訪問看護 医療保険レセプトの書き方と点検チェックリスト
訪問看護の医療保険レセプト(訪問看護療養費明細書)の正しい記載方法を、記載例と点検チェックリストで解説します。よくある記載ミスTOP10とその防止策、2026年改定対応、国保連フォーマットへの転記ミス削減策まで網羅した管理者・事務担当者向けガイドです。
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訪問看護の医療保険レセプト(訪問看護療養費明細書)の正しい記載方法を、記載例と点検チェックリストで解説します。よくある記載ミスTOP10とその防止策、2026年改定対応、国保連フォーマットへの転記ミス削減策まで網羅した管理者・事務担当者向けガイドです。
訪問看護で介護保険と医療保険のどちらを使うか迷ったときの判断フローチャート。別表7・別表8の該当疾患一覧、月途中の保険切替、同日算定ルール、ケース別20事例を網羅。返戻を防ぐ振り分け判断の完全ガイドです。
訪問看護指示書の有効期限ルール・特別訪問看護指示書の使い方・期限切れ返戻の防止策を徹底解説。医師への交付依頼タイミング、管理台帳テンプレート、よくある失敗事例まで網羅した管理者・事務担当者向けの完全ガイドです。2026年改定対応版。
「ターミナルケア加算を取り漏らしている」「どこまで記録すれば算定できるのか分からない」「医療保険と介護保険でどちらが有利なのか」——在宅看取りに関わる訪問看護ステーションから、こうした声が後を絶ちません。
2024年(令和6年)の介護報酬改定では、訪問看護のターミナルケア加算が2,000単位から2,500単位へ引き上げられました。この改定は単なる増額にとどまらず、在宅看取りを推進するための重要な政策シグナルです。医療保険の「ターミナルケア療養費1・2」と合わせて適切に算定できれば、1件の看取りで数万円の加算収入を確保できます。
しかし、現場では「算定要件を満たしているはずなのに請求できていない」「記録が不十分で監査で指摘される」「連携体制の構築が後手に回っている」といった問題が散見されます。看取りの場面は感情的・心理的にも重く、実務の正確性が疎かになりやすい領域です。
算定要件の完全解説から看取り連携体制の構築手順、記録テンプレート5パターン、加算額シミュレーション、グリーフケアの実務まで、在宅看取りに関するすべてを網羅しています。現場で即使える情報を体系的に整理しました。
訪問看護ステーションが終末期(ターミナル期)にある利用者に対してターミナルケアを実施した場合に算定できる加算が、ターミナルケア加算です。利用者が死亡した月に1回限り算定できます。
ここで言う「ターミナルケア」とは、単なる症状緩和のケアにとどまらず、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな全人的苦痛を緩和し、本人と家族が最期まで尊厳をもって過ごせるよう支援することです。訪問看護師は、医師や介護支援専門員(ケアマネジャー)と連携しながら、在宅での看取りを支える中核的な役割を担います。
根拠となる制度は利用する保険の種類によって異なり、大きく2つに分かれます。
両制度は算定要件・金額・対象者のいずれも異なるため、利用者の状況に応じて適切に使い分けることが大切です。
2024年(令和6年)6月の介護報酬改定では、訪問看護のターミナルケア加算に関して以下の変更が行われました。
| 改定前 | 改定後(2024年6月〜) |
|---|---|
| 2,000単位 | 2,500単位 |
増加幅は500単位、金額換算で約5,000円(1単位10円換算)の増額です。
この引き上げの背景には、介護保険と医療保険の評価格差の是正があります。医療保険のターミナルケア療養費1(25,000円)と比べ、介護保険の加算額(改定前:約20,000円)は明らかに低い評価でした。2024年改定でほぼ同等の評価となったことで、介護保険利用者に対する在宅看取りへのインセンティブが強化されました。
重要な点として、算定要件自体に変更はありません。改定対応として求められるのは、主に以下の2点です。
なお、医療保険のターミナルケア療養費(療養費1・2)については、2024年改定では単位数や要件の変更は行われていません。
厚生労働省の統計によると、日本の死亡場所は長年「病院」が最多を占めてきましたが、近年は在宅死亡の割合が増加傾向にあります。政府の「地域包括ケアシステム」推進の下、在宅での看取り件数は今後さらに増加することが見込まれています。
こうした社会的背景の中で、訪問看護師は在宅看取りにおいて最も中核的な役割を担います。医師が往診で関わる時間は限られており、在宅での看取りを日々支えるのは訪問看護師です。
だからこそ、ターミナルケア加算の適切な算定は「単なる収入確保」ではなく、看取りの質を担保するための体制整備そのものを意味します。加算算定の要件となっている「24時間対応体制」「主治医との連携」「記録の充実」は、いずれも質の高いターミナルケアに不可欠な要素です。
介護保険のターミナルケア加算を算定できる対象者は、以下の条件を満たす方です。
算定対象(必須条件)
算定対象外(重要)
介護保険でターミナルケア加算を算定するためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
訪問看護ステーションが、利用者に対して24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて訪問できる体制を整備していることが必要です。
具体的には、緊急時訪問看護加算の届出を行っていることが前提となります。ターミナルケア加算の届出書(「緊急時訪問看護加算・特別管理体制・ターミナルケア体制に係る届出書」)では、24時間対応体制と緊急時の連絡方法について記載が必要です。
