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褥瘡のSOAP記録の書き方|訪問看護向けステージ別10例文

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看護レポ編集部
2026年4月6日16分で読める
褥瘡のSOAP記録の書き方|訪問看護向けステージ別10例文

この記事のポイント

  • 褥瘡ケアのSOAP記録が重要な理由
  • S(主観的データ)の書き方と例文
  • O(客観的データ)の書き方 — DESIGN-R2020評価の記録

褥瘡ケアの記録は、訪問看護師が最も苦手意識を持つ記録業務のひとつです。「毎回同じようなことを書いてしまう」「アセスメントで何を書けばいいかわからない」という声は現場でよく聞かれます。

しかし、褥瘡ケアのSOAP記録は単なる業務記録ではありません。算定要件を満たすための証拠文書であり、多職種連携の基盤であり、ケアの質を担保する判断の記録です。書き方を理解すれば、監査対応・チームケア・加算算定のすべてが改善します。

本記事では、SOAP各項目の書き方とDESIGN-R2020評価の記録方法を解説し、ステージ別10例文を収録しています。例文はすべて教育目的で作成したものです。実際の記録では担当患者の状態に合わせてアレンジしてください。

SOAP記録全般の基礎についてはSOAP記録の書き方・完全ガイドをあわせてご覧ください。


褥瘡ケアのSOAP記録が重要な理由

加算算定の根拠になる

褥瘡に関連する診療報酬・介護報酬の算定には、記録が直接的な要件として組み込まれています。主な加算と記録要件を整理します。

特別管理加算(訪問看護療養費) 真皮を超える褥瘡(深さ分類D3以上、NPIAP分類 Stage III以上に相当)を有する利用者への訪問で、褥瘡の処置・管理を実施した場合に特別管理加算Iを算定できます。褥瘡の存在のみでは要件を満たしません。算定要件として、褥瘡の発生部位および実施したケアの内容を訪問看護記録書に記録することが必要です。記録がなければ返還請求の対象になります。

在宅患者訪問褥瘡管理指導料(C013・750点) DESIGN-R2020による深さ評価がd2以上の褥瘡を有し、ベッド上安静の在宅療養者に算定できます。別紙様式43(在宅褥瘡診療計画)を作成して診療録に添付し、診療報酬明細書の摘要欄にはDESIGN-R2020評価スコアの記載が必要です。カンファレンス実施日・対象要件の該当項目も摘要欄に記録します(出典:在宅患者訪問褥瘡管理指導料C013)。

介護保険の褥瘡マネジメント加算(施設系サービス) DESIGN-R2020に基づく定期評価と記録が算定要件です。入所時・3か月ごとにDESIGN-R2020スコアを記録する必要があります。

監査での不備指摘を防ぐ

東京都福祉局指導監査部が公表している令和5年度の指摘事項には、以下のような記録上の不備が繰り返し挙げられています。

  • 「提供した具体的サービス内容等が記録されていない」
  • 「計画書に位置付けた内容に対する評価がなされていない」
  • 「サービスの提供の実績が書類上で確認できないにも関わらず訪問看護費を算定」

これらの指摘は、SOAP記録が「何を・どのように実施したか」「計画に対してどう評価したか」を具体的に記録することで防ぐことができます(出典:訪問看護の実地指導対策)。

多職種連携の精度を上げる

褥瘡ケアは医師・看護師・管理栄養士・理学療法士・ケアマネジャーが関与するチームケアです。SOAP記録にDESIGN-R2020スコアの推移・アセスメントの根拠・計画変更の理由が明記されていれば、複数の訪問看護師が交代で対応する場合でも情報の欠落が起きません。「前任者がどんな判断でケアを変えたのか」を記録から読み取れることが、申し送りの精度を決定的に左右します。

訪問看護における褥瘡ケアの全体像については訪問看護の褥瘡ケア実践ガイドも参照してください。


S(主観的データ)の書き方と例文

Sに書くべきこと・書いてはいけないこと

書くべきもの

  • 患者本人・家族の言葉(必ず「」で囲む)
  • 発言者が誰かを明記(「本人」「妻」「長女」など)
  • 非言語的コミュニケーション(表情・しぐさ・体動)

書いてはいけないもの

  • 看護師の推測や解釈(「痛そうだった」「つらそうな様子」はNG)
  • 事実確認が取れない情報

Sの役割は「この患者が今どう感じているか」を客観的に記録することです。「痛そうだった」と書いた瞬間に、Sではなく看護師の解釈になります。

Sの例文

仙骨部褥瘡(Stage II・症状あり)

