データを一括生成します。複数名訪問加算の種別(加算Ⅰ/Ⅱ、保険種別)を訪問記録の段階で正確に選択しておくことで、月次請求時の手打ち転記ミスを防ぎます。

3. アプリのインストール不要

スタッフへの導入教育コストがかからず、全員がすぐに使い始められます。複数名訪問を担当するスタッフが増えても、新たな端末導入・ライセンス購入は不要です。

料金プラン

フリープランは0円(個人・小規模向け)、チームプランは980円/人/月です。

チームプランなら1人あたり月980円で、チーム全体の記録・請求管理を一元化できます。1回の複数名訪問加算(402単位 × 10.68円 = 約4,280円)の算定漏れを1件防ぐだけで、月額コストを大幅に回収できます。

複数名訪問加算の算定漏れをゼロに。フリープランで今日から →


よくある質問(Q&A)

複数名訪問加算に関して、訪問看護ステーションの管理者・スタッフから多く寄せられる質問をまとめました。


Q1:同行した2人目の職員が同じ事業所に所属していない場合でも算定できますか?

A:原則として算定できません。複数名訪問加算は「同じ指定訪問看護事業所の職員」が同時に訪問した場合に算定するものです。別の事業所のスタッフが同行した場合は、そのスタッフが所属する事業所が別途算定することはできず、また同行元の事業所が加算を算定することも認められていません。

ただし、看護補助者については「事業所に雇用されていること」が要件であり、他事業所のスタッフではなく自事業所の直接雇用スタッフである必要があります。


Q2:1名が訪問中にもう1名が途中から合流した場合(同時到着でない場合)は算定できますか?

A:「同時に」訪問看護を行った場合を評価する加算のため、同時滞在が基本です。実務上は「一定時間、2人が同時に利用者宅に滞在していたこと」が記録で確認できれば算定可能と解釈されます。途中合流の場合、同時滞在した時間帯が明確でないと算定根拠が弱くなります。

記録には「〇〇時〇〇分に2人同時に訪問開始(または〇〇時〇〇分〜〇〇時〇〇分の間、2名が同時に滞在)」と明記しておくことを推奨します。2人の滞在時間が「ほぼ重複していない」場合は算定根拠が弱くなります。


Q3:家族が同席して介助補助をした場合、「複数名訪問」として加算できますか?

A:できません。複数名訪問加算は「事業所に雇用された看護師等または看護補助者」が同行した場合のみ算定できます。家族・知人・ボランティアが同席・補助していても加算の対象になりません。家族が介助補助をしている場面で看護師が処置を行うことは医療的には合理的ですが、報酬算定上は認められていません。


Q4:介護保険の複数名訪問加算を算定している利用者が医療保険に切り替わりました。そのまま算定できますか?

A:保険種別が切り替わった時点で、算定要件を改めて確認する必要があります。

介護保険と医療保険では対象者要件が異なります。介護保険では「身体的理由または暴力行為等」という比較的広い基準が使えますが、医療保険では「別表第7疾患・特別管理加算対象・特別訪問看護指示書対象・暴力行為等」という限定的な基準があります。

介護保険で算定できていたからといって、医療保険でも自動的に算定できるわけではありません。切り替わりのタイミングで要件の再確認を行ってください。


Q5:複数名訪問加算と同時に算定できる加算・できない加算はありますか?

A:複数名訪問加算は訪問看護費(本体報酬)への上乗せ加算です。以下の加算と同時に算定可能です。

同時算定できる(例):

  • 緊急時訪問看護加算(緊急の複数名訪問があった場合)
  • 特別管理加算(対象者への複数名訪問)
  • 初回加算(初回訪問が複数名だった場合)

注意が必要な例として、介護保険において「定期巡回・随時対応型訪問介護看護との連携時」は複数名訪問加算が算定できない場合があります。また精神科においては、複数名精神科訪問看護加算と複数名訪問看護加算を同一日に同一患者に算定することはできません。

制度改定のたびに組み合わせのルールが変わることがあるため、改定時には必ず確認してください。


Q6:暴力行為のリスクがある利用者について、主治医の指示書に暴力のことを書いてもらう必要がありますか?

