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訪問看護 特別管理加算I・IIの違いと算定要件【2026年改定対応】

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看護レポ編集部
2026年3月26日32分で読める
訪問看護 特別管理加算I・IIの違いと算定要件【2026年改定対応】

訪問看護ステーションの収益を左右する加算の中で、「特別管理加算」は月額最大5,000円(介護保険)あるいは10,000円(医療保険)を加算できる重要な報酬項目です。しかし、「IとIIの違いがよくわからない」「算定できるか判断に迷う」「記録に何を書けばよいか不安」という声を現場で頻繁に耳にします。

本記事は2026年(令和8年)4月施行の診療報酬・介護報酬改定を反映し、特別管理加算のすべてを徹底解説します。I・IIの判断フローチャート、対象疾患・状態の網羅的一覧表、算定ミスTOP10、他加算との併算定ルール、記録の書き方テンプレートまで、現場ですぐに使える情報を網羅しました。

⚠️ 2026年改定の要点 2026年4月施行の改定では、特別管理加算の単位数・対象疾患・算定要件に実質的な変更はなく、従前の取扱いが継続されます。ただし訪問時間の記録義務化や新設加算(機能強化型管理療養費4・医療情報連携加算等)との併算定ルールに影響があるため、本記事で最新動向を確認してください。


1. 特別管理加算とは何か?基本的な定義と目的

特別管理加算の定義

特別管理加算とは、医療的な処置が必要で、訪問看護師による特別な管理が必要とされる利用者に対して、計画的な管理・ケアを実施した場合に算定できる加算です。通常の訪問看護では対応困難な高度な医療的ニーズを抱える利用者を適切にケアするための報酬評価として設けられています。

訪問看護ステーションが特別管理加算を算定するためには、以下の2つの要素を同時に満たす必要があります。

要素1:対象者の状態 利用者が「特別な管理を要する状態」にあること。具体的な対象疾患・状態は後述の一覧表で詳しく解説しますが、大まかに言えば「高度な在宅医療的管理(I)」または「一定の在宅医療的管理(II)」が必要な状態です。

要素2:ステーション側の体制 24時間対応できる体制を整備した上で、地方厚生(支)局への届出を完了していること。体制の整備なき算定は認められません。

なぜ特別管理加算は重要なのか?

特別管理加算は、ステーションにとって財務的な重要性が高い加算です。医療保険のケースでは月1回の算定で最大1,000点(10,000円)が加算されます。介護保険でも最大500単位(約5,000円)の加算です。

訪問回数に比例して増える加算とは違い、月1回のみ算定できる月次加算のため、算定漏れは直接的な機会損失につながります。仮に月10人の利用者に特別管理加算Iを算定できるケースを見落としていれば、医療保険なら月10万円、年間120万円の収益機会を失っていることになります。

特別管理加算の根拠法令

特別管理加算の根拠法令は以下のとおりです。

介護保険の場合

  • 根拠:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)
  • 訪問看護費に係る加算として規定

医療保険の場合

  • 根拠:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号)
  • C005在宅患者訪問看護・指導料の加算として位置付けられる

両制度とも、「厚生労働大臣が定める状態等」として別表(介護保険)または別表第8(医療保険)に対象状態が列挙されており、これに該当する利用者にのみ算定が認められます。


2. 特別管理加算IとIIの違いを徹底比較

加算IとIIの基本的な違い

特別管理加算には「I(以下、加算I)」と「II(以下、加算II)」の2種類があり、対象となる状態の重症度・管理の複雑さによって区分されています。

加算Iは重度の医療的管理を要する状態が対象であり、加算IIは一定の在宅医療管理を要する状態が対象です。加算IとIIは同月に両方を算定することはできません。加算Iの対象状態に該当する場合は必ず加算Iを算定し、加算IIは算定できません。

加算Iの対象状態(介護保険)

加算Iの対象となる状態は、以下の6項目です。

状態 具体的な内容
在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態 末期がん患者に対する在宅での鎮痛療法または化学療法の管理
在宅気管切開患者指導管理を受けている状態 気管切開を行った患者の在宅管理
気管カニューレを使用している状態 気管切開部に気管カニューレを留置している状態
留置カテーテルを使用している状態 膀胱留置カテーテル、経鼻胃管、胃ろうカテーテル、腹膜留置カテーテルなど
真皮を超える褥瘡の状態 NPUAP分類III度・IV度、またはDESIGN分類D3・D4・D5の褥瘡
点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態 医師の指示による週3日以上の点滴実施(または計画)

2024年度改定で追加された状態(加算I):

  • 在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態
  • 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態
  • 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態

加算IIの対象状態(介護保険)

加算IIの対象となる状態は、以下の11項目です。

状態 補足
在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態 腹膜透析(CAPD・APD)を実施している状態
在宅血液透析指導管理を受けている状態 在宅血液透析を実施している状態
在宅酸素療法指導管理を受けている状態 HOT(在宅酸素療法)を実施している状態
在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態 IVH・TPN管理が必要な状態
在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態 経鼻経管栄養・胃ろうによる経管栄養(成分栄養剤使用)の状態
在宅自己導尿指導管理を受けている状態 自己導尿が必要な状態
在宅人工呼吸指導管理を受けている状態 TPPV(気管切開下陽圧換気)・NPPV(非侵襲的陽圧換気)による人工呼吸管理
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態 CPAP(シーパップ)など持続陽圧呼吸療法を実施している状態
在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態 自己管理による疼痛コントロールが必要な状態
在宅肺高血圧疾患指導管理を受けている状態 肺動脈性肺高血圧症など在宅治療が必要な状態
人工肛門または人工膀胱を造設している状態 ストーマ造設後のセルフケア管理

加算IとIIの優先順位

最も重要な原則として、加算Iの対象状態に該当する場合は、加算IIには該当しない、という点を覚えておいてください。たとえば、気管カニューレを使用しながら在宅酸素療法も行っている利用者の場合、加算Iの対象(気管カニューレ使用)に該当するため、加算Iのみを算定します。加算IIは算定できません。

判断が迷う場合のルール:加算Iの状態に少しでも該当すれば加算I。加算Iに当てはまらない場合のみ加算II。


3. 算定額の比較:介護保険 vs 医療保険

算定額の一覧表

特別管理加算の算定額は、介護保険と医療保険で異なります。以下の表で全体像を把握してください。

区分 介護保険(単位数) 介護保険(円換算) 医療保険(点数) 医療保険(円換算)
特別管理加算 I 500単位/月 約5,000円/月 500点/月 5,000円/月
特別管理加算 II 250単位/月 約2,500円/月 250点/月 2,500円/月

※介護保険の1単位は地域によって異なります(10.00〜11.40円)。上記の円換算は1単位=10.00円の地域単価での計算です。医療保険は1点=10円固定です。

算定回数の制限

特別管理加算は月1回のみ算定できます。複数回訪問したとしても、月に1回を超えて算定することはできません。

また、同一利用者に対して介護保険と医療保険の両方から特別管理加算を算定することはできません。保険種別の切り替えが月の途中で発生した場合、どちらの保険で算定するかを明確にする必要があります。

複数事業所の場合

同一利用者に複数の訪問看護ステーションが関わる場合、特別管理加算を算定できるのは1事業所のみです。どのステーションが算定するかはケアマネジャーや医師との調整によりますが、通常は主たるステーションが算定します。

参考:訪問看護 加算一覧(houmon-kango-kasan-ichiran)で他の加算との全体像を確認できます。


4. 特別管理加算の判断フローチャート(ステップバイステップ)