実務上のポイント
「主治医との連携の下に、ターミナルケアに係る計画・支援体制について利用者とその家族に十分な説明を行い、同意を得てターミナルケアを行っていること」が必要です。
この要件には、以下の実務が含まれます。
主治医との連携で必要なこと
利用者・家族への説明と同意で必要なこと
同意は書面で取ることが推奨されます。口頭同意のみでは、監査時に証跡が残らないリスクがあります。
「死亡日および死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行っていること」
これが最も実務的に重要な要件です。「死亡日を含む15日間のうち、少なくとも2日間訪問していること」と理解してください。
重要な特例:1日算定が認められる疾患
以下の疾患・状態の利用者については、訪問が1日以上であれば算定可能です。
| 特例対象 |
|---|
| 末期の悪性腫瘍 |
| 後天性免疫不全症候群(AIDS) |
| 脊髄損傷 |
| 筋萎縮性側索硬化症(ALS) |
| 多発性硬化症 |
| 人工呼吸器を使用している状態 |
| その他、主治医が頻回訪問を必要と認める急性増悪の状態 |
訪問日数カウントの注意点
「ターミナルケアの提供について必要な事項が適切に訪問看護記録書に記録されていること」
具体的に記録すべき内容は以下の3点です。
身体症状の変化と対応する看護に関する記録
療養・死別に関する利用者と家族の精神的状態の変化とケアの経過
ターミナルケアの各プロセスにおける利用者・家族の意向把握とアセスメント
介護保険でターミナルケア加算を算定するには、事業所の届出が必要です。
届出書類名:「緊急時訪問看護加算・特別管理体制・ターミナルケア体制に係る届出書」
届出期限:算定を開始する月の前月15日まで
届出先:各都道府県の介護保険担当部局(または市町村によって異なる)
注意:届出を失念していると、算定要件を満たしていても加算を請求できません。開業時または加算算定を開始する際は、必ず届出状況を確認してください。
ターミナルケア加算は、利用者が死亡した月に算定します。「ターミナルケアを実施した月」ではないことに注意が必要です。
例えば、3月25日に亡くなった利用者のターミナルケアを3月10日から開始していた場合、算定月は3月です(開始月の2月ではありません)。
医療保険では、介護保険の「ターミナルケア加算」に相当するものとして**「訪問看護ターミナルケア療養費」**が設けられています。訪問看護基本療養費や精神科訪問看護基本療養費とは別に、死亡月に1回算定できる特別な療養費です。
医療保険のターミナルケア療養費は**療養費1(25,000円)と療養費2(10,000円)**の2種類があり、利用者の死亡場所と施設側の加算算定状況によって区分されます。
在宅(自宅)で死亡した利用者に対してターミナルケアを行った場合に算定します。
また、以下の施設で死亡した利用者も療養費1の対象となります。
ただし、上記施設であっても看取り介護加算等を算定していない場合に療養費1が算定されます。
施設(特養・老健・グループホーム等)で死亡し、かつその施設が看取り介護加算等を算定している場合に算定します。
具体的には以下の加算等を算定している施設が対象です。
なぜ療養費2の金額が低いのか
施設側が看取り介護加算を算定している場合、施設自体がターミナルケアの費用を受け取っています。したがって、訪問看護が算定できるターミナルケア療養費は低額の療養費2(10,000円)となります。これは二重評価を避けるための仕組みです。
医療保険のターミナルケア療養費には、介護保険の「24時間連絡体制」のような体制要件は含まれていません。ただし、以下の要件を満たす必要があります。
共通算定要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 死亡場所 | 在宅または施設(入院・入所中を除く) |
| 訪問回数 | 死亡日を含む15日間に基本療養費を2回以上算定 |
| 説明と記録 | 緊急連絡先・注意事項の説明、死亡場所・時刻の記録 |
| 一事業所原則 | 同一利用者に対して複数の訪問看護STが算定不可 |
「2回以上算定」の解釈
重要な点として、ここでいう「2回以上」は訪問回数ではなく基本療養費の算定回数です。1日に複数回訪問した場合、通常は1日あたり1回の基本療養費算定です(長時間訪問看護加算等を除く)。
在宅以外での死亡でも算定できるケース
利用者が在宅ケア中に急変し、搬送先の病院で死亡した場合でも、最後の訪問から24時間以内に死亡した場合は算定可能です。この規定により、搬送後短時間で死亡した場合も、訪問看護が適切なターミナルケアを行っていれば療養費を取り損ねるリスクが低減されています。
介護保険との重複算定は不可
同一利用者に対して、医療保険のターミナルケア療養費と介護保険のターミナルケア加算を同時に算定することはできません。どちらか一方のみ算定できます。
保険切替時のルール
利用者が同一月中に介護保険から医療保険(または医療保険から介護保険)に切り替えた場合、最後に実施した保険制度でターミナルケア療養費・加算を算定します。
例:3月に介護保険で訪問看護を提供していたが、3月25日に医療保険に切り替えて死亡した場合 → 医療保険のターミナルケア療養費で算定
他の訪問看護ステーションとの関係
同一利用者に対して複数の訪問看護ステーションが関与している場合、ターミナルケア療養費・加算を算定できるのは1つの事業所のみです。複数事業所で調整し、どちらが算定するかを事前に決めておく必要があります。
訪問看護の利用保険(介護保険か医療保険か)は、利用者の状況によって決まります。基本的なルールは以下の通りです。
医療保険が優先される場合
介護保険が優先される場合
利用者が死亡
↓
要介護認定あり?
