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訪問看護 看護体制強化加算I・II【2026年改定対応】算定要件と届出

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看護レポ編集部
2026年3月26日31分で読める
訪問看護 看護体制強化加算I・II【2026年改定対応】算定要件と届出

訪問看護ステーションの収益改善を考えたとき、看護体制強化加算は見逃せない加算のひとつです。算定できれば利用者1人あたり月550単位(介護保険・加算Ⅰ)を上乗せできますが、「要件が複雑でどこから手をつければいいかわからない」「ⅠとⅡの違いが曖昧なまま届出してしまった」「算定開始後に要件を下回ってしまい返戻になった」という声を現場でよく耳にします。

看護体制強化加算は、単に収益を上げるための加算ではありません。緊急時対応・医療的ケア・看取りという訪問看護の本質的な機能を高め、地域において医療ニーズの高い利用者を支えられる事業所であることを証明する仕組みです。算定するためには、意図的な体制づくりと継続的な実績管理が必要です。

この記事では、看護体制強化加算ⅠとⅡの算定要件を比較チェックリストで整理し、届出様式の記入例や年間収益シミュレーションを掲載します。体制づくりの具体的ステップと2024年〜2026年改定での変更点を網羅的に解説します。

⚠️ 2026年改定の要点 2026年4月施行の改定では、看護体制強化加算の単位数・要件の大枠は継続されます。介護報酬本体の見直しや新設された機能強化型訪問看護管理療養費4(医療保険)・訪問看護医療情報連携加算(医療保険・新設)との併算定ルールに影響があるため、本記事内でポイントを整理しています。 算定要件の管理方法についても実務に即した形でお伝えします。これから取得を目指している方も、すでに算定中で要件管理に課題を感じている方も、ぜひ参考にしてください。


1. 看護体制強化加算とは何か

加算の目的と背景

看護体制強化加算は、医療依存度の高い利用者を積極的に受け入れ、地域で質の高い訪問看護を提供している事業所を評価するための加算です。介護保険制度において2015年度の介護報酬改定で創設され、2018年度改定では区分(Ⅰ)が新設されて現在の2区分制になりました。

在宅医療の需要が増大し続ける中、重症度の高い利用者(医療的ケアが必要な方、末期がん患者、難病患者など)を地域で支える訪問看護ステーションの体制強化を促進する狙いがあります。

加算の位置づけ

看護体制強化加算は、以下の3つの加算の実績に基づいて算定されます。

連動する加算 概要
緊急時訪問看護加算 24時間対応体制を整備し、緊急時に訪問できる体制を評価
特別管理加算 医療機器の装着や特定の医療処置が必要な利用者への対応を評価
ターミナルケア加算 看取りまでの終末期ケアを評価

これら3つの加算を一定割合以上算定している事業所が、看護体制強化加算の対象となります。いわば「高度な医療ニーズへの対応実績を証明する加算」とも言えます。

介護保険と医療保険の違い

看護体制強化加算は介護保険の訪問看護にのみ設定されています。医療保険の訪問看護には「看護体制強化加算」という名称の加算は存在しません。

ただし、医療保険においては看護体制強化加算に相当する仕組みとして、訪問看護管理療養費の算定区分(訪問看護管理療養費1・2)に体制要件が組み込まれています。詳細は後述します。

ポイント: 利用者の保険種別によって算定できる加算が変わります。介護保険利用者に対してのみ、看護体制強化加算ⅠまたはⅡを算定できます。


2. 看護体制強化加算ⅠとⅡの違い:算定要件比較表

看護体制強化加算のⅠとⅡは、共通要件と区分ごとの固有要件に分かれます。以下の比較表で全要件を確認してください。

算定要件比較表(2024年度改定対応版)

要件 加算Ⅰ(550単位/月) 加算Ⅱ(200単位/月)
緊急時訪問看護加算の算定割合 前6ヶ月間で利用者の50%以上 前6ヶ月間で利用者の50%以上
特別管理加算の算定割合 前6ヶ月間で利用者の20%以上 前6ヶ月間で利用者の20%以上
ターミナルケア加算の算定実績 前12ヶ月間で5人以上 前12ヶ月間で1人以上
看護職員の割合 従業者の60%以上が看護職員 従業者の60%以上が看護職員
重症度・医療・介護必要度 — —
単位数(月額) 550単位 200単位

出典: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」、枚方市「算定要件抜粋」(https://www.city.hirakata.osaka.jp/cmsfiles/contents/0000033/33712/03_houkan.pdf)

加算Ⅰと加算Ⅱの本質的な違い

加算ⅠとⅡの最も大きな違いは、ターミナルケア(看取り)の実績件数です。

  • 加算Ⅰ: 過去12ヶ月でターミナルケア加算を算定した利用者が5人以上
  • 加算Ⅱ: 過去12ヶ月でターミナルケア加算を算定した利用者が1人以上

この差は、年間看取り件数という事業所の実力を直接問うものです。加算Ⅰを取得・維持するには、地域の医療機関や居宅介護支援事業所との連携によって、年間5件以上の看取りを継続的に対応できる体制が必要です。

緊急時訪問看護加算の算定割合(50%以上)および特別管理加算の算定割合(20%以上)は両区分で同じ要件となっています。

単位数の差と経営への影響

項目 加算Ⅰ 加算Ⅱ
月額単位数 550単位 200単位
利用者30人での月収益(1単位=11円換算) 約181,500円 約66,000円
年間収益(同条件) 約2,178,000円 約792,000円

加算Ⅰと加算Ⅱでは、利用者30人規模で年間約138万円の収益差が生まれます。体制構築の難易度は上がりますが、加算Ⅰを目指す経営上のメリットは明確です。


3. 算定要件チェックリスト(Ⅰ・Ⅱ別)

届出前に以下のチェックリストで全要件を確認してください。すべての項目にチェックが入れば、届出の準備が整っています。

【加算Ⅰ】算定要件チェックリスト

■ 実績要件(割合)

  • 算定月の前6ヶ月間における緊急時訪問看護加算の算定割合が50%以上である
    • 確認方法:(緊急時訪問看護加算算定利用者数÷前6ヶ月間の月間延べ利用者数)×100≧50%
  • 算定月の前6ヶ月間における特別管理加算の算定割合が20%以上である
    • 確認方法:(特別管理加算算定利用者数÷前6ヶ月間の月間延べ利用者数)×100≧20%

■ 実績要件(件数)

  • 算定月の前12ヶ月間におけるターミナルケア加算の算定利用者が5人以上である
    • 確認方法:過去12ヶ月のターミナルケア加算算定件数を台帳で集計

■ 人員要件

  • 事業所の従業者に占める看護職員の割合が60%以上である
    • 確認方法:(看護師・保健師・助産師の人数÷全従業者数)×100≧60%
    • ※常勤換算ではなく実人数で計算

■ 体制要件

  • 緊急時訪問看護加算の届出が受理されている(24時間対応体制)
  • 指定を受けた訪問看護ステーションとして運営している
  • 利用者・家族に看護体制強化加算の説明を行い、同意を得ている

■ 書類要件

  • 算定に必要な実績データが記録・集計できている
  • 都道府県(介護保険)への届出書類が準備できている

【加算Ⅱ】算定要件チェックリスト

■ 実績要件(割合)