特別管理加算を算定すべきかどうか、実務で素早く判断するためのフローチャートを以下に示します。現場の判断ミスを防ぐために、このフローに沿って確認してください。


【特別管理加算 判断フローチャート】

STEP 1: 保険種別の確認
─────────────────────────────
  利用者は医療保険?介護保険?
    │
    ├──[医療保険]──→ STEP 2へ(医療保険の対象確認)
    │
    └──[介護保険]──→ STEP 2へ(介護保険の対象確認)

STEP 2: ステーションの届出確認
─────────────────────────────
  地方厚生(支)局への
  「特別管理体制」届出は完了しているか?
    │
    ├──[YES]──→ STEP 3へ
    │
    └──[NO]──→ 算定不可
               (まず届出を完了すること)

STEP 3: 加算I対象状態の確認
─────────────────────────────
  以下のいずれかに該当するか?
  ① 在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている
  ② 在宅気管切開患者指導管理を受けている
  ③ 気管カニューレを使用している
  ④ 留置カテーテルを使用している
     (膀胱留置・経鼻胃管・胃ろう・腹膜透析など)
  ⑤ 真皮を超える褥瘡(NPUAP III/IV度、
     またはDESIGN D3/D4/D5)がある
  ⑥ 週3日以上の点滴注射が必要な状態
  ⑦ 在宅麻薬等注射指導管理を受けている
     ※2024年改定追加
  ⑧ 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている
     ※2024年改定追加
  ⑨ 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている
     ※2024年改定追加
    │
    ├──[YES]──→ 特別管理加算 I を算定
    │              → STEP 5へ(記録確認)
    │
    └──[NO]──→ STEP 4へ(加算II確認)

STEP 4: 加算II対象状態の確認
─────────────────────────────
  以下のいずれかに該当するか?
  ① 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている
  ② 在宅血液透析指導管理を受けている
  ③ 在宅酸素療法指導管理を受けている(HOT)
  ④ 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている
  ⑤ 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている
  ⑥ 在宅自己導尿指導管理を受けている
  ⑦ 在宅人工呼吸指導管理を受けている
  ⑧ 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている
  ⑨ 在宅自己疼痛管理指導管理を受けている
  ⑩ 在宅肺高血圧疾患指導管理を受けている
  ⑪ 人工肛門または人工膀胱を造設している
    │
    ├──[YES]──→ 特別管理加算 II を算定
    │              → STEP 5へ(記録確認)
    │
    └──[NO]──→ 特別管理加算の算定対象外
               (算定しない)

STEP 5: 記録・根拠の確認
─────────────────────────────
  以下がすべて揃っているか?
  ① 訪問看護指示書に該当する管理指示が記載されている
  ② 訪問看護計画書に特別管理の内容が記載されている
  ③ 訪問看護記録書に毎回の管理内容が記録されている
  ④ 特別管理の根拠となる観察・処置が記録されている
    │
    ├──[YES]──→ 算定可。月初または初回訪問時に算定
    │
    └──[NO]──→ 記録を整備してから算定
               (記録不備のまま算定すると返戻リスク)

─────────────────────────────
【完了】算定処理へ進む

フローチャートの使い方

このフローチャートは、新規利用者の受け入れ時、または担当利用者の状態が変化した時に使用してください。特に以下のタイミングで必ずチェックすることをお勧めします。

  • 新規受け入れ時:利用者情報収集と同時にフローを実行
  • 訪問看護指示書の更新時:指示内容の変化を確認
  • 月初の請求準備時:算定漏れがないかを最終確認
  • 利用者の状態変化時:新たに加算対象となった可能性を確認

5. 対象疾患・状態の完全一覧表(別表7・別表8との対応付き)

別表7・別表8とは何か?

訪問看護における保険適用のルールを理解するうえで、「別表7」と「別表8」の概念は必須知識です。

別表7(厚生労働大臣が定める疾病等) 別表7は、通常介護保険が優先される65歳以上の利用者であっても、「疾病・状態の重篤さ」を理由として医療保険での訪問看護が適用となる疾患等を定めたリストです。末期のがん、多発性硬化症、重症筋無力症など、医療依存度の非常に高い疾患が列挙されています。別表7に該当する場合、週4日以上・複数回の訪問が可能になるなど、訪問回数の制限が緩和されます。

別表8(特別管理を要する状態等) 別表8は、訪問看護において「特別な管理が必要な状態」を定めたリストです。医療保険における特別管理加算の算定根拠となる状態が列挙されており、介護保険における特別管理加算の基準とも連動しています。

参考:訪問看護の保険振り分け判断(houmon-kango-hoken-furiwake)で、医療保険・介護保険の選択についてさらに詳しく解説しています。

別表8の全内容(2024年度改定版)

以下は、医療保険の特別管理加算に関連する別表第8の内容です。

特掲診療料の施設基準等・別表第8(抜粋・2024年改定対応版)

■ 加算Iに対応する状態(重度の管理を要する)

1. 在宅悪性腫瘍等患者指導管理(C108)を受けている状態
2. 在宅気管切開患者指導管理(C112)を受けている状態
3. 気管カニューレを使用している状態
4. 留置カテーテルを使用している状態
5. 真皮を超える褥瘡の状態にある者
6. 在宅自己腹膜灌流指導管理(C102)を受けている状態
   ※介護保険では加算IIだが医療保険では加算Iに準じることもある
7. 在宅血液透析指導管理(C102-2)を受けている状態
8. 週3日以上の点滴注射を必要とする状態
9. 在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態【2024年改定追加】
10. 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態【2024年改定追加】
11. 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態【2024年改定追加】

■ 加算IIに対応する状態(一定の管理を要する)

12. 在宅酸素療法指導管理(C103)を受けている状態
13. 在宅中心静脈栄養法指導管理(C104)を受けている状態
14. 在宅成分栄養経管栄養法指導管理(C105)を受けている状態
15. 在宅自己導尿指導管理(C106)を受けている状態
16. 在宅人工呼吸指導管理(C107)を受けている状態
17. 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理(C107-2)を受けている状態
18. 在宅自己疼痛管理指導管理(C110)を受けている状態
19. 在宅肺高血圧疾患指導管理(C114)を受けている状態
20. 人工肛門または人工膀胱を設置している状態