↓
YES → 別表第7(末期がん・難病等)該当?
↓
YES → 医療保険でターミナルケア療養費を算定
↓
NO → 介護保険でターミナルケア加算を算定
↓
NO → 医療保険でターミナルケア療養費を算定
以下の疾患を主たる傷病名とする利用者は、要介護認定があっても医療保険で訪問看護を受けます。ターミナルケアも医療保険で算定します。
| 疾患カテゴリ | 具体的な疾患 |
|---|---|
| 悪性腫瘍 | 末期の悪性腫瘍 |
| 神経難病 | 多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、パーキンソン病関連疾患、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群(AIDS) |
| 循環器・呼吸器 | 人工呼吸器を使用している状態 |
これらの疾患を有する利用者の看取りでは、医療保険のターミナルケア療養費1(25,000円)が算定の対象となります(施設での看取りで施設が看取り加算を算定している場合は療養費2)。
| 保険種別 | 加算・療養費 | 金額 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 介護保険 | ターミナルケア加算 | 2,500単位(約25,000円) | 要介護1〜5、別表第7非該当 |
| 医療保険 | ターミナルケア療養費1 | 25,000円 | 在宅死亡、施設死亡(看取り加算なし) |
| 医療保険 | ターミナルケア療養費2 | 10,000円 | 施設死亡(看取り加算あり) |
2024年改定後は、介護保険の加算額(2,500単位×10円=25,000円)と医療保険の療養費1(25,000円)がほぼ同額となりました。
ターミナルケア算定において最も重要なのは、**「死亡日から逆算した14日間のなかで、2日以上の訪問看護を行っているか」**の確認です。
以下に、死亡日から逆算したタイムラインを示します。
死亡日(D日)を基準に逆算
D-14日 ← この日から算定対象期間
D-13日
D-12日
D-11日
D-10日
D-9日
D-8日
D-7日 ← 7日前。ここで1回目の訪問があれば算定条件①クリア
D-6日
D-5日
D-4日
D-3日
D-2日 ← 2日前
D-1日 ← 前日
D日(死亡日)← 死亡当日の訪問もカウント可
この15日間(D-14日〜D日)に2日以上の訪問看護を行っていること
STEP1: 利用者が死亡したことを確認
↓
STEP2: 保険の確認(介護保険 or 医療保険)
↓
STEP3: 死亡日から14日前をカレンダーで確認
↓
STEP4: その期間内に訪問した日数をカウント
↓
2日以上 → STEP5へ
1日のみ → 特例疾患に該当するか確認
↓
該当 → STEP5へ
非該当 → 算定不可(2日以上の訪問なし)
↓
STEP5: 24時間対応体制の届出を確認(介護保険の場合)
↓
STEP6: ターミナルケア計画と同意書の存在確認
↓
STEP7: 訪問看護記録書の記録内容確認
↓
要件すべてクリア → ターミナルケア加算/療養費を算定
実際の臨床では、利用者がターミナル期に入るまでに一定期間の訪問看護が行われています。ここでは、典型的な在宅看取りの流れと各フェーズでの実務を整理します。
この時期に行うべき重要実務
この時期が算定要件の核心
「死亡前14日以内ではない訪問」はターミナルケアとしてカウントされませんが、14日以内の訪問でターミナルケアの記録が残っていれば算定可能です。
例えば、定期訪問(週2回)を継続しており、死亡前14日間に4回の訪問があった場合、その4回全てにターミナルケアの記録が残っていれば、算定要件の「2日以上」を十分に満たします。
ただし、「定期訪問の記録をしているだけでターミナルケアの記録がない」場合は、加算算定の根拠が不十分となる可能性があります。ターミナル期に入ったと判断した時点から、記録の内容をターミナルケアに沿った記載に切り替えることが欠かせません。
算定要件として「主治医との連携」「他の医療・介護関係者との連携」が求められていますが、これは監査対策のための形式的な要件ではありません。在宅での看取りは、医師・訪問看護師・ケアマネジャー・家族が一体となって初めて成立するチーム医療です。
連携体制が不十分な場合に起こりやすい問題は次の通りです。
こうした事態を防ぐために、早期からの連携体制構築が鍵となります。
主治医から「予後が限られている」という見解が示された時点で、訪問看護師は積極的に方針確認を行います。
確認すべき項目
確認方法 電話連絡だけでなく、できれば**書面(連絡票や診療情報)**で確認内容を残しておくと、後から証跡として使えます。
ターミナル期に入った時点で、訪問看護指示書の内容が現状に合っているか確認します。疾患の進行により処置内容・薬剤が変わっている場合は、指示書の更新を主治医に依頼します。
特に以下の点を確認します。
**「どんな状態になったら連絡するか」**を主治医と事前に合意しておきます。
例えば、以下のような基準を文書化して共有します。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| SpO2が〇〇%以下で呼吸困難が出現 | すぐに電話連絡 |