S: 「お尻のあたりがじくじくする。昨日より少し痛い気がする」(本人)。
   処置時に顔をしかめ、右手でシーツを握る。

踵骨部褥瘡(Stage I・認知機能は正常)

S: 「痛みはないけど、そこだけ熱い感じがする」(本人)。
   「最近ずっと同じ姿勢で寝てる。寝返りが自分ではできないから」(妻)。

仙骨部褥瘡(Stage III・認知症あり)

S: 発語はほとんどなく、処置時に声を上げる。
   「最近ガーゼにベタベタしたものがついている。臭いも気になる」(長女)。

よくあるNG表現と修正例

NG表現 問題点 修正例
「痛そうな様子だった」 看護師の推測 「処置時に顔をしかめ、声を上げた」
「本人は問題ないと言っていた」 鍵括弧なし・発言として不明確 「『痛みはない、違和感もない』(本人)」
「特に訴えなし」 観察が不十分 「褥瘡に対する自覚症状の訴えなし。表情は穏やか、苦痛表情なし」
「家族が不安そうだった」 曖昧・観察者の解釈 「『感染していないか心配です』(妻)」

O(客観的データ)の書き方 — DESIGN-R2020評価の記録

DESIGN-R2020の基本構造

DESIGN-R2020は日本褥瘡学会が開発・2020年に改定した褥瘡状態判定スケールです。以下の7項目を評価します(出典:日本褥瘡学会 DESIGN-R2020)。

項目 英語 評価内容
D Depth 深さ
E Exudate 滲出液
S Size 大きさ
I Inflammation/Infection 炎症・感染
G Granulation tissue 肉芽組織
N Necrotic tissue 壊死組織
P Pocket ポケット

記録形式は D(深さ記号)-E点S点I点G点N点P点:合計点数 です。深さ(D)はハイフンで区切り、合計点に含めません(治癒過程で深さの評価が変動するため)。

記録例: D3-e3s8i1g3n0p0:15点

2020年改定で追加された重要項目

DDTI(深部損傷褥瘡疑い) 皮膚表面は発赤程度に見えながら、深部(脂肪・筋層)が損傷している状態です。外観は紫色・栗色の変色、血疱、硬結、冷感・熱感として現れます。2020年改定前の評価表ではDTIと表記されていましたが、正式表記はDDTIです。記録の際は必ず DDTI と記載してください。

I3C(臨界的定着疑い) 明らかな感染徴候はないが治癒が進まない状態です。バイオフィルムが主要因とされています。創面のぬめりやスラフ増加が特徴で、「感染なのか非感染なのか判断に迷う状態」をカバーするために追加されました。

O記録の実践例

O: バイタル: 体温36.8℃、血圧122/78mmHg、SpO2 98%(室内気)。
   仙骨部褥瘡の状態(DESIGN-R2020評価):
   D3-e3s8i1g3n0p0:15点
   - 深さ: D3(皮下組織まで損傷、脂肪組織露出)
   - 滲出液: e3(中等量、1日1回ガーゼ交換が必要)
   - 大きさ: s8(長径4.0cm × 短径4.5cm = 18cm²)
   - 炎症/感染: i1(創周囲2cm範囲に発赤あり、腫脹・熱感あり)
   - 肉芽組織: g3(良性肉芽が創面の約60%を占める)
   - 壊死組織: n0(なし)
   - ポケット: p0(なし)
   創周囲皮膚: 発赤あり(創縁から約2cm)、浸軟なし。
   褥瘡処置: 生理食塩水で洗浄後、アルギン酸塩ドレッシング材貼付。
   体位変換: 2時間ごと実施確認(妻)。

Oでよくある記録ミス

「著変なし」単独の使用 状態の変化がないことは、前回比較の数値を示して初めて記録として成立します。「DESIGN-R2020: 前回14点、今回14点(3日前と変化なし)」のように根拠を示してください。

大きさの測定漏れ S(大きさ)項目は長径と短径を実測し面積を記録します。「大きさ s8」だけでは不十分で、「長径〇〇cm × 短径〇〇cm」を必ず併記します。


A(アセスメント)の書き方と判断根拠の残し方

アセスメントの4要素

アセスメントはSOAP記録の核心です。S・Oのデータから論理的な判断を導き、なぜそう考えるかの根拠を明示することが求められます。監査や訴訟において最も精査されるのもA欄です。