介護保険における特別管理加算の対象状態完全一覧

介護保険の特別管理加算については、以下の表で対象状態と加算区分を一覧で確認できます。

No. 対象状態 加算区分 具体的な状態の例
1 在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態 I 末期がんで在宅化学療法・鎮痛療法を受けている
2 在宅気管切開患者指導管理を受けている状態 I 気管切開を施行し在宅管理中
3 気管カニューレを使用している状態 I 気管カニューレが留置されている
4 膀胱留置カテーテルを使用している状態 I フォーリーカテーテルが留置されている
5 経鼻胃管・胃ろうカテーテルを使用している状態 I NGチューブまたはPEGチューブが留置されている
6 腹膜留置カテーテルを使用している状態 I 腹膜透析用カテーテルが留置されている
7 真皮を超える褥瘡(NPUAP III/IV度) I 脂肪組織・筋膜・骨に達する深い褥瘡
8 真皮を超える褥瘡(DESIGN D3/D4/D5) I 深さD3(皮下組織まで)以上の褥瘡
9 週3日以上の点滴注射が必要な状態 I 抗生剤・輸液・抗がん剤などの点滴を週3回以上実施
10 在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態 I(2024改定追加) 在宅での麻薬持続皮下注射・静脈注射管理
11 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態 I(2024改定追加) 在宅での注射による抗がん剤治療
12 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態 I(2024改定追加) ドブタミンなど強心剤の持続点滴管理
13 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態 II 腹膜透析(CAPD・APD)を実施している
14 在宅血液透析指導管理を受けている状態 II 在宅血液透析を実施している
15 在宅酸素療法指導管理を受けている状態 II HOT(在宅酸素療法)を実施している
16 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態 II IVH・TPNを実施している
17 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態 II 成分栄養剤による経管栄養を実施している
18 在宅自己導尿指導管理を受けている状態 II 自己導尿(CIC)が必要な状態
19 在宅人工呼吸指導管理を受けている状態 II TPPV・NPPVによる人工呼吸管理
20 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態 II CPAP療法を実施している
21 在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態 II 自己管理による疼痛コントロール(PCA等)
22 在宅肺高血圧疾患指導管理を受けている状態 II 肺動脈性肺高血圧症の在宅治療
23 人工肛門を造設している状態 II ストーマ造設後のセルフケア管理
24 人工膀胱を造設している状態 II ウロストーマ造設後のセルフケア管理

注意が必要なケース

「留置カテーテル」の範囲

「留置カテーテル」という言葉から多くのスタッフが膀胱留置カテーテル(フォーリーカテーテル)のみをイメージしがちですが、この概念はより広い範囲を含みます。

加算Iの「留置カテーテル」に含まれるもの:

  • 膀胱留置カテーテル(尿道カテーテル)
  • 経鼻胃管(NGチューブ)
  • 胃ろうカテーテル(PEGチューブ)
  • 腸ろうカテーテル
  • 腹膜透析用カテーテル
  • 胆道ドレナージ用カテーテル(Tチューブなど)

重要なのは、ただカテーテルが留置されているだけでは不十分で、そのカテーテルの管理(排液の観察・量の記録・水分量の調整・薬剤注入など)を計画に基づいて実施していることが必要です。

「褥瘡の深さ」の判定基準

褥瘡の深さを判定する際には、「NPUAP(EPUAP)分類」または「DESIGN-R評価ツール」を使用します。

NPUAP分類での判定:

  • ステージI・ステージII(表皮~真皮の損傷):対象外
  • ステージIII(皮下組織に達する損傷):加算I対象
  • ステージIV(筋肉・腱・骨に達する損傷):加算I対象
  • 深さが判定できないステージ(スラフ・エスカーで被覆):判断要注意

DESIGN分類での判定:

  • D0:皮膚損傷なし → 対象外
  • D1・D2(真皮の損傷):対象外
  • D3(皮下組織までの損傷):加算I対象
  • D4(筋肉までの損傷):加算I対象
  • D5(骨・関節・腱が露出):加算I対象

褥瘡の評価は毎回の訪問時に行い、記録に残すことが算定の根拠となります。「真皮を超える褥瘡の状態」から「真皮の損傷まで改善した」場合は、加算Iの算定要件から外れることになりますので、状態変化の都度フローチャートで再確認してください。


6. 2024年度改定での変更点:新たに追加された対象疾患

2024年度改定の概要

2024年度(令和6年度)の診療報酬改定・介護報酬改定において、特別管理加算の対象疾患に重要な追加がありました。在宅医療の高度化を背景に、以下の3つの在宅指導管理が新たに加算Iの対象として追加されました。

追加された3つの対象疾患

① 在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態

対象となる利用者: 在宅で麻薬を注射(持続皮下注射・静脈注射)により投与している患者です。主に末期がんの疼痛緩和を目的としたオピオイド持続投与が対象になります。

臨床的背景: モルヒネ・オキシコドン・ヒドロモルフォンなどの麻薬を持続皮下注または持続静注で投与するケースは、在宅ホスピスケア・在宅緩和ケアの充実に伴い増加しています。注射器の管理・薬液量の調整・副作用モニタリングなど、高度な看護的管理が必要であるため、2024年改定で加算I対象に追加されました。

算定のポイント:

  • 医師の指示書に「在宅麻薬等注射指導管理」の記載があること
  • 具体的な麻薬の種類・投与量・投与経路が記録されていること
  • 副作用(呼吸抑制・便秘・悪心など)の観察記録があること

② 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態

対象となる利用者: 在宅で注射による抗がん剤治療(化学療法)を受けている患者です。携帯型注入ポンプを使用した持続投与や、訪問時に抗がん剤を静注するケースが対象となります。

臨床的背景: 医療技術の進歩により、一部の抗がん剤治療は外来または在宅で実施可能になっています。特に在宅での持続静注・持続皮下注による化学療法は、患者のQOL向上に貢献する一方で、管理の複雑さも高く、看護師の専門的な管理が必須です。

算定のポイント:

  • 使用している抗がん剤の名称・用法・用量が指示書に明記されていること
  • 副作用(骨髄抑制・末梢神経障害・消化器症状など)の観察記録があること
  • 注入ポンプのメンテナンス・薬液残量の確認記録があること

③ 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態

対象となる利用者: 心不全末期状態などで、在宅でドブタミン・ミルリノンなどの強心剤を持続静注により投与している患者です。

臨床的背景: 重症心不全患者の在宅緩和ケアとして、強心剤の持続投与により症状を緩和しながら在宅生活を継続するケースが増えています。投与量の調整・副作用モニタリング・輸液ポンプの管理など、非常に高度な医療的管理が必要です。

算定のポイント:

  • 強心剤の種類・投与量・投与速度が指示書に明記されていること
  • バイタルサイン(血圧・脈拍・SpO₂)の観察記録があること
  • 副作用(不整脈・血圧変動など)の観察記録があること
  • 輸液ポンプの設定確認・薬液残量の記録があること

2024年改定前後の比較

項目 2024年改定前 2024年改定後
加算Iの対象疾患数 6種類 9種類(3種類追加)
在宅麻薬等注射指導管理 対象外 加算I対象
在宅腫瘍化学療法注射指導管理 対象外 加算I対象
在宅強心剤持続投与指導管理 対象外 加算I対象
加算額(介護保険/医療保険) 変更なし 変更なし

この改定により、在宅ホスピスケアや在宅緩和ケアを積極的に行っているステーションでは、算定機会が増加した可能性があります。改定前は算定できなかったケースが、2024年以降は算定対象となっているケースがないか、既存の利用者についても確認することをお勧めします。


7. 算定要件の詳細:届出・体制・記録の3本柱

特別管理加算を適切に算定するためには、「届出」「体制」「記録」という3つの柱が揃っている必要があります。どれか1つが欠けても、適切な算定とは認められません。

7-1. 届出要件

介護保険の場合

介護保険での特別管理加算を算定するためには、都道府県(指定権者)への届出が必要です。届出に必要な書類は都道府県により異なりますが、一般的に以下の書類が必要です。

  • 訪問看護ステーションの指定申請書(または変更届)
  • 特別管理体制に関する届出書
  • 24時間対応体制の確保に関する書類(24時間対応体制加算の届出書等)

なお、介護保険の特別管理加算は、24時間対応体制加算の届出が前提条件となります。24時間対応体制加算の届出を行っていないステーションは、特別管理加算を算定できないため注意が必要です。

医療保険の場合

医療保険での特別管理加算を算定するためには、地方厚生(支)局への届出が必要です。具体的には「緊急時訪問看護加算・特別管理体制・ターミナルケア体制に係る届出書」を提出します。