| 意識レベルがJCS〇〇以上 | すぐに電話連絡、往診要請 |
| 疼痛でNRS8以上かつ頓用3回以上使用 | すぐに電話連絡 |
| 四肢冷感・チアノーゼ出現 | 連絡 → 「最期が近い」の判断 |
| 呼吸停止・心停止確認 | 連絡 → 死亡確認 |
この基準を家族にも共有しておくと、「救急車を呼ぶべきか迷った」という混乱を防げます。
介護保険でターミナルケア加算を算定する場合、ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)との連携は外せません。
サービス担当者会議の活用
ターミナル期への移行が認識された時点で、サービス担当者会議(または照会による情報共有)を行い、以下を関係者全員で確認します。
ケアプランの見直し要請
ターミナル期の訪問頻度増加(週2回→毎日等)に対応するため、ケアマネにケアプランの修正を依頼します。限度額を超える場合は、医療保険への切替検討も含めて相談します。
ターミナルケア加算算定の事前調整
同一利用者に対して複数の訪問看護ステーションが関与している場合、どちらがターミナルケア加算を算定するかを事前にケアマネ経由で調整します。両方が算定することはできません。
ターミナル期に入った利用者については、訪問看護報告書の内容をターミナルケアに沿って充実させます。主治医・ケアマネに対して、状態変化・心理的状況・家族の反応を詳細に報告することで、連携の記録が残り、算定要件を満たす根拠にもなります。
在宅看取りの成否は、家族の精神的な準備と意思決定に大きく依存します。訪問看護師は、医療的ケアを提供しながら、家族の意思決定を支援し、心理的に寄り添う役割を担います。
ACPとは、「もしもの時」に備えて、本人・家族・医療者が一緒に医療・ケアの方針を話し合うプロセスです。ターミナルケアにおけるACPの主な確認事項は以下の通りです。
本人への確認(意識がある間に)
家族への確認と支援
「急変したときの連絡先」の明確化 家族が迷わないよう、緊急時の連絡先を紙に書いて見えるところに貼ることを勧めます。
■緊急連絡先カード(例)
【昼間の連絡先】
訪問看護:〇〇ステーション TEL:000-000-0000
主治医:〇〇クリニック TEL:000-000-0000
【夜間・休日の連絡先】
訪問看護(夜間当番):TEL:000-000-0000
往診担当医:TEL:000-000-0000
【救急車を呼ぶ前に必ず上記に連絡してください】
→ 救急搬送を望まない場合は、必ず訪問看護または主治医に連絡
死期が近づいている兆候(チェーンストークス呼吸、下顎呼吸、四肢冷感・チアノーゼ、尿量減少、反応低下など)を事前に家族に説明しておきます。これにより、「急に変化した!どうしよう」というパニックを軽減できます。
説明のポイント
在宅看取りを支えるチームには、訪問看護師・主治医・ケアマネジャー以外にも、訪問介護員・訪問薬剤師・歯科医師・理学療法士などが関わることがあります。こうした多職種が集まるカンファレンスを定期的に開催することで、情報の共有と方針の統一が図れます。
カンファレンスの開催タイミング
カンファレンスで確認すべき議題
ターミナルケアの記録は感情面の配慮も含め負担が大きい業務です。看護レポならLINEから記録を入力でき、SOAP形式への自動整理で記録時間を大幅に短縮します。 → 看護レポを無料で試してみる
ターミナルケア加算の算定において、訪問看護記録書の内容は算定可否を左右する重要な証跡です。監査では記録内容が詳しく確認されるため、以下の3つの要素が記録に含まれているかが問われます。
また、SOAP形式(S:主観的情報、O:客観的情報、A:アセスメント、P:プラン)で記録することで、ケアの根拠と思考プロセスが明確になり、他スタッフへの引き継ぎも容易になります。
注意:以下の例文はテンプレートです。実際の記録では利用者の個別状況に合わせて修正してください。また、個人情報保護の観点から、氏名・診断名等は匿名化してください。
利用者背景:80代男性、大腸がん末期、在宅療養中。疼痛コントロールが主な課題。
訪問日:〇年〇月〇日(死亡前10日)
S(主観的情報)
「今日は昨日より背中が痛い。眠れなかった」「妻に迷惑をかけていて申し訳ない」と発言あり。頓用オキシコドン(〇〇mg)を昨夜23時と今朝5時に自己使用したとのこと。
O(客観的情報)
A(アセスメント)
疼痛コントロールが不十分であり、頓用使用頻度が増加しています。定期投与量の増量について主治医との協議が必要な段階と判断します。食事量・尿量の減少は疾患進行の可能性があり、今後数日単位で状態変化が生じる可能性が高いです。
妻は精神的に動揺していますが、介護を継続する意思は強いです。精神的サポートの継続が必要です。
P(プラン)
利用者背景:70代女性、ALS、在宅人工呼吸器使用中。夫と二人暮らし。
訪問日:〇年〇月〇日(死亡前7日)
S(主観的情報)
本人はコミュニケーションボードと目の動きで意思疎通。「眠れている」「苦しくない」と示す。夫は「最近、目の動きが少なくなった。このまま家でいいのか不安」と話す。