アセスメントに含めるべき4要素は以下のとおりです。

  1. 現状評価: DESIGN-R2020スコアの前回比変化(改善・悪化・不変)
  2. 要因分析: 変化の主要な原因(栄養状態・体位変換頻度・ケア方法など)
  3. リスク評価: 今後の見通しと懸念事項
  4. 介入の効果判定: 実施したケアが有効か否かの判断

改善傾向のアセスメント例

A: 前回(3日前)D3-e3s8i1g3n0p0:15点から今回D3-e1s6i0g1n0p0:8点へ改善。
   創周囲の発赤・熱感が消退し、滲出液量が中等量から少量に減少したことから、
   局所炎症が軽減していると考えられる。
   肉芽組織の割合が50%→90%以上に改善しており、適切な湿潤環境の維持が
   奏功していると推察される。
   現在のアルギン酸塩ドレッシング材は継続が適切と判断する。
   血清アルブミン(TP 6.2g/dL、Alb 3.1g/dL)はなお低値であり、
   創傷治癒の遅延リスクが残存しているため、主治医への栄養改善相談が必要。

悪化時のアセスメント例

A: 前回訪問時(5日前)d1-e0s3i0g0n0p0:3点から今回D3-e3s8i1g3n0p0:15点へ急激に悪化。
   5日間で真皮まで損傷(d2→D3)かつ創サイズが拡大している。
   妻からの聴取により体位変換が夜間は実施できていないことが判明しており、
   圧迫時間の延長が主要な悪化要因と考えられる。
   創周囲に発赤・腫脹があり感染の初期徴候の可能性を否定できないため、
   本日中に主治医へ報告し、抗生剤投与の要否を確認する。
   夜間体位変換の方法について家族指導が急務。

判断根拠を残すための3ルール

  • 比較基準を明示する: 「前回(日付)のDESIGN-Rスコアは〇点、今回は〇点」と数値で根拠を示す
  • 要因を特定する: 改善・悪化の原因を複数挙げ、最も可能性の高いものを主因として示す
  • 行動に繋げる: 「主治医へ報告」「薬剤変更を検討」「家族指導を実施」など、次のアクションをAに含める

P(計画)の書き方とケア変更の記録

Pに書くべき4要素

  1. 観察計画: 次回訪問時に確認する項目・頻度
  2. ケア計画: 褥瘡処置の具体的内容(洗浄方法・ドレッシング材の種類・交換頻度)
  3. 生活指導: 体位変換指導・栄養指導・スキンケア指導の内容
  4. 連携計画: 主治医への報告・他職種連携の内容と期限

通常のP記録例

P: ①次回訪問(3日後)でDESIGN-R2020再評価を実施。創周囲発赤の範囲を定規で測定。
   ②褥瘡処置: 毎回生理食塩水洗浄後、アルギン酸塩ドレッシング材(カルトスタット)貼付。
   ③体位変換: 2時間ごとの実施を継続。就寝前の体位確認を妻に依頼(記録に残す)。
   ④栄養: 管理栄養士への相談を次週までに主治医へ提案する。
   ⑤スキンケア: 創周囲の皮膚に撥水保湿剤(ワセリン)を1日2回塗布(妻に指導済み)。

ケア変更があるときのP記録例

ケアを変更した場合は「変更前→変更後」「変更理由」「医師の指示確認」の3点を必ず記録します。

P: 【ケア変更】
   変更前: ハイドロコロイドドレッシング(デュオアクティブ)1日おき交換
   変更後: フォームドレッシング(メピレックスボーダー)1日1回交換
   変更理由: 滲出液量が増加し(e1→e3)、現ドレッシングでは吸収能力不足のため。
             Dr.○○に本日電話報告し、変更指示を口頭で確認(Dr.指示記録に記載済み)。

   ①次回訪問(翌日)でドレッシング変更後の創状態および周囲皮膚浸軟の有無を確認。
   ②創サイズ再測定(長径×短径・cm)を実施。
   ③家族(妻)に「ドレッシング材が透過・漏れた場合は訪問看護師に連絡」と指導済み。

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ステージ別SOAP記録テンプレート(10例文)

以下の例文はすべて教育目的で作成したものです。実際の記録では患者の状態に応じてアレンジしてください。なお、NPIAP/日本褥瘡学会の分類ステージとDESIGN-R2020深さの対応は以下のとおりです。