届出要件:

  • 24時間連絡体制の整備(連絡を受ける専用電話等の設置)
  • 緊急時に訪問看護を実施できる体制の整備
  • 特別な管理を必要とする利用者への対応を担当する看護師等を定めていること

7-2. 体制要件

届出をするだけでなく、実際に体制を整えておくことが必要です。

24時間連絡体制の整備

利用者またはその家族から24時間、いつでも連絡を受けられる体制が必要です。具体的には以下のような対応が求められています。

  • 夜間・休日でも対応できる連絡先(携帯電話等)の利用者への周知
  • 連絡を受けた際に、看護師等が指示を与えられる体制
  • 緊急時には実際に訪問できる体制(または医療機関との連携体制)

医師・医療機関との連携体制

特別な医療機器(人工呼吸器・輸液ポンプ等)の管理や病状の変化に適切に対応するために、主治医・医療機関との密接な連携体制を確保していることが必要です。

7-3. 記録要件

記録は算定の根拠であり、最も重要な要件の1つです。特別管理加算を算定するための記録として、以下が必要です。

1. 訪問看護指示書(指定訪問看護指示書)

主治医が交付する訪問看護指示書に、特別な管理が必要な状態(疾患名・医療的処置の内容)が明記されていることが必須です。指示書に記載のない処置・管理については、特別管理加算の根拠として認められません。

2. 訪問看護計画書

月初に作成する訪問看護計画書に、特別管理の具体的な内容(処置の種類・頻度・目標・評価指標等)を記載してください。特別管理加算の算定根拠となる管理内容が計画に盛り込まれている必要があります。

3. 訪問看護記録書(訪問看護記録書I・II)

毎回の訪問時に作成する記録書に、特別管理の実施内容を具体的に記録してください。「褥瘡処置実施」という記録だけでなく、「褥瘡の深さ・大きさ・滲出液の量と性状・肉芽形成の状態・洗浄・外用薬の使用状況」まで記録することで、算定根拠の裏付けとなります。

4. 訪問看護報告書

月末または必要時に主治医に提出する報告書に、特別管理の状況・経過・今後の方針を記載してください。


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8. 算定ミスTOP10と返戻防止策

実際の算定現場でよく発生するミスとその防止策を紹介します。これらは返戻の主な原因でもあるため、チェックリストとして活用してください。

参考:訪問看護レセプトの返戻を完全攻略(houmon-kango-henrei-taisaku)では、返戻全般の原因と対策を詳しく解説しています。

ミス1:届出なしに算定している

問題: 特別管理体制の届出を完了していないにもかかわらず、特別管理加算を算定しているケースです。

返戻のリスク: 届出要件を満たしていない算定は全件が返戻対象となります。さらに、指導監査の際に遡及して返還を求められる可能性があります。

防止策:

  • 算定を開始する前に必ず届出状況を確認する
  • 届出書のコピーを施設内で保管し、いつでも確認できる状態にする
  • 新人スタッフへの算定要件の教育を徹底する

ミス2:加算IとIIを同月に算定している

問題: 同一利用者に対し、同一月にIとIIを両方算定しているケースです。

返戻のリスク: 加算IとIIは排他的な関係にあり、同月に両方を算定することは制度上認められていません。レセプト審査で必ずエラーが発生します。

防止策:

  • 利用者台帳に「特別管理加算区分」欄を設け、月初に必ず確認する
  • 請求ソフトへの入力時にダブルチェックを実施する
  • フローチャートで毎月確認する習慣をつける

ミス3:留置カテーテルの範囲を膀胱留置のみと誤解している

問題: 「留置カテーテル」というと膀胱留置カテーテルのみと思い込み、胃ろうカテーテルや腹膜透析カテーテルを見落として加算Iを算定していないケースです。

返戻のリスク: 直接的な返戻はありませんが、算定漏れによる収益機会の損失が発生します。

防止策:

  • 「留置カテーテル=膀胱留置のみではない」をスタッフ全員に周知する
  • 経鼻胃管・胃ろう・腹膜透析カテーテル留置中の利用者を定期的にリストアップし、算定漏れを確認する

ミス4:褥瘡の深さ判定が不正確

問題: 褥瘡の深さをDESIGN-RやNPUAPで正確に評価していないため、「真皮を超えている」かどうかの判断が曖昧になるケースです。

返戻のリスク: 実際には加算I対象外の浅い褥瘡(真皮内)なのに加算Iを算定していると、返戻または指導監査の対象になります。

防止策:

  • 褥瘡評価は毎回訪問時にDESIGN-Rを使用して行い、スコアを記録する
  • 「D1・D2(真皮の損傷)」と「D3以上(真皮を超える損傷)」の違いをスタッフ全員が理解する
  • 月に1回は管理者が褥瘡の評価記録を確認する

ミス5:週3日以上の点滴要件を誤解している

問題: 「点滴を週3日以上実施する予定で指示が出ているが、利用者の状態改善で実際の実施が週2日になった」ケースで、算定要件を満たすかどうかで迷うケースです。

正しい解釈: 点滴注射週3日以上の要件は「週3日以上行う必要があると認められる状態」です。つまり、医師の指示書に週3日以上の点滴指示があれば、実際の実施日数がそれを下回っても算定できる場合があります。ただし、指示内容と実際の状態が大きく乖離する場合は主治医に再確認が必要です。

防止策:

  • 医師の指示書の記載内容を確認し、「週3日以上」の明確な指示があるかを確認する
  • 状態変化がある場合は主治医に相談し、指示書を更新してもらう

ミス6:訪問看護指示書と記録内容が一致していない

問題: 指示書には気管切開患者指導管理の記載があるが、訪問記録には気管カニューレの管理に関する記録がないケースです。

返戻のリスク: 指示書と記録の不一致は、算定の根拠が証明できないとして返戻・査定の対象となります。

防止策:

  • 指示書に記載された管理内容を毎回の訪問記録に必ず反映する
  • 月初に指示書の内容を確認し、記録すべき項目のチェックリストを作成する
  • 訪問看護計画書の「特別管理」欄に具体的な管理内容を記載する

ミス7:複数のステーションで重複算定している

問題: 複数の訪問看護ステーションが同一利用者に関わり、それぞれが特別管理加算を算定しているケースです。

返戻のリスク: 特別管理加算は1利用者につき1事業所のみの算定です。複数事業所からの算定はレセプト審査で弾かれます。

防止策:

  • 複数事業所での関わりがある利用者は月初に確認し、どのステーションが算定するかを明確にする
  • ケアマネジャーとの連絡会議で算定事業所を確認・共有する
  • 担当者間での連絡ノートやシステムで算定状況を可視化する

ミス8:ターミナルケア加算算定中に誤って特別管理加算も算定している

問題: ターミナルケア加算と特別管理加算を混同し、ターミナルケア加算を算定しているから特別管理加算も当然算定できると誤解するケースです。

正しい理解: ターミナルケア加算と特別管理加算は、どちらも算定可能な場合があります(別途要件を満たす場合)。ただし、ターミナルケアを実施していること自体は特別管理加算の算定要件ではありません。特別管理加算の対象状態(在宅悪性腫瘍患者指導管理等)に該当するかどうかを、別途確認する必要があります。

防止策:

  • 「ターミナルケア加算算定中=特別管理加算も算定できる」と短絡的に判断しない
  • 特別管理加算の対象状態(別表第8)への該当を必ずフローチャートで確認する

ミス9:月の途中で対象状態が消失したのに算定を継続している

問題: 月の途中で褥瘡が改善(D2以下)したにもかかわらず、特別管理加算Iをそのまま算定し続けるケースです。

正しい取り扱い: 月の途中で算定要件を満たさなくなった場合、その月の特別管理加算は原則として算定できません。ただし、算定要件を満たしていた期間があれば月1回の算定が認められるかどうかは、解釈が自治体により異なる場合があります。不明な場合は指導担当に事前確認することをお勧めします。

防止策:

  • 利用者の状態変化を常にモニタリングし、算定要件の変化を速やかに把握する
  • 月初の算定確認と月末のレセプト確認の2段階でチェックを行う

ミス10:2024年改定で追加された3疾患を見落としている

問題: 2024年度改定で加算Iの対象に追加された「在宅麻薬等注射指導管理」「在宅腫瘍化学療法注射指導管理」「在宅強心剤持続投与指導管理」の3疾患を把握していないため、対象利用者への加算算定が漏れているケースです。

返戻のリスク: 直接的な返戻ではなく算定漏れですが、収益機会の損失が発生します。

防止策:

  • 2024年4月以降の担当利用者について、上記3疾患の管理対象者がいないか全件確認する
  • 訪問看護指示書の「特別指示事項」欄や「指導管理の種類」欄を確認する
  • 在宅医・訪問診療医との連携強化により、新たな管理指示が出た際に速やかに情報共有する

算定ミス防止チェックリスト

月次の請求前に以下のチェックを実施してください。

【特別管理加算 月次チェックリスト】

□ 特別管理体制の届出は完了しているか
□ 今月の対象利用者リストが正確か
□ 各利用者の加算区分(I/II)は正しいか
□ 同一利用者に他のステーションが関わっていないか
□ 訪問看護指示書に算定根拠となる管理内容の記載があるか
□ 訪問看護計画書に特別管理の内容が記載されているか
□ 訪問看護記録書に毎回の管理内容が記録されているか
□ 褥瘡評価スコアが記録されているか(褥瘡が対象の場合)
□ 点滴指示が週3日以上となっているか(点滴が対象の場合)
□ 月途中の状態変化がないかを確認したか
□ IとIIを重複算定していないか
□ 医療保険・介護保険の区分は正しいか

9. 他加算との併算定ルール早見表

特別管理加算は、他の加算と組み合わせて算定できる場合とできない場合があります。以下の表で確認してください。

介護保険での併算定ルール

加算の組み合わせ 特別管理加算との関係 備考
24時間対応体制加算 前提条件(届出要) 24時間対応体制加算の届出がないと特別管理加算は算定不可
緊急時訪問看護加算 併算定可 緊急訪問が発生した月も特別管理加算を算定可能
複数名訪問加算 併算定可 複数のスタッフで訪問する場合も算定可能
ターミナルケア加算 併算定可(別途要件必要) ターミナル期でも特別管理の対象状態があれば算定可
長時間訪問看護加算 併算定可 90分超の訪問時も特別管理加算は別途算定可
初回加算 併算定可 初月のみ算定の初回加算と特別管理加算は別途算定可
看護体制強化加算 併算定可 ステーション全体の体制加算として別途算定可
退院時共同指導加算 併算定可 退院時の指導と毎月の特別管理加算は別途算定可
専門管理加算 原則別途算定可 専門性の高い管理として評価される別加算

看護体制強化加算の算定要件や届出手続きの詳細については、「訪問看護 看護体制強化加算I・IIの算定要件と届出」をあわせてご確認ください。

参考:訪問看護 複数名訪問加算 算定要件(fukusuumei-houmon-kasan)で複数名訪問加算の詳細を確認できます。

医療保険での併算定ルール

加算の組み合わせ 特別管理加算との関係 備考
緊急訪問看護加算 届出は共通(一体的届出) 同一の届出書で届出(算定は別途可)
ターミナルケア療養費 併算定可 死亡月はターミナルケア療養費と特別管理加算を同時算定可能
24時間対応体制加算 前提条件(届出) 体制整備が特別管理加算算定の前提
複数名訪問看護加算 併算定可 複数名訪問加算は訪問回数ベース、特別管理加算は月次加算のため別途算定可
難病等複数回訪問加算 併算定可 同月内の複数回訪問と月次加算は別途算定可
長時間訪問看護加算 併算定可 1日90分超の訪問時の加算と特別管理加算は別途算定可
訪問看護情報提供療養費 別途算定可 情報提供の加算と管理の加算は性質が異なる
専門管理加算 原則別途算定可 専門的な管理に対する評価として別途算定可

注意が必要な組み合わせ

特別管理加算I と 特別管理加算II

  • 同月に両方の算定は不可。Iに該当する場合はIのみを算定。

複数の訪問看護ステーションからの算定

  • 1利用者につき1事業所のみ。複数事業所による重複算定は不可。

介護保険と医療保険の混在

  • 同月に介護保険と医療保険の両方からの算定は不可。

10. 医療保険と介護保険の違い:完全比較表

基本的な違いの整理

特別管理加算は介護保険と医療保険の両制度に存在しますが、算定額・対象者・要件にいくつかの重要な違いがあります。

比較項目 介護保険 医療保険
根拠法令 介護保険法・居宅サービス費用算定基準 健康保険法・訪問看護療養費算定方法
届出先 都道府県(指定権者) 地方厚生(支)局
加算I算定額 500単位/月(約5,000円) 500点/月(5,000円)
加算II算定額 250単位/月(約2,500円) 250点/月(2,500円)
算定回数 月1回 月1回
対象者の確認方法 介護保険居宅サービス計画・指示書 訪問看護療養費明細書・指示書
複数事業所の算定 1事業所のみ 1事業所のみ
前提となる届出 24時間対応体制加算の届出 特別管理体制の届出(緊急時訪問看護加算と一体)

算定額が異なる場合

介護保険の単位数は地域によって単価が異なります(10.00〜11.40円/単位)。以下は代表的な地域の算定額です。

地域区分 1単位の単価 加算I(500単位)の金額 加算II(250単位)の金額
1級地(東京23区等) 11.40円 5,700円 2,850円
2級地(東京市部等) 11.12円 5,560円 2,780円
3級地(横浜市等) 11.05円 5,525円 2,762円
4級地(大阪市等) 10.84円 5,420円 2,710円
5級地(名古屋市等) 10.70円 5,350円 2,675円
6級地(政令市等) 10.42円 5,210円 2,605円
7級地(その他市) 10.21円 5,105円 2,552円
その他 10.00円 5,000円 2,500円

医療保険は全国一律で1点=10円のため、加算Iは5,000円、加算IIは2,500円となります。

利用者負担額の違い

介護保険の場合 加算額に利用者の自己負担割合をかけた金額が自己負担となります。

自己負担割合 加算I(500単位×地域単価)の自己負担
1割負担 約500〜570円/月
2割負担 約1,000〜1,140円/月
3割負担 約1,500〜1,710円/月

医療保険の場合 高齢者(70歳以上)の場合、窓口負担割合により以下のとおりとなります。

自己負担割合 加算I(500点)の自己負担
1割負担(低所得等) 500円/月
2割負担(一般所得) 1,000円/月
3割負担(現役並み所得) 1,500円/月

医療保険優先となる場合(別表7との関係)

65歳以上の要介護認定を受けた利用者は、原則として介護保険での訪問看護サービス利用となります。しかし、「厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)」に該当する場合は医療保険が優先されます。