  • 算定月の前6ヶ月間における緊急時訪問看護加算の算定割合が50%以上である
  • 算定月の前6ヶ月間における特別管理加算の算定割合が20%以上である

■ 実績要件(件数)

  • 算定月の前12ヶ月間におけるターミナルケア加算の算定利用者が1人以上である

■ 人員要件

  • 事業所の従業者に占める看護職員の割合が60%以上である

■ 体制要件

  • 緊急時訪問看護加算の届出が受理されている(24時間対応体制)
  • 指定を受けた訪問看護ステーションとして運営している
  • 利用者・家族への説明と同意取得が完了している

■ 書類要件

  • 算定に必要な実績データが記録・集計できている
  • 都道府県(介護保険)への届出書類が準備できている

加算Ⅰ・Ⅱ共通の確認事項

  • 算定対象は介護保険利用者のみ(医療保険利用者には算定不可)
  • 1事業所1区分のみ届出(ⅠとⅡを同時に届出することはできない)
  • 要件を下回った場合は速やかに変更届を提出する義務がある
  • 算定要件の割合は継続的に維持しなければならない

4. 各要件の詳細解説

4-1. 緊急時訪問看護加算の算定割合(50%以上)

「50%以上」とはどう計算するか

この割合は、算定月の前6ヶ月間における以下の計算式で求めます。

緊急時訪問看護加算の割合 =
  緊急時訪問看護加算を算定した利用者数 ÷ 前6ヶ月間の月間延べ利用者数 × 100

たとえば、前6ヶ月間の月間延べ利用者数の合計が120人(月20人×6ヶ月)で、そのうち緊急時訪問看護加算を算定した利用者数の合計が70人だとします。 この場合、70÷120×100≒58.3%となり、要件を満たします。

緊急時訪問看護加算を算定するための前提条件

緊急時訪問看護加算そのものの届出が必要です。2024年改定から加算ⅠとⅡに区分されました。

区分 単位数 特徴
緊急時訪問看護加算Ⅰ 600単位/月 2024年新設。24時間・365日対応の高度な緊急体制
緊急時訪問看護加算Ⅱ 574単位/月 従前の緊急時訪問看護加算を引き継ぐ区分

看護体制強化加算の算定割合(50%以上)を計算する際は、緊急時訪問看護加算ⅠおよびⅡのいずれも合算して計算します。

出典: カイポケ訪問看護マガジン「訪問看護の緊急時訪問看護加算と緊急訪問看護加算とは?」

50%要件を達成するための現実的な対応

緊急時訪問看護加算は利用者全員が算定できるわけではありません。算定するには利用者本人または家族の**同意(文書)**が必要です。また、加算を算定するためには24時間の連絡・対応体制が必須です。

50%以上を維持するためには、新規利用者の受け入れ時に必ず緊急時訪問看護加算の説明と同意取得を行うことが欠かせません。同意を取得できていない利用者が増えると割合が下がってしまいます。

詳しくは関連記事「訪問看護 オンコール負担軽減|管理者向け実践ガイド」で24時間対応体制の整備方法を解説しています。


4-2. 特別管理加算の算定割合(20%以上)

特別管理加算の対象者

特別管理加算は、以下のいずれかに該当する利用者に対して算定できます。

特別管理加算Ⅰ(500単位/月)の対象

  • 在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている利用者
  • 在宅気管切開患者指導管理を受けている利用者
  • 気管カニューレを使用している状態の利用者
  • 留置カテーテルを使用している状態の利用者

特別管理加算Ⅱ(250単位/月)の対象

  • 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている利用者
  • 在宅血液透析指導管理を受けている利用者
  • 在宅酸素療法指導管理を受けている利用者
  • 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている利用者
  • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている利用者
  • 在宅自己導尿指導管理を受けている利用者
  • 在宅人工呼吸指導管理を受けている利用者
  • 真皮を超える褥瘡の状態にある利用者
  • 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている利用者

出典: iBow「訪問看護の特別管理加算とは?」

「20%以上」の計算方法

特別管理加算の割合 =
  特別管理加算を算定した利用者数 ÷ 前6ヶ月間の月間延べ利用者数 × 100

利用者30人で20%以上を維持するためには、常時6人以上の特別管理加算対象者が必要です。新規受け入れ時に医療依存度の高い利用者を積極的に選択することが、この要件の維持に直結します。


4-3. ターミナルケア加算の算定実績

ターミナルケア加算の算定要件

ターミナルケア加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 利用者または家族の同意を得ていること
  2. 死亡前14日以内に2回以上(加算Ⅱは1回以上)の訪問看護を実施していること
  3. 主治医との連携のもと、ターミナルケア計画を作成していること
  4. 看護記録にターミナルケアの実施内容を適切に記録していること
区分 単位数 算定条件
ターミナルケア加算 2,500単位 在宅や施設での看取りに対応

出典: カイポケ「訪問看護のターミナルケア加算とは?」

詳しい算定要件は関連記事「訪問看護ターミナルケア加算の算定要件と記録」をご参照ください。

「5人以上」と「1人以上」の差の重さ

ターミナルケア加算の実績は、年間の看取り件数を意味します。年間5件というのは、月平均で0.4件以上を継続的に達成する必要があることを意味します。

中小規模のステーション(利用者30人未満)では、年間5件の看取りは容易ではありません。一方、年間1件以上(加算Ⅱの要件)は、看取り対応を始めた段階の事業所でも比較的達成しやすい水準です。

まず加算Ⅱで実績を積み上げながら連携体制を強化し、年間5件の看取りが安定して対応できる段階で加算Ⅰへ切り替えるという段階的なアプローチが現実的です。


4-4. 看護職員の割合(60%以上)

「看護職員」の定義

看護体制強化加算における「看護職員」とは、以下の職種を指します。

  • 看護師(正看護師)
  • 准看護師
  • 保健師
  • 助産師

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は看護職員に含まれません。

60%の計算方法

この割合は実人数で計算します(常勤換算ではありません)。

看護職員の割合 = 看護職員数 ÷ 全従業者数 × 100

たとえば、従業者10人のうち看護師7人、PT3人であれば、7÷10×100=70%となり、要件を満たします。

リハビリ職員の比率が高い事業所の注意点

訪問看護ステーションではリハビリスタッフ(PT・OT・ST)の採用が進んでいます。ただし、リハビリ職員の割合が増えると看護職員の割合が下がり、60%要件を満たせなくなるケースがあります。

スタッフ採用計画を立てる際は、看護職員の割合が常に60%以上を維持できるよう、バランスに注意してください。

参考: 訪問看護ステーションの人員基準については「訪問看護の人員基準・常勤換算の計算方法」で詳しく解説しています。


5. 2024年介護報酬改定での変更点

看護体制強化加算自体の変更

2024年度(令和6年度)の介護報酬改定において、看護体制強化加算そのものの算定要件・単位数に大きな変更はありません。加算Ⅰ(550単位)・加算Ⅱ(200単位)の区分と金額は据え置きとなっています。

関連加算の変更が間接的に影響する

看護体制強化加算の算定要件と連動する加算が2024年改定で変更されました。これらの変更が、結果として看護体制強化加算の算定管理に影響します。

①緊急時訪問看護加算の2区分化(新設)