A:介護保険と医療保険では扱いが異なります。

介護保険の場合: 「暴力行為等があること」はケアプランに位置付けられていれば、主治医の指示書に明記は必須ではありません(ケアマネジャーとの合議でプランに位置付ける)。

医療保険の場合: 主治医の訪問看護指示書に「暴力行為等への対応のために複数名訪問が必要」という趣旨の記載があると算定根拠として強くなります。指示書に記載がなくても「暴力行為等が認められる者」として算定できる解釈もありますが、保険者(審査機関)によって確認が入る場合があります。

精神科の場合: 精神科訪問看護指示書に「複数名訪問の必要性」が明記されていることが必要であり、漏れなく確認してください。


Q7:複数名訪問加算の返戻が来ました。どのように対応すればよいですか?

A:返戻理由を確認し、以下のステップで対応します。

  1. 返戻通知書で返戻コードと理由を確認する: 「算定要件を満たしていない」「記録が不十分」「回数制限超過」など原因が異なります
  2. 訪問記録・ケアプラン・指示書を確認する: 返戻された期間の記録を見直し、算定根拠となる資料を揃える
  3. 再請求か取り下げか判断する: 算定根拠が確認できれば異議申し立て(再審査請求)が可能。根拠が不十分なら取り下げ
  4. 根本原因の改善: 同じ理由での返戻が繰り返されないよう、算定ルールや記録方法を見直す

返戻には通常60日以内の再請求期限があります。放置すると請求が無効になるため、速やかに対応してください。


Q8:小規模ステーション(スタッフ3名)ですが、複数名訪問加算を算定するためのスタッフを確保するのが難しい場合はどうすればよいですか?

A:小規模ステーションでの複数名訪問体制の確保は、大きな課題です。実務的な選択肢としては以下があります。

①看護補助者の採用

専門資格が不要なため採用のハードルが低く、加算Ⅱを算定できる体制を整えられます。パートタイムの看護補助者を1名採用し、複数名訪問が必要な利用者の訪問日に対応してもらう形が多く見られます。

②複数ステーションとの連携

同一地域の別の訪問看護ステーションと協定を結び、複数名訪問が必要な利用者を相互に紹介し合う体制を構築しているステーションもあります。ただし、加算算定は1事業所のみという制限に注意が必要です。

③医療依存度の高い利用者を受け入れる際の体制整備

新規利用者の受け入れ時に「複数名訪問が必要になる可能性があるか」を事前評価し、対応可能な体制が整っている場合のみ受け入れを行うという方針をとるステーションもあります。

小規模ステーションほど1件の複数名訪問が体制に与える影響が大きいため、受け入れ基準を明確にして管理者が判断できる体制にしておく。


3制度の違い:押さえておくべきポイント

複数名訪問加算は保険種別によって算定要件・単位数・回数制限がすべて異なります。

介護保険の要点

  • 加算Ⅰ(専門職同士・最大402単位)と加算Ⅱ(看護師+補助者・最大317単位)
  • ケアプランへの位置付けが算定の前提条件(ここを見落とすと算定不可)
  • 回数制限はないが「複数ステーション算定は1週1事業所」のルールがある

医療保険の要点

  • 対象患者が限定的(別表第7・特別管理加算対象・特別訪問看護指示書等)
  • 専門職同行は週1日、補助者同行は週3日まで(特定疾病等は除く)
  • 同一建物内の訪問人数(2名以下/3名以上)で算定額が変わる
  • 准看護師同行は看護師同行より低い算定額が設定されている

精神科の要点

  • 「複数名精神科訪問看護加算」という独立した制度(複数名訪問看護加算と混同しない)
  • 精神科訪問看護指示書への複数名訪問の明記が必須
  • 30分以上の訪問のみ対象(30分未満は算定不可)
  • 1日の訪問回数(1回/2回/3回以上)で算定額が異なる

「なぜ2人で訪問したのか」という利用者側の理由を記録に残し、保険種別ごとに異なる対象要件を毎回確認する。この2点を徹底することで請求漏れ・誤算定の大半は防げます。

情報の最新性について: 診療報酬・介護報酬は原則として2年ごとに改定されます。次回の改定(2026年度)以降に単位数や要件が変更される可能性があります。必ず厚生労働省の公式情報および社会保険診療報酬支払基金の資料で最新の情報をご確認ください。


参考・出典

  • 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定について
  • 厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要(在宅医療・訪問看護)
  • 社会保険診療報酬支払基金 訪問看護療養費の算定
  • 厚生労働省 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法
  • 厚生労働省 精神科訪問看護基本療養費及び加算等の算定要件
  • 国民健康保険中央会 令和6年度介護報酬改定後の算定基準
  • 厚生労働省 令和6年度診療報酬改定(精神科専門療法)

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