O(客観的情報)
A(アセスメント)
ALS進行に伴い、全身状態の緩やかな悪化を認めます。末梢冷感の出現は循環不全の兆候であり、ターミナル期の進行を示唆します。コミュニケーション能力の低下に伴い、本人の意思確認が困難になりつつあります。夫の身体的・精神的疲労が限界に近い可能性があり、レスパイトケアの検討と継続的サポートが必要です。
P(プラン)
利用者背景:85代女性、慢性心不全(NYHA IV度)、要介護4、一人暮らし(近くに娘が住む)。
訪問日:〇年〇月〇日(死亡前4日)
S(主観的情報)
「少し動くだけで息が苦しい」「もうあまり長くないと思っている。家にいたい」と話す。娘は「本人が望むなら家でいさせてあげたい。急に夜に何かあったら怖いけど」と話す。
O(客観的情報)
A(アセスメント)
収縮期血圧の低下(90mmHg台)、SpO2低下(91%)、心拍増加(110/分)は心不全の急性増悪または終末期変化を示唆します。在宅での急変リスクが高く、今後数日以内に状態が大きく変化する可能性があります。本人は在宅療養の継続を希望しており、本人の意思を尊重した対応が必要です。娘への支援(夜間の不安軽減)が急務です。
P(プラン)
利用者背景:90代女性、アルツハイマー型認知症(重度)、誤嚥性肺炎を繰り返し、栄養摂取困難。要介護5。息子夫婦が同居して介護。
訪問日:〇年〇月〇日(死亡前8日)
S(主観的情報)
本人は言語コミュニケーション不可。痛み刺激に対して顔をしかめる反応あり。息子は「胃瘻を入れた方がいいのか、先生にも聞いているが決められない」と困惑の様子。
O(客観的情報)
A(アセスメント)
認知症末期に誤嚥性肺炎が加わり、全身状態は急速に悪化しています。経口摂取の維持は困難であり、胃瘻造設を含む人工的栄養補給については、本人の意思が確認できない中で代理意思決定が必要な状況です。厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に基づき、家族(息子)を含めた意思決定支援プロセスを丁寧に実施することがポイントです。胃瘻造設よりも、苦痛緩和を優先した対症ケアへの移行について、多職種チームで共有する必要があります。
P(プラン)
訪問日:〇年〇月〇日(死亡当日)
S(主観的情報)
本人:意識なし。家族(娘)からの連絡により緊急訪問。「朝6時頃から呼吸がゆっくりになって、7時30分に息が止まった気がする」とのこと。娘は泣いていたが、比較的落ち着いた様子。
「ここまで一緒にいられて良かった」と話す。
O(客観的情報)
A(アセスメント)
在宅にて穏やかに永眠されました。直前の訪問(昨日〇時〇分)から状態が急速に変化し、本日未明に呼吸停止に至ったと推測されます。本人の「家で最期を迎えたい」という意向は達成されました。
家族は悲嘆状態にありますが、初期の反応は正常な悲嘆プロセスと判断します。グリーフケアの継続的な提供が必要です。
P(プラン)
介護保険のターミナルケア加算は、2,500単位×地域の単位単価で算定されます。
地域により単位単価が異なりますが、ここでは代表的な単価で試算します。
| 地域区分 | 単位単価 |
|---|---|
| 1級地(東京都23区等) | 11.40円 |
| 2級地(さいたま市等) | 11.12円 |
| 3級地(横浜市等) | 11.05円 |
| 4級地(名古屋市等) | 10.84円 |
| 5級地(大阪市等) | 10.70円 |
| 6級地(京都市等) | 10.42円 |
| 7級地(その他政令都市等) | 10.21円 |
| その他の地域 | 10.00円 |
| 地域区分 | 加算額 | 利用者負担(1割) | 介護保険請求額 |
|---|---|---|---|
| 1級地 | 2,500 × 11.40円 = 28,500円 | 2,850円 | 25,650円 |
| 3級地 | 2,500 × 11.05円 = 27,625円 | 2,763円 | 24,862円 |
| その他 | 2,500 × 10.00円 = 25,000円 | 2,500円 | 22,500円 |
注意:上記は単純計算の目安です。負担割合(1〜3割)は個人によって異なります。また、ターミナルケア加算は支給限度額管理外のため、限度額超過の心配はありません。
| 項目 | 算定回数 | 単位 | 金額(10円換算) |
|---|---|---|---|
| 訪問看護費 | 週3回×4週 = 12回 | 819単位×12 | 約98,280円 |
| ターミナルケア加算 | 1回(死亡月) | 2,500単位 | 25,000円 |
| 緊急時訪問看護加算 | 1回 | 315単位 | 3,150円 |
| 合計 | 約126,430円 |
※上記はあくまで試算例です。実際の訪問回数・加算算定状況により異なります。
医療保険のターミナルケア療養費は定額です。
| 区分 | 金額 | 適用場面 |
|---|---|---|
| ターミナルケア療養費1 | 25,000円 | 在宅死亡、または施設(看取り加算なし) |
| ターミナルケア療養費2 | 10,000円 | 施設死亡(看取り加算あり) |