2024年改定で緊急時訪問看護加算Ⅰが新設されました。

区分 単位数 改定前後
緊急時訪問看護加算Ⅰ 600単位/月 2024年新設
緊急時訪問看護加算Ⅱ 574単位/月 改定前の緊急時訪問看護加算を継続

加算Ⅰ(新設)の算定要件:

  • 24時間対応の連絡体制を確保していること
  • 加算Ⅰを算定する日の属する月の前月において、算定した緊急的な訪問の回数が一定以上であること

実務への影響: 看護体制強化加算の50%要件を計算する際、緊急時訪問看護加算ⅠとⅡのいずれも合算して計算します。加算Ⅰに移行することで1利用者あたりの単価が上がり、事業所全体の収益向上にもつながります。

出典: iBow「2024年度訪問看護の介護報酬改定ポイントのまとめ」

②理学療法士等訪問の減算要件との関連

2024年改定では、理学療法士等による訪問回数が看護職員による訪問回数以上である場合に、一定条件で8単位の減算が適用されるルールが設けられました。

ただし、算定月の前6ヶ月間において、以下のいずれかを算定している場合はこの減算の対象外となります。

  • 緊急時訪問看護加算Ⅰ
  • 緊急時訪問看護加算Ⅱ
  • 特別管理加算
  • 看護体制強化加算Ⅰ

つまり、看護体制強化加算Ⅰを算定している事業所は、リハビリ職員の訪問比率が高くなっても減算を受けないメリットがあります。これは2024年改定における看護体制強化加算Ⅰの隠れたメリットです。

出典: カーネル「2024年介護報酬改定 訪問看護の変更点」

③ターミナルケア加算の変更点

2024年改定では、ターミナルケア加算の内容にも変更がありました。ターミナルケア加算を算定するためには、死亡前14日以内の訪問記録に加え、看取り前後のアセスメント内容と多職種連携の記録をより詳細に残すことが求められるようになっています。

これは看護体制強化加算の算定実績として計上するターミナルケア件数の質的担保を求めるものです。記録の充実化が加算維持に直結します。

2024年改定前後の比較まとめ

項目 2021年度(令和3年改定後) 2024年度(令和6年改定後)
加算Ⅰ単位数 550単位/月 550単位/月(変更なし)
加算Ⅱ単位数 200単位/月 200単位/月(変更なし)
緊急時訪問看護加算 574単位/月(1区分) Ⅰ(600単位)・Ⅱ(574単位)の2区分
理学療法士等減算 なし PT等比率高い場合に減算新設(体制強化加算Ⅰ算定事業所は対象外)
ターミナルケア記録 従来要件 多職種連携・アセスメント記録の詳細化

6. 届出の手順と様式記入例

6-1. 届出先と届出のタイミング

看護体制強化加算の届出先は、事業所が所在する都道府県の介護保険担当部署(都道府県によって窓口名は異なります)です。市区町村ではなく都道府県への届出である点に注意が必要です。

届出のタイミング

タイミング 内容
新規届出 算定要件を満たした後、翌月の算定開始前月の15日(都道府県によって異なる場合あり)までに届出
変更届出 算定要件を下回った場合は直ちに変更届を提出
廃止届出 加算の算定をやめる場合

多くの都道府県では、毎月15日(土日祝の場合は前営業日)が締切日となっており、当月15日までに届け出た場合は翌月1日から算定開始となります。

  • 出典:関東信越厚生局「届出様式(令和6年度改定)」

6-2. 届出に必要な書類

介護保険の看護体制強化加算届出に必要な書類は、以下が一般的です(都道府県によって異なる場合があります)。

必須書類

  1. 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書(各都道府県の様式)
  2. 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表(別紙12相当)
  3. 看護体制強化加算に係る算定要件の計算根拠資料
    • 緊急時訪問看護加算の算定割合の根拠(過去6ヶ月の実績一覧)
    • 特別管理加算の算定割合の根拠(過去6ヶ月の実績一覧)
    • ターミナルケア加算の算定件数の根拠(過去12ヶ月の実績一覧)
    • 看護職員の割合を示す書類(常勤・非常勤スタッフ一覧)

都道府県によって追加が必要な書類

  • 緊急時の連絡体制に関する説明書類
  • 直近の勤務実績表(看護職員比率の確認用)

出典: 大阪府「介護給付費算定届出(添付書類・算定基準)(訪問看護・介護予防訪問看護)」(https://www.pref.osaka.lg.jp/o090100/jigyoshido/shien/kyuhuhi_houmonkango.html)

6-3. 届出様式の記入例(別紙12:体制等状況一覧表)

看護体制強化加算の届出では、**体制等状況一覧表(別紙12相当)**に実績を記入します。以下に記入例を示します。


【記入例】体制等状況一覧表(看護体制強化加算関連部分)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  介護給付費算定に係る体制等状況一覧表(訪問看護・介護予防訪問看護)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【事業所名】〇〇訪問看護ステーション
【事業所番号】1234567890
【届出日】令和〇年〇月〇日

■ 看護体制強化加算

届出区分:□ 加算Ⅰ(550単位) ☑ 加算Ⅱ(200単位)
 ※算定する区分に☑を入れてください

① 緊急時訪問看護加算の算定割合(算定日の前6ヶ月)
 計算対象期間:令和〇年〇月~令和〇年〇月(6ヶ月間)
 月間延べ利用者総数(6ヶ月合計):   120 名
 緊急時訪問看護加算算定利用者数(同期間合計):  65 名
 算定割合:65 ÷ 120 × 100 = 54.2 % (要件:50%以上 ✓)

② 特別管理加算の算定割合(算定日の前6ヶ月)
 計算対象期間:令和〇年〇月~令和〇年〇月(6ヶ月間)
 月間延べ利用者総数(6ヶ月合計):   120 名
 特別管理加算算定利用者数(同期間合計):  30 名
 算定割合:30 ÷ 120 × 100 = 25.0 % (要件:20%以上 ✓)

③ ターミナルケア加算の算定件数(算定日の前12ヶ月)
 計算対象期間:令和〇年〇月~令和〇年〇月(12ヶ月間)
 ターミナルケア加算算定利用者数:  2 名
 (要件:1名以上 ✓ ※加算Ⅱを選択のため)

④ 看護職員の割合
 看護職員数(実人数):7 名
 全従業者数(実人数):10 名
 看護職員割合:7 ÷ 10 × 100 = 70.0 % (要件:60%以上 ✓)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

記入上の注意点

①期間の取り方

「算定日が属する月の前6ヶ月間」の解釈について。たとえば10月から算定開始したい場合、9月15日(前月15日)が届出締切であり、前6ヶ月間とは「4月〜9月」の実績を使用します。

②「月間延べ利用者総数」の計算

各月の利用者数を合算した数です。同じ利用者が6ヶ月間継続して利用している場合は、6回分(各月1名)カウントします。途中から利用開始・終了した利用者も、実際に利用していた月数分カウントします。

③緊急時訪問看護加算の算定と同意書

緊急時訪問看護加算の同意書(文書)が利用者全員分そろっているかを確認してください。同意書がない利用者の分は算定できません。

6-4. 届出後の流れ

  1. 書類提出 → 都道府県窓口(持参または郵送)
  2. 受理通知の受領 → 通常2〜4週間で受理通知が届く
  3. 翌月1日から算定開始(15日締切で提出した場合)
  4. 国保連への請求コード変更 → 請求システムに加算コードを登録