褥瘡の深さ分類(NPIAP/日本褥瘡学会) DESIGN-R2020深さ 特徴
Stage I d1 消退しない発赤のみ、皮膚損傷なし
Stage II d2 真皮まで損傷、水疱・びらん
Stage III D3 皮下組織まで損傷、脂肪組織露出
Stage IV D4/D5 筋肉・骨・腱・関節包露出
DTI疑い DDTI 深部損傷、皮表は紫色・栗色
判定不能 DU 壊死組織で深さ判定不能

Stage I(d1)— 仙骨部・消退しない発赤(発見初期)

問題名: #仙骨部褥瘡(Stage I)

S: 「痛みはないけど、熱い感じがする」(本人)。
   「最近ベッドから動けなくて、ずっと同じ向きで寝ている。昨日気づいた」(妻)。

O: バイタル: 体温37.0℃、血圧108/62mmHg。
   仙骨部: ガラス板圧診法で発赤消退しない(直径約2.5cm)。
   DESIGN-R2020: d1-e0s3i0g0n0p0:3点
   皮膚: 水疱・びらんなし、皮膚の破綻なし、周囲皮膚に浸軟なし。
   体位変換: 前日から自己体位変換困難(妻が日中2〜3時間ごとに実施、夜間は未実施)。

A: 仙骨部に消退しない発赤(d1)が出現。夜間の体位変換が行えていないことが
   主要な発症要因と考えられる。現時点で皮膚の破綻はなく、適切な除圧を開始すれば
   進行を防止できると判断する。早期介入のため本日Dr.○○へ電話報告し、
   体圧分散マットレスの処方を依頼する。

P: ①体圧分散マットレス(エアマット)の処方をDr.○○へ依頼(本日中)。
   ②体位変換: 昼間2時間ごとに加え、夜間は22時・2時・6時の3回を妻に指導。
     小枕を使ったポジショニング方法を本日指導し、次回確認。
   ③スキンケア: 発赤部位への撥水保湿クリーム(ワセリン)塗布を1日2回実施。
   ④次回訪問(3日後)でガラス板圧診法による確認、DESIGN-R2020再評価を実施。
   ⑤DESIGN-R2020が悪化した場合(d2以上)は、特別管理加算の算定について主治医と確認。

Stage I(d1)— 踵骨部・消退しない発赤(高齢者)

問題名: #踵骨部褥瘡(Stage I)

S: 「かかとが熱い感じがある。でも痛くはない」(本人)。

O: バイタル: 体温36.4℃、血圧118/70mmHg。
   踵骨部(右): ガラス板圧診法で発赤消退しない(約1.5cm円形)。
   DESIGN-R2020: d1-e0s3i0g0n0p0:3点
   踵部周囲の皮膚: 乾燥著明、落屑あり、水疱・びらんなし。
   踵部の挙上確認: クッションが踵下に入っているが、位置がずれて除圧不十分。

A: 踵骨部(右)に消退しない発赤(d1)を認める。クッションの位置ずれが原因と考えられ、
   継続的な踵部への圧迫が発赤の要因と推察。ドライスキンによる皮膚の脆弱化もリスク因子。
   現時点で皮膚損傷はなく、ポジショニング修正と保湿で予防可能と判断する。

P: ①踵部除圧クッションの適切な配置方法を家族(妻)に再指導(本日)。
   ②ふくらはぎ下にクッションを置き、踵を完全に浮かせるポジショニングへ変更。
   ③皮膚保湿: ヒルドイドローション(保険処方あり)を1日2回塗布(妻に指導)。
   ④次回訪問(3日後)でガラス板圧診法による確認、DESIGN-R2020再評価。

Stage II(d2)— 仙骨部・水疱(排泄物汚染リスクあり)

問題名: #仙骨部褥瘡(Stage II)

S: 「ピリピリする感じがある。おむつ交換のときに痛い」(本人)。
   「昨日の朝から水ぶくれができていた。つぶさないようにしています」(妻)。

O: バイタル: 体温36.7℃、血圧126/80mmHg。
   仙骨部: 直径約1.8cmの薄壁水疱(内容液は漿液性、混濁なし)。
   DESIGN-R2020: d2-e1s3i1g0n0p0:5点
   皮膚: 水疱周囲に約1cmの発赤あり、熱感あり、腫脹なし。
   周囲皮膚: 尿・便による汚染のリスクあり(尿失禁あり、おむつ使用中)。

A: 仙骨部に薄壁水疱(d2)を認める。局所炎症徴候あり(i1)だが、排膿・悪臭等の
   感染徴候はなく現時点では感染を疑う所見はない。仙骨部は排泄物による汚染を受けやすい
   部位であり、汚染が生じた場合の感染リスクが高い。水疱は破らず保護することが原則。
   ポリウレタンフィルムドレッシングによる保護が適切。Dr.○○へ本日報告し処置方針を確認する。