| 項目 | 算定回数 | 金額 |
|---|---|---|
| 訪問看護基本療養費(Ⅰ・週3日以下) | 12回 | 5,550円×12 = 66,600円 |
| 難病等複数回訪問加算(Ⅱ) | - | - |
| ターミナルケア療養費1 | 1回 | 25,000円 |
| 24時間対応体制加算 | 1回 | 6,520円 |
| 合計 | 約98,120円 |
※医療保険の場合、療養費は全額が保険者(健保・国保)へ請求します。利用者負担は別途発生します。
1事業所が年間12件の在宅看取り(介護保険・療養費1ケース混在)を行った場合の、ターミナルケア関連の加算収入試算です。
| 看取り件数 | 平均加算額(概算) | 年間加算収入(概算) |
|---|---|---|
| 6件(介護保険) | 25,000円/件 | 150,000円 |
| 6件(医療保険・療養費1) | 25,000円/件 | 150,000円 |
| 合計12件 | 約300,000円 |
月平均で約25,000円の追加収入となります。これは小規模ステーションにとって、決して無視できない金額です。
「算定要件を満たしていたが、記録不備や手続き漏れで算定できなかった」場合の損失を考えると、
算定漏れ防止のための体制整備(チェックリスト整備、担当者の教育)には、大きな投資対効果があります。
現場でよく見られるターミナルケア算定のミスには、主に以下のパターンがあります。
訪問した実績はあっても、記録書にターミナルケアの内容が記録されていない場合、監査で「ターミナルケアを行ったと判断できない」と指摘されるリスクがあります。
防止策:ターミナル期に入ったと判断した時点から、毎回の記録書に身体症状の変化・家族の精神状態・意向確認の内容を必ず記載します。
緊急時訪問看護加算・ターミナルケア体制の届出を失念しているケース。
防止策:開業時のチェックリストに「ターミナルケア体制の届出」を含めます。毎年の更新時期に届出状況を確認します。
「死亡前14日以内に2日以上」という要件を把握していても、実際の訪問が1回だけだったケース。
防止策:ターミナル期に入った時点で訪問頻度を上げます。死亡前14日間の訪問日数を常に確認します。
口頭で同意を取っているが書面が残っていないケース。
防止策:ターミナルケアの同意書フォームを事前に用意し、ターミナル期に入った時点で必ず取得します。
同一利用者に対して複数の訪問看護ステーションが関与していて、両方が加算を算定してしまうケース。
防止策:複数事業所が関与している場合は、事前にケアマネ経由で算定事業所を確定します。
同一利用者に対して介護保険のターミナルケア加算と医療保険のターミナルケア療養費を同時算定してしまうケース。
防止策:利用者の保険種別を確認し、算定保険を明確にします。月の途中で保険が切り替わった場合は最後の保険で算定します。
算定を行う前に、以下のチェックリストで確認を行ってください。
【ターミナルケア算定 最終確認チェックリスト】
□ 利用者の死亡を確認済み
□ 利用保険(介護保険 or 医療保険)を確認済み
【介護保険の場合】
□ 要介護1〜5の認定があること(要支援は不可)
□ 緊急時訪問看護加算・ターミナルケア体制の届出済み
□ 死亡日を含む14日間の訪問記録で2日以上を確認
(特例疾患は1日以上でOK)
□ ターミナルケア計画書が作成済み
□ 本人・家族の書面同意取得済み
□ 記録書にターミナルケアの内容(身体・精神・意向)が記録済み
□ 複数事業所が関与している場合は算定事業所を確認済み
□ 同月に医療保険のターミナルケア療養費を算定していないこと
【医療保険の場合】
□ 在宅または特定施設で死亡したことを確認
□ 死亡前14日間に基本療養費を2回以上算定していること
□ 緊急連絡担当者・緊急時注意事項を説明済み
□ 死亡場所・死亡時刻を記録書に記録済み
□ 療養費1か療養費2かの判断(施設側の看取り加算算定状況を確認)
□ 複数事業所との重複算定がないこと
□ 同月に介護保険のターミナルケア加算を算定していないこと
訪問看護の運営指導(旧監査)では、記録の内容が詳しく確認されます。ターミナルケア加算に関連して指摘されやすい事項は以下の通りです。
指摘されやすい事項
対策:記録書のフォームに「ターミナルケア関連記録」の項目を設けておき、毎回確認しながら記録する習慣を作ることが有効です。
関連記事:訪問看護のSOAP記録書き方ガイド|コピペOK例文40選と監査対策 では、記録の書き方と監査対策を詳しく解説しています。また、訪問看護の加算一覧【2024年改定対応】も合わせてご参照ください。
グリーフ(grief)とは「悲嘆」を意味する英語で、大切な人との死別によって経験する様々な反応(悲しみ・怒り・罪悪感・空虚感・身体症状など)の総体を指します。グリーフケアとは、この悲嘆を抱える人に寄り添い、自然な悲嘆プロセスが進むよう支援することです。
訪問看護師によるグリーフケアには、患者の生前から死別後まで継続して家族に関わることができるという独自の強みがあります。在宅療養を支えてきた訪問看護師は、利用者の生前の姿を知っており、「あの時のあの表情が忘れられない」「最期に言った言葉は……」という遺族の語りを深く受け止めることができます。