7. 年間収益シミュレーション

7-1. 基本シミュレーション(介護保険)

看護体制強化加算は、算定要件を満たした全介護保険利用者に対して月1回算定できます。以下は規模別のシミュレーションです。

地域区分単価について

介護保険の単位数は、事業所の所在地(地域区分)によって1単位あたりの金額が異なります。

地域区分 1単位あたりの金額
1級地(東京特別区など) 11.40円
2級地 11.12円
3級地 11.05円
4級地 10.84円
5級地 10.70円
6級地 10.42円
7級地 10.21円
その他 10.00円

以下のシミュレーションでは1単位=11円(概算)で計算します。

看護体制強化加算Ⅰ(550単位/月)のシミュレーション

介護保険利用者数 月額収益増加 年間収益増加
10人 60,500円 726,000円
20人 121,000円 1,452,000円
30人 181,500円 2,178,000円
40人 242,000円 2,904,000円
50人 302,500円 3,630,000円

看護体制強化加算Ⅱ(200単位/月)のシミュレーション

介護保険利用者数 月額収益増加 年間収益増加
10人 22,000円 264,000円
20人 44,000円 528,000円
30人 66,000円 792,000円
40人 88,000円 1,056,000円
50人 110,000円 1,320,000円

7-2. 加算Ⅰと加算Ⅱの収益差

介護保険利用者数 加算Ⅰ年間収益 加算Ⅱ年間収益 差額(年間)
20人 1,452,000円 528,000円 924,000円
30人 2,178,000円 792,000円 1,386,000円
40人 2,904,000円 1,056,000円 1,848,000円

利用者30人規模の事業所が加算ⅡからⅠに切り替えた場合、年間で約138万円の収益増加が見込めます。ターミナルケアの体制強化に向けた人材教育・連携構築への投資を考えても、十分なROIが期待できます。

7-3. 連動する加算を含めた総合シミュレーション

看護体制強化加算を算定するためには、緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算の実績が必要です。つまり、これらの加算をしっかり算定できている事業所が看護体制強化加算を取得できます。

加算ⅠとⅡの比較だけでなく、連動する加算込みの収益を試算することが大切です。

前提条件(モデル事業所)

  • 介護保険利用者:30人
  • 緊急時訪問看護加算Ⅰ算定割合:55%(16〜17人)
  • 特別管理加算算定割合:25%(7〜8人)
  • ターミナルケア加算:年間6件
  • 看護体制強化加算:Ⅰを算定

月間収益概算

加算の種類 単価 算定人数/件数 月額収益
緊急時訪問看護加算Ⅰ 600単位 17人 約112,000円
特別管理加算Ⅱ 250単位 8人 約22,000円
看護体制強化加算Ⅰ 550単位 30人 約181,500円
計 — — 約315,500円/月

年間収益合計(ターミナルケア加算含む)

  • 上記月額加算:315,500円×12ヶ月=約3,786,000円
  • ターミナルケア加算:2,500単位×11円×6件=約165,000円
  • 合計:約3,951,000円/年

利用者30人規模の事業所で、これらの加算を適切に算定することで年間約400万円の加算収益が見込めます。基本報酬とは別に上乗せされるため、経営安定化への貢献は非常に大きいです。


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8. 算定要件を満たすための体制づくりステップ

ステップ1:現状把握と数値化(〜1ヶ月目)

まず、現在の実績数値を正確に把握します。多くの事業所では、月次の集計ができていないために要件を満たしているかどうかすら不明なことがあります。

実施すること

  1. 過去6ヶ月の月次利用者台帳の整理

    • 月ごとの総利用者数を集計
    • 緊急時訪問看護加算の算定利用者を抽出
    • 特別管理加算の算定利用者を抽出
  2. 過去12ヶ月のターミナルケア実績の確認

    • ターミナルケア加算を算定した利用者の一覧化
    • 何月に何件算定したかを時系列で整理
  3. スタッフの資格・職種の確認

    • 看護師・准看護師・保健師・助産師の人数
    • PT・OT・STの人数
    • 看護職員比率の算出

数値化のツール

月次で各加算の算定状況を管理するためには、表計算ソフト(ExcelやGoogleスプレッドシート)での管理台帳作成が有効です。以下の管理シートを作成しておきましょう。

■ 月次加算実績管理シート(例)

月    | 総利用者数 | 緊急加算算定 | 特別管理加算算定 | 累積ターミナル件数
─────────────────────────────────────────────────
1月   | 22         | 13          | 5               | 1
2月   | 23         | 13          | 5               | 1
3月   | 24         | 13          | 5               | 1
4月   | 25         | 14          | 6               | 2
5月   | 25         | 14          | 6               | 2
6月   | 26         | 14          | 6               | 3
─────────────────────────────────────────────────
合計  | 145        | 81(55.9%) | 33(22.8%)       | 3

ステップ2:緊急時訪問看護加算の同意取得率向上(1〜3ヶ月目)

緊急時訪問看護加算の算定割合50%以上を達成するためには、新規利用者の受け入れ時に必ず同意取得を行う仕組みが必要です。

取り組み

  • 受け入れ面談時の手順統一:サービス開始説明書に緊急時訪問看護加算の説明を組み込み、同意書の取得をルーティン化する
  • 既存利用者の同意率確認:同意書を取得できていない利用者を抽出し、再説明・同意取得を実施
  • 同意書の保管体制:利用者ファイルに同意書を一元管理し、いつでも確認できる状態にする

オンコール対応の負担軽減と24時間体制の整備については、「訪問看護 オンコール負担軽減|管理者向け実践ガイド」を参照してください。

ステップ3:特別管理加算対象者の積極的受け入れ(2〜6ヶ月目)

特別管理加算の算定割合20%以上を達成するためには、医療依存度の高い利用者を積極的に受け入れる体制が必要です。

連携先の開拓

特別管理加算対象の利用者は、主に以下のルートで紹介されます。

  1. 病院の退院支援部門(地域医療連携室・退院調整看護師)
  2. 居宅介護支援事業所のケアマネジャー
  3. かかりつけ医(主治医)

これらの連携先に対して「医療的ケアが必要な利用者を積極的に受け入れている」ことを明確に伝えることがポイントです。

受け入れ可能な医療処置のリスト化

連携先への営業ツールとして、「受け入れ可能な医療処置・医療機器一覧」を作成します。

■ 受け入れ可能な医療処置・状態(例)

◎ 積極的に受け入れ可能
  ・胃ろう(PEG)管理
  ・在宅酸素療法(HOT)
  ・気管切開・気管カニューレ管理
  ・留置カテーテル管理
  ・褥瘡処置(深い褥瘡含む)
  ・中心静脈栄養(IVH)
  ・在宅人工呼吸器管理

○ 対応可能(担当看護師確認要)
  ・在宅血液透析
  ・腹膜透析(CAPD)
  ・経管栄養(経鼻・PEG以外)

このリストを携えて連携先を訪問することで、紹介件数の増加につながります。

ステップ4:ターミナルケア対応体制の構築(3〜12ヶ月目)