P: ①ドレッシング処置: 生理食塩水で洗浄後、ポリウレタンフィルムドレッシング(オプサイト)貼付。
     水疱が自然破裂した場合は翌日訪問時に洗浄・再貼付。
   ②おむつ交換のタイミングで汚染の有無を確認し、汚染時はドレッシング交換。
   ③排泄ケア: ドレッシング材の外側に撥水クリームを塗布し汚染を予防。
   ④体位変換: 2時間ごとの実施を継続。仙骨部への圧迫を避けるため30度側臥位を維持。
   ⑤Dr.○○へ本日中に電話報告(特別管理加算の算定についても確認)。
   ⑥次回訪問(翌日)でDESIGN-R2020再評価・水疱の状態確認。

Stage II(d2)— 踵骨部・水疱破裂・びらん

問題名: #踵骨部褥瘡(Stage II・水疱破裂)

S: 「かかとの水ぶくれが破れてしまった。なんか液が出てきてる」(長男)。
   本人は痛みの訴えなし(意識レベル低下あり、JCS I-2)。

O: バイタル: 体温37.2℃、血圧98/58mmHg。
   踵骨部(左): 水疱破裂し直径約2.0cmの浅い潰瘍形成。
   DESIGN-R2020: d2-e3s3i1g0n0p0:7点
   滲出液: 中等量の漿液性(ガーゼに浸透する程度)、混濁・悪臭なし。
   創周囲: 発赤・軽度腫脹あり、びらん周囲の皮膚は脆弱。
   末梢循環: 踵部に冷感あり、皮膚色は蒼白。

A: 踵骨部水疱が破裂しびらんを形成(d2)。滲出液は中等量(e3)だが漿液性であり、
   現時点で感染徴候は認めない。踵部の末梢冷感・蒼白から虚血性成分の合併を否定できないため、
   Dr.○○への報告が必要。湿潤環境を保持できるドレッシング材への変更が適切と考える。

P: ①Dr.○○へ今日中に電話報告(末梢循環状態の評価・ドレッシング変更の指示確認)。
   ②処置変更: 生理食塩水洗浄後、ハイドロコロイドドレッシング(デュオアクティブ)貼付。
   ③踵部完全除圧: ふくらはぎ下クッション挿入で踵を浮かせる。
   ④次回訪問(翌日): DESIGN-R2020再評価、滲出液性状・量の確認。

Stage III(D3)— 仙骨部・肉芽形成中(改善傾向)

問題名: #仙骨部褥瘡(Stage III・改善傾向)

S: 「触ると痛い。毎日のケアがつらい」(本人)。
   「ガーゼにベタついた黄色いものが付いている。量は減ってきた気がする」(妻)。

O: バイタル: 体温37.0℃、血圧110/70mmHg、SpO2 97%。
   仙骨部: 皮下脂肪組織まで露出した全層欠損。
   DESIGN-R2020: D3-e3s8i0g3n0p0:14点
   - 長径4.2cm × 短径4.0cm(面積: 約16.8cm²)
   - 滲出液: 中等量(1日1回ガーゼ交換が必要)、漿液性〜淡黄色、悪臭なし
   - 感染徴候: 周囲発赤なし、熱感なし、排膿なし
   - 肉芽: 良性肉芽が創面の約65%を占める(前回50%から改善)
   - 壊死組織: なし / ポケット: なし

A: DESIGN-R2020スコアが前回(3週前)17点から今回14点へ3点改善。
   滲出液量・感染徴候・肉芽の比率すべてで改善傾向。
   アルギン酸塩ドレッシングと2時間ごとの体位変換が奏功していると推察。
   血清アルブミン(先週: 3.0g/dL)が低値であり、治癒の遅延リスクが残存する。
   管理栄養士・主治医と栄養補強の協議を継続する必要がある。

P: ①現ケアプラン継続(変更なし)。
   ②褥瘡処置: 生理食塩水洗浄 → アルギン酸塩ドレッシング(カルトスタット)貼付、
     1日1回交換。
   ③2時間ごとの体位変換継続。30度側臥位のポジショニング確認。
   ④管理栄養士との連携: Dr.○○へ次回訪問時に高タンパク食・栄養補助食品の
     追加処方を相談する旨を伝える。
   ⑤次回訪問(3日後)でDESIGN-R2020再評価、創サイズ再測定。
   ⑥DESIGN-R2020スコアが悪化(17点以上)の場合は当日Dr.○○へ報告。