別表7に該当し医療保険での訪問看護となった場合、特別管理加算も医療保険での算定となります。

別表7の疾病等(主なもの):

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン(亜急性脊髄視神経症)
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上かつ生活機能障害度がII度またはIII度のものに限る))
  • 多系統萎縮症(線条体黒質変性症・オリーブ橋小脳萎縮症・シャイ・ドレーガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群(AIDS)
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

これらの疾患に加えて、特別管理加算の対象状態(別表8)に該当する場合、医療保険での訪問看護かつ特別管理加算の算定となる可能性があります。

参考:訪問看護の医療保険・介護保険の振り分け判断(houmon-kango-hoken-furiwake)で、保険の振り分けについて詳しく解説しています。


11. 記録の書き方:算定根拠を残す記録例

記録は算定の根拠です。どれほど適切なケアを提供していても、記録に残っていなければ算定は認められません。ここでは、特別管理加算の算定根拠となる記録の具体的な書き方を、疾患・状態別に紹介します。

参考:訪問看護のSOAP記録書き方ガイド(soap-kiroku-kakikata)では、記録の基本的な書き方について詳しく解説しています。

11-1. 褥瘡(NPUAP III度以上)の記録例

訪問看護計画書への記載例:

【特別管理の内容】
真皮を超える褥瘡(仙骨部・DESIGN-R D3相当)の管理
・毎回訪問時にDESIGN-Rで評価・記録
・褥瘡部の洗浄(生食またはシャワー洗浄)・観察・外用薬塗布・ドレッシング材貼付
・体位変換指導・除圧用具の確認と調整
・栄養状態・皮膚全体の観察
・家族への褥瘡ケア指導(体位変換・スキンケア)

訪問看護記録書(SOAP形式)への記載例:

S(主観的情報):
「昨日から少し黄色い液が出てきた気がする」と家族より申告あり。
「痛みは変わらず中程度」と本人より。

O(客観的情報):
仙骨部褥瘡の状態:
- 深さ:D3(皮下組織まで到達、筋膜は露出していない)
- 滲出液:中量・黄色・漿液性(感染徴候なし)
- 大きさ:縦4.5cm×横3.2cm(昨週比±0cm)
- 辺縁:不整形、周囲皮膚に発赤なし
- 肉芽形成:一部に淡い赤色の肉芽組織を認める
- 壊死組織:なし
- ポケット:なし
DESIGN-R総スコア:14点(前回16点)→改善傾向

処置:生食によるシャワー洗浄 → 乾燥 → ××ゲル(外用薬名)塗布 →
     ポリウレタンフォームドレッシング材貼付(前回貼付分交換)

体位変換確認:エアマット使用中、2時間ごと体位変換を家族が実施している
(確認済み、除圧良好)

A(アセスメント):
滲出液の量は前回より増加しているが、肉芽組織の形成が進んでいること、
壊死組織がないことから感染ではなく治癒経過中の反応と判断します。
DESIGN-Rスコアは改善傾向です。仙骨部への除圧は適切に実施されています。
引き続き現処置を継続し、感染徴候の出現に注意して観察が必要です。

P(計画):
・現処置継続(洗浄・外用薬・ドレッシング材の種類変更なし)
・次回訪問時も同様にDESIGN-R評価を実施
・感染徴候(熱感・腫脹・膿性滲出液・悪臭)出現時は主治医に即報告
・家族への継続的スキンケア指導(今回は体位変換と除圧の重要性を再指導)

11-2. 気管カニューレ使用中の記録例

訪問看護計画書への記載例:

【特別管理の内容】
在宅気管切開患者指導管理(気管カニューレ留置中)
・毎回訪問時に気管カニューレの状態・固定・気管内の分泌物の観察
・気管内吸引(必要時)
・カニューレ周囲の皮膚観察・清潔ケア
・カニューレの閉塞・逸脱リスクへの対応と家族指導
・気管カニューレ(カフ付き・サイズ:○○)の定期交換管理(月○回)
・主治医との連絡体制の確認

訪問看護記録書(SOAP形式)への記載例:

S(主観的情報):
「呼吸は楽です」と本人より(コミュニケーションボードにて確認)。
家族より「昨夜は分泌物が少し多かった」との情報あり。

O(客観的情報):
SpO₂:96%(ルームエア)、呼吸数:16回/分、規則的
気管カニューレの状態:
- 種類:カフ付き気管カニューレ(サイズ:7.5mm)
- 位置:正常位(ネックプレートが鎖骨に平行)
- 固定:テープ固定良好、ネックバンドのゆるみなし
- 気管内分泌物:白色・粘稠性・中量
- 気管内吸引実施:1回(分泌物除去良好)
- カニューレ周囲皮膚:発赤・びらんなし
- カフ圧:20cmH₂O(適正範囲内)

気管カニューレ交換:本日実施
(交換後、呼吸音左右差なし、エアリーク聴取せず)

A(アセスメント):
呼吸状態は安定している。気管内分泌物は前日より多めとのことだが、
性状は白色・粘稠性であり感染徴候(発熱・黄色・緑色膿性分泌物)はなし。
カニューレ固定は良好で、転位・逸脱リスクは低い。
カニューレ交換後も呼吸状態に変化なく経過良好。

P(計画):
・カニューレ交換を計画どおり継続(次回交換:○月○日予定)
・分泌物の増加が持続する場合は主治医に報告し、感染対応を検討
・家族への吸引手技確認(次回訪問時に再確認予定)
・カフ圧は毎回訪問時に測定・記録継続

11-3. 週3日以上の点滴(在宅抗菌薬療法)の記録例

訪問看護計画書への記載例:

【特別管理の内容】
点滴注射週3日以上(医師の指示による在宅抗菌薬療法)
・点滴注射の実施(週○日:月・水・金)
  薬剤名:○○(セフトリアキソン等)、用量:○g、投与方法:点滴静注
・末梢静脈ラインの管理(穿刺・固定・抜針)
・点滴中の副作用観察(アレルギー反応・静脈炎等)
・刺入部の観察・記録
・治療効果・全身状態の観察・記録

訪問看護記録書(SOAP形式)への記載例:

S(主観的情報):
「点滴後、少し体が楽になった気がする」と本人より。
「痛みは昨日より少し軽くなった」との申告あり。

O(客観的情報):
体温:37.2℃、血圧:132/78mmHg、脈拍:76回/分、SpO₂:97%

点滴実施記録:
- 薬剤名:セフトリアキソン(CTRX)1g + 生食100mL
- 投与ルート:右前腕 橈側皮静脈(本日新規穿刺)
- 投与時間:60分(点滴速度:100mL/h)
- 刺入部の状態:発赤なし・腫脹なし・点滴滴下良好
- 副作用:観察期間中(60分)に発疹・掻痒・アナフィラキシー症状なし

全身状態:
  発熱は軽度残存するが改善傾向。疼痛は軽減しており治療反応良好と判断。

A(アセスメント):
抗菌薬点滴療法は順調に経過している。刺入部の観察では静脈炎・
漏出等の合併症は認めません。全身状態は改善傾向です。
次回訪問時にも同薬剤・同用量の点滴を実施予定です(医師指示継続中)。

P(計画):
・点滴療法を週3回(月・水・金)継続
・次回点滴実施日:○月○日
・刺入部の観察継続(発赤・腫脹・硬結出現時は当日中に主治医報告)
・発熱の推移を家族に日記記録してもらい、次回訪問時に確認

11-4. 留置カテーテル(胃ろう)の記録例

訪問看護計画書への記載例:

【特別管理の内容】
胃ろうカテーテル(PEGチューブ)の管理・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・カテーテルの状態・固定の観察
・胃ろう周囲(ストーマ部)の皮膚観察・洗浄・ケア
・栄養剤注入前後のフラッシュ・残液確認
・栄養剤の種類・量・注入速度の確認(医師指示に基づく)
・家族への注入手技・ストーマケア指導
・バルーン水量の確認(バルーン型カテーテルの場合:月○回確認)

訪問看護記録書(SOAP形式)への記載例:

S(主観的情報):
「お腹の具合は普通です」と本人より(限定的コミュニケーション可能)。
家族より「今朝の注入後に少し残液があった」との情報あり。

O(客観的情報):
体重:48.2kg(前回比 +0.3kg)
体温:36.8℃、SpO₂:98%

胃ろうの状態:
- カテーテルの種類:バルーン型PEGカテーテル(○○製品名)
- バルーン水量:○mL(前回比変化なし、指示量内)
- 固定:正常位、カテーテルの回転は良好
- 周囲皮膚:ストーマ部に軽微な発赤あり(前回より改善)、浸出液なし

胃内容確認:
- 残液:約50mL(栄養剤と同色)
- 処置:残液は再注入可能と判断し注入後に15分様子観察
  (嘔吐なし・腹部膨満感なし)

栄養剤注入実施:
- 栄養剤:○○(種類・製品名)○mL
- 注入速度:200mL/h(医師指示のとおり)
- 注入時間:約30分
- 注入後のフラッシュ:白湯50mL実施
- 腹部聴診:腸蠕動音良好

A(アセスメント):
残液は少量あったが再注入後に問題なく、消化・吸収は良好。
ストーマ部の発赤は改善傾向。体重は安定しており栄養状態は概ね維持されている。
バルーン水量は適正範囲内で位置ずれリスクは低い。

P(計画):
・現栄養管理継続(栄養剤の種類・量・速度の変更なし)
・ストーマ部の洗浄・乾燥を継続し、発赤の経過を観察
・残液が100mL以上となる場合は主治医に報告する旨を家族に指導
・次回バルーン水量確認:○月○日

11-5. 在宅酸素療法(HOT)の記録例(加算II)

訪問看護計画書への記載例:

【特別管理の内容】
在宅酸素療法(HOT)指導管理
・SpO₂・呼吸状態の定期的観察・記録
・酸素流量の確認(安静時:○L/分、労作時:○L/分)
・酸素供給機器の状態確認(残量・動作確認)
・機器の使用方法・緊急時対応を家族に指導
・禁煙指導・火気管理の確認
・息切れ・チアノーゼ・浮腫等の観察
・薬物療法の継続確認(吸入薬の使用状況)

12. 特別管理加算の算定プロセス:月初から請求まで

月間の算定スケジュール

特別管理加算を確実に算定するためには、月初から月末の請求まで一貫したプロセスを組む必要があります。以下のスケジュールを参考にしてください。

月初(1〜5日)

1. 対象利用者リストの確認

前月から引き続き算定が必要な利用者と、今月から新たに算定対象となった利用者を整理します。以下を確認してください。

  • 前月算定していた利用者の状態が今月も継続しているか
  • 今月から新たに特別管理が必要な状態が発生していないか
  • 状態が改善し、算定要件を外れた利用者はいないか

2. 訪問看護指示書の確認

月が変わるタイミングで、各利用者の訪問看護指示書を確認します。

  • 指示期間が切れていないか
  • 特別管理に関する指示が明確に記載されているか
  • 状態変化に伴う指示変更が必要な場合は主治医に連絡

3. 訪問看護計画書の作成

当月の訪問看護計画書を作成し、特別管理の内容を明確に記載します。

  • 特別管理の種類(褥瘡・気管カニューレ・点滴等)
  • 管理の具体的な内容・頻度・目標
  • 家族への指導内容

月中(日常訪問時)

4. 訪問記録の徹底

毎回の訪問時に、特別管理の実施内容を記録します。

  • SOAP形式での記録が推奨されます
  • 「特別管理を実施した」という事実だけでなく、「何を観察し、どのような状態で、どのような処置を行い、どのようなアセスメントをしたか」まで記録する
  • 数値データ(褥瘡のサイズ・点滴の量・バイタルサイン等)を必ず含める

5. 状態変化のモニタリング

  • 算定要件に変化(改善または悪化)がないかを常に確認する
  • 加算区分が変わる可能性がある場合は早めに確認する

月末(25〜31日)

6. 訪問看護報告書の作成

月末または翌月初に主治医に提出する報告書を作成します。特別管理の実施状況・経過・今後の方針を記載してください。

7. レセプト入力確認

請求システムへの入力を確認します。

  • 算定対象の利用者を全員算定できているか
  • 加算区分(I/II)が正しいか
  • 算定額が正しいか
  • 同月の複数算定がないか

8. ダブルチェック

管理者または事務スタッフによるダブルチェックを実施します。月次チェックリストを使用して、漏れや誤りがないことを確認してから請求します。

参考:訪問看護レセプトの記載例(houmon-kango-iryouhoken-receipt-kisairei)で、レセプトの具体的な記載方法を確認できます。

医療保険レセプトへの記載方法

医療保険の場合、訪問看護療養費明細書(レセプト)に特別管理加算を記載します。

特別管理加算Iを算定する場合の記載イメージ:

訪問看護療養費明細書(医療保険)の記載例

「加算等」欄:
・特別管理加算(1):1回
  → 対象状態:在宅気管切開患者指導管理
  点数:500点

特別管理加算IIを算定する場合の記載イメージ:

訪問看護療養費明細書(医療保険)の記載例

「加算等」欄:
・特別管理加算(2):1回
  → 対象状態:在宅酸素療法指導管理
  点数:250点

介護保険レセプトへの記載方法

介護保険の場合は、介護給付費請求書(国保連への請求)に記載します。

訪問看護費のサービスコード例

特別管理加算(I):サービスコード「2113」(例)
                 単位数:500単位

特別管理加算(II):サービスコード「2114」(例)
                  単位数:250単位

※サービスコードは介護報酬改定のたびに変更されることがあります。最新の介護給付費単位数等サービスコード表(厚生労働省公表)で確認してください。


13. よくある質問(Q&A)

Q1. 在宅酸素療法(HOT)を利用しているが、同時に気管カニューレも使用している利用者はどの加算?

A. 気管カニューレを使用している状態は特別管理加算Iの対象です。在宅酸素療法は特別管理加算IIの対象ですが、加算Iの対象状態に該当する場合は加算Iのみを算定します。したがって、このケースでは**特別管理加算I(500単位)**を算定してください。

Q2. 月の途中から胃ろうを造設した利用者に、その月から特別管理加算を算定できる?

A. はい、算定できます。月の途中から算定要件を満たした場合も、その月1回分の特別管理加算を算定することができます。ただし、訪問看護指示書に胃ろう管理の指示が明記されていること、そして訪問記録に管理内容が記載されていることが必要です。

Q3. 利用者が入院中も特別管理加算を算定できる?

A. いいえ、算定できません。入院中は訪問看護サービスが提供されないため、特別管理加算を含むすべての訪問看護費用は算定できません。入院期間中の日数を除いた形でのレセプト請求が必要です。

Q4. 特別管理加算の届出は一度出せばその後は不要?