年間1件以上(加算Ⅱ)または5件以上(加算Ⅰ)のターミナルケア実績を積み上げるためには、看取り対応ができる体制を整える必要があります。

体制構築の主要ポイント

①スタッフの教育と心理的安全

看取りへの苦手意識・心理的負担を抱えるスタッフは少なくありません。定期的な勉強会・事例検討会を通じて、チーム全体の看取りに関する知識と経験を高めます。

  • 看取りに関する勉強会の定期開催(月1回程度)
  • 過去の看取り事例の振り返りカンファレンス
  • 外部研修(終末期ケア・在宅看取り研修)への参加支援

②在宅看取りに前向きな連携先の開拓

在宅看取りを積極的に支援する主治医・クリニックとの連携が外せません。「看取り支援に力を入れている」ことを、病院の退院支援部門やケアマネジャーに広く周知します。

③ターミナルケア計画書・同意書の整備

ターミナルケア加算の算定には、以下の書類が必要です。

  • ターミナルケア計画書(利用者・家族との合意形成の記録)
  • ターミナルケアに関する同意書(利用者または家族からの文書同意)
  • 訪問看護記録(死亡前14日以内の訪問内容が詳細に記録されていること)
  • 多職種連携の記録(医師・ケアマネ・介護サービスとの連携内容)

④24時間体制の充実

ターミナル期の利用者は、夜間・深夜に急変することが多くあります。緊急時対応を迅速に行えるよう、オンコール体制の充実が鍵となります。詳しくは「訪問看護 緊急訪問看護加算の算定要件と実務」をご参照ください。

ステップ5:看護職員比率60%以上の維持(継続)

採用計画における看護職員比率の確保

PT・OT採用を進める際は、看護職員比率が60%を下回らないよう採用計画を立案します。たとえば、現在の比率が65%であれば、PT1名を採用するごとに看護師も相応の採用が必要になります。

確認の頻度

月1回、スタッフの資格・人数を確認し、看護職員比率を計算します。異動・退職・新規採用があった月は特に注意が必要です。

ステップ6:届出のタイミングと算定開始(体制が整い次第)

上記のステップを経て算定要件を満たしたら、速やかに届出を行います。

届出前の最終チェック

  1. 直近6ヶ月の緊急時訪問看護加算算定割合 ≥ 50% → 確認済み
  2. 直近6ヶ月の特別管理加算算定割合 ≥ 20% → 確認済み
  3. 直近12ヶ月のターミナルケア実績 ≥ 加算Ⅱ:1件・加算Ⅰ:5件 → 確認済み
  4. 看護職員比率 ≥ 60% → 確認済み
  5. 緊急時訪問看護加算の届出が受理済み → 確認済み
  6. 届出書類の作成・添付資料の整備 → 完了

9. 実績要件の管理方法

9-1. なぜ実績管理が重要か

看護体制強化加算の最大の難しさは、算定後も継続的に要件を維持しなければならない点です。特に以下のケースで要件を下回ることがあります。

  • 医療依存度の低い新規利用者が増えて、緊急時訪問看護加算や特別管理加算の割合が下がる
  • 看取りの依頼が少ない時期にターミナルケア実績が不足する
  • PT採用が進んで看護職員比率が60%を下回る
  • 緊急時訪問看護加算の同意書を取得できていない利用者が増える

要件を下回った場合は直ちに変更届を提出しなければなりません。気づかずに算定を続けると、後から返戻・過誤請求となり、事業所の信頼を損なうリスクがあります。

9-2. 月次管理台帳の作成

以下の月次管理台帳を作成し、毎月チェックすることを推奨します。

管理台帳①:加算算定割合チェックシート

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 加算算定割合 月次チェックシート
事業所名:___________________
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

記録月:____年____月

1. 当月の利用者数:_______名

2. 緊急時訪問看護加算の管理
 当月の算定利用者数:_______名
 (同意書取得済みで算定中)

3. 特別管理加算の管理
 当月の算定利用者数:_______名

4. ターミナルケア加算
 当月の算定件数:_______件
 今年度(直近12ヶ月)累計:_______件

5. スタッフ構成
 看護職員数(実人数):_______名
 全従業者数(実人数):_______名
 看護職員比率:_______%

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 6ヶ月間の移動集計(毎月末に更新)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       総利用者 緊急加算 割合(%) 特別管理 割合(%)
____月    _____   _____  ____    _____   ____
____月    _____   _____  ____    _____   ____
____月    _____   _____  ____    _____   ____
____月    _____   _____  ____    _____   ____
____月    _____   _____  ____    _____   ____
____月    _____   _____  ____    _____   ____
──────────────────────────────
6ヶ月計   _____   _____  ____    _____   ____

※ 緊急加算割合≥50% → 要件OK / <50% → 要件注意
※ 特別管理割合≥20% → 要件OK / <20% → 要件注意
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

9-3. ターミナルケア実績の台帳管理

ターミナルケア加算の実績は12ヶ月間のローリング集計が必要です。以下のような実績台帳を維持します。

ターミナルケア実績台帳

月 利用者氏名(イニシャル) ターミナルケア加算算定日 備考
4月 A.B氏 4月15日 —
5月 C.D氏 5月28日 —
7月 E.F氏 7月10日 —
9月 G.H氏 9月22日 —
11月 I.J氏 11月5日 —
2月 K.L氏 2月18日 —

12ヶ月間の件数:6件(加算Ⅰの要件5件以上を満たす)

12ヶ月前の記録が台帳から外れるタイミングで件数が変動します。毎月「12ヶ月前の件数が外れた後の合計」を確認することを忘れないでください。

9-4. アラート設定の考え方

以下の基準を設定し、警告ラインを超えた場合に管理者が対応策を検討します。

要件 危険ライン 要注意ライン 安全ライン
緊急時加算割合 45%未満 45〜50% 50%以上
特別管理加算割合 15%未満 15〜20% 20%以上
ターミナルケア件数(12ヶ月) 加算Ⅱ:0件・加算Ⅰ:3件以下 加算Ⅱ:1件・加算Ⅰ:4件 加算Ⅰ:5件以上
看護職員比率 55%未満 55〜60% 60%以上

「要注意ライン」に達した時点で対応策(新規利用者の受け入れ戦略の見直し、連携先への働きかけ強化など)を実行に移すことで、「危険ライン」への転落を防げます。

9-5. 訪問看護管理システムの活用

手作業での台帳管理には限界があります。訪問看護管理システムを活用することで、以下が自動化・効率化できます。

  • 月次の加算算定割合の自動集計
  • 利用者ごとの加算算定状況の一覧表示
  • ターミナルケア実績のダッシュボード表示
  • アラート機能(割合が閾値を下回った際の通知)

看護レポは、LINEベースの記録入力と保険請求CSV自動生成機能を備えており、月次の加算実績データを効率的に管理できます。記録から請求まで一元管理することで、看護体制強化加算の要件管理も格段にスムーズになります。


10. 算定後の維持管理と注意点

10-1. 算定開始後の継続確認

看護体制強化加算を算定開始した後も、毎月の実績確認を怠ってはいけません。特に以下のタイミングで要件が変動しやすいです。

要件が変動しやすいタイミング

  1. スタッフの入退職があった月

    • 看護師が退職・産休に入ると看護職員比率が下がる
    • PT・OT採用直後は比率の再計算が必要
  2. 利用者の状態が改善した場合

    • 医療依存度が下がって特別管理加算の対象から外れるケース
    • 在宅看取りから施設入所に変わった場合
  3. 季節変動

    • 夏季(7〜8月)は緊急呼び出しが増える傾向があり、緊急時訪問看護加算の算定割合が変動しやすい
    • 年末年始は体制が手薄になりがちで、緊急対応件数に影響する