Stage III(D3)— 大転子部・局所感染徴候あり

問題名: #大転子部褥瘡(Stage III・感染徴候あり)

S: 「昨日からずっと熱っぽい。ここがズキズキする」(本人、左大転子部を指す)。

O: バイタル: 体温38.2℃、血圧108/60mmHg、SpO2 95%。
   大転子部(左): 全層欠損、皮下脂肪露出。
   DESIGN-R2020: D3-E6s9i3g4n0p0:22点
   - 長径4.5cm × 短径4.8cm(面積: 約21.6cm²)
   - 滲出液: 多量(膿性、黄緑色)、悪臭あり、1日2〜3回ガーゼ交換が必要(E6)
   - 感染徴候: 創周囲5cm範囲に発赤・腫脹・熱感あり(I3)
   - 肉芽: 良性肉芽が創面の約30%のみ(残70%は不良肉芽・繊維素性滲出液)

A: 前回訪問(4日前)15点から今回22点へ急激に悪化。発熱・多量膿性滲出液・
   広範囲の炎症徴候から局所感染(I3)が明確。全身感染(敗血症)への移行を
   否定できないため緊急でDr.○○へ報告が必要。現ドレッシング材(ハイドロコロイド)は
   感染創には不適切であり開放創管理への変更が必要。
   入院・外科的デブリードマンの必要性について医師の判断が求められる。

P: 【緊急対応】
   ①本日Dr.○○へ電話報告(発熱38.2℃・感染徴候・DESIGN-Rスコア急増)。
     抗生剤処方・往診・入院の必要性について指示を仰ぐ。
   ②処置変更(Dr.指示確認後): 閉鎖性ドレッシングから開放ガーゼドレッシングへ変更。
   ③家族(妻)へ状態悪化を説明。「熱が39度以上、意識がおかしい場合は救急搬送」を指導。
   ④明日再訪問し、Dr.指示に基づくケア実施・全身状態確認。

Stage IV(D4)— 仙骨部・骨露出

問題名: #仙骨部褥瘡(Stage IV・骨露出)

S: 「あそこには触れてほしくない。怖い」(本人)。
   「在宅でこのまま続けられるか不安。骨が見えていると聞いて…」(長女)。

O: バイタル: 体温37.6℃、血圧96/58mmHg。
   仙骨部: 骨組織(仙骨)が部分的に露出。創縁は硬化。
   DESIGN-R2020: D4-E6s12i3g5n3p0:29点
   - 長径8.0cm × 短径6.5cm(面積: 52cm²)
   - 滲出液: 多量(漿液膿性)、悪臭あり(E6)
   - 感染徴候: 創周囲に発赤・腫脹あり(I3)
   - 肉芽: 不良肉芽主体(良性肉芽は創面の約5%のみ)(G5)
   - 壊死組織: 軟らかい壊死組織(スラフ)あり(N3)
   全身状態: 食事摂取量の著減(1/4〜1/3程度)、Alb 2.2g/dL(前回)。

A: Stage IV褥瘡(D4)で骨露出・感染徴候・多量滲出液・不良肉芽を認め、
   DESIGN-R2020スコア29点と重症。低栄養(Alb 2.2g/dL)が創傷治癒を著しく妨げている。
   在宅での管理継続については医師・家族との十分な話し合いが必要。
   骨髄炎の合併を否定するため画像検査(X線またはMRI)が推奨される状態。
   本日Dr.○○とカンファレンスを設定する。

P: ①本日Dr.○○への報告・訪問依頼(骨髄炎スクリーニング・処置方針決定)。
   ②家族(長女)への病状説明の場にケアマネジャーも同席依頼(カンファレンス)。
   ③処置: 生理食塩水洗浄後、Dr.指示外用薬(ゲーベンクリーム等)+ ガーゼ保護。
   ④看取りの意向確認を含む今後の方針について今週中のカンファレンスで整理。
   ⑤次回訪問(翌日): バイタル・全身状態・DESIGN-R2020再評価。

DTI疑い(DDTI)— 坐骨部・初期発見

問題名: #坐骨部褥瘡(DTI疑い)