A. 基本的には一度届け出れば効力が継続しますが、以下の場合は改めて届出が必要です。

  • 管理者が変更になった場合(体制変更)
  • 事業所の所在地が変更になった場合
  • 24時間連絡体制の内容が変更になった場合
  • 一時的に要件を満たさなくなった後、再度満たした場合

定期的に届出内容と実際の体制が一致しているかを確認してください。

Q5. ターミナルケア加算と特別管理加算は同じ月に算定できる?

A. はい、算定できます。ターミナルケア加算(末期患者のターミナルケアを実施した場合)と特別管理加算(特別な管理が必要な状態にある利用者)は、要件が別々であり、どちらの要件も満たす場合は両方を同月に算定できます。たとえば、末期がんで在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けており(加算Iの対象)、かつ死亡月にターミナルケアを実施した場合、両加算を算定することができます。

Q6. 複数名訪問加算と特別管理加算は同月に算定できる?

A. はい、算定できます。複数名訪問加算は「複数名で訪問した回数・体制」に対する評価であり、特別管理加算は「特別な管理が必要な状態の利用者への月次管理」に対する評価です。性質が異なるため、両方の要件を満たす場合は同月に算定できます。

参考:訪問看護 複数名訪問加算(fukusuumei-houmon-kasan)

Q7. 褥瘡の深さがD2(真皮の損傷)からD3(皮下組織に達する)に悪化した場合、同月から加算Iを算定できる?

A. はい、算定できます。月の途中でも状態が加算Iの要件を満たした場合は、その月から加算Iを算定することができます。ただし、D3以上への変化を客観的に記録(DESIGN-Rスコア・写真等)しておくことが必要です。また、同月内にD2に改善してしまった場合の扱いについては、解釈が自治体により異なる場合がありますので、不明な場合は事前に指導担当に確認することをお勧めします。

Q8. 週3日以上の点滴指示があるが、実際には週2日しか実施できていない週がある。算定できる?

A. 「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」の要件は、医師の指示として週3日以上の点滴が必要な状態にあることが条件です。利用者の都合等で一部の週に実施回数が2日に留まる場合でも、医師の指示が継続しており、基本的には週3日以上の実施が必要な状態が続いていれば算定できる可能性があります。ただし、状態が明らかに改善して医師の指示も変更になった場合は算定できませんので、主治医との定期的な状態確認を徹底してください。

Q9. 在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている末期がん利用者は必ずIを算定できる?

A. 指示書に「在宅悪性腫瘍等患者指導管理」の記載があれば、原則として特別管理加算Iの対象となります。ただし、ステーションが特別管理体制の届出を完了していること、および24時間対応体制が整備されていることが前提条件です。これらが揃っていれば、届出さえ完了していれば算定できます。

Q10. 人工肛門(ストーマ)を造設している利用者は何もしなくても算定できる?

A. いいえ、「造設している状態」が算定要件ですが、単にストーマがあるだけで算定できるわけではありません。実際に「計画的な管理を実施していること」が必要です。具体的には、ストーマの状態観察・パウチ交換・周囲皮膚のケア・家族への指導など、計画に基づいた管理を実施し、その内容を記録することが求められています。

Q11. 医療保険と介護保険を月の途中で切り替えた場合の特別管理加算は?

A. 医療保険と介護保険が月の途中で切り替わる場合は、切り替え後の保険種別で算定します。ただし、同一月に両方の保険から特別管理加算を算定することはできません。どちらの保険種別で算定するかは、保険の切り替え日と実際のサービス提供状況によりますが、通常はより長い期間サービスを提供した保険種別での算定となります。具体的なケースについては、保険者または指導担当に確認することをお勧めします。

Q12. 2024年改定で追加された「在宅麻薬等注射指導管理」とはどんな状態?

A. 在宅で麻薬(モルヒネ・オキシコドン・ヒドロモルフォン等)を注射(持続皮下注射・静脈注射)により投与している状態です。主に末期がん患者の疼痛緩和を目的とした持続的な麻薬投与管理が対象となります。2024年4月以降、この状態に該当する利用者への訪問看護では、特別管理加算Iが算定できるようになりました。麻薬の種類・量・投与方法・副作用観察の記録が算定の根拠となります。


14. まとめ:特別管理加算で請求漏れゼロを実現する

特別管理加算は、訪問看護ステーションにとって非常に重要な収益項目であり、かつ正確な算定が求められる加算でもあります。本記事で解説した内容を以下に整理します。

特別管理加算の核心ポイント(10の要点)

要点1:I と II は排他的 同月に IとIIの両方は算定不可です。Iに該当すれば必ずIを算定します。

要点2:届出は算定の大前提 地方厚生局(医療保険)または都道府県(介護保険)への届出なしに算定は不可。

要点3:24時間対応体制が前提 特別管理体制の届出には、24時間対応体制の整備が不可欠。

要点4:月1回のみ算定 何回訪問しても特別管理加算は月に1回だけです。算定漏れは即座に収益機会損失となります。

要点5:2024年改定で3疾患が追加 在宅麻薬等注射・腫瘍化学療法注射・強心剤持続投与が加算Iに追加。既存利用者も再確認を。

要点6:「留置カテーテル」の範囲は広い 膀胱留置だけでなく、胃ろう・経鼻胃管・腹膜透析カテーテルも含みます。

要点7:褥瘡は深さを正確に判定 NPUAP III/IV度またはDESIGN D3以上が加算Iの対象。毎回評価・記録が必須。

要点8:1利用者につき1事業所のみ算定 複数のステーションが関わる場合は、算定事業所を明確にします。

要点9:記録は算定の根拠 「実施した」だけでなく「何をどのように観察・実施・評価したか」を記録します。

要点10:フローチャートで毎月確認 月初に全対象利用者をフローチャートで確認し、算定漏れと誤算定を防ぎます。

特別管理加算の収益シミュレーション

特別管理加算の算定を適切に実施した場合の収益インパクトを試算します。

ケース 対象利用者数 月間算定額(医療保険) 年間算定額
加算Iのみ10人 10名 50,000円 600,000円
加算IIのみ10人 10名 25,000円 300,000円
加算I 10名+加算II 5名 15名 62,500円 750,000円
加算I 20名+加算II 10名 30名 125,000円 1,500,000円

1名の算定漏れが年間60,000円(加算I・医療保険の場合)の損失になります。月次チェックリストの徹底と、フローチャートによる判断の標準化で、算定漏れゼロを目指してください。

訪問看護の記録管理を効率化するために

特別管理加算の算定根拠となる記録は、毎回の訪問ごとに正確に作成する必要があります。記録業務の負担を軽減しながら、算定根拠を確実に残すためには、ICTを活用した記録システムの導入が有効です。

現場でのリアルタイム記録・バイタルの自動連携・算定チェック機能を備えたシステムを活用することで、記録の質を落とさずに業務効率化を実現できます。

参考:訪問看護 加算一覧(houmon-kango-kasan-ichiran)では、特別管理加算以外のすべての加算を比較できます。

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参考・出典

  • 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等・別表第8(令和6年改定版)」
  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要(訪問看護)」
  • 厚生労働省近畿厚生局「訪問看護療養費の取扱いの理解のために」
  • 関東信越厚生局「訪問看護ステーションの基準に係る届出(令和6年度診療報酬改定)」
  • 公益社団法人日本看護協会「2024年度診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」

本記事の情報は2026年3月時点のものです。制度改正等により内容が変更される場合があります。最新情報は厚生労働省の公式サイトや所管の保険者・地方厚生局にご確認ください。


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