グリーフには段階的なプロセスがあることが知られています。看護師が「正常な悲嘆」と「複雑性悲嘆(グリーフが長期化・複雑化した状態)」を見分けるために、基本的なプロセスを理解しておくことが大切です。
悲嘆の一般的なプロセス(Bowlby・Parkes のモデルを参考)
| 段階 | 時期の目安 | 主な反応 |
|---|---|---|
| ショック・麻痺 | 死別直後〜数日 | 現実感の喪失、感情の麻痺、自動的に動く |
| 切望・探索 | 数日〜数ヶ月 | 故人を探し求める、幻覚・幻聴、強い悲しみ |
| 絶望・混乱 | 数週間〜数年 | 無気力、食欲不振、社会的孤立、罪悪感 |
| 再構成 | 数ヶ月〜数年 | 故人との内的絆を保ちながら新たな生活を構築 |
これらの反応は正常な悲嘆です。訪問看護師が「早く立ち直るべき」という姿勢で関わることは、グリーフケアの逆効果になります。
複雑性悲嘆(要注意サイン)
以下の状態が6ヶ月以上続く場合は、専門的な心理支援の紹介を検討します。
看護師が臨終に立ち会った場合、または緊急訪問で死亡を確認した場合の初期グリーフケアが、その後の家族支援の土台となります。
当日の対応
「しないこと」も重要
在宅看取りを行った家族への遺族ケアとして、四十九日(死亡後49日)前後のフォローアップが推奨されます。
遺族訪問の手順
遺族との会話のポイント
| 場面 | 対応例 |
|---|---|
| 感謝の言葉をいただいた場合 | 「こちらこそ、関わらせていただいて光栄でした」と返す |
| 罪悪感を示した場合 | 「十分すぎるほどのケアをされていました。これ以上のことはありません」 |
| 泣き崩れた場合 | 黙って傍らに寄り添う。急かさない |
| 「もっとこうすれば良かった」という後悔 | 「あの時の判断は、みんながベストを尽くした結果です」 |
| 支援の必要性を感じる場合 | グリーフサポートグループや相談窓口を紹介 |
直接訪問が難しい場合でも、手書きのグリーフカードや弔電を送ることで、「覚えていてくれている」という遺族への安心感につながります。
グリーフカードに書く内容の例:
ステーション内で遺族会を運営することや、地域のグリーフサポートグループへつなぐことも重要な支援です。
遺族は「同じ経験をした人と話したい」というニーズを持っていることが多く、専門家による個別支援とは異なる「仲間との共感」が回復を支えることがあります。
地域のリソース確認
在宅看取りに関わる訪問看護師は、利用者の死という喪失体験を繰り返します。このことは、看護師自身の精神的健康にも大きな影響を与えます。
「プロだから感情を持ち込まない」という姿勢は、長期的には看護師の燃え尽き症候群(バーンアウト)につながります。チーム全体で以下のようなセルフケアを実践することをお勧めします。
デブリーフィング(振り返り)の実施
看取りがあった後、担当チームで短時間のデブリーフィングを行います。
この振り返りは、業務改善にもなり、看護師の感情的な消化にもなります。
管理者の役割
管理者は、在宅看取りを担当したスタッフに対して、以下のような配慮を行うことが推奨されます。
ターミナルケアの記録は、算定要件を満たすためだけでなく、チーム全体でケアの質を維持するためにも外せません。しかし現実には、「終末期の訪問後、記録に30〜40分かかる」「急変対応で精神的に消耗した後に記録を書くのがつらい」という声が多く聞かれます。
記録の質と効率を両立するためには、訪問中のリアルタイム入力とテンプレートの活用が有効です。
看護レポ(kango-repo.com)は、訪問看護の現場に特化した記録・請求管理システムです。ターミナルケア場面での活用メリットは以下の通りです。
スタッフが訪問先でスマートフォンのLINEから記録を入力できるため、訪問中または帰路中に記録を完結させることができます。事務所に戻ってからPCで入力する時間が不要になります。
ターミナルケアの記録では、「今日の呼吸状態」「痛みのレベル」「家族の様子」「連絡事項」などを音声入力や簡易入力で記録し、後から担当看護師・管理者が確認・修正できます。
看護レポのSOAPドキュメント機能は、訪問看護記録書形式Ⅱ準拠のフォームで記録できます。ターミナルケアに必要な「バイタルサイン」「主訴・発言」「身体所見」「アセスメント」「プラン」の項目が整理されており、記録の抜け漏れを防ぎます。
ターミナルケアでは、夜間・休日の緊急対応を含め、複数の看護師が同一利用者に関わることが増えます。看護レポでは記録がクラウド上で共有されるため、「今日の訪問記録を読んでから明日の訪問に備える」という引き継ぎが容易になります。
訪問看護管理システムとしての機能として、ターミナルケア加算・療養費の請求CSVを自動生成できます。算定項目を入力するだけで、国保連インターフェース仕様に準拠した請求データが出力されます。
ターミナルケア加算の取り漏れを防ぐために、以下の運用フローを導入することをお勧めします。
ターミナルケア算定管理フロー
STEP1:ターミナル期への移行を担当看護師が判断
↓
STEP2:管理者への報告(同日中)
→ ターミナルケアフラグをシステムに立てる
↓