S: 「昨日から左のお尻の骨のあたりが痛い。座るとジーンとした感じがある」(本人)。
   「今朝見たら、紫色っぽい色になっていて怖かった」(妻)。

O: バイタル: 体温36.9℃、血圧116/72mmHg。
   坐骨部(左): 皮膚表面は破綻なし。直径約3cmの紫色〜栗色の変色あり。
   DESIGN-R2020: DDTI-e0s3i1g0n0p0:4点
   - 皮膚の連続性: 保たれている
   - 局所: 発赤消退しない、皮膚温は周囲皮膚と比較してやや熱感
   - 硬結: 変色部位に軽度の硬さあり / 水疱・びらんなし
   車椅子使用時間: 1日約8時間(食事・テレビ鑑賞時)。

A: 坐骨部に典型的なDTI疑い(DDTI)の所見を認める。皮膚表面は破綻していないが、
   紫色変色・硬結の存在から深部組織(脂肪・筋組織)の損傷が疑われる。
   車椅子での長時間座位が主要な発症要因と考えられる。
   DTI疑いは急速に重症化(Stage III〜IVへ移行)することがあり、
   早急な除圧介入と慎重な経過観察が必要。本日Dr.○○へ報告する。

P: ①本日Dr.○○へ電話報告(DTI疑いの発見)。エコー等による詳細評価の必要性を確認。
   ②車椅子座位の時間制限: 1回最大30分以内に変更、1〜2時間ごとに10分のプッシュアップ実施。
   ③坐骨除圧クッション(ジェルクッション等)の処方をDr.に依頼。
   ④毎日または翌日訪問で急速な進行(水疱形成・開放創化)を確認。
   ⑤家族(妻)へ: 「変色が拡大した」「水ぶくれができた」「発熱した」場合は
     即座に訪問看護師へ連絡するよう指導。
   ⑥次回訪問(翌日): DESIGN-R2020再評価・坐骨部の皮膚状態詳細確認。

DTI疑い(DDTI)— 踵骨部・末梢循環不全を合併

問題名: #踵骨部褥瘡(DTI疑い・末梢循環不全合併)

S: 「かかとが黒っぽくなっているのに気づいた。何も言わないから痛くないのかな」(長男)。
   本人は発語なし(重度認知症、意思疎通困難)。

O: バイタル: 体温36.5℃、血圧102/68mmHg。
   踵骨部(左): 皮膚表面破綻なし、直径約4cmの暗紫色変色。
   DESIGN-R2020: DDTI-e0s6i0g0n0p0:6点
   - 皮膚連続性: 保たれている
   - 局所皮膚温: 変色部位が周囲皮膚より冷感あり(末梢循環不全を示唆)
   - 硬結: 中等度あり / 水疱: なし
   全身状態: 末梢冷感(手足冷たい)、末梢循環不全を示唆する所見あり。

A: 踵骨部にDTI疑い(DDTI)を認める。皮膚温低下・末梢冷感から末梢循環不全の合併が疑われ、
   虚血性褥瘡として急速に壊疽に進行するリスクが高い。圧迫のみによるDTI疑いと区別するため、
   虚血性要因のスクリーニングが必要。Dr.○○へ本日報告し、
   末梢循環評価(ABI測定等)と治療方針の確認を要する。

P: ①本日Dr.○○へ緊急報告(踵DTI疑い・末梢冷感・循環不全の可能性)。
   ②踵完全除圧: ふくらはぎ下にクッション挿入、踵を完全に浮かせる。
   ③Dr.指示があるまで処置なし(温熱処置・マッサージは禁忌)。
   ④次回訪問(翌日): 変色の範囲・色調変化・水疱形成の有無を確認。
     急速な悪化(黒色壊死・水疱)の場合は当日Dr.報告。

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監査で指摘されるNG表現

監査・実地指導で繰り返し指摘されるNG表現

東京都福祉局指導監査部の公表資料(令和5年度)には、以下の記録上の不備が繰り返し挙げられています(出典:訪問看護の実地指導対策)。

  • 「提供した具体的サービス内容等が記録されていない」
  • 「計画書に位置付けた内容に対する評価がなされていない」
  • 「サービスの提供の実績が書類上で確認できない」

これらに直結するNG表現を、SOAP各欄で整理します。

O欄のNG表現と修正例

NG表現 問題点 修正例
「著変なし」 何と比較して変化がないのか根拠なし 「DESIGN-R2020: 前回D3-e3s8i0g3n0p0:14点、今回同14点(3日前と変化なし)」
「問題なし」 何が問題ないのか不明 具体的な観察内容(皮膚色・滲出液量・感染徴候の有無等)を記載
「傷が少し改善した」 程度が不明確 「DESIGN-Rスコアが17点→14点に改善。創サイズが6.0×5.0cm→4.2×4.0cmに縮小」
「滲出液少し」 数値化されていない 「滲出液: 少量(ガーゼ1枚に直径3cm程度の浸透)」
「同上」「前回と同じ」 各訪問で独立した記録が必要 前回と同内容でも今回の訪問時の状態を具体的に記述する
「発熱あり」 体温の実測値がない 「体温38.2℃(腋窩温)」