10-2. 変更届の提出が必要なケース

以下のいずれかに該当した場合は、速やかに変更届を提出します。

状況 対応
算定要件を満たさなくなった 直ちに変更届(加算取り下げ)を提出
加算ⅡからⅠに切り替える 要件達成後に変更届を提出
加算ⅠからⅡに戻す 要件不足が判明し次第変更届を提出
事業所の人員構成が大きく変わった 看護職員比率を再確認し、必要に応じて変更届

変更届の提出が遅れた場合、要件を満たしていない期間に算定した加算は返戻・過誤請求の対象となります。

10-3. 年1回の自己点検の実施

多くの都道府県では、介護サービス事業所に対して年1回の自己点検(自己評価)提出を求めています。看護体制強化加算を算定している事業所は、加算の算定要件についても点検項目に含まれます。

自己点検に向けて、以下の書類を随時整備しておきましょう。

  • 月次の加算実績集計表(直近12ヶ月分)
  • 緊急時訪問看護加算の同意書(全算定利用者分)
  • ターミナルケア関連書類(計画書・同意書・看護記録)
  • スタッフの資格証明書・雇用形態の確認書類

10-4. 監査・運営指導に備えた記録管理

都道府県による運営指導(実地指導)や監査が入った際に、看護体制強化加算の算定根拠を示す必要があります。

指摘されやすいポイント

  1. 緊急時訪問看護加算の同意書が揃っていない

    • 算定していても同意書がない → 加算取り消しのリスク
  2. ターミナルケアの記録が不十分

    • 死亡前14日以内の訪問記録に「ターミナルケアを実施した」という記述がない
    • 多職種連携の記録が残っていない
  3. 割合の計算方法が誤っている

    • 「月間延べ利用者数」の集計方法が自治体の解釈と異なるケース
  4. 看護職員比率の計算誤り

    • 非常勤スタッフの扱い(常勤換算ではなく実人数で計算すること)

これらの指摘を防ぐために、加算算定の根拠を書類として残し、いつでも提示できる状態を維持することが求められます。


11. よくある失敗事例と対策

失敗事例①:計算期間の取り違え

事例: 10月から算定開始したいと考え、9月末時点の実績を計算した。しかし、実際には「算定日の前6ヶ月間」の解釈を誤り、4月〜9月の実績ではなく3月〜8月の実績で計算してしまっていました。

対策: 「算定日が属する月の前6ヶ月間」とは、算定を開始する月の前月から遡って6ヶ月です。10月算定なら「10月の前月(9月)から遡って6ヶ月前=4月〜9月」が計算対象期間です。届出前に自治体に確認することを推奨します。

失敗事例②:緊急時訪問看護加算の同意書不備

事例: 緊急時訪問看護加算を算定しているつもりだったが、一部の利用者の同意書が取得できていなかった。実地指導で指摘を受け、当該期間の加算を返戻することになりました。

対策: 緊急時訪問看護加算を算定するすべての利用者について、文書による同意書を取得し、利用者ファイルに保管します。月1回、同意書の取得状況を確認するチェックリストを運用してください。

失敗事例③:スタッフ入退職での看護職員比率低下

事例: PT2名を採用した翌月から、看護職員比率が60%を下回ることとなった。その事実に気づかずに看護体制強化加算を算定し続け、実地指導で指摘を受けた。

対策: PT・OT採用計画を立てる際は、事前に採用後の看護職員比率をシミュレーションします。比率が60%を下回る見込みの場合は、看護師の採用も合わせて計画するか、加算の継続可否を事前に確認します。

失敗事例④:ターミナルケア実績のカウント漏れ・過大計上

事例A(カウント漏れ): ターミナルケア加算を算定した件数の把握が不十分で、実際には年間4件しかなかったにもかかわらず5件と誤認して加算Ⅰを届出していました。

事例B(過大計上): 在宅以外(施設入所中)に死亡した利用者のターミナルケアをカウントに含めていました。

対策: ターミナルケア加算の算定台帳(請求根拠書類)を整備し、実際に算定した請求明細と照合します。在宅または施設での看取りごとに算定要件が異なるため、請求担当者とケアの担当者が連携して件数を管理することが必須です。

失敗事例⑤:届出後の要件変動への対応遅れ

事例: 前年の連携強化でターミナルケア実績が好調で加算Ⅰを算定していたが、連携先病院の退院支援担当者が異動したことで看取り依頼が激減。直近12ヶ月の実績が3件に落ち込んでいたが、変更届の提出を失念し3ヶ月間そのまま加算Ⅰを算定していました。

対策: 毎月末に12ヶ月ローリングの集計を行い、加算Ⅰの要件(5件以上)を下回ったことが確認できた時点で翌月までに変更届を提出します。連携先の異動情報は定期的に確認し、体制変化に早期対応することも大切です。

失敗事例⑥:介護保険と医療保険の誤算定

事例: 医療保険の利用者に対して誤って看護体制強化加算(介護保険の加算)を算定してしまった。

対策: 看護体制強化加算は介護保険の訪問看護にのみ存在する加算です。医療保険利用者への算定は誤りです。利用者の保険種別(介護保険/医療保険)を請求システムに正確に登録し、算定漏れ・誤算定を防ぐ仕組みを整えましょう。

訪問看護の加算体系全般については「訪問看護 加算一覧【2024年改定対応】」で網羅的に解説しています。


12. まとめ:看護体制強化加算取得のロードマップ

12ヶ月の取得ロードマップ

看護体制強化加算は、「要件を満たしたらすぐ取れる」加算ではなく、継続的な体制づくりと実績蓄積が前提となります。以下のロードマップを参考に計画を立ててください。

Phase 1(0〜3ヶ月目):基盤整備

  • 現状数値の把握(各加算の算定割合・実績の集計)
  • 月次管理台帳の作成・運用開始
  • 緊急時訪問看護加算の同意書取得ルーティン化
  • 看護職員比率の確認と採用計画の見直し

Phase 2(3〜6ヶ月目):実績の積み上げ

  • 医療依存度の高い利用者の積極的受け入れ(特別管理加算の割合向上)
  • 連携先病院・クリニック・ケアマネへの積極的な訪問・情報提供
  • ターミナルケア対応の教育強化(勉強会・事例検討会)
  • 緊急時訪問看護加算の算定割合を50%超に引き上げ

Phase 3(6〜12ヶ月目):加算Ⅱの届出と実績継続

  • 算定要件確認後、加算Ⅱの届出(前月15日までに提出)
  • 算定開始後も毎月の実績確認を継続
  • ターミナルケア実績の積み上げ(年間5件を目標に)

Phase 4(12ヶ月目以降):加算Ⅰへのステップアップ

  • ターミナルケア年間5件以上の継続確認
  • 加算Ⅰへの変更届出
  • 加算Ⅰ算定後も継続的な要件維持管理

看護体制強化加算取得のキーポイント

1. 数値の「見える化」が最初の一歩

算定要件はすべて「割合」や「件数」という数値で決まっています。毎月の実績を数値で把握することが、要件達成の第一歩です。現状を把握せずに動いても、取り組みの効果が見えません。

