この記事のポイント
- 2026年6月改定で看護師 処遇改善手当が大幅拡充(医療保険・介護保険で計上可能)
- 訪問看護ベースアップ評価料が780円→1,050円に引き上げ予定
- 介護保険の訪問看護に処遇改善加算1.8%を新設予定(2026年6月〜)
- 届出なしでは算定不可—計算支援ツールで要件を確認する必要あり
- 看護師 処遇改善手当 2026 いつから・いつまで適用されるかを解説
2026年は、看護師の処遇改善制度が大きく変わる年です。2024年6月に創設した「訪問看護ベースアップ評価料」がさらに拡充するほか、これまで対象外だった介護保険の訪問看護にも処遇改善加算を新設する予定です(2026年6月施行予定)。
訪問看護ステーションの管理者・経営者向けに、2026年の看護師 処遇改善手当の全体像、対象者と支給要件、算定方法、届出手順をわかりやすく解説します。
2026年の看護師処遇改善手当とは
制度の変遷:2022年から2026年へ
看護師の処遇改善は、段階的に制度化してきました。2022年2月〜9月は「看護職員等処遇改善事業(補助金)」としてコロナ対応医療機関向けに月額約4,000円相当を支給しました。2022年10月〜2024年5月には「看護職員処遇改善評価料」が救急医療機関等を対象に月額約12,000円相当を実現しました。
2024年6月からはベースアップ評価料を新設し、訪問看護を含む幅広い職種へ拡大しました。2024年度+2.5%、2025年度+2.0%の賃上げ目標を掲げています。2025年12月〜2026年5月は補正予算による緊急補助金(医療分・介護分)が2026年6月改定への橋渡し措置として機能します。そして2026年6月〜(予定)には、令和8年度診療報酬改定でベースアップ評価料を大幅拡充し、介護保険にも処遇改善加算を新設します。
2026年6月改定(予定)の骨格
令和8年度(2026年度)診療報酬改定の本体改定率は**+3.09%で、うち+1.70%**が賃上げ対応分です(出典:厚生労働省)。
訪問看護ステーションに関わる主な変更点(いずれも予定)は次のとおりです。訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)は780円から1,050円に引き上げます。ベースアップ評価料(Ⅱ)は区分数を18区分から36区分に倍増し、上限額も引き上げる見通しです。さらに、2026年6月改定から評価料収入の3分の2以上を基本給または月例手当に充当することを義務化します。
介護保険の訪問看護に処遇改善加算を新設する予定で、加算率は1.8%です。訪問看護物価対応料も新設し、月初日60円・2日目以降20円を加算します。
2026年6月改定に先行した緊急補助金(令和7年度補正予算)も2025年12月から動いています。医療分は1ステーション当たり22.8万円、介護分は訪問看護費請求額の**13.2%**を交付します(出典:日本訪問看護財団)。
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対象者と支給要件
看護師 処遇改善手当の対象者は誰か
2024年6月に新設したベースアップ評価料では、対象職種を従来の「看護職員処遇改善評価料」から大幅に広げました。看護師 処遇改善手当の対象者は、看護師・准看護師・保健師・助産師・看護補助者のほか、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・精神保健福祉士も含みます。
これに対し、専ら事務作業を行う事務職員と管理者業務専従者は対象外です。ただし、医療従事者の補助的事務作業を担う職員は対象に含めることができます。2026年6月改定では、対象職種をさらに拡大する見通しです。
(出典:厚生労働省 ベースアップ評価料について)
事業所の算定要件
手当を受け取るには、事業所がベースアップ評価料を算定していることが前提です。算定するには3つの要件を満たす必要があります。
第1に、社会保険診療等収入が総収入の80%を超えていることです。自費サービスや非医療収入の割合が高い事業所では算定できない場合があります。第2に、対象職員が常勤換算で2人以上在籍していることを求めます。医療資源の少ない地域には例外があります。第3に、基本給または毎月支払う手当を引き上げることが原則で、定期昇給分はカウント対象外となります。
賃上げ目標は、2024年度が前年度比**+2.5%以上**、2025年度が2023年度比**+4.5%以上**です。この目標を達成した事業所は、対象外職種を含む他職員への改善分も評価料財源から拠出できます。
訪問看護ステーションでの算定方法
2026年6月以降、訪問看護ステーションは医療保険・介護保険のそれぞれで処遇改善手当を算定できます。財源が異なるため二重算定ではなく、正当な制度の積み重ねです。ここで「看護師 処遇改善手当 2026 いつから」という疑問については、医療保険・介護保険とも2026年6月改定からの本格運用となります。
医療保険:訪問看護ベースアップ評価料(看護職員処遇改善評価料 2026の後継)