A欄のNG表現と修正例

NG表現 問題点 修正例
「今後も注意が必要」 何に・どう注意するのか不明 「感染徴候(発赤拡大・排膿・発熱)の出現に注意し、1週間に1回以上DESIGN-R2020で評価する」
「問題なし」 アセスメントがない 「DESIGN-Rスコアが前回比3点改善。改善傾向にあり現ケアを継続。Albが3.0g/dLと低値で治癒遅延のリスクが残存している」
「悪化してきている感じ」 感覚的表現 「直近3回の訪問記録の比較: DESIGN-Rスコア10点→14点→22点と連続して悪化しており、感染を疑う」

P欄のNG表現と修正例

NG表現 問題点 修正例
「引き続き経過観察」 何をいつどのように観察するのか不明 「次回訪問(3日後)でDESIGN-R2020再評価・創サイズ測定。スコアが悪化した場合は当日Dr.○○へ報告」
「計画継続」 具体的なケア内容がない 「生理食塩水洗浄→アルギン酸塩ドレッシング貼付を1日1回実施。2時間ごとの体位変換を継続」
「必要に応じて対応する」 「必要」の基準が不明 「DESIGN-Rスコアが5点以上悪化した場合、または発熱(38度以上)が出現した場合は当日Dr.に報告し対応を決定する」
「状態を見ながら」 判断基準が不明 「滲出液がE6(多量)に増加した場合はドレッシング材を変更し、Dr.に報告する」

特別管理加算・在宅患者訪問褥瘡管理指導料の記録要件

以下の記録漏れは算定要件を満たさないとして返還請求の対象になります。

  1. DESIGN-R2020スコアの記載なし: 特別管理加算・在宅患者訪問褥瘡管理指導料の算定時は必須
  2. 家族指導の内容の不記載: 「家族に説明した」だけでは不十分。「何を・どのように・誰に・どのような反応があったか」を記録する
  3. Dr.報告内容の不記載: 「Dr.に報告した」だけでなく、「報告日時・報告相手・報告内容・得た指示」をすべて記録する
  4. 「同上」「同左」の使用: 各回の訪問ごとに独立した記録が必要。過去記録を参照しなければ内容が理解できない記録は不適切とみなされる

まとめ

褥瘡ケアのSOAP記録で最も重要なのは、判断の根拠を数値で残すことです。

  • S: 発言者を明記し、看護師の解釈を混入させない
  • O: DESIGN-R2020の7項目をスコアリングし、前回比較を記録する
  • A: スコアの変化→要因分析→リスク評価→次のアクションを論理的に展開する
  • P: 「何を・いつ・誰が・どのように」を具体的に記述し、ケア変更時は変更前後と変更理由を明記する

監査で指摘されるNG表現の多くは「曖昧さ」に起因しています。「著変なし」「問題なし」「引き続き経過観察」は具体性のない表現です。数値・事実・判断根拠・行動計画を記録に落とし込む習慣が、算定要件を満たす記録と監査に耐える記録の両方を実現します。

訪問看護の褥瘡ケアの詳細については訪問看護の褥瘡ケア実践ガイドもあわせてご確認ください。


よくある質問(FAQ)

褥瘡のSOAP記録で最も重要なO情報は何ですか?

DESIGN-R®2020評価(D・E・S・I・G・N・Pの7項目)とサイズ(長径×短径)、前回との比較が最重要です。前回比較なしで「悪化傾向」等の曖昧表現はNGで、必ず数値で記録します。

褥瘡SOAP記録のアセスメントで注意すべき点は?

「〜かもしれない」で終わらせず「〜と判断した」まで書き切ることです。現状の解釈・リスク評価・在宅生活への影響の3要素を含め、看護師としての臨床判断を明確にします。

褥瘡SOAP記録の監査でNG表現は?

(1)数値のない曖昧表現(「浮腫あり」→「両下腿+3」)、(2)アセスメントのリスク羅列のみ(判断がない)、(3)プランの「様子観察」で終わる記載、(4)家族指導の有無未記載、が代表的なNGです。

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