2. 連携先との関係構築が最大の投資

緊急時訪問看護加算の同意率、特別管理加算の対象者割合、ターミナルケアの件数——これらすべてに共通するのは、医療依存度の高い利用者が依頼される仕組みをつくることです。病院の退院支援看護師・MSW、地域のケアマネジャーとの信頼関係構築が、加算取得の本質的な基盤です。

3. 加算ⅡからⅠへの段階的アプローチが現実的

いきなり加算Ⅰ(年間5件の看取り)を目指すのは、開設間もない事業所には難しいことがほとんどです。まず加算Ⅱの要件を満たすことに注力し、連携体制が整ってから加算Ⅰを目指す段階的アプローチが、無理なく持続可能です。

4. 管理の仕組みがなければ算定は維持できない

届出が受理されても、要件を維持できなければ加算は続きません。月次の実績管理台帳・アラート設定・変更届の手順を制度化することで、算定の安定した継続が可能になります。

5. 訪問看護管理システムで管理を自動化する

実績データの集計・管理を手作業で行うには限界があります。訪問看護管理システムを活用することで、月次の算定割合の自動計算、アラート通知、ターミナルケア実績の台帳管理が格段に効率化されます。看護レポのような一元管理ツールを活用することで、事務負担を減らしながら加算算定を継続的に維持することができます。管理業務の効率化は、スタッフが本来の看護業務に集中できる環境づくりにもつながります。

体制強化・加算算定の参考記事

看護体制強化加算を取得・維持するためには、連動する加算の理解と体制整備が欠かせません。以下の関連記事もあわせてご確認ください。

  • 訪問看護 加算一覧【2024年改定対応】介護・医療保険を完全網羅 — 訪問看護で算定できる全加算の概要を一覧で確認
  • 訪問看護 オンコール負担軽減|管理者向け実践ガイド — 24時間対応体制の整備とオンコール負担軽減の実践方法
  • 訪問看護ターミナルケア加算の算定要件と実務 — ターミナルケア加算の詳細と看取り対応の記録術
  • 訪問看護 緊急訪問看護加算の算定要件と実務 — 緊急時訪問看護加算の詳細解説
  • 訪問看護の人員基準・常勤換算の計算方法 — 看護職員比率60%以上を維持するための人員管理

13. 看護体制強化加算に関するQ&A

現場の管理者から多く寄せられる質問をまとめました。実務上の判断に役立ててください。

Q1. 看護体制強化加算は利用者ごとに算定するのか、事業所単位で算定するのか

A. 看護体制強化加算は、届出を行った事業所の介護保険利用者全員に対して月1回算定できます。利用者ごとに算定の可否を判断するわけではありません。

ただし、算定の前提として事業所全体の実績(緊急時訪問看護加算の算定割合・特別管理加算の算定割合・ターミナルケア件数)が要件を満たしている必要があります。事業所全体の要件を満たす → 介護保険利用者全員に算定可能、という仕組みです。

Q2. 緊急時訪問看護加算の「算定割合50%以上」は毎月達成しなければいけないのか

A. いいえ、前6ヶ月間の合計で50%以上であれば要件を満たします。月ごとの達成は不要で、6ヶ月の合計値で判断します。

例えば、ある月の割合が45%に落ちていても、その前後の月で55%以上を維持していれば、6ヶ月合計で50%以上を維持できます。ただし、一時的な落ち込みが続くと合計割合に影響するため、毎月の数値を把握し続けることが大切です。

Q3. 利用者が介護保険から医療保険に切り替わった場合、看護体制強化加算はどうなるか

A. 看護体制強化加算は介護保険の利用者にのみ算定できます。医療保険に切り替わった月からは算定できません。

また、医療保険に切り替わった利用者は、看護体制強化加算の算定要件の計算(割合の分母)からも除外されます。医療保険利用者が増えると、介護保険利用者の総数が減るため、分母が変わることによって割合が変動する点に注意が必要です。

Q4. 訪問回数が少ない利用者(週1回など)も算定割合の分母に含めるのか

A. はい、訪問回数にかかわらず、その月に訪問看護を利用した利用者(介護保険)は分母に含めます。週1回の利用者であっても、その月に介護保険の訪問看護サービスを受けていれば分母にカウントします。

緊急時訪問看護加算の算定に同意していない利用者も分母に含まれます。同意率が低い状態では割合を50%以上に保つことが難しくなるため、同意取得を徹底することが不可欠です。

Q5. ターミナルケア加算の件数は、死亡した月の翌月に算定するものも当月分としてカウントできるか

A. ターミナルケア加算は、利用者が死亡した月に算定するものです。算定日(死亡日が属する月の請求)が12ヶ月の計算対象期間に含まれているかどうかで件数をカウントします。

たとえば、3月31日に亡くなった利用者のターミナルケア加算は3月分として算定されるため、4月以降に始まる12ヶ月のカウントには含まれません(3月が計算期間の起点より前になる場合)。月末の看取りは算定月の確認を慎重に行ってください。

Q6. 常勤ではない非常勤の看護師は、看護職員数に含めるか

A. はい、非常勤の看護師も看護職員数に含めます。看護体制強化加算の看護職員比率は、常勤・非常勤を問わず実人数で計算します(常勤換算ではありません)。

パートタイムの看護師も1名としてカウントします。ただし、雇用関係にある職員が対象であり、派遣社員・業務委託の職員の扱いについては都道府県に確認することをお勧めします。

Q7. 届出後に利用者数が大幅に増えた場合、算定割合が要件を下回ることはあるか

A. あります。利用者数が急増した場合、医療依存度の低い利用者(緊急時訪問看護加算・特別管理加算の対象外)が増えることで、算定割合が下がる可能性があります。

急速な事業拡大期は特に注意が必要です。新規利用者の受け入れにあたり、「医療依存度の高い利用者を優先的に受け入れる」方針を徹底することで、割合の維持が可能です。どのような利用者を受け入れるかという営業戦略と、加算の要件管理は密接に連動しています。

Q8. 看護体制強化加算ⅠとⅡを同時に届け出ることはできるか

A. できません。ⅠとⅡはいずれか一方を選択して届け出ます。加算Ⅰの要件(ターミナルケア5件以上)を満たしている事業所は加算Ⅰを選択し、まだ満たしていない事業所は加算Ⅱを選択します。

加算Ⅱから加算Ⅰへの変更は、変更届を提出することで行えます。変更の届出日以降から加算Ⅰの単位数が適用されます。

Q9. 看護体制強化加算の届出前に確認すべき行政窓口はどこか

A. 介護保険の看護体制強化加算の届出先は、事業所が所在する都道府県の介護保険担当窓口です。市区町村ではなく都道府県(または政令市等)への届出となります。

窓口名は都道府県によって異なります(「高齢者福祉課」「介護保険課」「長寿社会政策課」など)。届出書類の様式や添付書類も都道府県によって微妙に異なるため、事前に窓口に電話で確認することをお勧めします。