ベースアップ評価料(Ⅰ)では、利用者1人につき月1回を算定します。金額は現在780円ですが、2026年6月改定後は1,050円に引き上げる予定です。事業所が届出を行えば、全利用者分を算定できます。
**ベースアップ評価料(Ⅱ)**は、10円〜500円/月の範囲で算定できます。現行は18区分ですが、2026年6月改定後は区分数を36に倍増し、上限も570円〜1,080円へ拡大する予定です。(Ⅰ)のみでは対象職員の給与総額の1.2%未満しか改善できない場合に、(Ⅱ)を上乗せ算定できます。
(Ⅱ)の区分は、厚生労働省が提供する「計算支援ツール(Excel)」で算出します。「対象職員の給与総額」と「医療保険利用者割合」を入力すると、区分(1〜18)が自動的に決まります。計算は毎年3・6・9・12月に実施し、区分変更があれば届出が必要です。
2026年の診療報酬改定の詳細は令和8年度診療報酬改定の概要もあわせて確認してください。
(出典:関東信越厚生局 訪問看護ステーション届出)
介護保険:処遇改善加算(2026年6月〜・予定)
これまで訪問看護は介護保険の処遇改善加算の対象外でしたが、2026年6月から対象に加わる予定です。
介護保険の処遇改善加算は月次介護報酬に対して1.8%を加算します。計算例として、月間介護報酬が2,000,000単位(地域単価10円)の事業所の場合、月額36,000円の加算を受けます。
算定要件(予定・告示前の情報を含む。正式な要件は厚生労働省が発出する告示・通知で確認してください)
注意:以下の要件は令和8年度介護報酬改定(2026年6月施行予定)に基づく情報であり、正式な告示・通知が発出する前の段階の情報を含みます。正式な要件・様式は厚生労働省のウェブサイトで確認してください。
キャリアパス要件Ⅰでは、職位・職責に応じた賃金体系を就業規則等に明記し職員に周知します。キャリアパス要件Ⅱでは、資質向上の目標設定・研修計画策定と職員への周知を求めます。職場環境等要件は働きやすい職場づくりへの取り組み実施です。賃金改善要件は、加算額を職員の給与・手当・賞与に充当することを求め、利益流用は認めません。
介護保険の処遇改善加算を配分する際は、「介護保険訪問看護に直接従事する職員」が対象となる点に注意が必要です。医療保険のみに従事する職員への一律配分は、運営指導で指摘を受けるリスクがあります。業務記録で従事区分を明確にしておくことが重要です。
(出典:厚生労働省 介護報酬改定について)
ベースアップ評価料と処遇改善加算の比較
| 比較項目 | ベースアップ評価料 | 処遇改善加算(介護) |
|---|---|---|
| 財源 | 診療報酬(医療保険) | 介護報酬(介護保険) |
| 算定開始 | 2024年6月〜 | 2026年6月〜(予定) |
| 算定構造 | 利用者1人あたり月1回 × 評価料単価 | 月次介護報酬の合計 × 1.8% |
| キャリアパス要件 | なし | あり(Ⅰ・Ⅱ) |
| 届出先 | 地方厚生(支)局 | 指定権者(都道府県・市区町村) |
ベースアップ評価料の詳細はベースアップ評価料の届出方法と活用ポイントもあわせてご覧ください。
処遇改善加算の届出手順
医療保険:ベースアップ評価料の届出
ステップ1の体制整備では、対象職員のリストアップと給与総額の確認を行います。基本給または毎月支払う手当の引き上げ計画を策定し、就業規則・賃金規程の整備(労働基準法上の義務)を確認します。
ステップ2の書類作成では、複数の書類を準備します。賃金改善計画書(別紙様式11別添1)は新規届出時・毎年4月に作成します。届出書(別紙様式11)は新規届出時・毎年6月に提出します。賃金改善実績報告書(別紙様式11別添2)は毎年8月31日までに提出する義務があります。
ステップ3の提出では、所在地を管轄する地方厚生(支)局に書類を提出します。提出方法は原則Excelファイルによるメール提出です。メール件名・本文に医療機関コード(7桁)・医療機関名・連絡先を記載してください。メール環境のない事業所は書面提出も可能です。
ステップ4の算定開始と定期更新では、届出の翌月から算定を始めます。さかのぼっての算定は不可です。ベースアップ評価料(Ⅱ)は毎年3・6・9・12月に再算出し、区分変更があれば届出を行います。関連書類は3年間保管する義務があります。
介護保険:処遇改善加算の届出(2026年6月〜・予定)
介護保険の処遇改善加算を算定するには、まずキャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ、職場環境等要件を満たす体制を整備します。その後、処遇改善計画書を作成し、指定権者(都道府県・市区町村)へ届出します。
届出の目安は、6月分から算定する場合で6月15日ですが、自治体によって異なります。事業所所在地の最新情報を必ず確認してください。算定開始月から介護報酬に上乗せ請求を行い、年度終了後に実績報告書を提出します。
介護保険分の届出様式は厚生労働省の最新様式(令和8年改定対応版)を確認してください。
(出典:日本看護協会 処遇改善に向けて)
看護レポの詳細はこちら: https://kango-repo.com
よくある質問
Q1. 訪問看護ステーションの看護師は処遇改善手当をもらえますか?