STEP3:算定要件チェックリストの作成
→ 届出確認、同意書取得、記録状況確認
↓
STEP4:死亡後に算定可否の最終確認
→ 2日以上訪問確認、記録内容確認
↓
STEP5:レセプト請求
→ ターミナルケア加算/療養費を算定
このフローを記録システム上で管理することで、「担当者しか知らない」「引き継ぎで漏れた」というリスクを最小化できます。
ターミナルケアの記録効率を高める具体的なテクニックを紹介します。
定型文(テンプレート)の整備
ターミナル期に頻繁に使う表現を定型文として登録しておきます。
チェック式の観察項目
ターミナル期の観察項目(バイタル・意識レベル・疼痛・呼吸状態・皮膚・精神状態)をチェック式で記録できるフォームを作成しておくと、記録時間を大幅に短縮できます。
音声入力の活用
スマートフォンの音声入力機能を使い、訪問中の観察内容を口頭で記録する方法も有効です。「血圧106の68、脈拍94、呼吸は規則的、痛みのNRS4……」と声に出しながら入力することで、記録時間が半分以下になるケースがあります。
関連記事:訪問看護の記録時間を半分にする5つの効率化テクニック も合わせてご覧ください。
訪問看護のターミナルケア加算は、単なる「収入源」ではありません。24時間対応体制・主治医との連携・詳細な記録・家族支援という算定要件のすべてが、高質な在宅看取りを実現するための条件そのものです。
加算を確実に取るための実務ポイントを改めて整理します。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ① 届出 | 緊急時訪問看護加算・ターミナルケア体制の届出が完了しているか |
| ② 訪問日数 | 死亡前14日間に2日以上(特例は1日)の訪問があるか |
| ③ 同意書 | ターミナルケア計画書と本人・家族の書面同意が取得されているか |
| ④ 記録 | 身体・精神・意向の3要素が記録書に記録されているか |
| ⑤ 保険確認 | 介護保険か医療保険かを確認し、正しい区分で算定しているか |
2024年改定で2,500単位に引き上げられたターミナルケア加算を確実に算定しながら、在宅看取りの質を高め続けることが、訪問看護ステーションの社会的使命です。
看取りに関わる訪問看護師の皆様が、本記事を通じて算定の不安を解消し、利用者と家族に寄り添うケアに集中できる環境を整えることのお役に立てれば幸いです。
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Q1. 要支援の利用者が死亡した場合、ターミナルケア加算は取れますか?
取れません。介護保険のターミナルケア加算は、要介護1〜5の利用者が対象です。要支援1・2(介護予防訪問看護)は対象外となります。医療保険を利用している場合は、ターミナルケア療養費として算定できます。
Q2. 死亡前14日間に1日しか訪問できなかった場合は?
原則として算定できません。ただし、末期悪性腫瘍・ALS・AIDS等の特例疾患に該当する場合は、1日以上の訪問で算定可能です。特例疾患に該当しない場合は、14日間に2日以上の訪問が必要です。急変が多い疾患を持つ利用者については、早めに訪問頻度を増加させる計画を立てることが大切です。
Q3. 病院に搬送されて病院で亡くなった場合は算定できますか?
**最後の訪問から24時間以内に死亡した場合は、医療保険のターミナルケア療養費を算定できます。**在宅での訪問後に搬送され、短時間で死亡した場合は対象となります。ただし、病院に入院してから日数が経過した後に亡くなった場合は、在宅でのターミナルケア療養費の算定はできません。
Q4. 介護保険と医療保険の両方でターミナルケアを提供した場合、どちらで算定しますか?
最後に訪問した際の保険制度で算定します。同一月に介護保険と医療保険の両方を利用した場合でも、算定できるのは1件分のみです。保険の切替時は特に注意が必要で、最後の訪問保険を確認してから請求処理を行ってください。
Q5. 複数の訪問看護ステーションが関与している場合、どちらが算定しますか?
1つのステーションのみが算定できます。どちらが算定するかは事前にケアマネジャーを通じて調整してください。後から重複算定が発覚すると、過誤請求として返還を求められる場合があります。
Q6. ターミナルケア加算は支給限度額の対象ですか?
**対象外(加算額管理外)**です。ターミナルケア加算は支給限度額の計算に含まれないため、限度額いっぱいの利用者でも算定できます。
Q7. 同意書は誰からもらえばいいですか?
原則として本人から同意を得ることが最優先です。本人の意思確認が困難な場合(重度認知症・意識障害等)は、家族(法定代理人または成年後見人)から代理として同意を取得します。その際も「本人の意思を最大限尊重する」という姿勢でアプローチすることが大切です。
Q8. ターミナルケア計画書はどのように作成しますか?
法定様式は特に定められていませんが、以下の内容を含める必要があります。
各都道府県の訪問看護ステーション協議会が提供するサンプル様式を参考にすることをお勧めします。
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