Q10. 開設したばかりの訪問看護ステーションが看護体制強化加算を取得するまでの目安期間は

A. 開設後6ヶ月以上の実績が必要です。算定要件には「前6ヶ月間の割合」と「前12ヶ月間のターミナルケア件数」が含まれるため、開設から最低でも6〜12ヶ月の実績蓄積が必要です。

加算Ⅱであれば、開設6ヶ月後以降(ターミナルケア1件を達成していれば)の届出が可能です。加算Ⅰは12ヶ月以上の実績でターミナルケア5件以上が必要なため、早くても開設から1年以上かかるケースがほとんどです。


14. 看護体制強化加算と地域包括ケアシステムとの関係

14-1. 加算が促す「医療ニーズへの対応」

看護体制強化加算は、単に事業所の収益を改善するための仕組みではありません。社会的な文脈で見ると、医療機能を持つ訪問看護ステーションが増え、在宅医療・介護の連携が深まることを促進する政策的なインセンティブです。

急増する高齢者の在宅療養需要に対応するためには、「病院と同水準の医療ケアを自宅で受けられる体制」が必要です。看護体制強化加算の算定要件(緊急対応・特別管理・看取り)は、まさにその体制を具体的に数値化したものです。

14-2. 地域の医療資源との連携強化が鍵

看護体制強化加算を安定して算定し続けるためには、事業所単体の努力だけでは限界があります。地域の医療機関・介護関係機関とのネットワーク形成が必要です。

連携が重要な理由

  1. 医療依存度の高い利用者の紹介ルートを確保するため

    • 特別管理加算対象者(医療機器装着・特定処置の利用者)は、病院からの退院を機に訪問看護を開始するケースが多い
    • 退院支援看護師・MSW(医療ソーシャルワーカー)との関係構築が、依頼件数に直結する
  2. 在宅看取りの依頼を受けるため

    • ターミナルケアの依頼は、主治医や病院の退院調整からくるケースがほとんど
    • 「在宅看取りを支援できる事業所」として地域に認知されることが重要
  3. 緊急時対応の連携を強化するため

    • 夜間・休日の急変時に、主治医との迅速な連絡が取れる関係を事前に構築しておくことで、対応品質が上がる

14-3. 事業所としての「専門性」のアピール

看護体制強化加算Ⅰを取得・維持している事業所は、地域においていわば**「ハイリスク在宅療養を支える拠点」**として位置づけられます。

連携先(病院・クリニック・ケアマネジャー)への営業では、「看護体制強化加算Ⅰを算定している」という事実が、事業所の実力を示す客観的な証拠になります。「難しいケースも断らない」「看取りまで対応できる」という信頼の獲得は、紹介件数の増加につながり、算定要件の維持にも好循環をもたらします。


15. 看護管理者が知っておくべき制度改定の展望

15-1. 訪問看護をめぐる制度の方向性

2024年度改定の結果と、次期改定(2027年度が次回の介護報酬改定見込み)に向けた方向性を踏まえると、訪問看護領域では以下のトレンドが読み取れます。

医療依存度の高い利用者への対応を促進

2024年改定での緊急時訪問看護加算Ⅰの新設(600単位)や、理学療法士等比率の高い事業所への減算導入は、訪問看護本来の「看護機能」を重視する方向性を示しています。看護体制強化加算の枠組みは、この方向性に沿った加算です。

在宅看取りの推進

政府は「住み慣れた地域での最期」を政策の柱に据えており、在宅看取りを支える訪問看護ステーションへの評価強化は継続すると考えられます。ターミナルケア加算の要件・金額の見直しも今後の改定で検討される可能性があります。

ICT活用と記録の効率化

記録業務の負担軽減と質の向上を両立するため、ICT活用が推進されています。訪問看護管理システムの活用による実績データの自動集計は、看護体制強化加算の要件管理においても有効です。

15-2. 次期改定に向けた準備

2027年度の次期改定に向けて、現時点からできる準備があります。

実績の蓄積と記録の質の向上

看護体制強化加算に関わる実績(緊急対応・特別管理・ターミナルケア)をしっかりと記録し、データとして蓄積しておくことが今から着手すべき準備です。改定の際に実績データが必要になることも多く、普段からの記録習慣が将来の対応力を高めます。

スタッフの専門性向上

在宅ケアの専門知識(ターミナルケア・重症療養支援・医療的ケア)を持つ看護師を育成することは、次期改定がどのような内容になっても有効な投資です。研修機会の提供・資格取得の支援を継続的に行いましょう。

連携ネットワークの深化

地域の医療機関・介護事業所・行政との連携ネットワークは、一朝一夕には構築できません。日常的な情報共有・研修会への参加・地域ケア会議への出席などを通じて、着実に関係性を深め続けることが求められます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 看護体制強化加算ⅠとⅡの違いは何ですか?

A. 主な違いは緊急時対応割合とターミナルケア実績の要件です。加算Ⅰは緊急時訪問看護加算の算定割合50%以上・ターミナルケア加算の算定実績が直近12か月で5件以上(医療保険3件以上を含む)を求めます。加算Ⅱはターミナルケア加算の実績要件がなく(または1件以上)、緊急時対応の割合も加算Ⅰより低く設定されています。単位数は加算Ⅰのほうが高く設定されており、月300〜600単位程度の差があります。

Q2. 看護体制強化加算を算定するには届出が必要ですか?

A. はい、必要です。算定要件を満たしたうえで、管轄の地方厚生(支)局に体制等状況一覧表(別紙12)等の書類を提出し、受理された翌月から算定が可能になります。届出なしに算定すると不正請求になるため、必ず事前に届出手続きを行ってください。

Q3. 算定期間中に要件を下回った場合はどうなりますか?

A. 要件を下回った月から算定を停止し、管轄の地方厚生(支)局に変更(取り下げ)届出を提出する必要があります。要件を下回っていることを知りながら算定を継続した場合は不正請求として返還指導の対象になります。月次で実績データを確認し、要件割合を下回りそうな場合は速やかに対応してください。

Q4. 看護職員の割合(60%以上)の計算方法を教えてください。

A. 看護体制強化加算の「看護職員60%以上」の要件は、常勤換算後の職員数で計算します。看護師・准看護師の常勤換算合計 ÷ 全職員の常勤換算合計 × 100 ≧ 60% を満たす必要があります。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は看護職員に含まれません。月次で常勤換算を確認し、採用・退職による変動に注意してください。

Q5. 新規開業のステーションでも算定できますか?

A. 要件の一部(ターミナルケア加算の実績など)は「直近12か月」での算定実績を求めるため、開業直後のステーションは要件を満たしません。開業後12か月以上経過し、実績が蓄積されてから届出を検討してください。ただし、緊急時訪問看護加算の同意取得率などは早期から取り組むことで12か月後の算定に備えられます。


参考・出典

  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
  • 関東信越厚生局「訪問看護ステーションの基準に係る届出(令和6年度診療報酬改定)」
  • 公益社団法人日本看護協会「2024年度診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」
  • 一般社団法人全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション基本情報」

本記事は2026年3月時点の制度情報をもとに作成しています。制度改定等により内容が変更になる場合があります。算定にあたっては、都道府県や国保連など管轄機関の最新情報を必ずご確認ください。また、具体的な届出手続きや要件の解釈については、事業所が所在する都道府県の担当窓口にご相談されることをお勧めします。

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