はい、受け取れる制度があります。2024年6月から「訪問看護ベースアップ評価料」を新設し、看護師・准看護師・理学療法士等が対象です。事業所がベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)を算定し、その財源から基本給または毎月支払う手当として支給します。金額は事業所の規模・利用者数によって異なります。2026年6月(予定)からは介護保険の処遇改善加算も訪問看護に適用するため、両制度を組み合わせた給与改善が可能になります。
Q2. 看護師 処遇改善手当 2026 いつから適用されますか?
医療保険のベースアップ評価料の引き上げ(Ⅰ780円→1,050円、Ⅱ36区分化)は2026年6月改定から適用する予定です。介護保険訪問看護への処遇改善加算1.8%の新設も同じ2026年6月からスタートします。それに先立ち、2025年12月〜2026年5月には緊急補助金(医療分22.8万円、介護分13.2%)を実施しており、切れ目のない支援が続きます。
Q3. 看護師 処遇改善手当はいつまで続きますか?
ベースアップ評価料と介護保険の処遇改善加算は恒久的な制度として運用しており、期限を設けていません。ただし、加算率や単価は診療報酬改定・介護報酬改定(原則2年・3年周期)で見直します。次回の大きな見直しは令和10年度(2028年度)改定が想定されます。事業所は改定ごとに要件・様式を再確認し、届出更新を行う必要があります。
Q4. 事務職員は看護師 処遇改善手当の対象者に含まれますか?
ベースアップ評価料の対象は「主として医療に従事する職員」です。専ら事務作業を行う事務職員は対象外ですが、医療従事者の補助的事務作業を担う職員は対象に含めることができます。管理者業務専従者も対象外です。看護師 処遇改善手当の対象者は看護職・リハビリ職を中心に据えています。
Q5. ベースアップ評価料の財源を賞与に回してもよいですか?
原則として認めていません。ベースアップ評価料は「基本給または毎月支払う手当の引き上げ」が原則です。賞与・一時金への充当は主たる手段としては不可ですが、規定の賃上げ率(+2.5%/+4.5%以上)を達成した事業所は配分方法に一定の柔軟性があります。2026年6月改定(予定)では評価料収入の3分の2以上を基本給・月例手当に充当することを義務化します。
Q6. 届出をしていない事業所でも看護師処遇改善手当を支給できますか?
届出なしでは算定できません。ベースアップ評価料は地方厚生局への届出を経て翌月から算定を始めます。届出前は財源となる加算収入が発生しないため、処遇改善を行う原資がありません。未届出の事業所は早急に届出を完了することを最優先にしてください。
まとめ
2026年の看護師 処遇改善手当の要点を整理します。医療保険ではベースアップ評価料(Ⅰ)が780円から1,050円に引き上がり、(Ⅱ)は36区分に倍増する予定です。介護保険では、2026年6月(予定)から訪問看護に処遇改善加算(1.8%)を新設します。これにより、介護保険分も正当に算定できます。
重要な点として、2つの制度は財源が別であり、医療・介護の両方を算定することが適切です。ただし、届出が大前提です。未届出では算定できないため、計算支援ツールを活用して早期に届出を完了することが必須です。2026年6月改定の様式・単価確定値は厚生労働省の最新情報を随時確認してください。
制度の活用可否は事業所の収入構成や規模で異なります。自事業所の算定要件を確認し、算定漏れがないかチェックすることが最初の一歩です。
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